元パチンコ・スロットホール経営のトヨタハウス工業(埼玉)が破産開始、負債約30億円
1/6(月) 17:56配信
帝国データバンク
パチスロ客の減少や法規制強化などで業況が悪化、2018年にはパチンコ部門から撤退していた
トヨタハウス工業(株)(TDB企業コード:270241346、資本金1000万円、埼玉県川越市砂915-7、代表駒井和美氏、従業員2名)は、2019年12月16日にさいたま地裁川越支部より破産手続き開始決定を受けた。
破産管財人は新井賢治弁護士(埼玉県川越市菅原町3-6、新井賢治法律事務所、電話049-227-7650)。
当社は、1975年(昭和50年)8月に設立。当初は不動産業を主業としていたが、84年にパチンコ・スロットホールの経営に参入。90年代初頭には複数店舗を展開してパチンコ・スロットホール部門を主力に、木造建築工事や不動産仲介・売買も手掛ける事業構成となっていた。
しかし、90年代終盤に主力取引金融機関が経営破綻したことで、取引が整理回収機構に移管。以降、不動産分譲プロジェクトを手控えたほか、一部パチンコホールを閉店するなど業容縮小を余儀なくされていた。
2006年7月期には年収入高約50億4700万円をあげていたが、景気低迷やパチンコ・スロット客の減少、業界の法規制への対応などで業況は次第に悪化。2014年7月期には年収入高約12億5800万円に落ち込んでいた。このため2018年7月にはパチンコ部門から撤退、不動産仲介業を主力としていたが、過去の累損が膨らみ支え切れず今回の措置となった。
負債は約30億円。
「利益なき消耗戦」止まらないアパレル業界の倒産…消費増税その後
2019/12/31(火) 19:01配信
FNN.jpプライムオンライン
「利益なき消耗戦」止まらないアパレル業界の倒産…消費増税その後
(FNN PRIME)
消費増税じわりと影響…
消費税増税から2 か月半が経った12 月13日、増税後初めてとなる日銀の短観(全国企業短期経済観測調査)が発表された。
最も注目される大企業の製造業の「業況判断」指数は「0」となり、前回9月調査から5ポイント低下。4期連続の悪化となった。
これは、2013年3月以来の低水準で、米中貿易摩擦による海外経済の減速に加え、消費税増税による駆け込み需要の反動減が、自動車や繊維業などで響いた形となった。
また、大企業の非製造業もプラス20と前回から1ポイント低下し、2期連続で悪化。
小売・卸売などで、やはり増税による駆け込み需要の反動減、増税後の客足鈍化を指摘する声があったという。
【画像】消費増税の影響...アパレル業界で倒産増
日銀は増税の影響について「非製造業を中心に増税の影響を指摘する声が幅広く聞かれている。先行きについては、和らぐと期待する声もある一方で、消費の不透明感に対して懸念する声も聞かれた」と説明した。
前回増税時と比べると影響は小幅にとどまったものの、非製造業では先行きへの警戒感は根強い形となった。
軽減税率対応などコストかさみ…小売り倒産増続く
民間調査会社の東京商工リサーチが12月9日に発表した「倒産月報(2019年11月度)」も興味深いデータとなっている。
11月の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、727件(前年同月比1.2%増)となり、3カ月連続で前年同月を上回った。
3カ月連続増は8年ぶりで、さらに、2019年の企業倒産は、2008年以来11年ぶりに前年を上回ることがほぼ確実となっている。
産業別では、小売業が2019年に入り増加傾向が続いている。消費税増税に関連して経営に行き詰まった企業は、12月6日までにすでに全国で3件発生。軽減税率対応レジへの投資負担や電子マネーの普及で、想定以上に資金繰りが悪化したケースがあるという。
