新型肺炎 中国本土で発症2000人超す 「感染力が増強」
1/26(日) 20:26配信
産経新聞
【北京=西見由章】中国共産党機関紙、人民日報によると、26日夕までに新型コロナウイルスによる肺炎の発症者は中国本土で2018人、うち死者は56人に上った。肺炎発症の公表から1カ月足らずで発症者が2千人を超え、感染拡大の勢いは増す一方だ。国家衛生健康委員会トップの馬暁偉主任は同日記者会見し、「ウイルスの感染力がやや増強している」と認めた。
一方、馬氏とともに会見した専門家は、ウイルスの変異を注視しているとした上で「明らかな変化の発生は見られない」と述べた。
中国当局は27日から、海外旅行を含む全ての団体旅行や、航空券と宿泊をセットで手配するサービスを停止するよう旅行業者に指示し、市民の国内外への旅行を大幅に制限する措置に乗り出す。
また武漢をはじめ湖北省内の大半の都市を封鎖したほか、全国的に移動制限を強化している。例年延べ30億人が移動する春節(旧正月)の大型連休が「感染拡大を防ぐ正念場」(馬氏)とみているためだ。
国家衛生健康委によると、26日午前0時(日本時間同1時)までの24時間で発症者が688人、死者が15人増えた。上海市と河南省で初の死者が確認されている。感染の疑いがある事例は2684人に上り、発症者は近日中に3千人に達する可能性も出てきた。
中国本土以外でも感染拡大が続いている。マカオ政府は26日、発症者が3人増加し計5人になったと発表。韓国でも同日、3人目の感染者が確認された。またカナダ当局は25日、新型肺炎に感染したとみられる50代の男性を確認したと発表した。
中国メディアによると、香港ディズニーランドと香港オーシャンパーク(海洋公園)はいずれも26日から閉鎖された。
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武漢市で犬にかまれた香港男性2人が肺炎を発症
1/26(日) 18:47配信
日刊スポーツ
武漢市で犬にかまれた香港男性2人が肺炎を発症
マスク姿の香港市民(AP)
中国での感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎の問題で、香港メディア「香港01新聞」は26日、湖北省武漢市で犬にかまれた男性2人が肺炎を発症したと報じた。中国ではこれまで、感染源として食用のタケネズミのほか、アマガサヘビやタイワンコブラの可能性が報じられているが、犬にかまれた感染者が現れたことを受けて、香港01新聞は新たな症例と報じている。
【写真】メイド喫茶はジェルで新型肺炎対策
保健省の健康保護センターは、会見を開き、武漢市内の白沙洲市場の店員として働いていた47歳の男性が肺炎を発症したと明らかにした。男性は21日に発熱して現地の病院に行った後、23日に高速鉄道に乗り、深■を経由して西九龍駅に到着し、バスで帰宅。翌24日に再び発熱し、病院の救急センターに駆け込むと、昨年末に犬にかまれて武漢市内の病院で注射を4回、受けたと説明し「別の注射は出来ますか?」と尋ねたという。肺炎の検査結果は陽性だったため、健康保護センターは男性の家族の検査もしているという。
また食品を買うために武漢市に行き、20日に高速鉄道で香港に戻った後、発熱した別の男性も、武漢市内で犬にかまれていたことも報告された。男性は中国で犬にかまれたため、香港に戻ってから病院を訪れた。その際、医師に中国の病院で注射を受けたことは説明していたが、武漢市に行っていたことは伏せていたという。男性は25日に発熱したため入院後、隔離されて検疫を受けたという。
※■は土ヘンに川
武漢の新型肺炎もSARSも流行の始まりは同じ…… 写真で見る、中国の生鮮市場とは
1/23(木) 20:00配信
BUSINESS INSIDER JAPAN
武漢の新型肺炎もSARSも流行の始まりは同じ…… 写真で見る、中国の生鮮市場とは
生鮮市場で肉を選ぶ客(2016年1月22日、中国)。
中国で感染が拡大している新型肺炎と、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)には共通点が2つある。どちらもコロナウイルスが原因で、生鮮市場から始まっている。
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露店がひしめき合い、狭い通路を作っているこうした市場 ── ケージに入った大量の鶏を売る店のすぐそばには肉をカットするカウンターがあり、お腹をすかせた犬がそれをうらやましそうに見ていたり、新鮮な食用ウサギや魚、エビといったシーフードを売る店などが並んでいる ── では、地元住民や観光客が新鮮な肉や魚、農産物を購入している。
生鮮市場では人間と、生きているまたは死んでいる動物 ── 犬、鶏、豚、ヘビ、ジャコウネコなど ── がコンスタントかつ密に接触する。これが動物から人間へ、ウイルスをうつりやすくしている。
1月22日、中国・湖北省武漢の当局は、生鮮市場での生きた動物の販売を禁止した。新型コロナウイルスの発生源とされる華南海産物市場は1月1日に閉鎖された。これまでに約550人が新型コロナウイルスに感染し、17人が死亡している。
非営利組織「EcoHealth Alliance」の自然保護活動家で病気の生態学に詳しいケビン・オリバル(Kevin Olival)氏は、「こうした不自然な状況で動物たちを集めると、人間の病気が出てくるリスクがある」とナショナルジオグラフィックに語った。「ストレスの多い、悪条件の下に置いていると、動物たちがウイルスによって病気になる可能性を高めかねない」とオリバル氏は言う。
コロナウイルスは、初めは動物から人間に感染する。SARSの場合、そのウイルスの起源はコウモリだった。ウイルスはコウモリから他の動物に伝染し、それが人間にうつった。
