漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

カフェ・ブルトン(5/16) 外出許可の申請 

2007年11月25日 22時20分16秒 | 第6話/カフェ・ブルトン

 ハリソンさん、またしても言い過ぎたのかと思ったのか、
今度はマー坊の願いを聞くという方向で話を収めようとしています。

まあ、でもハリソンさんは比較的マシな方です。

成人した人は、自分より身分の低い人、容姿・頭脳・身体機能等の劣った人、
女性・子供に対してバカにした扱いをすると、出世できないものです。仮に出世したとしても、した後が冴えません。

そして・・・寂寞の中で、尻すぼみの生涯を終えるのでした~。


今回初めてご覧になる方で、第1話からご覧になっていただける方はこちらからどうぞ。

次週は主要女性キャラの初登場となります。

〈次回の更新は12月1・2日の予定です。〉


 

 


カフェ・ブルトン(4/16) 予定は未定

2007年11月24日 20時28分25秒 | 第6話/カフェ・ブルトン

 マー坊のこの間の取り方って何なのサ
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―。

 作者は個人的に、3コマ目のハリソンさんのセリフ、気に入っていますね~。
「そりゃ、そうでしょうな!」―って、現時点までのハリソンさんの言葉では、
身もふたもない内容としか思われない物ではあるのですが。

ハリソンさんの性格特性である、
▼「気まぐれ」(マー坊の雇い方)
▼「出たトコ勝負」(この旅行自体)
▼「強硬な態度で自己主張ができない」(デサン氏コザカシヲトコへの態度)
▼「決意・計画した通りに物事が進んだ事がほとんどない」(この旅行自体)

・・・から推測すると、きっとまた気が変わって、何かしようと思うに決まっていますがな~。


 もしハリソンさんが1765年10月13日(日)に、一日中甥の借家で寝ていたら、
そのせいで「カフェ・ブルトン」のタイトルが「意味なし」になってしまいますしね。

今日の続きは明日。





  

カフェ・ブルトン(3/16) 最初っから褒めるだけにしとけばいいのに・・・

2007年11月23日 19時31分33秒 | 第6話/カフェ・ブルトン

 「ジイ様が若モンに特別な感情を持つ」
―といった事は古代ギリシャ時代にも、すでにあったようなので、
ハリソンさんの「美しさは罪」とはその事を言っているのかもしれません。
ところがそういった「文学歴史の50」(←昔やってたクイズ番組から取りました。40代以上の人なら分りますか?)
―的な事も、小卒プロレタリアートのマー坊には知ったこっちゃあない世界ですわな。

でも、ハリソンさんが英語で言った 「ソドムの住人」 という言葉は、フランス語でも同じような言葉があってか分ったようですが・・・。

 しかし・・・タイトルのように、英語の挨拶の事だけ褒めて、
いきなり「同性愛者ぢゃない!」なんて突飛な事を言い出さなければ、
無問題でほのぼのムードからの楽しい休日の始まりだったのに。

ハリソンさん、ついにマー坊の事を「おめぇ」と言うようになっちゃっています。
言葉遣いもさる事ながら、英国紳士ならもっと落ち着いた雰囲気を持っていてクレヨン・・・というトコロ天なのですが。


ハリソンの髪型が「何で今までと違うんだっ!」と思った方は、こちらをご確認下さい。

明日はハリソンから迷文句が出ますゾ・・・!





カフェ・ブルトン(2/16) 18世紀の欧州では、れっきとした犯罪でしたから・・・

2007年11月18日 12時07分04秒 | 第6話/カフェ・ブルトン

 少なくとも現在の日本での人気芸能人の台頭や、
BLの隆盛からは考えられない事かもしれませんが、
18世紀の欧州では「処刑」の対象でした。
昨日の「同性愛の社会史」の中には、そういった事件も書かれています。

19世紀末になっても、オスカー・ワイルド(1854-1900)が投獄されているのは、
有名な話です。
マルセル・プルーストが「失われた時を求めて」の中の「ソドムとゴモラ」(1921~22)を書いた頃でも、
「ソドムの住民票を持っている人達」はお天道様の下で堂々とはしていられない状況でした。
三島由紀夫さんが「仮面の告白」(1949)を書いた当時も同性愛はヘンタイ扱いだったそうです。


