護憲+グループ・ごまめのブログ

護憲+・現憲法を守るグループの一人して、今後の社会の状況を戦時を経験した一人として社会を見つめていきたいと思います。

弟との論争

2007年01月10日 12時51分55秒 | 戦前・戦中・戦後を語る
<  このコーナーに書くのは、2年前に護憲+の戦時を語るコーナーに、戦前・戦中・戦後に体験したり聞いた事を書いたものですが、再編してお送りしています。

   弟との論争
                 
 悲惨な目に遭い引揚げて来た弟はてっきり反戦だと思っていましたが違っていました。その時のやり取りを今回は書いてみます。

 先日昔の話をしたあと、大討論になってしまいました。

 弟は「今の日本政府は生温い。竹島でも尖閣でも、先日の中国原潜の領海通過、それに韓国漁船の逃亡、遠慮することは要らない。何の反応も示さない原潜は沈めてよい。もし日本の潜水艦が同じ行動を起こしていたら、攻撃を受けて沈められただろう。竹島は自衛隊で取りかえしたら良いのだ」と言うのです。

 私が「自分が戦争のため父母を亡くし、辛苦をたえて帰国したのに、相手に喧嘩を売るようなことは駄目なのではないか」と言うと、
「兄貴は知らないから、そのような生温いことが言えるのだ。俺たちのような悲惨な目に遭うと、ソ連や朝鮮や八路(共産)には憎しみしか残ってない。彼等を舐めていたらしまいに彼等の属国にされる」と言うのです。
 
私が「日本が昔、中国や朝鮮を土足で踏み込むようなことをしたから、その憎しみでお前達に仕返しをしたのだから、しかたがない面もあるのでは」と言うと、
「俺は物心付いてから朝鮮を見ているが、食料の配給も差別をしていたとは感じられない。学校も、朝鮮と日本人学校に分かれていたが、日本人学校に朝鮮人も入学できた。俺は先祖のやったことは見ていないし知らない。俺は彼等に悪いことは何にもしていない」と言うのです。

 同じ親から生まれても、成長時期に全く違った環境に育ったため、片や戦争反対、片や何処にも負けない軍隊を、と思想があい反する。

 中国や朝鮮でも、歴史教育で憎しみしか教えていないので半世紀以上経った実体験の無い者でも憎しみを持っています。弟のように惨めな体験した人間は、彼等以上に憎しみが残る感じで、これは修復しがたく、この世を去るまで憎しみを残したまま死んで行くと思うと、兄としては不憫でなりません。

 結局、暴力では憎しみしか残らないということを、私の家族の中でも実証ができた感じで、武力抗争の続く中東では、何時まで経っても暴力行為は治まらないでしょう。この地球から暴力行為を絶滅しなければ、憎しみの残った社会は延々と続くと私は思います。