小売業の倒産は、消費税増税の前から増加している。
東京商工リサーチは、「経営不振が長引く中小企業の中には、今後、消費増税が背中を押す形で業績悪化に拍車がかかるケースの増加が懸念される」と指摘している。
追い詰められるアパレル業界
小売業の中でも、特に倒産が増加しているのがアパレル関連だ。
2019年1月~10月の倒産は199件(前年同期比14.3%増)。負債額は453億9300万円に上り、実に前年同期2.3倍に達した。これはリーマン・ショック後の2010年同期以来の水準。
特に店舗売り上げの比率が高いブランドでは、ネット通販のノーブランド勢との競合の激化が苦境の原因だという。今や「洋服は試着してみないと…」という消費者の意識は薄れ、ネット通販は重要な販促ツールになっている。
2019年のアパレル業界は、全国に店舗展開する中堅企業以上の破綻が相次ぎ、負債が大型化した。
「オンワード」「フォーエバー21」続く店舗閉鎖
アパレル業界の「大量閉店」も2019年の話題となった。
記憶に新しいのが、「23区」「組曲」など百貨店向けブランドを多数展開する「オンワードホールディングス」。
ネット通販に押されるなどして販売不振が続き、2020年2月期中間決算は244億円の最終赤字を計上。全体の2割に当たる国内外約600店の閉鎖を決めている。
オンワードホールディングス 保元道宣社長;(10月4日の決算会見)
顧客との接点は必要だが、数よりも質を高めたい。デジタルに精通した世界大手と連携し、新しいビジネスを共同開発したい
オンワードは、現在ネット通販などデジタルの売上比率は約15%程度だが、今後10年程度で5割まで引き上げたい方針だ。
低価格帯では、ファストファッションブランド「フォーエバー21」も、10月末で日本の全ての店舗を閉鎖した。
「フォーエバー21」は1984年にロサンゼルスで創業。流行を意識した若者向けカジュアル衣料品を安く売るファストファッションブランドとして、世界各国で800を超える店舗を展開し一世を風靡した。
しかし、9月に米国連邦破産法11条を申請。こちらも、ネットショッピングの台頭により、経営が悪化したことなどによるものだった。
東京商工リサーチは「アパレル小売業者は低価格化とコストアップに苦心し、“利益なき消耗戦”にさらされている」と指摘している。
消費税増税の影響も後押しし、アパレル業界の生き残りはさらに厳しさを増しそうだ。
(フジテレビ報道局経済部 土門健太郎記者)
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アパレルの福袋を買ってはいけない。中身を隠す理由とは…/バイヤーMB
2019/12/30(月) 8:48配信
女子SPA!
アパレルの福袋を買ってはいけない。中身を隠す理由とは…/バイヤーMB
(女子SPA!)
ファッションバイヤーのMBです。
年末年始に、多くのショップが福袋を売り出します。
ですが、アパレルの福袋は基本的に買ってはいけません。
いや、買いたくなる気持ちも分かるし、私自身も気の迷いで買ってしまうこともあります(笑)。でも裏側を考えると「福袋に良いモノが入ってる確率」は極めて低いのです。
中身不明の福袋は、在庫処分にすぎない
そもそもアパレルショップは在庫をさばくことが何より大事です。「消化率(シーズン内でどの程度在庫がさばけたかの指標)」なんて言葉で考えますが、企業によっては単純な売上高よりもこの消化率を重要視するところもあるくらい。
それはなぜか。ブランドやショップは在庫が積み上がっていき倒産・撤退することが多いからです。売れ残りの在庫は来年に出しても再来年に出しても売れないもの。何しろ洋服は1年型落ちすれば90%OFFにもなる「セール」という慣習があります。在庫は残れば残るほど原価を切っても売れない漬物石となる、これがアパレルブランド最大の懸念事項なのです。
