トランプ氏が「日本脅せ」…ボルトン前補佐官が暴露

2020年06月23日 | 国際紛争 国際政治 

トランプ氏が「日本脅せ」…ボルトン前補佐官が暴露

6/23(火) 17:24配信

テレ朝 news

All Nippon NewsNetwork(ANN)

 アメリカのトランプ大統領が日本を「脅せ」と話していたと暴露しました。

 ボルトン前大統領補佐官のトランプ政権の内幕を描いた本が発売され、トランプ大統領が日本に駐留するアメリカ軍の経費について、現状の4倍にあたる年間約8600億円の負担を求めていたことを明らかにしました。トランプ大統領は政権内の協議で「すべてのアメリカ軍を撤退させるよう脅せば、非常に強い交渉の立場を得られる」と話したということです。トランプ大統領はボルトン前大統領補佐官について「法を犯した」とツイッターに投稿し、機密情報を流出させたと批判しています。
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アメリカのトランプ大統領が日本を「脅せ」と話していたと暴露しました。

2020年06月23日 | 国際紛争 国際政治 
アメリカのトランプ大統領が日本を「脅せ」と話していたと暴露しました。

 ボルトン前大統領補佐官のトランプ政権の内幕を描いた本が発売され、トランプ大統領が日本に駐留するアメリカ軍の経費について、現状の4倍にあたる年間約8600億円の負担を求めていたことを明らかにしました。トランプ大統領は政権内の協議で「すべてのアメリカ軍を撤退させるよう脅せば、非常に強い交渉の立場を得られる」と話したということです。トランプ大統領はボルトン前大統領補佐官について「法を犯した」とツイッターに投稿し、機密情報を流出させたと批判しています。
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トランプが邪魔なユダ金、支那、共和党らがイカサマキャンペーン!!
ボルトンのジジイは、事前に出版社から2億円をもらい、ゴーストライターに書かせた出版社!!
騙されるな民衆よ!!!!!!!!!!!!

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保育士の「ストライキ」が続出 コロナ禍の「税金着服」に怒りの声

2020年06月23日 | 政治社会問題



保育士の「ストライキ」が続出 コロナ禍の「税金着服」に怒りの声
今野晴貴 | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
6/23(火) 12:01


 この数年、保育園における一斉退職が全国各地で話題になってきたが、緊急事態宣言が解除され、コロナ危機が一段落した現在、保育士に新たな動きが現れている。首都圏の複数の保育園で、保育士がストライキを実施しているのだ。

 ほかにも、ストライキまでは至っていないが、コロナ被害を機に新たに労働組合に加盟し、経営者に対して団体交渉や宣伝活動を行う保育士が相次いでいる。

 コロナ禍によって、保育園に何が起きたのだろうか。実は、共通して上記の保育士たちが掲げている要求がある。それは、休園・登園自粛期間中の休業補償の未払いの問題だ。この問題については、ジャーナリストの小林美希氏がかねてより指摘している。筆者もこれを「休園ビジネス」ではないかとして、労働相談の事例をもとに、記事で警鐘を鳴らしていたところだ。

「家も職も失った」30代保育士が訴える壮絶実態

コロナで税金を「着服」する保育園が続出 もはや「休園ビジネス」?

 本記事では、コロナ被害がもたらした「休園ビジネス」の実態と、その背景や国の対応を改めて説明しつつ、今回立ち上がった保育士たちの取り組みについて紹介していきたい。
労働相談のうち「休業補償ゼロ」が50%以上

 まず、保育園における休業補償の問題を確認してみよう。NPO法人POSSEには、未だに「休業手当がもらえない」という保育士からの相談が相次いでいる。

 5月9日、10日に介護・保育ユニオンが実施した保育園・保育業界の労働相談ホットラインでも、150件を超える労働相談のうち、75%に及ぶ100件以上が休業補償が十分に払われていないという相談であった。

 さらに、休業補償の労働相談のうちの過半数以上が、その時点で「全く休業補償が払われていない」というものだった。休業補償が6割というケースを加えると、相談のうち87%にも及んでいる。低賃金の保育園職員にとって、補償なしはもちろんのこと、6割補償ですら死活問題だ。

 しかし、飲食業や小売業などとは異なり、認可保育園はコロナ被害で経営状況が悪化したとは言い難い。認可保育園には、市町村から運営費として委託費が毎月支給されているが、そこには賃金分が含まれている。これは休園中でも登園自粛中でも変わらない。

 そのため、普段の賃金と同じように、賃金全額の休業補償を支払えるはずなのだ。休業補償を全額払わずに「値切って」いるということは、その差額を、コロナ禍に便乗して「着服」していることにほかならない。これでは、「休園ビジネス」と言われても仕方がないだろう。

 ただし、労働基準法で定められた6割の補償さえしていれば、全額補償していなくても直ちに違法とは言い難い。このため、国や自治体が強い権限を持って保育園を指導することができないのが実態だ、

 そこで、労働組合に加盟して、現場から声を上げて立ち上がった保育園の職員たちが相次いでいるのである。
都内の保育園で、職員の休業補償100%を求めた園長がストライキに

 6月15日から元園長の保育士がストライキを起こしているのが、首都圏で認可保育園・東京都認証保育園を26園経営する株式会社こころケアプラン(社会福祉法人こころ福祉会)の保育園だ。

 こころケアプランの経営する、都内のある保育園では、園長のAさんが3年間勤務しており、特に直近の2年間は一人の退職者も出さず、職員が安心して働く環境をつくることができていた。

 ところが同社は、コロナによる休園期間中、パートタイムの保育士に対して6割しか休業補償を払わず、保育資格のない保育職員に至ってはまったく休業補償を払おうとしなかった。

 また、Aさんが保育士資格のない保育職員をシフトに入れようとすると、本部の社員から、無資格の職員は保育士の配置基準にカウントされないからシフトを入れないようにと、シフト表を修正されていた。「保育園を金儲けの道具としか考えていない」とAさんは不信感を抱き、職員たちに全額補償をするよう会社に食い下がった。

 保育士たちを守ろうとするAさんに対して、同社は嫌がらせとしか思えない対応に出たという。休園期間が明ける直前の5月末に、Aさんを突然園長の職を降ろし、保育園の実務すら外して、本部での事務勤務という辞令を下したのだ。Aさんが異動の理由を尋ねても、会社は何も答えなかったという。

 Aさんは介護・保育ユニオンに加入し、6月15日からストライキに踏み切っている。労働組合が同社を追及すると、休業中に職員に賃金全額を支払わずに浮いた分の委託費は、マスクや消毒液に使うと回答(本当は、それらの購入には別途補助金が下りる)。また、年度途中に園長を異動させることは珍しくないが、本部に異動させるケースは記憶にないという。

 Aさんの申し入れ後、保育士資格のない非正規の職員にも休業補償が6割払われることにはなったが、まだ全額ではない。自身の園長復帰と共に、Aさんは会社に要求を続けている。
横浜市の認可保育園では無期限ストライキを実施

 次に、横浜市鶴見区の認可保育園でも、休業補償をめぐる問題をきっかけに、保育士2名が6月1日から無期限ストライキに突入している。

 トライコーポレーション合同会社が経営する「ハート保育園」グループの園では、横浜市の登園自粛要請により、登園する園児数が1日1~2名のみにまで減少したにもかかわらず、正社員の保育士は全員が出勤を指示され、園児・保育士ともども感染リスクに晒されていたという。もし休むのであれば、欠勤扱いになるわけだ。

 これに対して保育士たちが抗議したところ、在宅勤務が一応認められた。ところが、1日8時間の在宅勤務にもかかわらず、会社は全額の賃金支払いを認めないという。

 さらに、コロナウイルスの感染対策などを求めたところ、会社は年度途中にもかかわらず、この保育士たちに対して、入社時にないと説明されていたはずの異動を命じた。保育士たちは介護・保育ユニオンに加盟し、登園児が少ない場合の出勤シフト削減と全額の休業補償、異動の撤回などを要求し、無期限ストライキに踏み切っている。
足立区の保育園で「派遣切り」 理由は「保護者が自宅で子どもを見るから」?

 上の二例にも増して悪質なのが、足立区立の認可保育園のケースだ。東京都や千葉県で保育園を展開する社会福祉法人高砂福祉会の認可保育園では、委託費が払われるにもかかわらず、休園を機に、休業補償カットどころか、保育士を「派遣切り」にしている。

 高砂福祉会の運営する足立区立の保育園では、4月からの休園・登園自粛期間中、登園児数が1/5にまで減少したことを受け、職員たちのシフトを削減させ、それに伴い、直接雇用や派遣社員の非正規雇用は、休業手当6割のみを支給されていた。ここでも、4割分を「着服」しようとしていたと見られる。

 高砂福祉会はさらに一線を踏み越えた。保育園で1歳児のクラス担任をしている派遣保育士Bさんについて、6月末での契約解除を言い渡したのである。Bさんと派遣会社の雇用契約も、6月末で切られることになった。つまり、「派遣切り」である。

 高砂福祉会と契約を結んでいた派遣会社による団体交渉での発言によれば、高砂福祉会の派遣会社に対する説明では、 Bさんの派遣契約終了の理由は一つしかなく、「7月以降も保護者が自宅で子どもを預かることが予想され、保育園に保育士が余るからと高砂福祉会から説明された」という(なお、高砂福祉会はこの見解をまずいと思ったのか、後日ユニオンに対して、Bさんの派遣契約を切ったのは別の職員を採用できたからだと主張している)。

 派遣会社の説明の通り、子どもが減って保育士が余ることを理由として高砂福祉会がBさんの派遣契約を切るのであれば、Bさん分の賃金を、7月以降、高砂福祉会は丸々懐に入れるということになってしまう。「派遣切り」による休園ビジネスというわけだ。

 Bさんは介護・保育ユニオンに加盟して、非正規職員に対する休業補償の全額支払いを要求して、高砂福祉会と派遣会社に団体交渉を申し入れた。その結果、高砂福祉会と派遣会社は対応を変えた。4月から5月までの休業時の補償は、Bさんはもちろんのこと、直接雇用の非正規、派遣社員を問わず、6割ではなく賃金満額を払うという回答が得られたのである。

 ただし、Bさんの派遣切りの撤回はまだ認められていない。Bさんは団体交渉や宣伝行動を続けている最中だ。
国を「方針転換」させた「休園ビジネス」批判と労働運動

 こうした中で、上記の小林美希氏の記事でも詳細に触れられているが、休園ビジネスの問題について、国も注目すべき動きを見せている。内閣府・文科省・厚労省が6月17日に、次のように「通知」を出しているのだ。

「新型コロナウイルス感染症により休ませた職員の賃金については、労働基準法では平均賃金の6割以上を休業手当として支払わなければならないこととされていますが、仮に保育所等において平均賃金の6割に相当する休業手当のみを支払うこととした場合、通常時の人件費との差額が発生することとなります。

この差額が、各種積立金や当期末支払資金残高といった人件費以外の経費に充てられることは、新型コロナウイルス感染症がある中でも教育・保育の提供体制を維持するという今般の特例の趣旨にそぐわないことから、休ませた職員についても通常どおりの賃金や賞与等を支払うなどの対応により、公定価格等に基づく人件費支出について通常時と同水準を維持することが求められます」

 このように、国が休園ビジネスを明確に否定し、委託費の使い道にまでに踏み込んでいる。しかも、上記の通知では、「報道や国会における議論の中でご指摘をいただいた」としており、小林美希氏や筆者、さらに介護・保育ユニオンの取り組みの報道が影響を与えていることがわかる。

 「国会」に関しても、介護・保育ユニオンの休業補償を求める運動を取り上げた新聞記事を見た国会議員が、内閣府に働きかけているという経緯がある。このように、ジャーナリストや現場の労働運動が、国の方針に影響を及ぼしたといえよう。

 さらに、この通知は、従来の国の方針を「転換」する流れにあると言える。もとはといえば、委託費が保育士の給料に使われていない実態は、今回のコロナ休業に始まったことではない。小林美希氏によれば、国の想定では、委託費のうち8割が人件費とされている。ところが、実際にはその割合通りに委託費は賃金に充てられていない保育園が多い。特に株式会社運営の保育園は、委託費のうちの賃金比率が傾向として低く、現場の保育者の賃金がわずか2~3割というケースまである。 

 その背景にあるのは、近年の委託費の弾力的運用の流れである。2000年以降、規制緩和が進み、保育園の委託費の使い道について、制限が緩和されてきた。2015年の規制緩和により、株の配当にまで委託費を使えるようになっている。本来保育士に払われるべきお金を、事業拡大に使ったり、あるいは直接的に株の配当に回しても違法ではなくなったのである。休園ビジネスの原因、そして保育士の賃金が低い大きな原因は本来ここにあるのだ。

 今回の国の通知は、委託費の使い道を制限しようという趣旨であり、これまでの規制緩和の流れからすれば、重要なターニングポイントになりうる可能性がある。委託費を適切に使わせて、安全な保育環境をつくるために、国に対しても、保育園のさらなる働きかけが必要だろう。

 本記事で紹介してきたように、労働組合に加入して会社と交渉し、宣伝活動をしたことで、委託費を本来の趣旨通りに使わせ、自分以外の職員たちも巻き込んで休業補償を引き上げさせた事例が相次いでいる。本記事で取り上げたものはその一部に過ぎない。保育園の労働環境や国の制度を変えていきたいという保育園職員の方は、ぜひ、労働組合で声をあげてみることをお勧めしたい。

保育士・保育現場で働く労働者向け労働相談ホットライン

日時:2020年6月27日(土)13~17時、6月28日(日)13~17時

主催:介護・保育ユニオン

電話番号:0120―333―774

※相談料・通話料無料、秘密厳守

常設の無料相談窓口
常設の無料相談窓口

介護・保育ユニオン

TEL:03-6804-7650

メール:contact@kaigohoiku-u.com

*関東、仙台圏の保育士たちが作っている労働組合です。

NPO法人POSSE

03-6699-9359

soudan@npoposse.jp

*筆者が代表を務めるNPO法人。訓練を受けたスタッフが法律や専門機関の「使い方」をサポートします。

ブラック企業ユニオン 

03-6804-7650

soudan@bku.jp

*ブラック企業の相談に対応しているユニオンです。

総合サポートユニオン

03-6804-7650

info@sougou-u.jp

http://sougou-u.jp/

*個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。

仙台けやきユニオン

022-796-3894(平日17時~21時 土日祝13時~17時 水曜日定休)

sendai@sougou-u.jp

*仙台圏の労働問題に取り組んでいる個人加盟労働組合です。

ブラック企業被害対策弁護団

03-3288-0112

*「労働側」の専門的弁護士の団体です。

ブラック企業対策仙台弁護団

022-263-3191

*仙台圏で活動する「労働側」の専門的弁護士の団体です。



今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人POSSE代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。年間3000件以上の労働相談に関わる。著書に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)、『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書)など多数。2013年に「ブラック企業」で流行語大賞トップ10、大佛次郎論壇賞などを受賞。共同通信社・「現論」連載中。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。大学講師。無料労働相談受付:soudan@npoposse.jp、03-6699-9359。






