漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

本人に直接聞けば一番早いでしょっ?!

2010年05月08日 19時56分31秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 フレディ君の手紙の中に、
なぜか夏目漱石さん作、
「 坊ちゃん 」 の登場人物名が並んでいますが、
この意味は、かなり後で判明するかもしれません。

 「 ドン・キホーテ 後編 」 では、
キホーテの活躍を書いた本を読んだ公爵夫妻が、
本人に偶然出会って、自分たちの別荘に招待し、
歓待するふりして、実は邸内の住人総動員で
からかいまくる。
― と、いうエピソードがあるのでした。

 フレディ君、どうやらウォルポール兄貴から、
ハリソンさんとのブラインド・デートを仕組まれてたみたいですな。

FAY CE QUE VOULDRAS

― の、ラブレーさんのお言葉は、
「 ビジネスライクじゃなくて、お前流のくだけた感じのもてなしでかまわないし、
何ならお得意の 『 トリストラム・シャンディ 』 の話もしてみなよ。
この人なら大丈夫だから。 」
― くらいの意味だったんでしょうね。

 ウォルポールさんとフレディ君とその賛同者らが、
「 公爵夫妻にとっ捕まったドン・キホーテさん同様にハリソンさんを扱う。 」
― と、いう趣向の委員会活動で大はしゃぎするのかもしれません。

 でも、多分それに対しては、
ハリソンさん+シャンディ氏が奇抜な方法で猛反撃するんでしょうけど、
ネームでは、こんな感じになっています。



 何とも、流血沙汰にまで発展つー物騒な感じで、その後、



治安判事さんの所へと目撃者からの通報があって、
地区のお巡りさんやら自警団の方々が、
わいのわいのとウォルポールさんの所へと聞き込み捜査に
来る程の大騒ぎになってしまう予定なんです。

 … By the way, 「 トリシャン・コード 」 の結論なんですが、
いっその事、専門の研究者の方や熱烈ファンの方が、
日本の場合では、

青森県恐山のイタコさんにお願いして、
ローレンス・スターン聖下の霊を呼び出してもらい、
本人から直接聞くのが一番手っ取り早いんじゃないんですかね?!


 ちなみに、ジョン・レノンさんの霊を呼び出した時には、

「 ハーイ、ワタシハ ジョン・レノン デース。 」

― と、日本語で喋ってくれたのだそうです。

…これ、文化人の北野武さんが漫才師のビートたけしさんだった頃のギャグでしょうに。 ← 尼将軍様(談)


 〈 第16話 / 「 天才少年と手紙 」 は、予告編が5月23 ( 日 ) アップの予定。 〉





 

まことにもって正直なお方で!

2010年05月07日 19時54分14秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ハリソンさんが、 「 トリストラム・シャンディ 」 の創作に、
何らかの形で関わっていたとしても、

― 上は英国当代一の趣味人ウォルポールさんから、
― 下は単なるナマケモノのヒマジンってぐらいまで、
― ピンからキリまでいる、 ― クレーマーさん達のガーガーを、

俗世間在住であるハリソンさんの、 ― 水晶の如きというか、水銀の如きというかの、
― ハートが一手に引き受けています。

 そして、栄誉の部分だけが、
そっくりガラスのハートの、

「 お引きこもりシャンディ様 」

― の物になってしまうんで、― いっくら図太いハートの持ち主のハリソンさんでも、
― ( 金の問題はここではスルーするとして ) ― 心の問題では割が合わない!
― と、不満に思っているのかもしれません。

 で、いつかは双方で、ガチンコ対決になってしまうんでしょうが、
ネーム ( プロの方でも、もっと大雑把に描いてるようです…。 ) では、
こんな感じになっていますな。



「 坊ちゃん、お嬢さん、しばらくの間目をつぶっていてもらえますか?
これで、ハリソンさんにお見せできる。
無様で醜悪でえげつない、私の本当の姿を ― 。

↑ このセリフ、何かのアニメの最終回から借用したのをもじってない?!
ていうか、2コマ目、表現方法モロ影響受けてるよ! ← 尼将軍様 ( 談 )

 ― ちなみに、本編の方の2・3コマ目の、
フレディ君のセリフと、ハリソンさんの心の叫びは、
「 トンデモノストラダムス本の世界 」 ( 山本弘さん著 ) の中の、
「 神人ノストラダムスの大予言の真相 」 ( ミカエル・ヒロサキさん著 )
という本の紹介文をもじっています。
ミカエル・ヒロサキさん、予言詩の中にスケベな意味を読み取る才能を
炸裂させている
らしいですな!