しかも在庫は資産ですから税金もかかるし保管の手間もかかる。さらには経理上は資産ですからつまり「お金」とほぼ同義です。動かないお金が倉庫にどんどん溜まっていけば、当然、使える現金資産は目減りしていく。在庫が積み上がったせいで現金資産がなくなり仕入れができなくなる、なんて割とよくある話。だからこそブランドやショップはとにかく在庫を減らしたいと考えるもの。
そこで便利なのが「福袋」です。型落ち品だろうが関係なくさばくことができる超効率の良い手法が福袋、何しろ中身が見えないのですから。多くのショップやアパレルは、漬物石と化した型落ち品をここで放出しようと毎年大活用するわけですね。
中身を隠すのは、良いモノを入れないから
「いや宣伝になるから良いモノ入れるでしょ?」
と思うかもしれませんが、それは残念ながら消費者の幻想でしかありません。
そもそも宣伝になるなら、なぜ中身を隠すのですか?? 宣伝になるほど魅力的なものが入っているのなら、「こんな凄いものが入ってます!」って中身を見せた方がよほどプロモーションになるでしょう? そっちの方が買わない人にも宣伝できるのだから。
もし中身を隠して良いモノを格安で売ってるのだとしたら、手にとった1人にしか宣伝できないじゃないですか。「中身を隠す」理由はたった一つなんです、それは「見られちゃ都合が悪いから」。論理的に考えればそれしかありません。
ついでに言えば、上述の通り宣伝のために「中身を見せて販売する福袋」も確かにあります。109系のショップなどではよくやりますが「必ずコレかコレかコレが入ってます!」といった宣伝手法で福袋を販売します。お得感がある商材ならこうしたことを当たり前のようにするわけです。「全部隠す」のはそれは都合が悪いからなのですね。
福袋でクレームが出ても、実は痛くもかゆくもない
「でも福袋でカスみたいな服が入ってたら、もう二度と来なくなるじゃん?少しは良いものを入れるでしょ?」
とも思うかもしれませんが、これも残念ながら違います。
実は福袋を買うお客様と、普段リピートして顧客になってくれるお客様は全く違うのです。これはどのショップもほぼ共通しています。アパレルでこの話を否定する人は一人たりともいないはずです。
福袋を買うお客様の思考は「普段は買えないけど、福袋なら思い切って買ってみよう!」というものが多い。普段買えない層…ブランドがターゲットしていない層にアプローチするのが福袋なのです。なのでそうした人たちに見限られてもブランドとしては実は痛くも痒(かゆ)くもない。
そもそもブランドが好きな顧客やリピーターは普段から洋服を買ってくれるわけですから、「見えない福袋」を買わないはず。だって「買ったモノが入ってるかもしれない、かぶるかもしれないから怖い」と思うでしょ??「見えないように売る」のはこうして顧客やリピーターに買わせないためでもあるのです。
福袋を買うお金で、好きな服を1枚買うほうがいい
とは言っても、もちろん稀に福袋に良いモノが入ってることもあります。なので絶対に買うな!とは言いません。「基本的には」買わない方が良いとは思いますが…。
構造的には、良いものが入ってる確率は極めて低い。なのでもし福袋の誘惑が襲ってきた方は、これを是非思い出してみてください。多分ですが…そのお金で好きな服を1枚買った方がおしゃれになれるとは思いますよ。ご参考に。
<文/MB>
【MB】
ファッションバイヤー。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、メルマガ「最も早くオシャレになる方法」、著書は『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など多数
女子SPA!