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「彼女はよくやってるよ」と人は言う。しかし本書は「本当に?」と問いかける【石井妙子『女帝 小池百合子』】

2020年06月23日 | 政治社会問題

「彼女はよくやってるよ」と人は言う。しかし本書は「本当に?」と問いかける【石井妙子『女帝 小池百合子』】

6/22(月) 18:26配信
FINDERS
「小池百合子」とは何者なのか

石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋)

程度の差こそあれ、人は誰しも「自己顕示欲」を持っているものです。たとえば自分を俯瞰してみても、多少はそういう部分があるのだろうなと感じます。

ところが厄介なのは、たまにその“程度”が必要以上に過剰(に見える)人がいること。僕も過去に何人か、そういうタイプの人と会ってきたことがあります。

その結果として感じたのは、彼らにはいくつかの共通点があるということ。

まず特筆すべきは、上昇志向の強さです。もちろん上昇志向を持つことそれ自体は悪いことではありませんが、彼らの多くは暴走しがちなのです。そのため場合によっては、「自分が上に上がるためには人を蹴落とすことも辞さない」という方向に進んでしまうことがあるわけです。

次に、過剰なまでの承認欲求の強さ。客観的に見れば、人は他人にそれほど関心を持たないものです。ところがそういう人は、とにかく自分に視線を集めさせることに躍起になるのです。

そしてもうひとつは、自己顕示欲や上昇志向の背後に儼然としてある「自己肯定感の低さ」。生育環境などに関して過度なコンプレックスを抱いており、なかなかそこから抜け出せないため、「自分が! 自分が!」とアピールすることで“見たくないもの”、“認めたくないこと”から目を逸させようとしているようにも映るのです。

他人はそういうことをすぐ見抜いてしまうものですが、当人は、周囲をうまく操っていると信じて疑わないのかもしれません。むしろ、それが原動力になる場合もあるのでしょう。

たとえばいい例が、いろいろ物議を醸している東京都知事の小池百合子氏です。

少し前、ストリート・アーティストのバンクシーが描いたのではないかと推測される作品を前に、小池氏が市松模様の派手な服装でポーズをとる写真が炎上しました。ああいうことを恥ずかしげもなくやってしまえるところに、彼女の(勘違いを含む)承認欲求の強さが明確に現れています。

非常に洗練されていないのだけれど、そんな泥くささに自分だけが気づいていないという、そういう悲惨さが彼女にはあるのです。

しかしそんな彼女は、よくも悪くも政治家向きの性格だなと感じます。4年前の公約「7つのゼロ」をほとんど達成できていないという時点で失格ですが、あくまで性格的な意味で。

いつだったか、敵対する議員と鉢合わせになった小池氏が相手に満面の笑みを浮かべるシーンをテレビで見たことがありました。相手が誰だったかも忘れてしまいましたが、その時「なるほど、この人は、この作り笑顔で世の中を渡り歩いて来たのだな」と感じたことだけは鮮明に記憶しています。

だからこそ、石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋)にもいろいろな意味で納得できたのです。その作り笑顔同様に、彼女の道のりが嘘で固められていたことがわかり、そこに強く納得できたから。

“芦屋出身というところから、彼女のイメージは形づくられていった。本人も芦屋を最大限に利用した。雑誌の取材などで「私が芦屋令嬢だった頃」と幾度となく語っている。

芦屋に生まれ何不自由なく育ったが、父親が有名政治家のタニマチになった挙句、衆議院選に出馬して落選。それがもとで家が没落した、というのが彼女の好む、彼女の「物語」のはじまりである。“(P17)

著者は実際に芦屋を歩いてみた結果、「富めるものは富み、貧しいものは貧しい。階級の差が、私のような外から来た者にもあからさまに伝わってくる」場所であると感想を述べています。

お金持ちだけが暮らしている高級住宅地ではなく、貧富の差が露わになった地域だということ。

“上を見れば、そこには煌めくような世界が広がっている。たくさんの使用人にかしずかれて暮らす同級生がいる。下を見ればまた、そこには最低限の暮らしを強いられ、陋屋(ろうおく)に暮らす人々の世界がある。小池家の暮らし向きは、その中間にあった。“(P31)

なお小池氏は父親について、有名政治家のタニマチになった挙句、衆議院議員選挙で落選したために家が没落したという「物語」を好んで口にしていましたが、実際にはそうではなかったといいます。

“とにかく成功している人、社会的に著名な人のもとに押しかけ、縁を結んで取り立ててもらおうとするのである。

彼が理想とする人物は、豊臣秀吉だった。(中略)出世したい、偉くなりたい、有名になりたい。それには秀吉のように、とにかくまずは偉い人と知り合うことだと考えていた。“(P35)

これは、さしたる信念も持たないまま「政界渡り鳥」として自分の名声だけを重視して歩み続けてきた、小池百合子という人物の生き方そのものではないでしょうか? 血は争えないというべきか。

いずれにしても、嘘を吐き続ける過程でその嘘を信じ切り、それを原動力として生きてきた感もある小池氏の価値観は、おそらくそうした家庭環境によって形成されたものなのでしょう。本書を読むと、そのことがよくわかります。

カイロ大学卒業の是非をめぐる「学歴詐称疑惑」については、駐日エジプト大使館がが先ごろ「小池氏が1976年に卒業したことを証明する」という大学側の声明を出しました。さらに彼女が保有する卒業証書の原本も公開されました。ですが、そもそも1982年に出版された小池氏初の著書『振り袖、ピラミッドを登る』(講談社)にて自身が「1年留年した」ということを記しており、そもそも「1976年卒業」の辻褄が合わないという指摘をはじめ、本書ではカイロ滞在時代の元同居人や、当時交流のあった商社マン・マスコミ関係者などへの取材、「話者が小池氏である」ということを伏せてネイティブにアラビア語能力を問うた検証などを重ね「現地トップ大学の卒業に足りる能力を持ち得ていたのかは、かなり怪しい」という証言を集めています。ただ今後は「大学の声明が虚偽である」という証拠を手に入れない限り、その主張を崩すのは難しいでしょう。

しかし、だからといって小池氏に関するすべての嘘がチャラになったというわけではありません。なぜなら著者も指摘しているように、彼女の人生には発言と行動の間に辻褄の合わないことが多すぎるから。カイロ大の問題だけではないのです。

なお本書については、見逃すべきではない点があります。ノンフィクション作家としての著者の技量が、とても優れているということ。推測や感情に流れることなく綿密な取材を重ね、膨大な資料をとことん読み込んでいることがはっきりとわかるのです。

重要なポイントは、その結果、小池百合子という人の人間性の問題が生々しく、(ちょっと嫌な気分になってしまうほど)浮き彫りになっていることです。

たとえば個人的には、2つのエピソードが特に印象に残りました。まずひとつは、1995年の阪神淡路大震災被災者に対する冷たい態度。


「あったー、私のバッグ。拉致されたかと思った」

本人は「自分は地震を知った時、いち早く現地入りした」とマスコミで語り、当時の村山富市首相の判断が鈍かったから被害が大きくなったと、繰り返し社民党を批判しました。ところが被災者や地方議員の間では、小池氏は「なにもしてくれなかった国会議員」として記憶されているというのです。

たとえば、強烈なのは次のエピソードです。

“震災からだいぶ経っても、被災者の厳しい現状は変わらず、芦屋の女性たちが一九九六年、数人で議員会館に小池を訪ねたことがあった。

窮状を必死に伝える彼女たちに対して、小池は指にマニキュアを塗りながら応じた。一度として顔を上げることがなかった。女性たちは、小池のこの態度に驚きながらも、何とか味方になってもらおうと言葉を重ねた。ところが、小池はすべての指にマニキュアを塗り終えると指先に息を吹きかけ、こう告げたという。

「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」

女性たちは、あまりのことに驚き、大きなショックを受けた。

テレビや選挙時に街頭で見る小池と、目の前にいる小池とのギャップ。小池の部屋を出た彼女たちは別の国会議員の部屋になだれ込むと、その場で号泣した。“(P214~251)

先ごろ小池氏は東京都知事選に立候補を表明しましたが、その選挙活動の背後では、またこうした問題が生まれることになるのでしょうか? そんなことを考えずにはいられなくなるほど、小池氏の“二面性”は気になります。

もうひとつ、北朝鮮拉致問題を利用した件についても同じことが言えます。2002年9月17日に小泉純一郎総理(当時)が北朝鮮を訪問した結果、拉致被害者の「5名生存、8名死亡」という悲しい情報が伝えられた時のことです。

記者会見で、先ごろ亡くなった横田めぐみさんの父、滋さんが言葉を詰まらせる場面は、多くの人の心を打ちました。そしてこのとき、横田夫妻の真後ろで涙を拭う小池氏の姿も映し出されていました(YouTubeで確認できます)。

“だが、テレビが報じたのはここまでだった。

会見が終わると取材陣も政治家も慌ただしく引き揚げてしまい、部屋には被害者家族と関係者だけが残され、大きな悲しみに包まれていた。するとそこへ、いったんは退出した小池が足音を立てて、慌ただしく駆け込んできた。彼女は大声を上げた。

「私のバッグ。私のバッグがないのよっ」

部屋の片隅にそれを見つけると、横田夫妻もいる部屋で彼女は叫んだ。

「あったー、私のバッグ。拉致されたかと思った」

この発言を会場で耳にした拉致被害者家族の蓮池透さんは、「あれ以来、彼女のことは信用していない」と二○一八年八月二十二日、自身のツイッターで明かしている。“(P226~227)

こうした信じ難いような事実が、本書では続々と明かされていきます。とはいえ読者は、ただ闇雲に非難しているわけではないところに目を向けなくてはなりません。なぜなら著者は、さまざまな証言をもとに、ファクト(事実)を丹念に積み重ねているから。だからこそ、読み手を納得させるのです。

ですから全面的に賛同するのですが、そういうことよりも気になってしまったのは、やはり小池氏の「生き方」です。余計なお節介に過ぎませんが、冒頭に書いたような自己顕示欲や承認欲求を満たすことができさえすれば、それで満足できるのだろうか? やはり、そんな疑問を感じてしまうのです。

もし自分だとしたら、いつかは嘘まみれの生き方に嫌気が差してしまうのではないだろうか……? そう考えたりもしたのですけれど、そういう甘っちょろいことを考えているようでは、政治の世界で名を上げることなどできないのかもしれません。


印南敦史
作家、書評家
1962年東京生まれ。 広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、 音楽雑誌の編集長を経て独立。一般誌を中心に活動したのち、2012年8月より書評を書き始める。現在は「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「マイナビニュース」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など複数のメディアに、月間40本以上の書評を寄稿。
著書は新刊『書評の仕事』(ワニブックスplus新書)、『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』 (星海社新書)をはじめ、音楽関連の著書も多数。2020年6月、日本一ネットにおいて「書評執筆本数日本一」に認定。

印南敦史







okk***** | 8時間前

私も「女帝 小池百合子」を読みましたが、いわゆる品のない暴露本ではありません。丁寧な取材に基づく事実を読者に提供し、後は読者にその判断を委ねるという著者の石井氏のスタンスに好感を持ちました。私の周囲にも、最近、この本を読まれた方が急激に増えていますが、同じような感想です。もし、事実に反することだらけの本が選挙前の大事な時期に出版されたなら、小池氏は当然名誉棄損で訴えるのが合理的です。しかし、そうしないわけですから、小池氏自身がこの本が事実に基づいていると認めているようなものです。(少なくともそのように受け止められても仕方ないです。)いずれにしても、都知事選挙の投票前により多くの都民の方々にこの書籍を読んでもらいたいです。そのうえで、投票をして頂きたいです。

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ayi***** | 12時間前

小池さんについての事実
2016年都知事選の公約。
1、冒頭解散2、利権追及チーム3、舛添問題第三者委員会立ち上げ、いずれもな~んにもやらず。当たり前だ都知事に解散権などない。

2016年6月29日の記者会見、自分の「任期は3年半とします。都民が証人です。これを破ったら笑われるでしょう」と発表。その3年半は今年の1月だった。

7つのゼロ公約、その全てが未達成。当然だ二階建て電車を走らせる権限は都知事にない。

「築地は食のワンダーランドにし市場も設け5年後に希望者は豊洲から築地に戻れます」と大ウソを。

豊洲移転延期による損失は約1兆円
五輪費用500億削減もウソで予備費を減らし別予算に振り替えただけ。

コロナでは2月に中国に都の防護服を6回、合計33万6千着をプレゼント。3月の3連休前に警告を発信せず感染拡大。

小池百合子。これほど口から出まかせの人を見たことが無い

返信3

71
31

ets**** | 12時間前

この本読んだけど、いわゆる「暴露本」では全然ないよ。
著者の想像で書かれている部分もあるけど、ほとんどは小池のエジプト時代の同居人への取材と、小池のこれまでの発言や行動を辿る内容だ。要はほとんどは事実に基づいて書かれている。
この本を読めば、小池がとんでもない詐欺師であることがよく分かる。
できれば有権者全員に読んで欲しいけど、とりあえず都民だけでも全員読んでくれ!