 つまり、やろうと思えば、

どんな文章の中からでも、
スケベな意味は汲み取れるって事やねっ?!


…まあ、数学の参考書からも汲み取れる!
― ってゆー、スゴい人もいましたからね~。
これホントの話。

 ハリソンさんとシャンディ氏の対決シーンについて、
多分清書の作画担当者になるだろうという事で、
尼将軍様には詳しい説明をしましたが、
精神的にすごく抵抗があるそうです。
それというのも、黒いローヒール&靴下履いてる、
シャンディ氏の本当の姿というのが…。


 今日の続きは明日。

目は伝令にして愛の一歩は目である

2010年05月01日 21時45分27秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 「 目は伝令にして愛の一歩は目である。 」

 ロバート・バートンさん ( 1577-1640 ) は、
英国の神学者・牧師で、

「 地図の上でなければ旅行をした事がない。 」

「 扶養すべき良妻健児もなければ悪妻豚児もいない。 」

― と、いうような、希有な生涯を送る事のできた、
素晴らしい方なのです。

 日本語訳では、 「 恋愛病理学 」 ( 斎藤美洲さん訳 ) というタイトルで、
「 渋沢文学館3 脱線の箱 」 という本の中に、部分訳であります。
斎藤さん全訳の単行本も桃源社から出ているようです。

 今日のタイトルになっている文が…どの辺にあるのかは忘れてしまいました。
ひょっとしたらいきなり冒頭にあったのかもしれません。

 この作品、真面目一本道な作品かと思いきや、
なかなかに愉快で、作者の場合は、特に音読すると楽しさが倍増しました。

 ベギン派修道女さんに対してトリムさんがした事が無くて、
トゥビー叔父さんもトリムさんも、
2人の話を盗み聞きしていたウォドマン夫人も不思議だと言っていた事なのですが、
ハリソンさんの言っている、

瞳を見た事がなかった。

― の方が意外そうでいて、案外あり得る事のように作者には思えて来ているのですが。

 それに、ウォドマン夫人が、トゥビーの心を射抜くために取ったその後の行動と、
上手く繋がらないしね。

 そうでないと、ウォドマン夫人、

■ 盗聴 ・ 家宅侵入 ・ 痴漢スレスレの行為までもやっちゃってます。

■ 気まぐれで挙動不審。
  突飛&奇抜な思い付きで行動し、周囲を振り回す魔女。

■ 「 トリストラム・シャンディ 」 の入浴シーン担当女優。

― つー、ただの変態オバさんになってしまうぜよ~。

 この場面は、

カノ紳version.2 「 もう気が変になりそう 」

   同     1 「 トバイアス&ウォドマン編 」


の中にもあります。

 …まあ、フレディ君の脳内では、

ハリソンさんって、40代後半のオジサンにしては、
こっばずかしい程の清純派。


…で、快刀乱麻。
即解決してしまっているようです。
本当に単純なお兄さんだな。

ホント、若いっていいよね~?!

 この子、女難の運命が待ってて、
それを私が描かなくちゃいけなくなるんじゃないの? ← 尼将軍様 ( 談 )


 〈 次回の更新は、5月7 ( 金 ) ・ 8 ( 土 ) 日の予定。 〉

   次回の更新で、第15話完結編。
   果たしてフレディ君、ウォルポール兄貴と共謀しているのでしょうか?