中国の生鮮市場の様子を見てみよう。
武漢の華南海産物市場は、新型コロナウイルス(2019-nCov)の発生源である可能性が高いと分かったあと、1月1月に閉鎖された。
この新型ウイルスが原因で最初に死亡したのは、61歳の男性だった。ブルームバーグによると、男性は華南海産物市場で定期的に買い物をしていたという。市場ではシーフード以外のものも売られていた。
報道によると、閉鎖される前のこの市場では加工肉のほか、鶏やロバ、羊、豚、ラクダ、キツネ、アナグマ、タケネズミ、ハリネズミ、ヘビといった食用の動物も生きたまま販売されていたようだ。
華南海産物市場のような生鮮市場は、中国各地にある。
1月22日、武漢当局は生鮮市場での生きた動物の販売を禁止した。
市民1100万人を抱える武漢では、警察がこのルールがきちんと守られているか、チェックしているという。BBCが中国国営メディアの報道を引用して伝えた。
こうした当局による介入は、"武漢コロナウイルス"のような人獣共通ウイルスの拡大を防ぐ助けになるかもしれない。
「シンプルな介入方法の1つとしては、野生生物の取り引きを減らし、市場をきれいに掃除することです」とオリバル氏はナショナルジオグラフィックに語った。「野生生物の取り引きを減らすことは、種を守ることにもなるし、新しいウイルスの波及を減らすことにもなる。ウィンウィンの効果がある」という。
生鮮市場では、買い物客と露店や生きているまたは死んでいる動物との距離が非常に近く、これがこうした市場を人獣共通感染症の温床にしている。
2002年から2004年の間に、SARSによって29カ国で774人が死亡した。SARSは広東省の生鮮市場が起源となった。
SARSの場合、ウイルスはパームシベットの1種であるハクビシンから人間にうつった。
だが、 SARSのウイルスのそもそもの起源はハクビシンではなかった。
科学者たちは、SARSのウイルスはもともと中国・雲南省のコウモリからきていることを突き止めた。
ロッキーマウンテンラボラトリーズのウイルス学者、ビンセント・ミュンスター(Vincent Munster)氏は「SARSのようなコロナウイルスはコウモリの間に広まっていて、しばしば人間にうつる」とBusiness Insiderに語った。
コウモリはそのフンを介してウイルスをうつす。コウモリのフンが果物に落ち、その果物をシベットが食べると、今度はシベットがウイルスを運ぶ。
専門家はまだ、"武漢コロナウイルス"がどの動物から人間にうつったのか、突き止めていない。
「コウモリのウイルスが生鮮市場で広まった可能性もある」とミュンスター氏は言う。「しかし、どの動物がウイルスを拡散または媒介したかは分からない」
医学雑誌『Journal of Medical Virology』を編集している科学者のグループによると、アマガサヘビやタイワンコブラが感染源だった可能性もあるという。
中国の科学者たちは、"武漢コロナウイルス"の遺伝子コードを突き止めている。他のコロナウイルスと比較したところ、中国のコウモリのコロナウイルスと最も近いことが判明したという。
だが、さらに解析を進めると、武漢コロナウイルスはヘビから来ていた可能性が出てきた。研究者らによると、ウイルスがどこから来たかを正確に突き止めるには、市場で売られていた動物や、この地域の野生のヘビとコウモリのDNAサンプルが必要だという。
「H7N9」と「H5N9」の鳥インフルエンザ ── これも人獣共通ウイルスだ ── も、生鮮市場で人間にうつった可能性が高い。
世界保健機関(WHO)によると、中国でこれらの鳥インフルエンザにかかった人は、ウイルスに感染した鳥類と直接的な接触があったという。鳥インフルエンザによって、世界全体で約1000人が死亡した。
オランダ、ロッテルダムにあるエラスムス医療センターのウイルス学者、Bart Haagmans氏によると、コウモリと鳥類はパンデミックの可能性があるウイルスを保因する種と見なされているという。
「これらのウイルスはこれまで人間に広まっていなかったため、こうしたウイルスに対する特異免疫が人間にはない」とHaagmans氏はBusiness Insiderに語った。
Healix Internationalのチーフ・メディカル・オフィサー、Adrian Hyzler氏は「数多くの著名な疫学者たちが、何年にもわたって『パンデミック X』を予測している」とBusiness Insiderに語った。
こうしたパンデミックは「生きた動物との密な接触があって、人口が密集していることから、極東で始まる可能性が高い」とHyzler氏は付け加えた。
Healix Internationalは、世界の旅行者向けにリスクマネジメントのソリューションを提供している。
しかし、武漢コロナウイルスの流行は、パンデミックとは見なされていない。
2019年12月以降、武漢コロナウイルスの感染はアメリカを含め、6つの国で540件以上報告されている。症状としては、のどの痛み、頭痛、発熱、そして肺炎のような呼吸困難などがあるという。
Haagmans氏は、この流行を食い止める上での課題の1つは、感染者の多くが比較的軽度な症状しか見せないことだと指摘する。
こうした人々は「気付かないままウイルスを運び、流行を加速させるかもしれない」と言い、Haagmans氏は「これは、今まさに起きていることと言えそうだ」と話している。
[原文:The outbreaks of both the Wuhan coronavirus and SARS started in Chinese wet markets. Photos show what the markets look like.]
(翻訳、編集:山口佳美)