返信3

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23

yon***** | 9時間前

もし学歴詐称が本当なら、どの面提げて都知事という仕事に就けるのでしょうか? 自分だったら恥ずかしくて自ら退きます。
また陳情者への非情な対応、横田ご夫妻の悲しみの席上、カメラの回っている時には悲しみを演じ、終った後では「拉致」を揶揄した言葉を発したとのこと。本当だったら、非常識極まりない言動です。
私は、こんな人に都政を任せられません。




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白人が唱える人種カーストは白人→黒人→黄色人種が一般的なんだよね

2020年06月23日 | 旅行
ゲスを極めた雑種ドロボウ猫 | 2時間前

毎年、黒人の子供が貧困で死んでる?15,16の間から一生懸命子作りして、学校もロクに行ってなけりゃそうなるでしょう?
銀行が住宅ローンを組ませない?住宅ローンはその家を担保としてとるけど、黒人の多い場所は犯罪が多く住宅価格が毎年下がっていくもん。
大概は自分達が原因ということが分かっているので、まともな黒人は何とか努力してこういう連中と縁を切れる様に努力しているが、民主党はどうしようもない奴らの方に社会保障・生活保護を与えて選挙に勝とうとする。



sun***** |2時間前

でも白人が唱える人種カーストは白人→黒人→黄色人種が一般的なんだよね

imf***** | 4時間前

米国在住です。

アラバマは、人種差別撤回の再後進州です。アラバマの事例をあげて、アメリカ全土を説明するのには、疑問が残る。都会で働く、教育を受けた白人は、内心はどうあれ、表面では、人種差別を出さないです。

初対面で、偉そうにしてくるのは、黒人とヒスパニックです。日本では、ヒスパニックと白人の区別がついていないですが、米国内では、貧民層が多いし、不法移民が多いので、ギャング・ドラッグ問題が多い。

警察では、内通者を使って、ギャングメンバーや犯罪者を把握しています。ですから、事件が起きたとき、”こんなことをしそうなのは、あいつとあいつ”というふうに、即座にめどが立てられる。

システマティック・プロファイリング、と言えますが、コロナで25%も強盗の増えている昨今です。”いくら捕まえても、悪い奴らが、すぐに刑務所から出てきて犯罪を繰り返す”という、警察の悩みもあるのです。


***** |36分前

>教育を受けた白人は、内心はどうあれ、表面では、人種差別を出さないです。
パースに居たとき、白人女性と一緒にいた僕を露骨に差別したのはアメリカ人の大学教授でしたよ(アラバマかどうかは知らない)

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app***** |2時間前

そう言えば私も黒人から食品売り場でfoodとhoodの発音が分からないと何回もダメ出し食らったな。
こいつ、絶対分かってるだろと思いながら、何回も言い直してようやくOK 貰った。
まあ、本人は意地悪したつもりなのか、そうで無いのか未だに分からないけど、それで黒人なんて嫌な奴、と一括りにしてしまうところから人種差別が始まるんだよ。
自分はありがたい事だったと今でも思ってる。

ksy********* |1時間前

昔レストランで呼んでも呼んでもウェイターに無視されて
ニヤニヤ気持ち悪い顔してさ
何回も大声で呼んだらようやくきて金寄越せって
ムカついたからどうせ分からないだろうと思って日本語で
〇ね!〇ス!〇とう!みたいに罵倒しまくったら
たまたま近くにいた現地の日本人夫婦にめっちゃ怒られたっけ
でその後奢って貰ったんだけどw

あれがヒスパニックなのかな、よくわからんけど
イカツイ黒人だったら絶対言えなかったな、、、笑

y00***** |1分前

下層者は自身より更なる下層者を見出して見下したがる、と言う事なのでは
イングランド・アイルランド系白人で教養の高い層は日本人の発音の悪さに寛容である傾向が高いが、そうでない人種は確かに侮蔑して来る
それは、発音以外に排撃する手段が無いから で あると思う




zab***** | 4時間前

>「Silence is Violence(黙っているだけでは、暴力に加担しているのと同じ、という意味)」

なら、まず日本国内のイジメやパワハラ、ブラック企業をなんとかしないと。
自分たちの足元も覚束ないまま大義名分に走るぐらい危なっかしいことはない。
だって、この方が語る通り、どっちが大変な目にあってるかを比較するのは無意味なのでしょう?
当事者にとっては海の向こうの人種差別よりも今自分の状況の方が差し迫った問題なのだし。

返信0


mxa***** | 2時間前

初めて米国でホームステイしたとき、ホストマザーが「アメリカ人の中には、日本人につらくあたる人もいるけど、経済的に豊かなあなた達をうらやんでるだけだから気にしないで。」って、言われました。今考えるど、アジア人への人種差別があることを、彼女はわかっていて守ろうとしてくれたのかな。
クラスの先生は、第二次大戦下の日系人の強制収容所のことも教えてくれて、日本人としてそういう歴史があったことを、知っておいたほうがいいと言っていました。人種差別は、ひと事ではありません。

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rok me |31分前

黒人、ヒスパニックは自分達がやられたことを自分達よりマイノリティな人種に同じことをして憂さ晴らしをする。白人の貧困層もそう。
中国系は人数の多さを、韓国系はベトナム戦争の絡みで合法的に市民権を取れたことを鼻にかけて他のアジア系移民、インドシナ半島難民の子孫を下に見る。
アメリカだけじゃなく、どこの国に行っても人種差別は存在するよ。全くない極楽みたいな国は存在しない。




「黒人よりもアジア人が差別されている」の誤解 日本人に教えたい米国の「制度的人種差別」

6/23(火) 6:00配信
文春オンライン

LAでの抗議デモの様子 ©getty

 NHKの番組「これでわかった!世界のいま」が6月7日に放送した番組内容が批判を浴びている。

【画像】州別の異人種間結婚禁止法撤廃の時期。アラバマでは2000年まで続いた

 公式ツイッターに投稿した動画では、筋肉質な黒人男性のキャラクターが、ミネアポリスで起きた白人警官によるジョージ・フロイドさん殺害事件をきっかけに全世界で広がっている「ブラック・ライヴズ・マター」運動(以下BLM運動)の背景をこう解説した。

「俺たち黒人と白人の貧富の格差があるんだ」

 動画には「描写がステレオタイプ的だ」「複雑な背景をあまりに簡略化している」との批判が相次いだ(NHKは9日に動画を削除し、謝罪)。中には、米国の人種差別の実態を理解するには、「制度的人種差別」を学ぶことが欠かせないとする声もあった。

 BLM運動や米国の人種差別についてより詳しく知るため、米国史の専門家で、米国研究者がNHKに提出した 同動画への要望書 の呼びかけ人の1人でもある一橋大学教授の貴堂嘉之先生にお話を伺った。

◆ ◆ ◆
社会構造に組みこまれている「制度的人種差別」って?

――白人警官によるジョージ・フロイドさんの殺害、そしてその後のBLM運動を受けて米国では「制度的人種差別」についての議論が活発に行われています。「制度的人種差別」とは何か、教えてください。

貴堂嘉之先生(以下、貴堂)英語ではinstitutional racism(インスティトゥーショナル・レイシズム)というのですが、この言葉がアメリカ社会で広く用いられるようになったのは1960年代後半から70年代です。

 意味は、社会的な弱者が不利となる仕組みが社会構造に組みこまれていて、黒人が黒人として生まれただけで、以後の人生が自動的に不利になってしまう。その悪循環から抜け出せない。そうした、個人の自助努力では克服しがたい構造的な差別のことを「制度的人種差別」と呼びます。

 この言葉の生みの親ともいえるブラックパワー運動の指導者ストークリー・カーマイケルはこの概念を、あからさまな個の白人の個の黒人に対する「個人的な人種差別」と、白人コミュニティ全体での黒人コミュニティに対する「制度的人種差別」を対比させて以下のように説明しています。

「白人テロリストが黒人教会を爆破し、5人の黒人の子どもを殺せば、それは個人的な人種差別の行為であり、それをこの社会のほとんどの人々が嘆き悲しむだろう。

 しかし、同じアラバマ州バーミンガムの町で毎年500人の黒人の赤ん坊が、適切な食事や住まい、医療施設がないために死んでいて、さらに黒人コミュニティにおける貧困や差別によって、数千の人々が肉体的にも、精神的にも、知的にも傷つけられ破壊されているとしたら、それこそが制度的人種差別の機能なのだ」(Stokely Carmichael and Charles V. Hamilton, Black Power: The Politics of Liberation in America. 1967より)



 つまり、直接的な暴力だけが問題ではないのです。


医療や教育の人種間格差を生んだ「レッドライニング」

――「制度的人種差別」の具体例を教えてください。

貴堂 有名なものに「レッドライニング」があります。これは、アメリカの都市部で銀行などの金融機関が有色人種を中心とする低所得層の近隣を赤線で囲み、その地区の住民が住宅ローンを組むことを拒否してきた慣行で、1930年代にはアトランタやシカゴ、デトロイトなど黒人人口の多い大都市で定着していきました。

 もちろん今では、1968年の公正住宅法などで禁止されているのですが、白人と黒人の貧富の格差を生んだ一因にこの住宅差別があり、現在に至るまでその影響は残っています。住環境の悪い貧困地区への居住を余儀なくされ、そのことで教育の機会は制限され、犯罪との接触の機会がふえていく、負の連鎖が始まるのです。

 公的サービスは税金によって賄われるため、黒人地区と白人地区の税収差がサービスの格差にもつながります。米国における、医療や教育の人種間格差はこうしてうまれるのです。

――負の連鎖がおきて貧困から抜け出せなくなる構造の一端がわかりましたが、それ以外にも歴史的背景として押さえておくべき点はあるでしょうか?

貴堂 構造的な差別の起源をさかのぼれば、長い奴隷制下の苦難にまでたち戻らなければいけません。

 本人の意思に反して強制的に連れてこられ、商品として売買され、幾世代にもわたって強制労働に従事させられ、性的にも搾取された。結婚する権利も家族を持つ権利も保障されず、読み書きを学ぶことも禁じられた。そうした南北戦争終結までの約250年もの労苦も、制度的差別の土台をなしています。

 アメリカはよく「移民の国」として語られます。自由や平等といった米国の理念に惹きつけられ、世界中の移民が機会の平等を求めてやってきた歴史がそこでは語られます。しかし、その「移民の国」の語りが、もう一つのアメリカ史である「黒人差別の歴史」をみえなくしてきたことに私たちは自覚的であるべきです。

「放浪」「徘徊」などの微罪で…‥囚人労働の暗い歴史

――話を現代にいまいちど戻しますが、警察の捜査や、刑事司法の場にも「制度的差別」が存在するそうですね。

貴堂 これはNetflixのドキュメンタリー『13th 憲法修正第13条』によくまとまっているので、ぜひ見てほしいのですが、米国の刑事司法に深く根を下ろした差別的慣行を見逃すことはできません。


 そもそも、アメリカ南部の警察組織の原型は、奴隷の逃亡や反乱への抑止力として組織された奴隷パトロールなんです。

 南北戦争後は、奴隷制度の解体により経済が混乱しますが、すると警察は「放浪」「徘徊」などの微罪で黒人を逮捕し、彼ら囚人労働を使って道路建設などのインフラ整備を行いました。その過程で、黒人には「犯罪者」「危険」「暴力的」などのレッテルが貼られていきます。

 アメリカの警察組織は、その後も白人のための「秩序維持」の活動とともに発展してきたのであり、いまもその伝統を断ち切れていないのだと思います。  
受刑者数は1972年の約30万人から2014年の約230万人へ

――こうした場での「制度的差別」は、現在でも引き継がれているのでしょうか。

貴堂 そう思います。というのも、米国の刑務所制度はここ50年で大量収監の方向に進んでいきましたが、その煽りをもっとも受けたのは黒人をはじめとする有色人種だからです。

 ニクソン政権からレーガン政権にかけて、軽微な麻薬犯罪の取り締まりが強化されました。その後も取り締まり強化は続き、米国全土の受刑者数は1972年の約30万人から、2014年には約230万人にまで増えています。

 その間、前述の黒人居住区を対象にした人種プロファイリング(*)が実施され、逮捕された黒人は罪状に見合わない重刑を負い、人種間の負担が不均衡な政策や制度、法律がたくさんできました。

*……警察が故意に特定の人種に対象を絞って捜査を行うこと。

――人種間の負担が不均衡な政策や法律の例を教えてください。

貴堂 ドキュメンタリーで取りあげられている一例をあげると、80年代に始まったクラック・コカインの取り締まり強化でしょうか。

 パウダー状のコカインと、結晶状のクラック・コカインに実質的な差はあまりないのですが、白人社会で流通している前者より、黒人社会で流通している後者のほうが量刑がずっと重いんです。

 こうした米国の刑務所での大量収監の背景には、奴隷解放後に囚人がインフラ整備に駆り出されたのと同様、刑事司法と刑務所の建設・運営を担う民間企業の利益が合体した刑務所産業複合体があり、経済的動機も絡んだものだったという指摘があります。

「黒人よりもアジア系が差別されている」の危険性

――BLM運動に対する日本での反応で気になったものに、「米国では黒人よりもアジア系が差別されている」というものがあります。

貴堂 それは認識が間違っていると思います。どちらがより差別されてきたかを論じることほど無意味な議論はありません。

 さきほど黒人差別の歴史の対照的な語りとして「移民の国」アメリカの歴史を紹介しました。しかし、移民もまたアメリカでは排外主義、暴力の対象となってきました。

 まず知っておいてほしいのは、建国直後に制定された1790年の帰化法で、市民権申請できるのは「自由な白人」のみと規定された点です。市民の定義からしてアメリカは人種差別的だったのです。

 最初のアジアからの移民である中国人が太平洋を渡ったのは19世紀の半ば頃です。アジア系移民はその後順調に受入が進むのですが、カリフォルニアの排斥運動の影響を受け1882年に「排華移民法」ができると、中国人移民は非白人扱いとなり「帰化不能外国人」とされました。

 その扱いは日本人移民にも適用され、一世の日系人は1952年のマッカラン=ウォルター法制定まで市民権がもらえずに苦労しました。日本でもよく知られている通り、日本人移民に関しては第2次世界大戦時に強制収容を経験することになりました。
「異人種間結婚禁止」が持った意味

――米国では「異人種間結婚」が禁止されている時期もありましたね。

貴堂 異人種間結婚も、直接の暴力とは違うレベルで作られた、米国の人種差別を語る上で欠かせないポイントですね。一時期は全米のほとんどの州で白人と黒人の結婚を、州によっては白人とアジア系、白人と先住民の結婚を禁止する法律がありました。

 第2次世界大戦の終わり頃からそうした法律は徐々に撤廃されていきます。ヒスパニックやアジア系の多い西海岸は比較的早期に撤廃されますが、南部では20世紀末まで異人種間結婚禁止法が残っている州もありました。アラバマ州にいたっては、2000年にようやく撤廃されました。

異人種間結婚禁止の怖さは、誰と恋愛・結婚するのか、誰と恋愛・結婚してはいけないのかという、非常にパーソナルなところで刷り込みが行われることだと思います。「絶対白人を好きになっちゃいけない」「黒人を好きになっちゃいけない」というふうに縛ることで、「異人種間の違いは絶対的なものだ」と刷り込んでいく。

 こうした刷り込みが米国のいわゆる「人種隔離社会」を形作ってきた側面もあります。暴力によって人種差別は起きるけれども、暴力じゃなくても人種差別は起きるということの典型例だと思います。
「アジア系は成功しているのに、黒人はなぜ」が見落としていること

――BLM運動に対する日本での反応で気になったものに「アジア人はマイノリティだけれども成功している。黒人は怠けているのではないか」というものもありました。

貴堂 そもそも、「アジア系の成功」がみなさんが考えているほど実体のあるものではない、ということを指摘したいです。

 確かにアジア系の平均年収は高いのですが、それは日系人やIT関連就業者の多いインド系など、一部の高所得者が平均値を引き上げている面があります。特に1965年の移民法改正以降、アジア系移民は急増し、多様化していったのでひとまとめにはしづらい。インドシナ難民など、平均年収が黒人よりも低いグループもありました。

「アジア人はマイノリティだけれども成功している」と言う人は米国でもたくさんいますが、これは純粋にアジア系を評価しているわけではないと思います。アジア系をモデル・マイノリティ(模範的なマイノリティ)として持ち上げる言説は、「福祉に依存している」と言われる黒人やヒスパニックを非難するために利用される言説なんです。

 日本では「アジア系は黙って働いて、社会的地位を得たんだ」というようなことを言う人もいますが、米国には日系人をはじめとするアジア系による反差別運動の長い歴史があることを、忘れてはいけないと思います。
白人警官の暴行に立ち会っていたアジア系警官の存在