単純な男

2010年04月30日 10時08分59秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 ハリソンさん、エリザベスさんが、
寝台使用でも、出産用椅子使用でも、
自分の左右でも前後でも、
どこであろうとスロップ先生が至近距離には居てほしくない、
on the contrary, 出産の初めから出産後までの全ての事に関わってほしくないと思っている。
― と、いう事を、似た意味の単語が
1文章に2つ以上入る危険を冒してでも言いたかったようです。

 それから、ハリソンさんの考えるトゥビーの単純さとは、

 そうしないと逆にエチケット違反にあたる。

 そうしないと命に関わる緊急事態の真っ只中にある。

― と、いう以外は、
決まった相手のある女性は、
それ以外の男性を側には寄せ付けないだろうと思っている。
― と、いう類のものでした。

 それで、ウォルターさんが、

「 お前、ウォドマン夫人からあんだけの目に遭わされといて、
まだそんな事言ってんのか?! 」

「 俺もあの時はホントにドえらい目に遭わされたよ! 」


― って感じで、トゥビーへと女性の表と裏を説明しようとする
展開になるんですが…。

 一方フレディ君の考えるトゥビーの単純さの場合は、
もう説明がいらないくらいの物なんですが、
「 トリストラム・シャンディ 」 の熱狂的ファンという設定の筈なのに、
第8巻の26~32章を流して読んでいるような気がするのですが、
…どうなんでしょうか?

 えーと、ちなみに、
戦傷を受けたトリムさんを看病したベギン派修道女について、
フレディ君が話題にしている部分は、
「 カノ紳version.2 」 の中の、「 ただの一度も 」 です。

 フレディ君、トゥビーさんの場合と同じパターンで、
ベギンさんに看病されて、足をさすってもらった時のトリムさんの
反応を想像しているのですが ― 。

 ある意味、フツー過ぎるよね…。

 この子さぁー、「令嬢テレジア」 読ませてやれればいいのにね…。 ← 尼将軍様(談)  


 今日の続きは明日。






どうしてそんなに雄弁?!

2010年04月24日 10時48分10秒 | 第15話/トリシャン・コード

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 プロジェクト・メンバーの尼将軍様によると、
トゥビー叔父さんのウォルターさんへの態度は、
女性に置き換えた場合で行くと、
若い子ナシ独女が、
既婚で、ちょびっとだけ年長者で、初産で、臨月の妊婦さんに向って、

「 案ずるより産むが安し。 」

― なんて言って、

「 あんたに言われたかぁないわよ! 」 

― と、妊婦さんを怒らせるようなもんだとの事でした。


実際、某女性週刊誌の読者投稿ページに、
夫の妹からそう言われて、
ムカついたという女性の記事があったのを、
見た事があるのだそうです。

 ウォルターさん、トゥビー叔父さんに対して、
「 お前の想像や思い付きだけで言ってんじゃないよ! 」
って所だったんでしょうが、
ウォルターさん自身が、現実の経験や行動から得た知識よりも、
読書で得た知識から発した、妄想や思い付きを話題にしてる方が
圧倒的に多いですからね~。

 それに、結婚して子供を持ったからといって、
人間として全ての経験ができるって訳でもないですからね。
トゥビー叔父さんやウォルポールさんの例でも分かるように、
昔っから、家庭を持たなくても、
それなりに満足して一生を終えられた人もいる訳ですし。

そこまで突き抜けてるんなら、逆に格好イイんじゃないか?

― と、すら作者には思えて来てるんです。

 ウォルターさん、キリスト教徒として、異教徒のような立場から、
哲学者として、夫として、父親として、愛国者として、一人の人間として、
エリザベスさんを多角的に説得しようとするのでしたが、
エリザベスさんは、それらの全てに対して、

「 女の大仕事に、男がうるさく口出しするなっ! 」  

― で、一蹴してしまっているのでした。
理屈っぽいヤツに対しては、
同じ土俵で勝負しないのが、
やっぱし一番なんでしょうな。


 「 トリストラム・シャンディ 」 本文では、
哲学者としての説得以外は、詳しい描写がありません。
( カノ紳 version.2 「 金は出しても口出すな1・2 」 は、哲学者としての説得の場面を描いた物です。 )

 ウォルターさん、after allで、エリザベスさんを説得できずに、

「 自分の頭の良さに釣り合わないバカ妻。 」

― と心の内で憤慨していたのでしたが、


 え~っ、描写が無いだけで、
エリザベスさんがバカだと決め付けるのはいかがなものか?
― なんじゃないのぉ~!?
描写の欠如は、キャラ自身の属性よりも作る側の欠陥からかもしんないよ。

