これから2人が踊ろうとしている曲なんですが、
アルカンジェロ・コレルリ(1653-1713)というイタリアの作曲家の作品6-4を、
時代に合うように編曲した物で、そこからの第3楽章アレグロ-アレグロです。
「アレグロ」は演奏時の速度指定という訳で、そもそも踊り用に作られた音楽ではありません。
合奏協奏曲は18世紀の前半に栄えた曲種で、複数の楽器奏者が独奏部を受け持ち、
弦楽オーケストラとの音量と音質の対比を聴いて楽しむという、バロック音楽特有の曲種で、
その後このジャンルは廃れてしまいました。
コレルリさん、17世紀後半と18世紀の初期が活躍の舞台となった作曲家ですが、
「トリストラム・シャンディ」に出て来る、「リラブレロ」の作曲者、
「英国のモーツァルト」ことヘンリー・パーセル(1659-95)さんと並んで、
18世紀後半の英国でも、音楽会のロビーに楽聖・巨匠の一人としての肖像画が飾られるくらいの尊敬を受けていたようです。
作者、ローマに行った時に、パンティオンに居ながらコレルリさんのお墓がある事に気付かず、
手を合わせる事ができませんでした。
そういう訳だから、ヴァイオリンの腕前があまり上達せず、
挙句は病気から来る激痛で楽器を構える事もできなくなって、
教室もやめてしまいました。
ヴァイオリン音楽の功労者らしく、教則本にもコレルリさんの曲は載っていました。
曲の中で一番高い音、一番右側の弦を小指を伸ばして「ド」の音を押さえなくてはならなかったのですが、なかなか届かず、
先生から、「手がどんな格好になってもいいから、ともかくは押さえられるように。」と言われました。
でも、模範演奏する先生の指を見ると、やっぱり音大出てて、学生コンクールでも優勝してて、
劇場付属の交響楽団の1st ヴァイオリン弾いてるだけあって、すごくきれいな指の伸ばし方をして、楽々音を出していました。
ハリソンさん、また髪型変わってるー。
リボンはポケットにでもしまってあるのね。
昔のヴァイオリンは、漫画の中の楽団員が持っているような、
顎当てが付いていない形だったそうじゃ。
今でもアイルランドの伝統音楽などでは、顎当てが付いていないヴァイオリンを
「フィドル」と呼んで弾いているそうじゃ。
英語で fiddlestick って、
「へっ、くっだらねー!」とかいう意味だってさ。
「トリストラム・シャンディ」の中でも、ウォドマンのオバちゃんが、
9巻でトゥビーのオヤジの言い草に対して叫んでいた。
基本的には同じ楽器の筈なのに、
ヴァイオリンだと尊敬されて、フィドルだと差別されているようじゃの。
ヴァイオリンだとしかめっ面で難しい曲を弾いて、
フィドルだと「楽しければいいじゃん。」って感じなのね、きっと。
結局何でも真面目そうに見える方がいい扱いを受けるものだしね。
それはそうと、明日は Shall we ダンス?だよ ♪
今見てみると、楽団員の手が不自然に見えかねません。
ヴァイオリンは左手で持つものですが、楽団員の皆様は右手を添えていたり、掴んでいたりします。
曲の合間に楽器に付いた、松脂粉を布で拭いていたり、ねじを締めて調弦
(実は左手でもできるのですが…。)していたとでも思っていて下さい。
今日の続きは明日。