――ジョージ・フロイドさんの事件では、白人警官の暴行にトゥー・タオというアジア系の警官が立ち会っていたことも指摘されています。

貴堂 タオはラオスのモン族がルーツと報じられています。モン族はベトナム戦争後、難民として米国に移住してきた少数民族です。ミネソタ州は難民を多く受け入れており、モン族の人たちのコミュニティもあります。

 先ほどの話でいうと、モン族は、アジア系の中でも平均年収が最底辺のグループ。つまり、今回の事件には、米国社会の最底辺にあり差別される側であったはずのマイノリティが、人種差別的な白人警官の人種差別に加担してしまったアイロニーがあります。差別された経験のある人が、差別をする側に回るという構造も見えてくるんです。

 今回の事件には、ミネアポリスという多文化都市ならではの、白と黒の二分法的な世界だけでは理解できない、重層的な差別構造があらわれていると思います。

炎上したNHK動画の問題点

――貴堂先生は、NHKの番組「これでわかった!世界のいま」(6月7日放送分「拡大する抗議デモ アメリカでいま何が」)と公式ツイッターに投稿された動画について、他のアメリカ研究者の方々と共に NHKに要望書 を提出していますね。

貴堂 はい、この番組には国内外から多くの批判が寄せられ、放送2日後には「お詫び」を発表して、見逃し配信を停止し動画を削除しました。翌週の14日の放送冒頭では約4分間にわたって謝罪の言葉がありました。この一連の騒動において、12日に私たちが提出した要望書とその後の署名集めは、NHK側の動きに影響を与えたものと思っています。

 私たちが問題視したのは、黒人を「怖い存在」「脅威」「過度なセクシュアリティを体現する」男性という典型的なステレオタイプで描き、番組が警察暴力を容認しているかのような印象を与えていたところです。むしろ、今回お話ししてきたように、事件の背景にあるのは社会の仕組みとしての人種主義、制度的人種差別です。

 今回のデモ参加者は黒人だけではなく、白人やアジア系やヒスパニックなどその他のマイノリティが多い人種横断性を特長とし、10代や20代の若者が中心になってSNSなどを使って集会を開いています。こうした人種や年齢、地域を越えた幅広い運動として展開し、日本を含む世界中にこの運動が広がったのは、こうした人種主義の構造を問題にしたからです。
「自分は人種差別主義者じゃないし」と思考停止する危険性

――最後に、読者に伝えたいことを教えてください。

貴堂 私はこの20年あまり移民排斥やレイシズム、ヘイトクライムなどの問題に関心を寄せて研究をしてきました。しかし、高校の世界史教科書で、時代錯誤的な「人種」の生物学的な定義を書き直すなどの小さな貢献はしてきましたが、いまだレイシズムに関する理解は日本ではあまり進んでいないのが現状です。

 大学で教えていても、「でも、自分は人種差別主義者じゃないし」といった個のレベルで思考停止してしまう学生が多い。しかし、今回のアメリカで起きていることは決して対岸の火事ではありません。日本の構造的差別を考えるきっかけにしてもらえればと思います。

 アメリカでは今も抗議活動が続き支援の輪が広がっています。その中で、白人の参加者が「Silence is Violence(黙っているだけでは、暴力に加担しているのと同じ、という意味)」というプラカードを持って参加しています。BLM運動を他人事とはせず自分事として考え、抗議活動に参加した人たちです。

 日本社会で、どれだけ沈黙をやぶる人たちが出てくるか。それが日本人一人一人に、BLM運動が投げかけている問いかけのように思います。



「文春オンライン」編集部


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dko***** | 5時間前

「黒人よりもアジア人が差別されている」 これ歪曲した解釈ですよ。

”白人が主導権を握っている国ではすべての有色人種は被差別の対象となり得る”これが我々が本当に言いたいこと。

それから差別・偏見・ヘイトクライム レイシズム このての様々な用語を混同させているような気がする。 このような軋轢の背景にはそれなりの原因があるわけだし 差別側だから被差別側だからというような偏った内容のこの記事には頭をかしげるしかない。


Cat***** |1時間前

>「黒人よりもアジア人が差別されている」 これ歪曲した解釈ですよ。

解釈も何も、実際にそうコメントしてる人はたくさんいましたよ。黒人だってアジア人を差別している、とか、黒人の方がアジア人を差別している、とか言ってる人もいてましたね。

> ”白人が主導権を握っている国ではすべての有色人種は被差別の対象となり得る”これが我々が本当に言いたいこと。

我々って誰の代弁のつもりかわかりませんが、少なくとも、黒人よりも、とか黒人だって、とか言ってる人は、Black Lives Matterが(日本人も含む)私達全ての有色人種と、白人優位で作られた社会との闘いである事は全くわかっていないと思いますよ。

後半の部分はもう…。結局は構造的、組織的な差別の存在は否定して、「それなりの理由」は差別される側にあるって事を言いたいんでしょうか?

∂∂ | 1時間前

自分はアジアンだけど、表面的には差別されたり嫌な事を言われたり、無視される側に入ってると思う。だけど自分の職業を言うとみんな何も言わなくなり、好意的になる。アメリカは才能があるものが勝つ国だ。才能がないのに何しに来たと言う感情がアメリカ人の中にはあると思う。それが肌の色とはまったく関係なくて、アメリカに利益をもたらす外国人移民は重宝されて、敬意を持ってみられる。ホテルに泊まるときもドクターだとか芸術家だと言う事を話すと、いい部屋を格安で貸してくれるし、急に丁寧になる。自分は今回の事件は肌の色で起きたのではない。警察官が医療レコードの検索を頼んだ後、どういう位置にいるかを知り暴行を働いたのだ。もし教授や科学者だったらあんなことにはならなかったと思う。アフリカンだったとしてもドクターや教授科学者はあんな風な対応にはならない思う。

dwiofe***** | 1時間前

アジア系って言うか中国系は団結力が強いからある程度横のつながりがあるのでは
中学高校とアメリカで過ごしてた友人は、日本人をはじめとするアジア系はやはり白人や黒人より肩身が狭く、日本人に限ってはアジア人の中では多数派の中国韓国の友人に守られて過ごしてたと言ってた
私は大人になってからオーストラリアですんだことあるけど、そりゃ差別する人はするししない人はしない
自国じゃないから不都合があって当然と思ってた

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jqv***** | 35分前

平和なデモ隊ではなく彼らは『暴徒』である。
略奪、暴行、放火をしているからだ。
例として白人女性とその息子の店から略奪した上、暴行を働いたこと、ナックルダスターで『異人種』に通り魔をしている動画を自分で投稿していること、ホワイトハウスの隣にある『教会を襲撃』し、『放火、略奪、星条旗に放火』をしているからだ。
ジョージフロイドは警官によって殺されたとなっているが、
『前科5犯、偽札使用』があり、『警察 取り押さえ 香港』って調べるとその警官と同じ取り押さえ方をしている。
ジョージフロイドを逮捕する時の動画を全て見ると彼は警察に抵抗していた。→無抵抗な市民ではない。
これを見てあなたはこれを見て『平和なデモ隊』だと思いますか?
又、『平和なデモ隊』をアピールする『メディア』をどう思いますか?

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『女帝 小池百合子』読み解く、彼女は本能的コミュ力高い?

2020年06月23日 | 政治社会問題

『女帝 小池百合子』読み解く、彼女は本能的コミュ力高い?

6/20(土) 7:05配信
NEWS ポストセブン

身振り手振り、ファッションのバリュエーションは多い小池都知事(時事通信フォト)

 空中ブランコや富士登山など、体験取材を得意とする『女性セブン』の“オバ記者”こと、ライターの野原広子(63才)が、話題のニュースを自由に語る。今回のテーマは「『女帝 小池百合子』を読んで、思ったこと」だ。

【写真】小顔効果が期待できるといわれる「ユリコマスク」を着ける小池都知事

 * * *
 5月末に発売された『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋刊)の評判を聞いて、遅ればせながら読了した。

 何せ、小池百合子氏の半生を、「百人を超える関係者の証言と3年半にわたる綿密な取材のもと描き切った」ノンフィクションで、衆議院議員に立候補したこともある貿易商の父のことや、子供時代の小池氏のことなど、私たちが知らないことがふんだんに書かれているのだ。

 多くの著書があり、マスコミに頻出する彼女のことは“旧知のお姉さん”のような気になっていたのだけど、いくつかスッキリしない疑問もある。結婚歴があるというけど、どんな人と? エジプト・カイロ大学時代はどんな暮らし?

 20代初めの小池氏と、カイロで約2年間、同居した女性(早川玲子さん・仮名)の出現が本書の目玉になっている。

 10才ほど年下の小池氏と同居してすぐのことだ。

《次々と訪問客がやってくる。皆、男性だった。小池はコケティッシュな振る舞いで彼らを翻弄し、魅了していた。大きな眼で上目遣いに見つめる。小首をかしげて、目をクルクルと動かす。独特の身体のしな。ダジャレの切り返し。

 小池はカイロにいる日本人女性の中で、とびぬけて若かった》(《》内は『女帝 小池百合子』より)

 私の友人に「人は20代をどう生きたかで、一生が決まる」と断言する女がいる。その人間の“性分”が表に出る20代から逃れられないと言うのだ。

 たしかに、60才を過ぎたいまの自分を思うと、“20代の延長を生きている”と言っていいかもしれない。異国に駐在している日本人のアイドルだった小池氏は、一対一の関係より、大勢の中にいた方が居心地がよかったのかもしれないと思う。

 カイロ大学に入る前に1年間通ったとされるカイロ・アメリカン大学についてはこんな記述がある。

《そんなある日、帰宅すると小池の姿がなく、ダイニングテーブルの上に、めずらしくノートが広げてあった。早川さんは何気なく覗き込み、その、あまりにも拙いアラビア語を見て驚く。(中略)英語でいえば、「This is a pen.」にあたる文章が、ぎこちなく上下していた》

 小池氏がカイロに渡った1971年頃、留学はまだ“選ばれた人”のものだったけど、その後1980年代になると、猫も杓子も留学。語学の勉強をするというのが、ちょっとしたトレンドになったのよね。

 なんと、この私も20代のとき、イタリア語教室に半年通ったのだから笑っちゃう。で、わかったのは、私は語学に向かないということ。

 1つの言語を自分のものにするのに近道はない。ひたすら膨大な数の単語を覚え、机にへばりついて文法の学習を続けるしかない。それはものすごく孤独な勉強よ。ポルトガル語の古文書を読める私の知人は、「留学先で大学の卒論を書けるレベルまでになったら、心か体か、どっちか壊す」と言うけど、その通りだと思う。生半可な気持ちで留学したところで、かなり早い段階でイヤになっちゃうのがオチ。

 でも、身振り手振りで表現できて、人の顔色が読めるような人は本能的なコミュニケーション能力が高いから、ひたすら単語や文法を覚え込む前に、その場をなんとか乗り切れたりする。

 私がそうだったけど、小池氏もそのタイプだったんじゃないかしら。論理・理論に欠けていても、相手とのやり取りや駆け引きでその場を乗り切る――小池氏はカイロ留学でその術を身につけ、今日に至っているように思う。

 帰国した小池氏は1982年に初めての著書『振り袖、ピラミッドを登る』(講談社刊)を出版する。カイロから帰国して7年目。テレビに出るようになって4年目の出版だ。その本を手にした早川さんの言葉が印象的だ。

《小池の言葉が急に思い出された。「私、日本に帰ったら本を書くつもり。でも、そこに早川さんのことは書かない。ごめんね。だって、バレちゃうからね」》

 何がバレちゃうのかは同書に預けるが、その言葉通り、海外で多くの時間を過ごした早川さんの名前が小池氏から出たことは一度もない。私たちが知らない“小池劇場”の、未完の脚本ともいえる一冊でもある。

※女性セブン2020年7月2日号






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小池百合子都知事 コンプレックス抱え、背伸びしてきた半生

2020年06月23日 | 政治社会問題

小池百合子都知事 コンプレックス抱え、背伸びしてきた半生

6/18(木) 16:05配信
NEWS ポストセブン

「学歴詐称疑惑」を指摘された小池知事(共同通信社)

 前回の東京都知事選で「崖から飛び降りる覚悟で」と演説した彼女は、290万票超の得票で圧勝した。あの熱狂から4年。無風状態といわれた都知事選の風向きに変化が訪れ始めた──。

【写真】30年近く前、白スカート姿で当選の祝福を受ける小池百合子氏

 滑らかな堂々たる口調で、万能感溢れる雰囲気が一変、厳しい表情に変わる。緊張と動揺からか一瞬表情が揺らぐが、すぐ立て直す。久しぶりにマスクをとってのぞんだ小池百合子東京都知事(67才)の都知事選出馬会見。その“素顔”が垣間見えた瞬間だった。

 7月5日投開票の都知事選で再選をめざす小池知事にふってわいた学歴詐称疑惑。5月末に発売された話題の書『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋刊)が発端となった。

「カイロ大学の卒業証書の原本を出すことは可能かという記者の質問に、正対して答えないまま会見は終わりました。小池知事が疑惑を否定した形ですが、長年にわたる取材を基に書かれた“真実”は無視するにはディテールがありすぎる。その証書が本物かどうかなど裁判をして紙の古さを確認するなどしない限り、もう誰にもわからない。このまま『女帝』が問題提起した『学歴詐称疑惑』は藪の中でしょうね」(都政担当記者)

 小池知事が前回の都知事選に立候補したのは2016年6月。自民党東京都連の意向に背いて、いち早く出馬を表明した小池知事は、孤立無援の状態で選挙に挑んだ。

 前回の都知事選で小池知事が一気に勢いを持った一幕がある。石原慎太郎元都知事から「大年増の厚化粧がいるんだな、これが」とこき下ろされたときのことだ。

「この発言に対し、小池さんは『顔のアザを隠すためです』と怯まず冷静に切り返しました。以降、『女性のコンプレックスを攻撃する旧態依然の男社会に立ち向かうヒロイン』という印象が小池さんにつきました。女性票を集め、都知事選の圧勝劇が生まれました」(前出・都政担当記者)

 圧倒的なカリスマ性で支持を集めた小池知事。日本初の女性総理との呼び声も高く、“ガラスの天井”を初めて破るかと期待された。

 だが『女帝』では、学歴に関する疑惑だけでなく、これまでのパブリックイメージを覆す半生が綴られている。

 東京在住50代の女性は困惑してこう話す。

「初めは男性陣がよってたかって小池知事を攻撃している図式にみえたので、彼女を応援していた。ただ、なぜすぐに証書を見せてくれなかったのか。彼女の半生がもし嘘だらけだとしたら何を信じていいかわからない。怖いです」

 別の60代の女性の話。

「本、読みましたよ。ちょっと信じられない気持ちです。コロナでもテキパキ、活躍されているでしょう。見た目もオシャレでかっこいいですし。その辺りの男性政治家より決断力も度胸もあって好きでした。ただ、そういう目で見ると、前回の都知事選の待機児童ゼロや満員電車ゼロなどの公約は全然守られていないし、いったい本当はどういう素顔なのだろうと…」

