「道路族」トラブル深刻=住宅街路上で遊ぶ子と親―地域モラル希薄化・専門家
7/4(火) 4:53配信 時事通信
新興住宅街の袋小路になった路上で子どもを遊ばせ、騒ぐ声などで近隣住民とのトラブルになるケースが各地で問題化している。
こうした親子は、一部で「道路族」などと呼ばれ、住民同士の裁判や刑事事件になることも。専門家は、地域のモラルが希薄化している危険性を指摘する。
京都市内の住宅街に住む女性(42)は、分譲開始に伴い2009年に入居。12年春ごろから、自宅前の道などで遊ぶ子どもの大声に悩まされている。長男が中学受験を控え、母親らに注意すると、脅迫めいた手紙を送り付けられたり暴言を浴びせられたりするようになったという。
今年3月、この女性に威嚇行為を繰り返したとして、住民の男性(43)が京都府迷惑防止条例違反罪で略式起訴され、罰金30万円を科せられた。男性の弁護士によると、男性は「カメラを付けて監視されたので抗議のつもりだった」と話しているという。
女性の代理人の豊福誠二弁護士は、東京や神奈川などの新興住宅街でも同様の事例があると指摘。母親らが世間話に熱中し、子どもが野放し状態のケースが多く、「子どもを注意している姿を撮影された」「嫌がらせを受け引っ越しを決めた」などの声があるという。横浜地裁では、「道路族が原因で重度のストレス障害になり引っ越しを余儀なくされた」として、家族が相手方に慰謝料など計1100万円を求めた訴訟が係争中だ。
一方、路上で遊ばせる親は、子どもを近くで見守ることができる自宅前の道路の方が安心という意識が強いとみられる。ボール遊びや自転車を禁止する公園もあり、思いきり遊べないとの意見もある。ただ、車による死亡事故も起きており、危険な面は否めない。
京都大大学院教育学研究科の明和政子教授は「同世代のみで構成されがちな新興住宅街では、その世代間の価値観に偏ったルールが形成される傾向がある」と指摘。「高齢者らを含む多様な年齢層から成るコミュニティーでは、規範や文化の継承がそれに歯止めをかけているのだろう」と話している。