 こんな事ばっかダンナさんから言われて、
素直にハイハイ言う事聞いてる奥さんがいたら、
そっちの方がバカだと思う。

 つーか、命がいくつあっても足んねーよっ。

 「 華岡青洲の妻 」 とも、かなり趣が違うようだしね~。
もし、わたしの他にも主婦が読んだら、むしろエリザベスさんの方を、
「 賢夫人 」 と見る人も多いんじゃないかな。

 おセレブ様の家だから、まだ何とか生活が成り立ってるんだろうけど、
もし日本の一般サラリーマン家庭だったら、
ホラーだぜよ。


女性読者方は、こういう感想を持つ筈です。( キッパリ! ) ←尼将軍様 ( 談 )


 それから、

「 描写の欠如は、キャラ自身の属性よりも作る側の欠陥。 」

― と、いうのは、作者自身がこれを描(書)いてて、痛切に感ずる事でもあるのでした。
ホンニ、キツイお方どすゥ。


 〈 次回の更新は4月30日 ( 金 ) ・ 5月1日 ( 土 ) の予定。 〉

極上のオチをおくれ

2010年04月23日 20時04分57秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 …まあ、想像するのは自由ですからね。

 ちなみに、英語の文では、

― “ My sister, mayhap, quoth my uncle Toby, does not choose
to let a man come so near her * * * *. ”

― と、なっておりますが…ハイ。

 でも、ある程度の品位も保てて、
「 トリストラム・シャンディ 」 の登場人物を必要以上に貶めずに済んで、
全くの的外れでもないのなら、
ハリソンさんの答え方で十分なんじゃないでしょうかね?

 もし、フレディ君のご想像通りなら、
確かに、想像する側の人の立場 ― フレディ君のように若い独身の男性とか、
― だったら許容範囲なのかもしれないし、― 面白アンサーなのかもしれませんが。

 でも、まぁ、正直な所グレードとしては、

小学生ボーイズのギャグ!

― ですがな~。

 ちなみに、その問題の4文字単語、
高校生までの授業で使えるような英和辞典には、
載っている筈がありません。

 そういうのが載っているのは、― 高校卒業以降の人が使うような、
― ぶ厚くてお値段も高いよーな辞書で、 ― 図書館ではレファレンス室に置いてありそうで、
― そして、作者が持っているリーダーズ英和辞典 ( 研究社刊 ) では、
524ページに載っていました。



 今日の続きは明日。

このブログ、高校生以上が閲覧対象という前提なのですが、
もし、万が一、小中学生や主婦の方がご覧になっている場合は、
決して本屋や図書館に行ったりとか、
家族が難しい単語が載っている辞書を持ってても、借りたりとか、
…ともかく、そーやって調べたりはしないよーにっ!








ホントは皆ココに興味があるんだろ?

2010年04月17日 11時31分06秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 え~、ここからフレディ君とハリソンさんが、
トリストラム・シャンディ氏のゴシップ系話から、
彼が書いた本の内容に対してのトークへと移って行きますが、

正直、フレディ君、ぶっちゃけ過ぎです。

 フレディ君がどこの箇所を言っているのかというと、
第2巻の6&7章なのでした。

 いろいろあった後に、
シャンディ氏が禍多きこの世へとデビューする日が
遂にやって参りました。

 2階では母親の陣痛が始まっていて、
物語に登場するメイド・キャラにありがちな、
ドジっ娘のスザンナさんが、
あわてて助産婦さんを呼びに行きます。
( 「 カノ紳Version.1 」 にある、彼女の絵は、その時の姿を描いたものです。 )

 1階では、ウォルターさんと弟のトゥビーさんが一緒にいて、
エリザベスさんがなぜ最後まで強情を張って、
ウォルターさんが薦める男性産科医に全てを任せずに、
お婆さん助産婦を頼りにするのか?
― と、いう事を話しているのでした。

 で、3コマ目、見覚えがあるかもしれませんが、
「 カノ紳version.2 」 の
「 近寄ってほしくないんでしょう 」 のページで描かれたエピとなります。

 ウォルターさん、お兄さんが亡くなって本家を継ぐまで、
オリエント方面との貿易で生計を立てていたので、
特にトルコ方面へと実際に行っていた時のお土産らしき物が、
ウォルターさんが使っているパイプもそうだし、
暖炉の上にも満載なのでした。

 回転踊りのオジサン人形とか、トロイの木馬らしき置物とか、
あっちっぽい絵柄の皿とか、トプカプ宮殿を描いたらしき絵画とか…。

 あと、有名な目玉の魔よけ ― ナザール・ボンデューも吊るしてあるけど、
結果として、シャンディ氏の無事な誕生のためには、
残念な事に何の役にも立たなかったのでしょうか?