◆アザと父に翻弄された知られざる少女時代

 小池知事は1988年にテレビ東京『ワールドビジネスサテライト』の初代キャスターに就任、語学力とトーク力を武器としてテレビを中心に活躍。だが、1992年には億単位のキャスター収入を捨て、細川護熙氏(82才)が結党したばかりの日本新党から参院選に出馬し、初当選した。

「その後も節目節目で抜群の嗅覚を発揮、細川さんだけでなく小泉純一郎さん(78才)や小沢一郎さん(78才)ら大物政治家の寵愛を受け、環境大臣や防衛大臣という要職を歴任しました。“政界渡り鳥”と揶揄されてきましたが、半面、男社会の永田町を生き抜いて、都知事にまで上り詰めた稀有な女性政治家であることは否定できません」(政治ジャーナリスト)

 過去に本誌が「政界渡り鳥」といわれることへの感想を尋ねると、小池知事はこう答えた。

「私が権力者のところに渡るのではなく、私のサポートでその人が権力者になるんです(笑い)」

 これまで、逆風の中でも崩さなかった強気の姿勢。だが、明かされた彼女の半生は悲哀の道だった。『女帝』には右頬のアザを気にしながら幼少期を過ごしてきたこと、父の嘘や期待に苦しめられたこと、学生時代に親しいと呼べる友人がいなかったことが丹念に描かれている。また、カイロ時代に学生結婚し、1年もたたずに離婚したことを極力他言せず過ごしてきたとも。


「小池知事は育ちのよい“芦屋の令嬢”というように振る舞ってきたが実態は違う。豪邸でないことを隠すように過ごし、有名なお嬢様学校では成績もよくなく目立たず、アルバイトをしながら糊口をしのいでいた。そんな少女時代のエピソードを耳にすると、堂々と振る舞えば振る舞うほど、彼女のマスクの下にある本当の姿を垣間見てしまった気持ちになります。彼女は小さい頃の話は本当に口にしないんです」(小池氏を知る永田町関係者)

 小池知事は生まれつきの右頬のアザをいつも気にしていた。

「石原さんに“厚化粧”と揶揄されたときには当意即妙に切り返しましたが、右頬のアザは実際長い間彼女のコンプレックスだった。容姿や経済状況など彼女はコンプレックスを抱えていたからこそ、その反動で自分を大きく見せようと背伸びして振る舞ってきた人。堂々と陽の当たる場所を歩いてきた人ではないんです」(前出・永田町関係者)

 小池知事はそのアザについても、「すべてのエネルギーのもと」と嘯く。

《母は私には何も言わなかったけれど人に言っているのを聞いたことがあるの。百合ちゃんは女の子なのに可哀相って……。コンプレックスではなかったけれど、でもそれがあるからこんなに頑張ってこれたと思う》(『AERA』1992年11月10日号)

 マスクの下に隠された素顔を明かされて、彼女はいま何を思うのか。

 冒頭の記者会見から3日後、小池知事はカイロ大学の卒業証書を報道陣に公開した。

「政策論争よりも卒業証書の話ばかりが出てくるのは(選挙戦に)ふさわしくない」

 と公開の理由を明かし、いつものように余裕の笑みを浮かべた。

 この日は、山本太郎・れいわ新選組代表も立候補を表明し、無風だとみられていた都知事選が混沌としてきた。運命の投開票は7月5日だ。

※女性セブン2020年7月2日号


【関連記事】

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小池都知事「カネと男」のスキャンダル 「極左暴力集団」「闇金業者」とも交際

2020年06月23日 | 政治社会問題

小池都知事「カネと男」のスキャンダル 「極左暴力集団」「闇金業者」とも交際

6/23(火) 5:59配信
デイリー新潮
「俺のオンナだ」パトロンの紹介で「極左暴力団」ドンとも交遊 「闇金業者」から違法献金!  「金庫番秘書」は不動産錬金術で本誌(「週刊新潮」)に敗訴

小池百合子都知事

 小池知事はクリーンなイメージをまとい、それが人気の一因ともなってきた。しかし、来し方を子細に見ると、聞き流せない過去も。「カネと男」にまつわる「小池研究」。

【写真】“一家心中する”に泣きじゃくった小池百合子…「父」との知られざる関係

 ***

 小池知事は大学時代に同窓の日本人男性と結婚しているが、半年程で離婚。その後はさまざまな大物男性との“寄り添い”が報じられてきたけれど、

「ほとんど知られていませんが、百合子はキャスターをしていた80年代半ばから、15歳ほど上の、都内の広告代理店の社長に面倒を見てもらっていたんです」

 と言うのは、双方を共に知る、古くからの知人。

「ある時、社長から“会わせたい娘がいる”と言われて赤坂の料亭に行った。俺のオンナを紹介する、とばかりにね。そしたらいたのは百合子。えっ、とビックリした記憶があります」

 この社長は幅広い人脈を誇り、大物政治家や財界人、時にはヤクザとの交友を吹聴していた。とりわけ、

「あの松崎さんとはベタベタの関係でした」

 とは業界関係者。松崎さんとは、JR東労組の会長だった松崎明氏(故人)のこと。氏は「極左暴力集団」と当局に認定されている「革マル派」のドンでもあった。そして、

「社長は松崎さんの口利きで、JR新宿駅東口にあったイベントステージの管理運営を請け負い続けていた。おいしい利権でした」(同)

 というから、随分な「やり手」である。

 その社長と小池氏が出会ったのはパーティーがキッカケ。すぐに“昵懇”となり、

「電話はしばしばで、社長の会社にも出入りしていた。中でも驚いたのは、百合子が代表を務めていたファミリー企業の役員に、この社長を入れていたことです。この会社は所在地が当時の百合子の自宅で、役員も他には彼女のお母さんだけ。そこに名を連ねるということは、余程深い仲なんだろう、と」(先の知人)

 それほどの仲だから、小池氏と松崎氏の間に関係が生まれるのも当然で、

「松崎さんの出版パーティーの司会を百合子がしていました」(同)

 結果、彼女は「極左暴力集団」の広告塔を務めてしまったというワケだ。

 が、社長との関係は、彼女が政界に入って出世し、新たな庇護者を得る中で解消されていったといい、

「4年くらい前かな。社長に“百合子とはどうなった?”と聞いたら“とっくに別れた”“政治家はとにかく金がかかるよ……”とこぼしていました」(同)

 社長は3年前に世を去り、会社も閉鎖。しかし、知事にとって、あまり触れられたくない“過去”であることは間違いないだろう。

当選翌日に…

 秘められた醜聞は「カネ」にもある。

 グリーンがイメージカラーの小池知事だが、実はカネにはブラックで、知事に就任後、本誌に二つのスキャンダルを報じられているのだ。

 一つ目は、彼女の金庫番を務めていた元秘書、水田昌宏氏にまつわる話。

 水田氏は2016年8月、千代田区にある所有物件などを担保に、みずほ銀行から3億3千万円の融資を受けた。しかし、この物件の資産価値は2千万円ほどしかなく、融資を受けたのは小池氏の知事当選の翌日。しかも、みずほ銀行は東京都の指定金融機関……。実にきな臭い。このカネを何に使おうとしていたのだろうか。

「この融資には当初、小池氏と水田氏が共同所有していた練馬区の物件(現在の知事の自宅)も共同担保として入れられ、それゆえになされたものでしたが、この担保が融資同日付で解除されるという不可解な経緯がある。小池氏の承諾なしには行えない取引であることは間違いない」(事情通)

 記事掲載後、水田氏は新潮社などを提訴したが、全面敗訴し、控訴すらしなかった。

 加えて、二つ目の疑惑は、より単純でかつ悪質だ。

 小池氏は12年、池袋で不動産業を営む男性と知り合った。男性はもともと石破茂元幹事長の後援者。小池氏にその年の自民党総裁選で石破氏を支援することを要請し、承諾を得る。その見返りなのか、「長い付き合いになりますし、パーティー券は何枚でもお引き受けします」と約束し、実際、12年と13年、小池氏主催の政治資金パーティーのチケットを200万円ずつ購入している。しかし、彼女はそのことを自らの政治団体の収支報告書に一切記載しなかったのである。

「報告書の不記載と、パーティー券購入の上限オーバーで、政治資金規正法に抵触します」(さる弁護士)

 しかも、この業者は、「無登録で高利のカネを貸し付け、暴力団との交際もある」(地元関係者)いわば「闇金」なのだが、この件について、彼女は一切口をつぐんだままなのである。

 築地移転の迷走、「希望の党」の惨敗で一度は失速したものの、再びスポットライトを浴び、再選に驀進する小池知事。

 しかし、その真の「履歴書」を辿れば、看過できないことばかり。自分を高く売る「女城主再び」ならば、更なる混乱は必至で、都民は高い「請求書」を突き付けられそうである。

「週刊新潮」2020年6月18日号 掲載



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都合の悪い質問を狡猾にかわす、小池百合子都知事の「時そばスルー」答弁

2020年06月23日 | 社畜奴隷の二ホン、、世界で稀な勤勉な馬ヵ

都合の悪い質問を狡猾にかわす、小池百合子都知事の「時そばスルー」答弁

6/22(月) 8:34配信
HARBOR BUSINESS Online

話題を読んでいる『女帝 小池百合子』(文藝春秋)

 東京都知事選が始まった(6月18日告示 7月5日投開票)。現職で再選をねらう小池百合子都知事をめぐっては、石井妙子氏による『女帝 小池百合子』(文藝春秋)が5月に発売され、学歴詐称疑惑が再燃するなど、話題になっている。

 筆者がこの本を読んで特に気になったのは、小池氏が平然と嘘をつくという点だ。前回の2016年の都知事選の際に、小池候補は有力候補であった鳥越俊太郎氏のことを街頭演説で「病み上がりの人」と言及したが、その後、テレビ番組の討論会で顔を合わせた鳥越候補が小池候補に「私のことを『病み上がりの人』と言いましたねっ」と激しく食ってかかったところ、小池候補はおもむろに口を開き、「いいえ、言ってませんねえ」と答えたという(同書p.11-12)。同書には他にも多数、小池氏の嘘に翻弄される人々の様子が描かれている。

 新型コロナウイルスの終息がまだ見通せない中での都知事選だ。不都合な事実を隠し、嘘をついて言い逃れをするような人が都知事であるなら、私たちの命が脅かされる。選挙期間中の今こそ、小池都知事が今後も知事にふさわしい人物であるか、検証が必要だ。
6月17日の日本記者クラブでのやりとり

 検証の素材として、告示前日の6月17日に日本記者クラブが開催した立候補予定者の共同記者会見が役に立つ。その様子がYouTubeに公開されているので、ご覧になっていない方はぜひ見ていただきたい。参加したのは、宇都宮健児氏、小野泰輔氏、小池百合子氏、立花孝志氏、山本太郎氏の5名だ(五十音順)。

 筆者はリアルタイムで中継を見ていたが*、その中で小池氏の2つのごまかしに気づいた。今回はそのうちの1つを紹介したい。宇都宮健児候補が小池氏に3つの質問をおこなったのに対し、小池氏が巧妙な方法で2つ目の質問をスルー(無視)した場面だ。実際のやりとりを見ていただきたい。

〈*日本記者クラブによる映像の公開は事後に行われた。リアルタイムでは朝日新聞社がネット公開しており筆者はそれを視聴したが、記者会見の進め方の説明や各候補の3分ずつの意見表明の場面は公開されず、開始20分ほど経過したあとの候補者相互の質問の場面からのみが公開された。手違いによるものであるのか否か、理由はわからない。この朝日新聞社の映像をもとに、峰里えり氏が記者会見の文字起こしをnoteに公開されている。今回の記事で文字起こしをするにあたり、参考にさせていただいた。感謝申し上げたい〉

宇都宮氏から小池氏への3つの質問

 共同記者会見の29分31秒から30分48秒にかけて、宇都宮健児氏は小池百合子氏に対し、次のように3つの質問をおこなった。
******

●宇都宮健児
 現職の小池さんのほうにお伺いしたいと思います。
 コロナ対策ですけど、3月24日に五輪延期決定がなされているわけですけど、その翌日、小池さんは、「感染爆発、重大局面」ということを強調されて、対策を強化される方向を打ち出すんですけど、もうそれ以前からコロナの感染の危機は広がっていたと思われますけど、初動の遅れがあったんではないかと思います。その点どうでしょうか。

 それから東京アラートの解除の基準も極めて曖昧で、アラート解除の後に感染者数が逆に増えています。この辺の解除っていうのはかなり曖昧だったんじゃないか。それについて、いかがお考えなのか。

 それから、カジノの誘致計画はきっぱりと中止すべきではないかと思いますけど、その点どのようにお考えでしょうか。カジノは博打なんで、負けた人の犠牲の上に成り立つ商売なんですね。人の不幸の上に成り立つようなカジノ誘致はきっぱり中止すべきだと思いますけど、いかがでしょうか。

******

 質問は3つあった。しかし小池氏は2つの質問にしか答えなかった。にもかかわらず、すべての質問に答えたかのようによそおった。どのようにそれが可能であったか。注意深く見ていただきたい。映像の30分55秒から32分28秒にかけてだ。
******

●小池百合子
 はい。えー、最初のご質問、たくさんいただきましたのでね、えーっと、カジノからまいりましょうか。

 カジノについては、後の質問から恐縮です、今、お話もありましたように、勝つ人っていうか、負ける人のことをベースに成り立っている、というようなご質問だったかと思います。一方で観光という点では、誘客についてはこのメリットもある。これらメリット・デメリット含めまして、これを研究をしているということで、総合的な検討が必要だという姿勢でございます。

 それから東京オリンピック・パラリンピックの開催にこだわったがゆえにですね、コロナ対策が遅れたのではないか、というご質問ですが、その指摘には当たりません。今日はですね、ちょうどそのままでいきますと、雫石、岩手県の雫石を聖火リレー、回っている頃なんですね。で、その中でですね、各、それぞれの関係者との連携などを取る、それらのこともすすめてまいりました。しかし、これについては、コロナ対策とは別件でございまして、コロナに対しては、すでにその前からしっかりと東京都として対策をすすめていた次第であります。

 最初のご質問、なんでしたかしら。

●小栗泉(進行役 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ))
 初動対応という・・・・・・

●小池百合子
 あ、それ、じゃあ今、お答えしましたね。はい、ありがとうございました。

******

「時そばスルー」答弁

 いかがだろうか。小池氏は回答の順番を変え、まず3番目の質問であるカジノ問題に答えている。その次に1番目の質問である初動の遅れの指摘に答えている。

 巧妙なのはそのあとだ。「最初のご質問、なんでしたかしら」とにこやかに問うて、進行役の小栗企画委員に「初動対応という・・・・・・」と答えさせ、「あ、それ、じゃあ今、お答えしましたね。はい、ありがとうございました」と締めている。あたかもすべての質問に対して、回答したことを確認した上で話を締めくくっているかのようだが、よく見れば、宇都宮氏が2番目に問うた、東京アラートの解除の基準の曖昧さについては、何ら、答えていない。