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kau***** | 2019/12/30(月) 9:08
福袋を買うような人は、型落ちを気にしない。
例えば福袋の中身が定価でそれ以上の品が入っていたら得と思う人なんだと思う。
需要と供給の一致。
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my***** | 2019/12/30(月) 10:41
昔はそれなりにいいものも入ってたんですけどね。
どんどんひどくなって、今じゃ売れ残りどころかあなたのブランドで普段こんな商品ないよね?ってくらい安っぽい福袋用の商品とかばっかになってる。
若い子には質はともかく着回すアイテム増やせるってメリットはあるだろうけど、いい年になるともう手を出せない。
今じゃ買うならタオルや靴下みたいな消耗品や食品、あとは中身のわかるものって感じ。
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ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡• | 2019/12/30(月) 12:26
福袋なんて在庫処分なんてわかりきってるし、どうせ自分にとって絶対いらないものが入ってるから買いません。
自分が欲しいものだけ買うのが結局一番得。定価だとしても。
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p***** | 2019/12/30(月) 16:31
阪神百貨店店の某ブランドで働いてた友人が
「優勝セールは本当にお得。だって優勝するかわからないのにセール用に商品用意してないもん。今店頭にあるやつ出すしかない」
って言ってた。
阪神タイガース、頑張れ。
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あいこ。 | 2019/12/30(月) 11:17
19歳の時に百貨店ブランドの福袋を買ったのだが。白やピンクばかりの姫系の服を販売しているブランドなはずなのに。緑や紫。変な柄の服ばっかり入ってて結局は1枚も着れなかった記憶があります。勉強にはなったけど。朝から並んでそれはショックだったなぁ。
それ以来。福袋は食べ物系とかキャラクター系しか買わなくなったな。
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are***** | 2019/12/30(月) 10:16
アパレルメーカー勤務ですが、在庫処分ばかりではありませんよ。海外工場の閑散期に福袋用として安く作る依頼が来ました。薄利なので我々メーカーは余りやりたくない仕事です。まあ、個人個人の考え方だからイイんじゃない?私は絶対買わないです。
返信0
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eee | 6日前
アパレル経験者ですが、“福袋”のために元旦はもちろん、大晦日も準備に追われ、元旦開店から来るのは安物買いの非顧客さま。
中身も福袋用の商品で、品質もプロパー以下の詰め合わせ。
一体誰が幸せになるんだ、と疑問でした。
福袋だけでなく、セール品もプロパーが割引きされたものでなく、最初からセール商品として印字で値下げされたものが多く、それらに飛びつくのは似非顧客だし、セールも買いつつ、春物も一緒にプロパーで買ってくれるような顧客さまを大事にしたいのが本音。
返信0
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匿名 | 2019/12/30(月) 10:48
元々中身のわからない福袋は買わないタイプでしたが、昔、すごく好きでリピートしてたショップの福袋を元旦那が急に買ってきて、いざ開封したらやっぱりダサい紫のセーターなど、普段なら絶対選ばない商品ばかりでがっかりしたら思い出がある
返信0
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n29***** | 2019/12/30(月) 9:26
知ってます。可哀想なので付け足しておきます。記事のように福袋をイメージ悪いと思われてしまう事を避けるために、最近では中身がわかっている福袋がファッション業界では多いです。実際某スポーツブランドは、福袋専用のジャージセットやバック等を製造ラインに乗せて福袋限定販売して、リピーターや新規顧客にも喜んで貰えるよう福袋の趣向が変わってきてます。中身が見える福袋と見えない福袋。安心とドキドキ感、皆さんはどちら派ですか?