 さて、それでは、どーしたもんでしょ。
ハリソンさん、知性と教養、そして気品あふれる美紳士としてふるまうためには、
フレディ君の質問にはどう答えたらいいんでしょうかね~?


 〈 次回の更新は、4月23 ( 金 ) ・ 24 ( 土 ) 日の予定 〉

 昨日 ( 16日・金曜日 ) は、仕事から帰ってから、疲れて夕食後に居眠りをしてしまい、
目を覚ましたのが、夜の10時過ぎでした。
10時半ころから入力を始めて…アップしたら12時過ぎてました。
なので、今日 ( 17日・土曜日 ) に2日分まとめてアップした事へと、
結果としてなります。

始まりの段階ですでに最悪

2010年04月17日 00時17分50秒 | 第15話/トリシャン・コード

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 ブラウン商会では、大陸にある各支店につき、
牧師一人を雇っていました。

 フランスは、カトリック教徒が多い国で、
国民の中にはプロテスタント系信徒もいる事はいましたが、
現代でもあるように、何か事件が起こると関与を疑われたりなどの、
不利益な事が多いようでした。

 トリストラム・シャンディ氏の父親であるウォルターさんは、
頭脳明晰で人間性も素晴らしい子供を得たいと大いに望みながらも、
なぜかその時々で最良の選択をしてはいないのでした。

 各月の最初の日曜日は、教会で礼拝が行われる精進日なのでしたが、
決まった日に家庭の用事の全てをいっぺんに片付けたいという父親の都合で、
シャンディさんは受胎されてしまいました。

 一方、母親のエリザベスさんは、
各月の最初の日曜日は、身を清め行いを慎むべき日なのに、

「 夫が家の大きなのっぽの古時計のねじを巻き、
夜には自分の相手をする日。 」


― と、頭の中が上書き状態になってしまっていて、
夫から自分の胎内へとシャンディさんが産み付けられた時に、

「 時計のねじを巻き忘れていないか? 」

― という、詳しい事情&観念連合のからくりが分からない人が、
そのセリフだけを聞いたら、
突飛としか思えないような問いを発してしまったのでした。

 その後も、ウォルターさん、
出産方法をめぐって、自分のシナリオ通りに事を運ぼうと、
エリザベスさんをしつこく説得し、
エリザベスさんはその度、抵抗していましたが、
本文には具体的な描写が無いけれど、
実は相当イライラしていて、

モーツァルト聴いて、優雅に胎教 ♪

― どころじゃ無かったんでしょうな。

 ― つーか、ソフト面 ( レコード&CD ) もハード面 ( 再生用家電 )も
まだ発明されてないし、
そもそもエジソンさんすらまだ生まれておらんで~。

 And,次の第16話 ( 1765年のロンドンが舞台 ) で、
やっとこまだお子ちゃま時代だった、来英中のモーツァルトさんが登場するくらいなんで、
1718年の英国の東北地方じゃ、
「 マタニティ・モーツァルト 」 なんて絶対聴ける訳が無いわな~。


 今日の続きは明日。
 




お天道様の下を歩けない男

2010年04月10日 10時02分25秒 | 第15話/トリシャン・コード

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 トリストラム・シャンディさん、自作の本の中に、
聖書が元ネタの冗談が所々に出て来るので、
「 実は聖職者が書いた、まるっきり創作のウソっこ自伝本なんじゃないか? 」
という噂が発生したのでしょうな。
新聞他の広告では、

This is A TURUE STORY.
これは、真実の物語である。


― とか、書いてあったんですけどね。
もっとも、このキャッチコピー、嘘八百バレバレの、
中世騎士道物語の中にもあったらしい
ようなので。

 「 トリストラム・シャンディ 」 を絶賛する国教会のお偉い様とは、
前にウォルポールさんの手紙にも出て来た、
ウォーバートン主教の事なのでした。

 そして、シャンディ氏と同じ出身州と思われる、
ヨーク州に領地を持つ、フォーコンバーグ卿が、
「 聖公会の牧師様に任命してやる。 」
― と、言っていたのでした。
ちなみにこの方、カトリックから聖公会に宗旨替えしているのでした。
カトリック教徒では公職に就けない他、
不利な事がいろいろと多かったからなのでしょうか?