 3コマ目の「美しさは罪」という言葉、
実は作者が若い頃にTVで放映していたアニメ「パタリロ!」
のエンディングテーマの歌い出しにありまして、
母親がここをやたら気に入って、ニヤニヤしながらしょっ中口ずさんでいましたっけ。

「パタリロ!」にもバンコラン大佐とマライヒという同性愛カップルが出ていましたっけね・・・。
ともかくも同性愛については、ここの所2~30年くらいで寛容になって来ているのではないでしょうか?
すでに文化になっているような感すらもありますけど・・・。



今回初めてご覧になる方で、第1話からご覧になっていただける方はこちらからどうぞ。

敬虔なカトリック信者のマー坊にはキツ過ぎる冗談ですわな!
マー坊の怒りを、ハリソンが今度はまたどうかわすのか?
〈次回の更新は11月23・24.25日の予定です。〉









カフェ・ブルトン(1/16) ・・・聖書を読んだだけでは意味が分かりません

2007年11月17日 20時07分24秒 | 第6話/カフェ・ブルトン

 人はいつ「ソドム」の裏の意味を知るのでしょうか?
聖書の「創世記」には、クリスチャンズにもそうでない人々にもはっきりと分るようには
書かれていません。

  作者は「同性愛の社会史―イギリス・ルネサンス」(アラン・ブレイさん著/田口孝夫さん・山本雅男さん訳)とか、
桐生操さんの「びっくり!世界史 無用の雑学知識②」あたりで意味が分かりました。


 あとはプルースト(1871-1922)の「失われた時を求めて」の中にそういう内容の部分がありましたっけ・・・。

そういえば、プルーストと彼の書いた小説の主人公の名前もマー坊でした。
ちなみに「ハリソンさん―」と対になる予定の「ジェントル・ウーマン」ではジョイスという名前の人物が出て来ます。


ハリソンの過激発言に対し、マー坊はどう出るのか?
今日の続きは明日・・・の予定です。

予告編 おまけ

2007年11月13日 20時17分04秒 | その他
 今まではLOVEの要素が全くと言っていい程なかったので、
潤いも何もなく干からびていて、ご覧の方によっては
「物語たる物、それがなくっちゃ面白くも何ともない。」
―なんてな印象も否めないのですが、
第6話からは、ちょっとはLOVEの要素も出て来るかもしれません。

 いずれは18世紀を舞台にしたロココ・ロマンスらしく、身分違いの恋愛だの、
既婚婦人とのセンティメンタル・シティロマンだの、
ひょっとしたら・・・南国ナポリを舞台に×▲愛なんてのもアリかもしれませんよ!

 ※注意:一つお断りしておくと↑上の絵の人はLOVEとは全く関係のないキャラです。

〈第6話は11月17日が開始予定です。〉

第6話予告

2007年11月13日 20時16分34秒 | 第6話/カフェ・ブルトン
カフェの看板娘/パリ

 現在の日本でもカフェはいろいろと人気ですが、
18世紀のパリでもカフェは大人気でした。

 もっとも今のような、女性でも気軽にくつろげる場所では全然なくて、
男性がコーヒーと軽い食事でもしながら、
知識の交換や商談・時事放談をする場所でした。

 1765年10月13日の日曜日。
ハリソンとマルセルは、サンジェルマンにあるカフェ・ブルトンへと出かけます。
そこで二人には、それぞれの運命の出会いが待っているのでした。

 

衝撃!パリの街はこんなに汚かった!!