 宇都宮氏の2番目の質問を巧妙に回避したこのやりとりをツイッターで紹介したところ、「ハチドリ」さんから「まるで「時そば」だよ。」とのコメントがついた。

 「時そば」とは古典落語の演目の1つだ。そば屋の代金十六文を支払うときに、男がそば屋に手を出させてそこに一文銭を数えながら渡していく。「一(ひい)、二(ふう)、三(みい)、四(よう)、五(いつ)、六(むう)、七(なな)、八(やあ)」。そこで「今、何時(なんどき)だ」と時刻を尋ね、そば屋が「九(ここの)です」と応じると、「十(とう)、十一、十二、十三、十四、十五、十六」と渡し終えて去っていく。一文を巧妙にごまかしたわけだ。

 まさに「時そば」と同じだ。この「ハチドリ」さんの指摘を受け、「jibandouji」さんは小池氏の答弁が「時そばスルー」と名付けた(なお、ここで言及されている分数は、朝日新聞社の映像のもの)
小池氏の「時そばスルー」答弁は確信犯か

 さて、この小池氏の「時そばスルー」答弁は、確信犯だろうか。筆者はそうだろうと思う。そう考える根拠は3つある。

 第1の根拠は、あえて質問の順番を変えたことだ。宇都宮氏の3つの質問は、それほど込み入った質問ではない。第1は初動の遅れ、第2は東京アラートの解除の基準の曖昧さ、第3はカジノ誘致を中止すべきという点だ。さっとメモをとれば、順番に答えることはできたはずだ。

 にもかかわらず、小池氏は質問を「たくさんいただきましたので」として、3番目のカジノの問題から答え始めた。そして、コロナ対策の初動の遅れがあったのではないかとの1番目の質問に戻って、2番目の質問はスルーした。

 第2の根拠は、初動の遅れの指摘に対する回答を不自然に引き延ばしたことだ。本来なら雫石を聖火リレーが回っている頃だ、といった話は、ここで話さなければいけない内容ではない。にもかかわらず聖火リレーに言及した。時間制限がある中で、あえて答弁の時間を長引かせ、都合の悪い質問への回答を回避するねらいがあったものと思われる。国会で安倍晋三首相がよくやる手法だ。

 この共同記者会見では、質疑応答はそれぞれ1回1分とあらかじめ決められていた。冒頭にその旨の説明がある。

 宇都宮氏の質問は1分17秒ほどで、それほど時間をはみ出していない。それに対し、小池氏の答弁は、「最初のご質問、なんでしたかしら」と問うまでで既に1分24秒ほどが経過している。2番目の質問に答える前に既に時間オーバーだ。進行役の小栗氏とのやり取りをはさんで話を終えるまでだと1分33秒ほどだ。

 32分14秒ごろに、小池氏にメモを差し入れる人物の影が見える。時間の超過を伝えるメモだろうか。そのメモが差し入れられたあとで、小池氏は「最初のご質問、なんでしたかしら」と進行役の小栗氏に問い、「あ、それ、じゃあ今、お答えしましたね。はい、ありがとうございました」とにこやかに答弁を終えているのだ。

 司会進行役の小栗氏は2つ目の質問に答えられていないことに気づいていたかどうかわからないが、そのまま次の質問者に話を振ってしまった。リモート中継であったため、質問した宇都宮氏の表情は見えない。宇都宮氏が異議をとなえることも難しかっただろう。

 第3の根拠は、質問が振られたあと、答え始める段階での小池氏の様子だ。これは実際に映像を見ていただきたい。30分55秒頃からだ。最初、小池氏は右下の方を向いている。その手元に何かを手渡す人物の影が見える。

 そのあと小池氏は左下の方に視線を移し、「最初のご質問、たくさんいただきましたのでね、えーっと、カジノからまいりましょうか」と答え始め、そのあとはカメラから視線をはずさずに答えていった。

 小池氏の答弁の開始時に渡されたメモの内容はなんだろう。宇都宮氏の質問の内容をスタッフが箇条書きにしたメモならば、それを確認しながら3つの質問に対し、漏らさず回答ができたはずだ。そうではなく、2つ目の質問には答えるな、というアドバイスだったのだろうか。

「やりとり」から見えてくるもの

 このように、「やりとり」から見えてくるものは多い。それが映像で残されていれば、なおさらだ。筆者は国会パブリックビューイングで国会審議を野党の質問と政府側の答弁という「やりとり」の形で切り出して街頭上映してきたが、そのように「やりとり」を残して示すと、不都合な問題については答弁せずにスルーする政府側の不誠実さが、隠そうとしても隠しきれずに可視化される。

 この記者会見もそうだろう。そこに現れたものは、筆者には『女帝 小池百合子』に描かれたのと同じ、平然と嘘をつく小池氏の姿であるように思われる。それはこの記者会見を受けて紙面に載った記事を読むだけでは見えないものだ。

 用意されたスピーチや記事からは見えてこないものを、私たちは今のうちに見ておいた方がいい。

<文/上西充子>

【上西充子】
Twitter ID:@mu0283
うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆。単著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)ともに好評発売中。





jwh***** | 15時間前

人を批判するときは具体的。自分のことは突っ込まれないように結論を言い切らない。
自民党と対立しているかのように見せて同情票を集め、裏ではしっかりと支援してもらう。
IRとかオリンピックとかスマートシティとか、全部自民党と経団連のリクエスト通り。
都民のための政治なんて出来ていない。人気取りのパフォーマンスと自分のポストを守ることしか考えていない。
テレビに洗脳されている人が多すぎる。
私はそう思います。

返信2

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luv***** | 17時間前

かの解除の基準だが、そこは小池さんの弱いところなのじゃないか。
というのは西村大臣と小池さんと吉村さんの三者会談がテレビ放送された時を見ていたが、吉村さんが西村大臣に解除の基準をと言った時に、そこに素早く小池さんが入り込んで、突然「今日の大阪の天気は…」と話を逸らした。
あれは何だったんだろう。西村大臣をかばおうとしたのか? 

吉村さんはそれで大阪モデルを作ることにした。その後追いで小池さんも東京アラートを作ったが、それと実際は解離していても気にしていないようだ。東京アラートを作った意味あるのか? 一回だけ赤い電気を付けてみただけ。

返信2

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nai***** |2時間前

本当にそう思う。
東京アラートを出すときは基準を超えてもなかなか出さない。
にも関わらず、解除するときは基準を満たした途端に解除。まったくもって一貫性なし。

さらに言うと、実はこの東京アラート発動基準と巷で言われているものは発動基準ではない!!
ホームページをよく読むと分かるが、この基準値は「自粛の再要請」の基準と明記されている。
アラートはその兆候が見られたら先立って出すと書かれている。

つまり、自らが設定していた自粛の再要請基準を超えても、なお注意喚起のアラートすら出さなかったということ。
そりゃ後ろめたいよね。
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luv***** |17時間前

かの、は削除して読んで下さい。
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gre***** | 17時間前

彼女の答弁は”総合的” ”都民のみなさのため”など抽象的、包括的言葉に始終し自分が成果を上げたと思っていることを(回答とは関係ない)ここで宣伝したり
普段でもやっていなければいけない執務を特に自分だけのもののように話す。
こんな話術にごまかされて聞いたあとに”なるほど”と思わせる。
まさに、人を欺き、見下しているところに気づかなければならない。
こんな計算された狡猾さは今までにその例を見ない政治家です。
ついつい口からでたあの”排除します”発言から発言にはますます注意してわけのわからない曖昧な言葉を最近は使って都民を惑わせている。

返信0

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tog***** | 15時間前

先日の共同会見で、小池知事は東京アラートに関する質問だけでなく自身に都合の悪い質問は全てはぐらかしていて非常に不誠実でした。
このような不誠実極まりない小池知事の姿勢を是非テレビで公開してほしいです。
ネットを見ないでテレビしか見ない情弱な高齢者の多くは依然として小池氏とメディアに騙されていると思います。

返信0

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zpm***** | 18時間前

のらりくらりとかわすのなら、その急所をつくようなツッコミを入れればいいんじゃないのかな。
要するにそのスキルを持ち合わせて無いのが今のメディアだということでしょ。

返信0

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yam***** | 9時間前

この人都合悪いことガッツリ突っ込まれたら何にも答えられないで歯切れ悪くなって逃げるタイプだよね
誤魔化したりして結局以前の公約もちゃんと果たせてないし長期的とか言って先延ばしにするし明確になにかすると言うよりは行動した都民の結果を自分の力って勘違いしてる気がする
結局は当選したらまたいいこと言ってなにも出来ずに終わるんだろうな

返信0

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xjd***** | 19時間前

東京都は乱発した補正予算で、2000年から緊縮財政努力で積立てきた財政調整基金9300億円が490億まで枯渇。
さらに、景気悪化あるいはコロナの優遇・免除措置で、当面税収も低下。
都は47都道府県で国から地方交付税によるサポートを受けることのできない唯一の自治体。
過剰ともいえる長期間の休業要請、それに追随する補償が引き起こした事態で、万が一、次の感染流行、あるいは自然災害が発生したときに、もはや対応できる余力は厳しい。
この局面を突破するには、大胆な民間に向けた都債の発行に踏み切れるような聡明なリーダーが必要。
現職都知事には期待できない。

返信6

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azw***** | 17時間前

小池氏は「ごまかし」がうまいだけ。
そのごまかしも、質問に対していい加減な回答をされても
それ以上追及しない日本人の特性のおかげ。

また、ごまかしだけで相手を説得する力はないので、
オリンピックのマラソンは札幌になった。
強気の相手には小池氏の手腕は通用しないし、
IOCと信頼関係を築けていないのは致命的。
(事前に相談される関係性がなかった)

所詮、小池氏の手腕は弱気な日本人相手にしか
通じないもので、井の中の蛙です。

返信0

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ets**** | 16時間前

この本を読んでみたが、いわゆる「暴露本」ではなく、綿密な取材に基づいて書かれている。よくぞここまで調べたものだと感心した。
著者の想像による表現ももちろんあるが、多くはエジプト時代の同居者への取材と小池の過去の事実発言を掘り起こした内容だ。
これを読めば、小池がとんでもない詐欺師だとすぐに理解できる。
同時にメディアが小池の作り上げた「物語」を検証せず、むしろ長いものに巻かれろと乗っかってきたことも分かる。メディアの罪は重い。

返信0




kjo***** | 14時間前

そもそも、公約を守っていない知事だから厳しい判断を今回の選挙で、都民の方に出して欲しい。こういう政治家は時代が違うでしょ

返信0

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bnw***** | 12時間前

この方も、安倍晋三首相様と同様自分のことだけ考えて行動している様
ですが・・・!?
コロナ禍もオリンピックも自分の選挙をどうやったら有利に運べるか?
其の事一点を考えて行動しているのではと思わざるを得ません。
オリンピックの延期をもう少し早く判断していれば?アラート解除をもう少し遅らせていれば・・・・・?!?

返信0

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3

mine | 17時間前

初動の遅れが指摘されるのは当然だ。
都知事がコロナ対策への本格的な取り組みを明確に示したのは3月23日の記者会見で、東京五輪・パラリンピックの延期決定がなされた前日だ。
この会見で、対策を行わなければピーク時の外来患者数が1日約4万人、入院患者数が約2万人を超えるとの推計を明かし、「ロックダウン」「クラスター」「オーバーシュート」といったカタカナを連発しながら「3密」回避を訴えた。
無論、都庁内部では感染拡大防止対策の検討や準備は進められているが、都知事が表立ってコロナ対策を全面的に打ち出したのはこの会見が初めてであり、オリパラ延期と無関係とは言えない。

返信1

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tak***** | 6時間前

都知事として、信用できない人であることはコロナ対応で決定的になったが、種々の規制が解除された今、願うは一刻も早く都庁を出ていっていただくことだ。この人に命を預けたくはない。

返信0

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tyu***** | 6時間前

ネット選挙も「もの申す」も自分に都合の悪い部分を回避できるからやってるように思います。

是非多くの人が視聴できる場での公開討論をして化けの皮を剥がしてください。この前のネット討論でも構いません。

ただそうなると「男どもに苛められて可愛そうな百合子ちゃん」像を作っちゃうことになるか。

返信0

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jan***** | 5時間前

都民との約束事である公約を全く果たせてないのに、反省も謝罪もなくすっとぼけて立候補する。こんな奴が当選したら東京都も日本も終わりだ。都の貯金はほとんどばら蒔いて、今も減らないコロナの感染者には無策で放置。これで第2波が来たら何も出来ないよ、この人は。

返信0

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fee***** | 8時間前

あなたは3つのうち、どれを信じますか?
卒業年月日もおかしい。
どうやら3回卒業しているらしい。
9月説、10月説、12月説、
3つある。
証拠が出てくるたびに、卒業の日付が違う。

返信1

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pik***** | 17時間前

答えていないのに答えましたね、は酷いね
時間がないから、なら別な言い方になるはず

そう言って切り上げたのは、逃げたんだなと思う

返信0

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3

oki***** | 16時間前

東京都はコンセッション方式での下水売却に2年前から動いてるのに、水道売却はありえない!と語る方々が争点にすることも求めない異常事態ですね。
在京ジャーナリストや有名人も複数その角度でモノを語っていたのですが・・・

どうなってんですかね?