 フレディ君、優良企業勤めでも、
フォーコンバーグ卿がシャンディ氏に提示した年収の
3分の1も貰っていません。
ちなみに、当時の男子労働者の年収は25ポンドくらいでした。
女子労働者は、2~4ポンドくらいだったそうです。
性差別丸出しだな~。
OL閲覧者様方、歴女閲覧者様方怒るべし!

 上記の2人の他にも世間では、
いろいろといい話をチラつかせて、
シャンディ氏の正体を知りたがっていたのでしたが ― 。

 ところが、1765年秋の時点になっても、
本当のシャンディ氏が名乗り出る事はありませんでした。
偽物は何人か出て来ましたが、その都度ウソがバレては消えて行きました。

 シャンディさん、ユージン様が出席した宮廷でのセレモニーにも、
出ていれば、様々な良い縁を引き寄せられたのかもしれないのに。

 その前に、自作が売れた時点で、勇気を出して姿を現していれば、
( 少なくとも、日本じゃそういう人多いよな~。グチャグチャ半生から超カタギになっちゃったあの人、
難病を克服して、夢見たお仕事とステキな配偶者までもGETしちゃったあの人、
障害を乗り越えて、 ― というか、逆手に取って、世界に名を轟かせちゃったあの人
― の、伝記本を某人気少女漫画そっくりのタイトルで書いちゃったママン…etc. )
たとえ容姿がお世辞にも美しくはなくても、
人々は気にせずに受け入れてくれて、
それが前出の縁へと繋がって、
一気に人生の大逆転となったのかもしれないのに ―― 。

 それなのに、なぜ彼は、人前に姿を現す事ができないのでしょうか ― ?


 〈 次回の更新は、4月16 ( 金 ) ・ 17 ( 土 ) 日の予定。 〉

ゲゲゲのトリストラム・シャンディ

2010年04月09日 19時46分54秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 えー、漫画の中で、
直球過ぎの 「 不適切な表現 」 があるかとは思いますが、
2009年末NHK放映 「 坂の上の雲 」 で、モックン演じる秋山真之さんが、
似たような名詞を、「 かゆうていかん。 」
― とか、言っていたのに免じてどうかお許しを ― 。

 あとハリソンさんが見ている漫画なんですが、
残念ながら、著作権の関係で中味をお見せできません。
参考書籍として、マーティン・ローソンさん ( ちなみに、この方はれっきとした現代人です。 )
作の漫画 「 トリストラム・シャンディ 」 をご覧になって、
各々ご想像していただくしかありません。

「 私は宣言する。その言葉によって私が意味するのは鼻そのもので、それ以上でも、以下の物でものぁいっ。 」

― とか、シャンディ氏が言って、
ハリソンさんが心の中で叫んでるみたいなポーズをとっているのです。

 ハリソンさん、シャンディ氏って、

顔には異様にデカい口しかない妖怪なのか?

― と、ショックを受けているようなのですが、
表紙で見る限りでは、漫画の中のシャンディ氏と同じ服を着て、
コスプレができるくらいの余裕はまだまだあるようですな。

 ちなみに、ハリソンさんが手に持っているお面の方は、
ジム・キャリーさん主演の大ヒット映画 「 マスク 」
にも出て来た物の類似品で、
いたずらの神様をモデルにして作られたらしいです。
道化の鈴も付いてますよー。
シャン・シャン ♪

 今日の続きは明日。

英国の水木しげる大先生に漫画化されちった!

2010年04月03日 21時32分46秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ウォルポールさん、近い親戚筋のヤツらには失望してるのか、
遠い親戚筋の若い男の子達への世話焼き方向へとシフト変えしているようなんですが、
フレディ君にプレゼントするためのトリシャン関連本を購入する時、
いったいどうやってるんでしょうか?

