
1759年末から60年の元旦にかけ、英国のヨーク、そしてロンドンの書店で、
「紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」という小説らしき読み物が発売され、大人気となりました。
61年初めと年末に6巻まで出た後、作者の体調不良を理由に休刊となり、
65年に7巻+8巻の続巻刊行が再開されました。
すでに5巻あたりから人気の凋落が始まっていましたが、
7・8巻では一旦人気が盛り返して来ていました。
そして作者がいったい誰なのかは、「我こそは作者なり」と僭称する者・偽作品・模倣作品が
多数現れ続けたのにもかかわらず、真実は依然として謎のままだったのでした。
ハリソンさんはランズバーグ夫人と親睦会会場となった屋敷の裏地にある、
人口池へと散策に出かけます。
ランズバーグ夫人はハリソンさんの甥夫婦を始めとする知人友人達に隠している
自分の秘密を明かします。
そして、ハリソンさんに対し、「あなたが『トリストラム・シャンディ』の作者なのでしょう?」
― と、根拠の不明な唐突とも思える質問をするのでした。