返信0

10
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yio***** | 18時間前

財政難の東京都新しい都知事に期待しますコロナ経済対策、コロナ感染防止対策、オリバラ対策、公共工事財源削減、今までの小池都知事では無理、新しい都知事に期待します


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「都知事はアラビア語に堪能」説に反駁する

2020年06月23日 | 政治社会問題

「都知事はアラビア語に堪能」説に反駁する

6/22(月) 6:01配信
JBpress

6月19日、定例会見での小池百合子都知事(写真:つのだよしお/アフロ)

 (黒木 亮:作家)

 筆者は小池氏の学歴詐称を疑う者であり、その論拠の一つは小池氏のアラビア語の能力である。

【写真】6月15日、記者会見で小池百合子都知事が報道陣に公開した卒業証書(右)と卒業証明書

 その検証作業として、2年前に文春オンラインで発表した「初検証・これが小池百合子のアラビア語の実態だ」(https://bunshun.jp/articles/-/7909)という記事の中で小池氏がアラビア語を話している動画を用いて分析した。今年1月にもJBpressにて「徹底研究! 小池百合子「カイロ大卒」の真偽(1)お使いレベルのアラビア語」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58847)の中で、別の動画を使って検証した。

 検証の結果は、小池氏は、カイロ留学時代からの経過年数を考慮したとしても、アラビア語による大学レベルの教育について行けたとは考えられないというものだった。

 ところが6月10日になって、アラビア語通訳者の新谷恵司氏が、筆者の記事に対する反論を発表した(「小池都知事のアラビア語力をどう評価したらいいのかわからない方へ」(https://note.com/jaber/n/n5f60bf9ac523))。

 この反論文について、その後あるネットニュースが新谷氏にメールで取材し、これを引用する記事を掲載したり、さらにその記事がヤフーニュースに転載されたりして、少々拡散しているようだ。

 新谷氏の内容を読んでみると、筆者の信用問題にかかわる部分もあった。そこで、あらためて筆者の考えを述べたい。

■ 事実とは言い難い「反論」の数々

 まず指摘したいのは、新谷氏は小池氏関連の通訳を引き受け、金を稼いでいる「業者」であるということだ。小池氏とは利害が一致しており、以前も自身のツイッターで「小池閣下の当選を祈願して〇〇断ちをした」「閣下のアラビア語に疑問を呈する輩に、通訳者として閣下のアラビア語は素晴らしいと言ったら、けっ、おぼえていやがれと言って退散した」といったツイートをしていたので、眉をひそめたことがある。今回の記事でも、小池氏のアラビア語を持ち上げることで歓心を買い、自己の利益に結びつけようという意図が感じられる。

 新谷氏は記事の冒頭で、「私は、政治家小池百合子に期待をしていますが、そのことが、同氏のアラビア語能力についての私のこの評価に影響を与えているということはありません」と予防的に述べているが、上記事情にかんがみ、筆者には到底そうは思えない。

 また彼が引用する文春オンラインの筆者の記事は2年前のものであり、都知事選の直前になって、突然このような指摘をしてきたのは、特別な意図があってのことと考えざるを得ない。新谷氏と筆者は35年前のカイロ留学時代以来の付き合いがあり、年に1、2回は電話やメールをする間柄なので、筆者の指摘が違うと思うのなら、まずは筆者に直接連絡してくるのが普通である。

 新谷氏は、自身の記事の中で、小池氏がフスハー(正則アラビア語、文語)ができないことを擁護している。しかし、カイロ大学の教科書はフスハーで書いてあり、試験の答案もフスハーで書く。4年間アラビア語で勉強し、教科書を読み、毎年論文式の試験も突破して卒業したのなら、フスハーで話せないことはあり得ない。英語でも同様だが、普段その外国語で話す環境になくても、その言語で文献を読んだり、文章を書いたりしていれば、それとほぼ同じ水準で話すことができる。学者、研究者などが英語を話すと、発音はあまり上手ではなく、ネイティブのような気の利いた言い回しもしないが、文献に書いてあるような知的水準の内容で英語を話すのがその例だ。新谷氏の「博士号を持っていても、まったくフスハーではしゃべれない、という方は普通にいます」という記述に至っては完全に信用できない。


 新谷氏は「日本人が日本で6か月学んだ程度でエジプト口語(アンミーヤ)を話すようになることはできません。アラビア語はノンネイティブには敷居の高い言語で、始めてから1年でようやく辞書を引けるようになる、と言われています」と書いているが、ここには議論のすり替えと嘘がある。

 筆者が記事で検証したのは、小池氏のフスハーについてである(インタビュー動画はすべてフスハーを話すべきシチュエーション)。また「6か月程度」と言うのは、一緒に小池氏のインタビュー動画を見たエジプト人ジャーナリストの意見であり、筆者の実感でもある。筆者は1982年にアジア・アフリカ語学院(東京都三鷹市)の企業研修コースでゼロからアラビア語を半年習った。小池氏のアラビア語は研修を終えた当時の筆者のアラビア語に似たような水準である。

 また新谷氏は辞書を引けるまで1年かかると言うが、企業研修生たちはゼロから始めて3カ月後には辞書を引いていた。なお講談社現代新書『外国語をどう学んだか』(1992年)の205ページから210ページに小池氏の寄稿があり、カイロ・アメリカン大学の語学コースでアラビア語を学び始めて3週間で辞書を引きながらエジプトの代表的日刊紙「アル・アハラーム」の記事の訳に取り組んだと書かれている。新谷氏によるとこれは嘘ということになるのだろうか? 



 小池氏のリビア訪問時の動画について、新谷氏は「知事の発音、イントネーションは極めて正しく、非常に聞きやすいものです。これゆえに、アラブ人が感動し、このようにメディアが引用もするし、会った人が直接話したいと思う理由」と書く。しかし、筆者が聞く限り、確かに「アイン」の文字の発音などはそれらしいが、事前のリハーサルを考えれば、アラビア語を勉強している日本人の学生が喋るようなごく普通のアラビア語で、これでアラブ人が感動するなどということはあり得ない。

 「できるだけ早く(as soon as possible)」という基本的なアラビア語も出てこずに助け舟を出され、その後は動揺して赤面し、話し方も乱れている。多少の間違いがあるのは筆者も当然だと思うが、「文春オンライン」の記事で指摘した通り、わずか1分10秒ほどの間に非常に多くの間違いがあり、これでカイロ大学を卒業したとは到底思えない。

 そもそもアラブ人が感動するほどのアラビア語の使い手が「とてもよい面会」を「とても美味しい面会」と言い間違えるものだろうか? 

 新谷氏は自身の文中で、小池氏の場合、アラビア語の「使用語彙」より「理解語彙」のほうが圧倒的に多いと説明するが、アラビア語をきちんと話せないことを何とか説明しようとしているようで、にわかには信じがたい。

 全体として新谷氏の記事は、小池氏の貧弱なフスハーの会話能力を何とか擁護しようとして、嘘や無理な議論を展開している。また小池氏のエジプト口語を誉め称え、それゆえ小池氏はアラビア語ができるのだと述べるが、小池氏が原稿やリハーサルなしで、流ちょうにエジプト口語を話している動画を筆者は見たことがないし、そういうものが存在するとも思わない。小池氏が本当にアラビア語に堪能であるというのなら、先の都議会で与えられた貴重な場などを利用して、疑念を晴らせばいいだけのことである(https://www.youtube.com/watch? v=AgVVXnDmQgQ&feature=youtu.be)。

 なお筆者は、カイロ・アメリカン大学の上級アラビア語コースを修了し、同大学院(中東研究科)入学後は、アラビア語の文献を読んで期末レポートなどを書き、家庭教師についてアラビア語の勉強を続けた。また小池氏のインタビュー動画は、エジプト人ジャーナリストと一緒に検証したものであり、記述内容には絶対の自信を持っている。

■ 小池氏のアラビア語を擁護する人々の処世術

 小池氏のアラビア語が素晴らしいと評価したのは、筆者が知る限り、日本人では新谷氏だけである。筆者は外務省のアラビストや中東関係者と多くの付き合いがあるが、小池氏のことを話すと皆、一様に表情を曇らせる。小池氏と付き合いのあるアラブ人の一部に新谷氏に似たような発言をする人もいるが、日本におけるアラビア語の世界は狭いので、著名政治家である小池氏の影響力を考え、本当のことを言っても何の得にもならないと考えているのだろう。

 一方、筆者の検証記事を読んだ浅川芳裕氏(1993~95年カイロ大学文学部在籍)はツイッターで「小池氏の会話を聞くと、彼女の(アラビア語)の中途半端さ加減が手に取るように分る。小学生みたいなエジプト方言をベースに無理やり文語を盛り込もうとするが、文法・語彙力が圧倒的に不足。カイロ大正規卒業は絶対無理」と述べている。

カイロ在住の通訳・翻訳家モハメッド・ショクバ氏(カイロにあるイスラム世界最古で最も影響力のある宗教大学であるアズハル大学卒)は「留学していたのが40年前だとしても、信じられない。あまりにお粗末でカイロ大学を卒業して通訳をやっていたという話を疑ってしまうほどだ。話す文章は完結しておらず、普段私たちが使うことのない単語を使っている」と述べている(「週刊ポスト」2017年6月16日号)。

 カイロ大学で博士号を取得したイスラム法学者の中田考氏は「イスラム圏というのはコネ社会で、そういう(ハーテム元副首相との)人間関係があると何でも変わってしまう。金銭援助も、大学の単位のことも、大いに助けてもらったと思いますよ。そうでないと、あのアラビア語でカイロ大をすんなりと卒業できたはずがない」と述べている(同)。

 石井妙子著『女帝 小池百合子』には、小池氏のアラビア語の能力がカイロ大学の教育レベルとはほど遠かったという同居人女性やその他の人々の証言が出てくる。

 これらのコメントに照らせば、新谷氏の主張がいかに特異であり、別の目的をもってなされていることが分かるはずだ。

■ 小池氏の世論操作

 小池氏は世論操作に非常に積極的であると言われる。「週刊文春」(6月18日号)は小池氏の関連団体や東京都から「ベクトル」というPR会社に、過去6年間で約3億7500万円の政治資金や都の予算が支出されており、立憲民主党などと比較しても、驚くほどの巨額であると指摘している。

 また前回の都知事選で小池氏の対立候補のネット対策を担当した人物は「都知事選が始まると、突如としてネットの書き込みが小池氏一色になった。小池氏のネット工作は、PR会社というよりも、ネット工作員を束ねる私兵が、イベントごとに集まっているようだ。小池氏の陣営からもよくそのような話を聞いた」と述べる。

 また小池氏を批判する記事を書くと、匿名のツイッター・アカウントが寄ってたかって大量の書き込みをして、炎上させられることがある(以前、小池氏の学歴詐称疑惑について書いたタレントのフィフィさんのツイッターも炎上した)。筆者のケースでも、小池氏に対する批判的な記事を書くと、最初の2、3日はほぼ肯定的な読者コメントばかりだが、それ以降は、急激に否定的なコメントが増え、しかも感情的で論拠もあいまいなものが多くなる。

 石井妙子氏の『女帝 小池百合子』が発売された直後にも、待ち構えていたかのように、小池氏の元秘書が編集長を務める雑誌のウェブ版に「カイロ大学卒業は本当」という記事が掲載された。

 『女帝 小池百合子』では、小池氏が、自分を好意的に報じるメディアに優先的に情報を与えて、他社に恥をかかせ、小池氏に否定的な報道ができないようコントロールしていると書かれている。記者会見においても、厳しい質問をするフリーの記者はほとんど指名されない。

 学歴詐称疑惑に関しては、小池氏は自分の口からほとんど説明はせず、自分の息のかかったメディアを使って、彼らに“言い訳”をさせている。喋ると卒論の件のように、ボロが出ると恐れているのだろう。今回の新谷氏の記事も、その種の工作の一つではないだろうか。小池氏は、そうしたやり方が、ますます疑念を持たれる原因だということを知るべきだ。

■ 解消しない学歴詐称疑惑

 カイロ大学は去る6月8日に小池氏が卒業しているという声明を駐日エジプト大使館経由で出した。これがいかに異様なことかは、舛添要一、池田信夫、浅川芳裕、山口一臣氏らの指摘する通りである(「卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60947)。小池氏は、こういうことをしないと自身の卒業を証明できないというわけで、これまた異常なことである。

 小池氏は、6月15日に記者会見で卒業証書類を初めて公開したが、筆者に言わせれば、カネやコネで学位や卒業証書を手に入れられる国の書類を出したというだけのことだ。公開された書類にしても疑問点が残る。たとえば卒業年が1976年になっているが、小池氏の自著『振り袖、ピラミッドを登る』にも、講談社現代新書『外国語をどう学んだか』の寄稿文にも、1年目で落第したと明記されており、それならば卒業は1977年以降でないと辻褄が合わない。小池氏が、サダト大統領夫人の非公式アテンド係を務めた1976年10月に話したストーリーに合わせて卒業証書類を作ったので、こういうことになったのではないか。

 いくらカイロ大学が卒業を認め、卒業証書類を持っていたとしても、学業の実体がなければ、学歴とは認められないことは言うまでもない。

 この点に関しては『女帝 小池百合子』に、小池氏はカイロ大学を卒業していないという、カイロ時代の同居人女性の証言が59ページにわたって詳述されている。論旨は一貫しており、物的証拠もある。小池氏はこれに対し、反論も釈明もしていない。

 また、(1)あったはずの卒論をなかったと言う嘘、(2)「首席で卒業した」「トップの成績と言われた」、「1年目で落第したが4年で卒業した」、「1971年(存在しない)カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)」、「何度も卒業証書を公開した」(都議会答弁)、「卒業証書類を、複数のアラブの専門家が判読し、本物と認めた」(同)等々、卒業や証書に関する多くの嘘、(3)「お使い」レベルのアラビア語、などを考慮すれば、学業実体があったと信じるのは困難である。

 『女帝 小池百合子』には、小池氏が、細川護熙、小沢一郎氏などを含め、利用価値がなくなった人間を冷酷に切り捨て、今度は批判を始めるというエピソードが多数出てくる。同じように、小池擁護派もいつか切り捨てられる可能性があるだろう。ただ彼らにしても、所詮は処世術でやっていることなので、都合が悪くなると逃げるのかもしれない。

黒木 亮


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taj***** | 17時間前

学歴詐称なのはもうわかっている。
それよりも、小池氏は常に自分の事しか考えていない人間であるという事の方が問題。学歴詐称は、その一つ。彼女の性質をよく表しているのだと思う。
豊洲の問題で税金を垂れ流し、オリンピックの問題で東京の都市計画をひっかき回し、希望の党のごたごたで都政を小馬鹿にした上に、国政まで悪影響を与えた。
この人を妙に持ち上げるマスコミが一番の悪だとは思う。
小池氏が引き続き都知事になるような悪夢は勘弁して欲しい。

返信0

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ota***** | 19時間前

築地から豊洲に移る時にあんなに大騒ぎしたのに、無駄な税金を費やして終わり。なんだったのだあれは?総理大臣を諦め、都の支配を目的に変えたか?意味のわからん外国語で都民に、知識あるのよアピール。考えた方がいいよ、都民。

返信1

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mas***** | 17時間前

詐称も語学力も含めて・・都知事としての資格結論はもうすぐてる。落選するも、当選するも民意。裁判訴訟されてる方もいる様なので結果も待ちたい。

返信0

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twh***** | 17時間前

コロナを利用したCM選挙活動までは自分の思い通りになる世の中を作っていた

しかし
自分を大きく見せたいのか、それとも底知れぬ恐怖なのかわからないが
エジプト政府の声明により、小池女史自身、自ら地獄へ落ちる選択をしたように思える

突然、大使館を通じて介入してきたエジプト政府(カイロ大)の天の声はエジプト政府に弱みを握られたようなもの
受け止め方によっては不・幸の手紙(脅・迫声明)のようなもののようにも考えられる

我が国にとっても小池女史にとっても招かれざる客
一人の政治家の弱みを握られたとするならば
小池女史の利益=中東の利益(見返り)=『我が国の不幸』
に繋がるような気もする

制作発表の会見の場で卒業証書を公開しなければ、アラブを知る人間たちのこのような言い争いは避けられたはず
このような状況を作り上げたのは小池女史自身

すべてを終わらせる時期に来ているのではないだろうか

返信0

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le1***** | 17時間前

小池知事の英語もうんざりする。三つのシティ? 最後がダイバーシティと来ている。これがシティか?東京アラートもしかり。アラートの意味など誰も理解しない。全般に、総論で曖昧模糊としたことを英語で塗炭する方式をこの4年間続けてきた。日本語でも、安全だが安心ではない、等と何が言いたいのか。少しは言語明瞭な大阪の吉村知事を見習え。