 漫画なんですが、18世紀の英国にもすでにあって、
吹き出し付きの物 ( 当然ですが、セリフは英語の横書きです。 )
― もありました。
沢山のコマでストーリーを組み立てるという所までは、
まだ発達してはいなかったのですが。
作家は、現在でも有名な所では、ウィリアム・ホガースさん ( 1697-1764 )
やトーマス・ローランドソンさん ( 1756-1827 ) などがいました。

 フレディ君が見せてくれる漫画なんですが、
これ、実はアラベラさんも、どーゆう経路でだか手に入れて見ていました。
そして、そのイメージをもとに第14話で、
トリストラム・シャンディ氏を 「 妖怪 」 呼ばわりしている場面
があったのですが ― 。

 しかしながらその漫画、 「 18世紀英国の水木しげる大先生 」 といった感じの
タッチで描かれていたため、むべなるかな~、
― と、いった所なのでした。


 〈 次回の更新は、4月9 ( 金 ) ・ 10 ( 土 ) の予定。 〉




上のも下のも、ちゃんとあるだに

2010年04月02日 21時04分12秒 | 第15話/トリシャン・コード


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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 
 前にも書きましたが、トリストラム・シャンディさんは、
生まれて来る時に、スロップ医師という人が、
分娩鉗子を正しいタイミングで使わなかったために、
上のお鼻が挟まれ、潰れて生まれて来ました。
そして、それとシンクロしているのか…下のお鼻も5歳の時に、
当時普及し始めた、上下スライド式窓で挟んで潰してしまいました。

 この件については、どう取れはよいのでしょうか?
上と下のお鼻の関係については、ちょっと昔、 ( 20世紀後半 ) に始まった事ではなくて、

「 そんな事ぁ、もう18世紀には、とっくのトンマに言われていたってんだよっ! 」

― と、いう、歴史証言資料としてよろしい ― と、 いう事なんでしょうか?

 …とはいえ、誰かが科学的にちゃんと調べたなんて事は、
未だかってあったというんでしょうか?
「 愛についてのキンゼイ・レポート 」 という映画にもそんな場面は
出て来なかったと記憶しているのですが。

 そんな事ぁプロジェクト・メンバー全員、
寡聞にして聞かないですな。

 まあ、複数の科のお医者さん達が協力し合えばできない事もないんでしょうが、
問題なのは、それを実行する勇気のあるお医者様達が果たしているもんなのでしょうか?
血液型研究と同じか、それ以上にナンセンスと非難&嘲笑されるかもしれないしィ~。
No, on the contrary 職業生命危険にさらしちまう可能性大 DEATH★

 何の役に立つのかもよく分からんしィ~。
…効率良く婚活したいお姫様&お嬢様とかにどうぞ ― ってかぁ?!

 By the way, ハリソンさんについて **** なのか、
調べ上げようとするバカッチョリーノどもらがイタリアで出現して、
様々な罠を仕掛けた挙句、
遂には、トリシャン第4巻冒頭にある、
「 スラウケンベルギウスの物語 」 のような大騒動にまで発展するのでした。


 今日の続きは明日。



 
 

彼は欲求不満の憂さ晴らしに本を書いた

2010年03月27日 22時56分38秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 今話の表紙の絵で、ハリソンさんの肩へと、
鬼太郎の目玉親父の如くつかまっている小人さん、

いったい何だろうと思った方いらっしゃいますか?
絵のタッチはむしろムーミン谷の住人っぽいのですが。

 この小人さんは、ホマンキュラスさんといって、
トリストラム・シャンディ氏の話によると、
まずは父親から母親の胎内に産み付けられ、
動物精気と一緒に子宮内に辿り着き、
9か月後の出産日に、赤ん坊の姿で母親の体から出て来る
という事なのだそうです。

 ― で、昨日書いた、シャンディ氏の母親の質問のせいで、
父親の集中力が途切れて動物精気が分散し、
胎児に悪影響を及ぼしてしまい、その不運を引きずったまま、
1718年の11月5日にこの世へと生まれ出たシャンディ氏は、
状況を立て直す事もできずに、悲劇の生涯を送って来てしまったらしいのです。

 シャンディ氏の、そのぬらりくらりしてハッキリしない、
フレディ君の言う所の、オール・ジャンル曖昧なのがために、
他者を振り回してしまい、面白がらせる一方で相当の怒りを招いてしまう、
不安定な評価を獲得してしまう性格
も、動物精気が霧散したのが元凶という事なんでしょうが、
ハリソンさんの意見はちょっと違うようなのでした。

 つまり、彼の人生の中で、彼の話をきちんと聞いてくれた人が今まで一人もおらず、
一方的に自分の話をしたり、言いがかりを付けて来る人ばかりだったのではないのか?