返信0
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bau***** | 2019/12/30(月) 15:22
もともと福袋ってこういうもんでは?むしろ最近の方が中身を見せてる例が多い気がします。個人的には服の福袋はほとんど買わなかったけど、アクセサリー屋のは時々買ってました。割とお得感が高いのと自分ではあんまり買わないようなものが入っているので、それがかえって面白かったり。どうしても気に入らないときは、服よりはプレゼント用に回しやすかったし。
元ヤン47歳のプロパンガス販売店主が北関東の地元を離れる日
1/6(月) 16:00配信
NEWS ポストセブン
元ヤン47歳のプロパンガス販売店主が北関東の地元を離れる日
郊外で夜も明るいのはヤンキーたちも群がるコンビニかファミレス(イメージ)
大人になったら、お父さんと同じ○○屋になる。自営業の家の子どもなら、小学生くらいまでなら口にしたことがある将来の夢ではないだろうか。30~40代の就職氷河期世代からみると、個人商店であっても経営者の家の同級生はうらやましく見えているかもしれない。しかし、自営業の子どもたちも、親世代のようにうまくいかないと悩む人が多い。親世代と違ってうまくいかないことが多いとわだかまりを抱える彼らに対し、まだやり直せるという期待をこめて「しくじり世代」と名付けたのは、近著『ルポ 京アニを燃やした男』が話題の日野百草氏。今回は、元ヤンキーで父のプロパン屋を受け継いだ47歳男性が迎える人生の岐路についてレポートする。
* * *
北関東、国道沿いのファミレスで待ち合わせをすると、竹下竜二さん(仮名・47歳)が入ってきた。スラリとした長身でなかなかのイケメンであるが、上下のスウェットは色あせて毛玉が浮いている。彼は祖父の代からのプロパン屋で、差し出された名刺には「有限会社竹中燃料代表取締役」とあった。
「親にだまされた。こんな目にあうならプロパン屋なんて継がなかった」
竹下さんは地元でも有名なヤンキー工業高校を1991年に卒業後、親の紹介でガソリンスタンドを経営する地元販売店に就職した。
「車が好きなんだ。最初に勤めた会社はスタンドだったけど簡単な修理とかもしてて、俺も手伝ってた」
あとで見せてもらったが、なかなか気合いの入った中古のセルシオだった。維持費も保険もバカにならないだろう。
竹下さんは中学、高校とやんちゃだったそうだ。十代のころは警察の世話にもなっている。バイク泥棒や対立するグループとの衝突による暴行など。
「あん時は高卒の就職なんて余裕だった。俺はコネでスタンドに正社員で入れてもらえたけど、あの時代、俺のバカ高校でも素行のいい奴は大手の工場とかに入れた。もっともヤンキーの親は自営業が多いんで、そのまま親の手伝いが自然だね」
団塊ジュニアでも1971年、1972年生まれは高卒ならバブル期だった。悲惨なのは大学に進学してしまった層であり、彼らは卒業時にバブルが弾けることになる。全員が就職氷河期のポスト団塊ジュニアと違い、個々の団塊ジュニアに氷河期に関する感覚の齟齬があるのはこのせいである。
「学生時代も勤めてからも、30代までは最高に楽しかったよ」
竹下さんはこの通りのルックスなのでモテたそうだ。常に女の子はとっかえひっかえ、社会人になってからも地元の学生とヤリまくった。
「ちょっとワルぶって車コロがして、背が高くてイケメンならいくらでも女は引っかかる。ヤンキードラマ観たりヤンキー漫画読んで勉強したよ」
1980年代はヤンキー文化真っ盛りである。漫画『ビー・バップ・ハイスクール』や『湘南爆走族』『ろくでなしBLUES』などが人気を集め、「ティーンズロード」「チャンプロード」といった暴走族雑誌がコンビニに並んだ。とんねるずがテレビで暴れまくったのもこの時代である。「スポーツが得意な面白い不良」という地元カースト上位を意識したキャラクターは、当時の青少年の世相を反映する形でバカウケした。
「家出中の女の子ともつきあったよ。地元でグレた女の子や母子家庭の女の子とか、とにかくどんな女の子でもつきあえた」
