食虫植物の中でも実際に動いて虫を取るので、もっとも分かりやすく、食虫植物の代表選手のような存在である。この植物がきっかけで食虫植物の世界にはまっている人も少なくはないはずだ。最近では夏になるとホームセンターや一般の園芸店でも良く売られている。
名前がハエトリソウであるが、ハエしか取らないわけではない。ハエのほかダンゴ虫、蟻、ヤスデなど何でも食べる。また10倍以上に薄めた牛乳を肥料代わりに霧吹きでかけたり、カツオ節やチーズ片を与える趣味家もいる。
この植物のふるさとは意外に知られていないのが実情だ。北アメリカのノースカロライナ州とサウスカロライナ州郊外に生えているのだ。地元のアメリカ人でさえ、この奇妙な植物が自国に生えていることを知らない人が多い。どうもアマゾンや東南アジアの熱帯に自生しているというイメージや先入観があるのであるが、春夏秋冬のある北アメリカ、しかも平地の湿地に生えているのである。つまり栽培は簡単なのである。サギソウやトキソウなどの植物を育てたことのある方なら同じ要領で栽培可能なのである。
この植物を手に入れると、かならず葉をいじって閉じるのを楽しむ人がほとんどであろう。しかし、これはハエトリソウにとってはとてもエネルギーを消費することなので、この空運動を何回もやっているといずれ衰弱して枯れてしまうので、葉がとじるのを見たければ、餌をしっかり与えるようにしよう。餌は何でも良い。お父さんのお酒のツマミの焼き鳥の余ったタレでも肉の欠片でもなんでも良い。