と言っているのでした 。

 フレディ君まだ若いし、能天気みたいですからね。
それに、面倒焼きたがり屋のウォルポールさんが遠い親戚だって事が分かって以来、
出世街道まっしぐらって感じですし ― 。

 まあ、そういった境遇から、ハリソンさんと解釈が分かれて行ってしまうんでしょうけど、
フレディ君、かなり後になりますが、自分の思い描くシャンディ氏の姿を、
ハリソンさんへとトンデモない方法で強硬に押し付けてしまう事になります。
ウォルポールさん&副社長様を喜ばそうという気持ちもあったんですけどね…。


 〈 次回の更新は4月2 ( 金 ) ・ 3 ( 土 ) の予定。 〉

先週の更新予告見たら、次回は4月の3・4日と書いてあったのですが、
勘違いしていました。
昨日と今日が正しい日付です。


 
 

 

それで、どこが愉快だったの?

2010年03月26日 21時18分15秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 トリストラム・シャンディさんが実際に書いた本の出だしの英文と
作者の訳文なんですが…。


I wish either my father or my mother, or indeed both of them,
as they were in duty both equally bound to it,
had minded what they were about when they begot me;
had they duly consider'd how much depended upon what they were then doing;

 私は自分の父か母か、それとも本当の所はどちらもなのですが、
こういった場合には双方相等しくそうする義務があったというのに、
二方が私をこしらえるという一事を成していた最中に、
その時のやり方次第でもうどうにでもなるというのをきちんと考慮して、
気を配っていてくれたらよかったのにと、
今更ながら思うのです。


 …だそうです。
で、それがどういう事なのかという細かい説明が後に続き、
そして、こしらえ時に、母親が父親に発した無思慮なセリフ。


Pray my dear, have you not forgot to wind up the clock?

ねえ、時計のねじを巻くのを忘れてない?


 それに対する父親。
叫びつつも声をひそめつつといったビミョーな発声法で。


Good God !
Did ever woman, since the creation of the world, interrupt a man
with such a silly question?

おぉいっ!
天地創造以来、こんなにもバカな質問で男の邪魔をした女が未だかってあったか?


そしたら、シャンディ氏の話を聞いていたオッサンかオニータンが、


Pray, what was your father saying?

おいおい、君のお父さん何て言ってたんだい?


― と、食い付いて来るのですが、シャンディ氏、繰り返しづらい内容なので、


―― Nothing.

別に、何もありません。


…とか、現代日本の某人気若手女優様みたいな事を言って〆てしまうのでした。


 今日の続きは明日。











 

 

誰にでもコンプレックスはある…

2010年03月21日 11時04分19秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ウォルポールさん、第8話 「 標的 」 の初っパナっから、
「 トリストラム・シャンディ 」 の悪口バキューン!
― で、

「 小説ではありませんね。 」
「 単なる作文です。 」
「 日常の出来事とその感想を細々綴っても退屈なだけ。 」

…なんて言っていました。

 それで、ハリソンさんが擁護するような事を言って、
ウォルポールさんからシャンディ氏との関係を怪しまれて
しまうのでしたが ―― 。

 人が一生かかって努力した果てに、
もしかしたら到達できるかもしれない境遇に、
最初っからいるウォルポールさんにも、
トリストラム・シャンディさんの気持ちは分からない
かもしれませんな ―― 。

 でも、その一方で、シャンディさんの方でも、
ウォルポールさんのコンプレックスをつっ突くような事を、
実はズケズケと書いていたりしたのでした。


 〈 次回の更新は4月2 ( 金 ) ・ 3 ( 土 ) 日の予定 〉