上方落語の至宝だった桂枝雀さんの有名な語り口に「お天気はず~~~~っとお天気
だった」というのがあります。
師である人間国宝の故桂米朝さんは「アイツは弟子やない、ライバルや」と言わしめた
のは有名な話だが、枝雀さんはそれほど師に迫るの実力者だったのでしょう。
その枝雀さんは、59歳で自裁してファンに衝撃を与えた。
枝雀さんは人間の進化の過程を独特の口調でしゃべって、その後につけた言葉が
「その間、お天気は、ずう~~~~~~~とお天気だった」というもの。
人類の歴史はせいぜい1000万年、天気は地球誕生以来数十億年も天気であり続け、
雨を降らし、風を起こし、晴天を広げて地球の万物を育ててきた。
人間が頑張って科学技術を発達させどんなに進んだスーパーコンピュータを創っても、天
気を支配きるはずもない、ということを枝雀さんは言いたかったのでしょう。
そのお天気に、最近は振り回され続けている。
わずか1週間で、年間総雨量の半分の雨をぶちまけた。
雨量が軽く1000ミリを越えたところもあり、まるで日本列島を水没させるかのような
すさまじ水量だ。
山郷の斜面を削り、川を泥水で満たし、田畑を押し流し、人家を容赦なく踏み倒す。
逃げ惑う人たちを無情に飲み込み、一瞬のうち人命を奪っていく。
晴れると予想して甲子園の高校野球を再開すれば、そんな楽天気分をあざ笑うように土砂降
りとなって、球児たちを泥んこにして試合を流す。
雨が降ると予想して初めから試合を中止すれば、一向に降らず晴天が覗く・・・見事な空振り。
もうこんな混乱が1週間も続いています。
お天気は空に壮大な虹を架け夢と希望を描いたり、穀雨になって百穀をうるおす半面、恐ろし
い牙もむく凶器にもなりうるのです。
三月の風と四月の雨で五月の花が咲く(ヨーロッパの格言)
人間の思惑なんぞどこ吹く風、己の思惑通りのシナリオを描くのが「お天気だ」。
これからも人々は生きていく限り、「お天気」にず~~~っと振り回されていくでしょう。
おや、もう実りの秋の兆し