2007年11月10日 21時38分39秒 | 第20話/麗しのクレール
第5話のネーム(下描き)。こっちの方がアクションが派手。
ハリソンの右手の黒いのは、綴り紐の跡。
何せネーム用ノートは手作りなんでさ―。


 「トイレの文化史」(筑摩書房)という本をご存知ですか?
作者はかなり前に最寄の図書館で見つけて読んでみました。

 著者はロジェ・アンリ・ゲランさん。訳者は大矢タカヤスさんとさっきネットで調べたらありました。
実はこの本、現在は件の図書館の奥深くにある書庫にしまわれていて、
わざわざ書類を書いて、図書館の職員さんに出庫してもらわなくてはならなくなっています。

 さすがの作者もちょっと恥ずかしいので、自宅のネットで一か八か調べてみましたら、
(もしなかったら覚悟を決めて、図書館へと借りに行くつもりでいました。)
・・・意外や意外、この本については検索の画面に沢山出て来ました!
18世紀パリの街の糞尿処理が、どんな風に行われていたのかを大まかに知ったのは、この本ででした。

 その後、「グランド・ツアー 英国貴族の放蕩修学旅行」(本城靖久さん著/中公文庫)という本も読みました。
「パリの街路は臭気ぷんぷん」という小見出しがあって、
18世紀のパリの街が汚かった事が書いてあります。
同時代の江戸の方が糞尿のリサイクルシステムが整っていて、はるかにキレイだったとの事でした。

 「グランド・ツアー」には、ローマの町も汚かったとあるので、この物語の主従も、
もしかしたらローマでも何かキタナイ系の事件に遭遇するかもしれません。
その時は第5話のように難を逃れられるのでしょうか?
まぁ、ローマへ向かう途中でも、何かその手の話があるのかもしれないのですが。

 他に当時のパリがどんなに汚かったかについて書いてある本といえば、
ルイ・セバスティアン・メルシエ(1740-1814)著の「タブロー・ド・パリ」、
日本では岩波文庫で原 宏さん訳の「十八世紀パリ生活誌」(上・下)があります。

 もっと手っ取り早く、視覚的・臭覚的にパリの汚さを感じ取りたい方は、
映画「パフューム ある人殺しの物語」をご覧になるといいと思います。
この間レンタルCDショップで貸し出ししていましたが、作者は映画館で見て一度でげんなりして、
もう見る勇気がありませぬ。

 いずれにしても、このブログの「品格」を今まで保って来られた水準から下げないように、
この漫画を描くために調べた、参考文献のタイトルや著者については明かしても、
内容についてはあまり深く触れますまい。
作者としては内容が内容だっていうのに、奇跡的なくらいに上品にやってのけている方だと自負しています。
下品な話を優雅に格調高くできる人物で、自分以上の能力を持った人物は今の所出会った事がない
― ってくらいに実は思っていますね。

 作者が読んだ最新資料は、今年の7月に読んだ、アルフレッド・フランクラン著
高橋清徳さん訳の「排出する都市パリ 泥・ごみ・汚臭と疫病の時代」(悠書館)
です。

 そういやぁ、L.スターンの「トリストラム・シャンディ」にも
パリの汚さについて書かれてある文章がありましたっけ。
第7巻17章なのですが、

Ha ! ― and no one gives the wall ! ― but in the SCHOOL
of URBANITY herself, if the walls are besh‐t
― how can you do otherwise ?

 おいよォー!― 誰も壁際を譲りゃあしねぇ!
― でもなぁ~壁中がこうも汚ねぇんぢゃあ、優雅の養成校ったって彼女にゃね~
― 他にあーたどぅおーできるんだってーの?

 ・・・だそうです。
多分第5話に出て来たような、各家庭にある壺の中には、糞尿が入り混じっている物もあって、
それを窓から壁に引っかかるような捨て方をしたのが、乾いているのもあれば、まだぐちゃぐちゃなのもありで、
― って事なのでしょう。

 ついでに、昔の日本では(おそらく昭和時代後半まで)鳥居印を伴って禁止されていたある事を、
18世紀のパリでは壁や門に向かって、堂々としていたオッサンやオニータン達もいらっしゃったので。
 
 壁から少し離れた地面に投下される壺の中味を避けるために、
女性や身分の高い人へと壁際を譲るのが当時のマナーだったようですが、
壁も汚いんでは意味ないじゃんよ!