1990年代までは、青少年の性におおらかな時代だった。テレクラ、ブルセラといった援助交際問題が本格化した1998年の児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(いわゆる児ポ法)成立、および1999年施行以前の話である。それまでは児童福祉法や都道府県の淫行条例で対応していたものの、現実には恋愛と売春、趣味趣向との線引きや表現の自由の問題もあり厳格には処されなかった。
今もそういう風潮は残っているが、団塊ジュニアが思春期だった時代はヤンキー、とくに地方は早婚が多く、現実には十代の性、十代の出産も珍しくはなかった。親世代も戦後世代、団塊世代なのでその時代の価値観のまま、性にゆるい家庭も多かった。そういう環境にいた竹下さんは、ガソリンスタンドでアルバイトをしていた中卒の女の子と後先考えずに関係を結び、妊娠したので結婚したそうだ。
「俺は上手いと思ってたんだけど、失敗した」
結婚してアパートを借りて独立したものの生活費を入れず車に金をつぎ込む竹下さん。両者のご両親の援助でなんとか暮らしていた若妻だったが、竹下さんの知らない間に別の男と深い関係になっていた。
「あの女は顔さえよけりゃ誰でもいいんだ。あいつの親も元ヤンの大先輩でおっかないから仕方なく結婚したけど、とんだ女に引っかかった」
ひどいことを言うものだと思うが、竹下さんはこの辺の地元の男はこんなもんだと言う。女を殴るのも当たり前とか。そもそも偏差値50を越える高校が地元にないから、普通の頭をしていれば必然的に越境となる。同じ関東だが、私の生まれ育った野田市もそうだった。熱心なフェミニストの皆様はインテリや都市部の男ばかりを攻撃して、それより多数であろうこのような地方ヤンキー男子や田舎おじさんの話はなぜかしないし関わらない。気持ちはわかるが。
「子供の親権は向こうが持ってったけど、一家で経営してた斫(はつ)り屋(※工事の時にコンクリートやアスファルトを削る仕事)が食い詰めて夜逃げしたんだ。どこにいるんだろうね」
養育費は最初のうちは払っていたが、そのうち払わなくなり、元妻、子どもと連絡がとれなくなって結局、払わなくて済んで助かったとのことだ。竹下さんによれば出来ちゃったや早婚のあげく離婚する仲間は多いが、誰も養育費なんてものは払っていないという。
「偉い弁護士さんとか頭のいい人がガタガタ言ったって、別に刑務所入れられるわけじゃないし、そいつらが俺たちをシメに来るわけじゃないし」
40歳を過ぎても元ヤンは元ヤンだ。更正した者もいるだろうが、基本的なやんちゃぶりが変わらないのは私も生まれ故郷で実感する。都会の頭のいい人や偉い人が何を言ったって、地元で彼らは法を犯さない限り無敵だし、元ヤン気質こそが田舎で生き延びる道だったりもする。PTAでも子供会でも自営業の元ヤンが仕切り、土地を離れない限りは一生地域カーストの上位に位置する。竹下さんの土地では団塊ジュニアの中高不良文化がそのまま残っている。
「東京で失敗したのか知らないけど、最近は地元に戻ってくる奴もいる。でも一度出てった奴なんか誰も相手にしないね。だいたい学歴だけの頭でっかちだし、キモいオタクだったりするし」
そう得意げに言ってのける竹下さんだが、いま自身の生活が危ういという。
「親のプロパン屋を継いだんだ。親父が急死したんで、母親ひとりじゃ廃業しかない。親孝行のつもりで継いだのに、借金はあるし全然稼げてない、契約戸数も150くらい」
竹下さんは実家に暮らしていたのに実情を知らなかったそうだ。老夫婦だけならなんとかやれるくらいの規模で、配送だけ委託、その他の検針や簡単な修理、保全は親父さん一人でやっていた。プロパンガスの採算は地域や価格、契約内容でまちまちだが150戸では厳しいだろう。
「それに親父が死んで俺が後を継いだ途端に契約解除しはじめる家が出てきた。親父との義理で契約してただけで、もっと安いとこに切り替えるってんだ。でも供給会社の卸値だって上がってるし配送コストもバカにならない。第二種販売主任者とか保安業務員なんて資格は俺でも取れたけど、肝心のお客が減る一方じゃどうにもならない。このままだと廃業だよ」