 「トリシャンの話」をしていたら見なさいよ、品位についてかなり危険水域に近づいて来ましたので、
今日はここでお開きにさせていだだきます。← …って「笑点」みたい。

             
明日は「第6話予告編」です。






 

はぢめてのブチ切れ(10/10) 「パリ」は「パリ」だとさ!

2007年11月04日 14時43分14秒 | 第5話/はぢめてのブチ切れ

 ラブレーの話に比べたら、ショボいオチになっちゃいましたね・・・。

実を言えば、ホガース(1697-1764)作の連作版画「一日の4回」中の「夜」で、
ロンドンの町でも同じ事が行われているというのが分るんですけどね。
・・・パリだけじゃなくって。


 ちなみに、これを防ぐには、道の真ん中か壁際を歩くしかないとの事でした。
当時はトイレが家にあるのはめずらしくて、しかもオール・ボットントイレでした。
他には椅子とおまるが合体したのや、尿瓶とかを使って処理し、中味を窓から道路へと
ぶちまけていたのです。

「ボットントイレ」ってお若い方々は何の事だか分ります?
昭和末期の頃には、まだ何とか日本でも残っていましたが。・・・「水洗式じゃない」という事です。
平成も早20年となりますが、現在「仮設」とか「高い山にある物」以外は絶滅してしまったのでしょうか?


 ガリバーとガルガンチュワの関係については作者も分りませんので、
専門家の方が近くにいたら聞いてみて下さい。

余談ですが、ガリバーさんが宝永6年(1709)5月の末頃に来日していたってのをご存知でしたか?
江戸に来て「皇帝に拝謁を許された」とありましたが、天皇陛下は明治時代まで京都にあらせられましたので、
なりたてホヤホヤの6代目、徳川家宣将軍の事なのでしょう。
―8代将軍吉宗様の頃なら、マツケンさんのドラマにご愛嬌で
ガリバーさんが出て来たかもしれませんが・・・「大奥」じゃ無理かな・・・。



今回初めてご覧になる方で、第1話からご覧になっていただける方はこちらからどうぞ。

・・・そしてその後、マルセル・トロワはハリソンさんの「鬼マネージャー」と化して行くのでした!!
     
〈次回の更新は11月10・11日の予定です。〉

10日/エッセイ「衝撃!パリの街はこんなに汚かった!!」
11日/第6話予告編


はぢめてのブチ切れ(9/10)  特に同性から嫌われヲトコ  

2007年11月03日 20時51分16秒 | 第5話/はぢめてのブチ切れ

 ― とはいえ、正直ぶっちゃけしますと、作者にとってはハリソンさんが、ここんトコしばらくは、
閲覧者の方々に「嫌われてくれれば嫌われてくれるほど」都合のいい事はないのです。

ハリソンさん以外のキャラの方に思い入れしてくれていたり、
肩を持ってもらっていた方が、その後の展開が生きて来るのです。

 マーティン・ローソンさん作の漫画「トリストラム・シャンディ」
のトリストラムはもう正真正銘の「化け物」ですが、
こっちのハリソンさんもできれば「化け物」くらいに思っていてもらいたいものです。

ハリソンさんは一応目鼻立ちや服装も整っているし、
作者の絵柄の雰囲気が、取り扱っている内容の割には意外と地味で普通
&古雅でソフトな分、「化け物」と思わせるためには不利かもしれませんが・・・。


 ハリソンさんマー坊に対して、
「てめぇ、余計な事すんぢゃねぇ!自分で気付いて避けられたわい!」
なんてヤクザのアニキみたいな言い方はせずに、
マー坊をシカトして、加害者の女の子をまるで「人気オペラ女優にbrava!― ってかぁ?」
の如く扱っちゃっています。

マー坊も薄々気付いていますが、これからハリソンさんの女性キャラ達との
関わりに対して、閲覧者の人生経験の内容によっては、実にムカツクと思いますよ~。
いやなに、作者の戦略的には虫唾が走ってもらうくらいで
ちょうどいいかも ――― って策士ですかね~?


さあ、遂にマー坊がブチ切れます!
対するハリソンはどうカワスか?今日の続きは明日。