竹下さんは実家を手伝うことはあったが、基本的にガソリンスタンドの社員だったり、退職後は地元の小さな整備工場で働き、3級自動車整備士の資格を取って大手カー用品店の契約整備士をしていた。気ままな実家暮らしで車に金をつぎ込み、女の子と遊んで40歳を過ぎた。そして実家を継いだが、名ばかりの代表取締役で母が専務の典型的な三ちゃん営業(※とうちゃん、かあちゃん、にいちゃんの三ちゃん)ならぬ二ちゃん営業で、頼みの地元の元ヤンキー仲間も仕事となるとシビアな対応だ。
「いっそ会社を潰して楽になりたいけど、地元金融機関からの融資がまだ残ってる。自動的に俺が会社の保証人なんでほんとに騙されたよ。おふくろは潰したくないと言うし、八方塞がりだ」
営業努力でどうにかなるものでもないと竹下さんは言う。実際そうだろう。オール電化や都市ガスの整備、ガスの自由化による競争激化は個人の努力の問題ではない。ウォーターサーバーなど多角化しても都市部と違い、田舎の反応はイマイチだ。
近年は自営業を継いだ団塊ジュニアにこうしたケースが目立つ。筆者が知る限りでも写真屋、電気屋、印鑑屋、文具屋、そして本屋……グローバリズムとネットを始めとする商形態の変化は、町の小さな店を駆逐した。家賃のいらない自己所有の店や上階を貸したりできるような年金暮らしの老夫婦でなんとかやっていける程度の話であって、働き盛りで金のかかる40代が所帯を切り盛りできるような規模でも収入でもない。団塊ジュニアにとって馴染みの業種が、あっという間に絶滅危惧種になってしまった。
ニッチな商才でうまくやっている二代目三代目もいるがそれはレアケースで、現に廃業が相次ぎ、旧来の商店街はシャッターばかりのゴーストタウンと化して久しい。逃げ切った団塊世代と違い、うっかり継いでしまった団塊ジュニア、竹下さんはその実情を知らないまま、活気のあった1980年代の地元と、自身の感覚のままに引き継いでしまった。
「まあいろいろ資格は持ってるんで、自己破産してもどこかで働けると思う。その時は地元を出ることも考えるかな」
筆者はびっくりした。こういう人は地元愛が強いので離れることなど考えない、地元を出て働いたとしてもせいぜい近郊の工場で期間工だ。車で通える範囲内で、あくまで生活拠点としての地元は離れない。
「だって潰したらかっこ悪いし」
そういうことか。なるほど狭い社会で失敗したら恥ずかしいということなら納得だ。地元ヒエラルキーの強者だった竹下さんならではの考え方だろう。竹下さんは背が高くて足が速くて喧嘩が強い者がもてはやされ、地縁血縁が物を言う世界の上位者だ。しかし50歳間近の竹下さんが言葉の通り東京に出るなら、経験したことのない都市リバタリアニズムの洗礼を受けることになるだろう。昭和の地方ヤンキー文化にどっぷり染まった竹下さんが、適応できるのだろうか。
私は地元に残ることをそれとなく勧めた。竹下さんが失敗しても、地元はそれほど気にしないと思う。よそ者ならともかく、代々溶け込んできた地元民には優しい。田舎はそんなものだ。本当に追い詰められたときの彼らの仲間意識の高さは、いくらネット民が小馬鹿にしても変わらないし頼もしい。マイルドヤンキーに関する社会学ではないが、令和の世になっても、その結束と地縁強さは変わらない。
もちろんそんな田舎も将来的にはグローバリズムの波に飲み込まれるだろう。竹下さんが20代なら別の生き方を勧める。だがもう47歳である。前向きに考えるならあと20年、地元でほそぼそとなんとかやって逃げ切る可能性のほうが高いだろうし当面は安全だ。
地元に残れず、いつまでもよそ者で根無し草となった私からすれば、そんな竹下さんが、マイルドヤンキーがちょっと羨ましくも思える。彼らからすれば、わざわざ東京でいらぬ苦労と競争ばかりに疲弊して、端からしくじっているのは私のほうかもしれない。
●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年9月、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。
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