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「小池さんは女に対しても女を利用する」『女帝』著者・石井妙子が語る都知事の正体

2020年06月23日 | 社畜奴隷の二ホン、、世界で稀な勤勉な馬ヵ
要するに、下記時事で言いたいことは<<マスゴミ全般と国民が馬鹿なので小池百合子というタヌキ人間に騙されてきたということ>>

マスゴミや国民が馬鹿なので今後も小池のような人間が多数出てきて社会国家を翻弄するという事。




「小池さんは女に対しても女を利用する」『女帝』著者・石井妙子が語る都知事の正体

6/22(月) 17:00配信
文春オンライン

石井妙子さん

「芦屋令嬢」「カイロ大学を首席で卒業」「ニュースキャスター」。華やかな言葉で来歴が語られる小池百合子。その裏では何をしてでも有名になれという父の教えそのままに、自分の過去を、ときに自らの病や身内の死までをもマスコミを使って「物語」にし、それを広め、そして権力の階段を上ってきた。



 先日20万部を突破したその小池氏の評伝、『 女帝 小池百合子 』(文藝春秋)の著者・石井妙子に話を聞いた。

◆ ◆ ◆
スイッチが入ると、誰もが「小池百合子」を語り続けてしまう

―――発売と同時に大変な話題になっています。どのような反響がありましたか。

石井妙子さん(以下、石井)ネット上では「面白かった」「怖かった」と二つのキーワードが多く見受けられるようです。私自身に寄せられたところでは、「小池さんという人がどういう人物なのか初めてわかった」「今まで疑問に思っていたことが腑に落ちた」「肯定する気にはなれないけれど、がむしゃらに男社会をのし上がっていった小池さんに喝采を送りたい気持ちもある」「憎めない、かわいそうだ」「絶対に政治家にしておいてはならない」等、本当に幅広い感想を頂いています。

 今の政治状況にも若干、影響を与えた面があったようで、とにかく反響の大きさに大変驚いています。

 政治家の暴露本、批判本だと言う人もいますが、私はあくまで小池百合子という人物を調べ、事実を追いかけることを目的としました。先入観を持たずに、とにかく調べうる限り調べて書く。ノンフィクション作家とはそういうものだと思います。批判してやろう、都知事の座から引きずり降ろしてやろう、といった政治的意図をもって書いたわけではありません。

 ですが、そのように読む方がいてもいい。それも読者による、ひとつの受けとめ方です。私の作品はどこまでも読者への問いかけであって、答えを押し付けるものではありません。読者にはそれぞれ自由に読んで欲しいし、著者がそれを邪魔してはいけないと思っています。

―――あとがきには、3年半のあいだに100人以上を取材したとあります。

石井 小池さんを嫌っている人だけを選んで取材したわけではないのですが、厳しい意見を耳にすることが多かった。取材に応じてくれる方というのは、たいていはいいことを言いたいから受けてくれるというケースが多いのですが。

 また、取材をしていて、誰もがスイッチが入ると、「小池百合子」を語り続けて止まらなくなる。ちょうど今、この本を読んでくれた方々がネット上でたくさん感想を語ってくださっていますが、それと似ています。

「女の皮をかぶった男」なんじゃないか

―――そうした人たちは、小池氏について話す機会を待ち望んでいた感じだった?

石井 私が取材を始めたのは4年前の都知事選の直後でした。当時、小池さんの人気はすごく高かった。皆が「小池百合子」に熱狂し、報道も礼賛記事であふれていました。そうした中で取材に来た私のことを「この人はちょっと違うな」と思われたのか、本音を話してくれたように思います。

 公人から市井の方まで、多くの方に会い、ハッとさせられるような「小池百合子」評を聞くことができました。

―――政治関係者が多いなか、女性学、ジェンダー研究者の田嶋陽子氏にも取材しています。

石井 田嶋先生は小池さんが都知事になったときに、記者会見に出て質問されていました。それが印象に残っていて、女性学の研究者として小池百合子をどう見ているかを聞いてみたかった。

 フェミニズムの世界では、父親の持つ男性の価値観をそのまま受け入れる女性を「父の娘」と呼ぶそうなのですが、小池百合子は「父の娘」だ、と。そして女性の都知事が誕生するのは歓迎すべきことだけれども小池さんでは喜びきれない、この人は本当に女なのか、「女の皮をかぶった男」なんじゃないかと田嶋先生は話してくれました。
小池は男性社会によって生み出された「スター」

―――同じ女性として、小池氏をどう見ますか?

石井 男性社会によって生み出された「スター」だと思います。日本の社会の歪みや弱点を巧みに衝いて飛躍してきたのではないでしょうか。女性が活躍する新しい社会の代表者として見られていますが、そうではなくて、むしろ古い男性社会が生み出した偶像であるように思えるのです。古い価値観の終焉の象徴ではないか、と。それが男性でなく女性の小池さんなのが面白い。

 しかし、その一方で、テレビからネットの時代に移行し、外見の良さや雰囲気や饒舌さといった種類の自己アピール力がますます重視される世の中になっていくのだとしたら、「小池百合子」的存在は今後も増えていくのかもしれない、とも思いました。

 彼女が表舞台から退場したとしても、彼女を生み出した土壌そのものが変わらなければ、次々と「小池百合子」的人物が誕生するでしょう。

―――「古い男社会の偶像」として小池氏をみると、義理人情の二階俊博氏と人を切り捨てる小池氏、真逆の二人が上手くいく理由が見えてきます。

石井 二階さんは古い男社会の典型的な「オジサン」ですよね。小池さんはこういった昭和的な男性を御すことには長けている。若い時から、そうした年上男性たちに引き立てられてきたわけですから。小池さんにとっては、自分よりも若い安倍総理より、二階さんのほうがずっと扱いやすいのでしょう。

 小池さんは4年前の都知事選で、「リーダーが女性になることで社会が変わる」「古い政治を新しく」「おっさん政治との決別」と叫んで当選しました。しかし、実際には、今でも「おっさん政治」の象徴である二階さんに庇護を求めて、恩恵に与っているのが小池さんです。まったく矛盾しているわけですが、誰も、それを問題視しない。

―――『 女帝 』にある、小沢一郎氏と無理やりデュエットする逸話などもそれですね。

“山口敏夫の長男の結婚披露宴に呼ばれた小池は、むりやり小沢をステージにあげるとデュエットの相手をさせ、皆の前で「瀬戸の花嫁」を歌ってみせた。”(本文より)

石井 ぴたりと若い小池さんに寄り添われて、小沢さんのほうが緊張して大汗をかいていた(笑)。テレビ界にいた時から、どうすれば年上の、権力を持つ男性に近づけるか、気に入られるかを熟知している。力を持つ男性に接近し、ポジションを得ていく。

 男が人事権を握っているのだから、そうするしかないということなのかもしれませんが、では、政治家の実力とは何で測られるべきなのか。政治家の本質とは何なのか。そうした問いにもつながっていきますね。

女性に対しては「共感しあえるわよね」と売り込む

―――男性同様に、女性たちも小池氏にもてあそばれます。

石井 必要に応じて、小池さんは女性に対しては「女同士だから共感しあえるわよね」という感じで自分を売り込んでいきます。男性には女性に対する幻想があるけれども、女性にもやはり女性に対する期待や幻想がある。

 築地女将さん会の方がはっきりと言っていましたけども「女の人だから、価値観を共有できる」とか「男の政治家のように経済優先で市場問題を考えないはずだ」、あるいは「子どもを育む性として、食の安全や健康を男性より重視するはずだ」と思ったそうなんです。小池さんも、そうした発言を盛んにしていましたから。でも、それは見事に裏切られるわけです。

 小池さんは女性に対しても「女」を利用した。女も男も、小池さんが女性であるということに捉われて、彼女の本質を見極められなくなっているのかもしれません。
「小池百合子」を生んだ原風景

―――その本質について聞きます。政治家には政治家を志す原体験・原風景があるものですが、小池氏の場合は?

石井 彼女自身は「若い頃にエジプト留学して第四次中東戦争にまきこまれ、それが国家とはなにかを考えるきっかけになり、政治家を志した」「乗る予定だった飛行機がイスラエル軍に撃ち落とされて全員死亡した。その時から、国家にとっていかに領土を守ることが重要であるかを考えるようになった」というような話をしていますが、眉に唾して聞かなくてはなりません。

 戦時下といっても、実際はカイロ市内で日常生活にそう支障はなかった。弾が飛び交うような戦場になったわけではないんです。しかし、彼女はカイロ大学では匍匐前進をならったといった、あり得ない話をする。厳しい戦争を体験した、特異な経験をした強運の持ち主だと人に信じさせたかったのでしょう。これらは彼女によって作られた幻の「原風景」ですね。

―――では、実際のところの原体験・原風景は何だと思いますか?

石井 小池さんが生まれ育った芦屋は階級差の激しいところです。家庭環境も複雑で、父親はしょっちゅう問題をおこして金銭的にも苦労が絶えない。それなのにお嬢さん学校に入られてしまった。つらかったと思います。

 そうした少女時代からのいろいろなコンプレックスとか屈辱感とか、そういう前半生で味わった辛酸みたいなものがずっとあって、後半生で自分の前半生を取り戻そうとしている、あるいは自分に与えられた宿命に必死で抗っている、そういう感じがします。

 ですから、そこには「自分」しかないわけです。国をどうするかとか、そういったことが動機になっているのではなくて、自分が高みにいってみんなを見下ろす存在になりたいという欲求が強くある。だから総理を目指しているとしても、実現したい政策や国家観といったものを持っているとは思えない。

マニキュアのエピソードは複数人に確認

―――阪神大震災の被災者が議員会館の小池のもとまで来たときのエピソードを思い出します。

“窮状を必死に訴える彼女たちに対して、小池は指にマニキュアを塗りながら応じた。一度として顔を上げることがなかった。女性たちは、小池のこの態度に驚きながらも、何とか味方になってもらおうと言葉を重ねた。ところが、小池はすべての指にマニキュアを塗り終えると指先に息を吹きかけ、こう告げたという。

「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます?  私、選挙区変わったし」”(本文より)

石井 にわかに信じられない話ですが、もちろん複数の人に確認しています。そういう話は噂になって広がっていくのですから、政治家である小池さんにはなんの得にもならないと思うんです。

 それでもやってしまう、やらずにいられないのは抑えがたい欲求に衝き動かされてしまうからでしょう。わざと相手に嫌な思いをさせる、ことさらに相手を傷つける、なんでそういうことをするのかなと思いますが、やはり自分が上だということを確かめたくて、そうしてしまうということなのかもしれません 。

 高い地位に就いたことを、下の人を踏みつけることでしか実感できないのなら、本当に不幸な人です。 やりたい政策を実現して喜びを感じるのが政治家の本来あるべき姿だとおもいますけれども、そういうものは最初からないのではないでしょうか。
ひとりは総理夫人で、ひとりは東京都知事

―――石井さんはここ数年、小池氏について書く一方で、安倍昭恵氏についても月刊誌に書かれています。

石井 小池さんを最初に書いたのは『新潮45』で、同じ頃に月刊『文藝春秋』からは安倍昭恵さんを書かないかと話がきた。それで二人を同時に取材・執筆を進めたことで、比較しながら考えることができました。

 昭恵さんはお嬢さん育ちで、安倍晋三と結婚したら夫がどんどん出世していって、気づいたらファーストレディになっていたという人です。一方小池さんは自分ひとりで男社会をのし上がっていくわけです。

 ひとりは総理夫人で、ひとりは東京都知事。女性としては、それぞれ社会的には高い地位にいる、今の日本を代表する象徴的存在、それが安倍昭恵であり、小池百合子であるわけです。

 戦前からの、女性解放の長い歴史を経て、建前上は男女平等だと言われるようになって、この現実をどう受け止めたらいいのか。

二人の共通点は「思いつきで周囲を振り回すこと」

―――昭恵と百合子、対照的な二人です。

石井 タイプはまったく違いますけども、周囲におよぼす破壊力では甲乙つけがたい。昭恵さんは無意識のうちに周囲をまきこんで、自殺者が出るような事態をつくってしまう。小池さんは意志を持って報復したり、人を陥れる。

 二人にはあまり共通点はないのですが、ひとつだけ似たところがあります。それは、空虚さです。地に足がついておらず、深い考えなく、思い付きでやりたいことをする、その結果、周囲は振り回される。

 昔から言われるのが「女は社長夫人になるのが幸せか、女社長になるのが幸せか」。昭恵さんは前者で、小池さんは後者です。しかし、昭恵さんのようになりたい、とも、小池さんのようになりたい、とも若い女性たちは思わないのではないでしょうか。

―――『 女帝 』を読むと、小池氏は女性の人気を得ようと私生活を売りものにします。

石井 小池さんは、常に自分をどう宣伝するか、と頭の中で考えて生きている。自分の身になにかが起きたり、自分の周辺になにかが起きたりすると、真っ先にどうすればそれを自己宣伝にできるかを考えてしまう。これは小池さんの性(さが)です。

 自分の身内が亡くなっても、自分が病になっても、家を建てるというときも、まず、どうやったらマスコミに取り上げられるかを考えてしまう。不幸なことだと思います。
「密です」に見る魅力的な発言、仕草

―――病といえば、コロナ対策では小池氏の柄物のマスクが注目されたり、マスクをとって「あ、リップ忘れちゃった」と言ったりしたのが注目されました。

石井 おちゃめな感じを出すので、深刻なコロナ問題もなんだか軽く見えてしまう。自分の魅力を振りまく術に長けていて、魅力的な発言や仕草が自然とできる。「密です」とか。

 テレビ界で仕事をしていたので服装など見た目が与える印象がどれだけ大きいかをよくわかっている。外見にこだわるのは子供時代の家庭環境に由来する。

 さらにテレビ界に入って竹村健一さんから「何をしゃべるかよりも、どういう服装をするかとかネクタイがどうとか、そういうところを視聴者は見ている」と叩き込まれる。だから中身よりも外身、どう見えるか、どんな印象を視覚的に与えるかを政治家になってからもとても意識している。

―――公約の「七つのゼロ」なども軽いですね。おまけに実現もしない。

石井 実行できないことも平気で口にしてしまう。「満員電車ゼロ」のために2階建て電車を走らせますとか、本当に真剣に政策を考える人だったら、とても言えない内容だと思います。

 しかし、小池さんだけを責められないとも思うんです。現在の政治報道、選挙報道は、報道と言えるのでしょうか。政策論争もさせず、記者は政局ばかりを追いかける。かたちだけの記者会見でぬるいやりとりをして、それで選べと言われても、候補者の考えや人となりは、まったく伝わってこない。

 だから、有権者は見た目や知名度や、話し方といった、表面的なものだけで適当に票を投じるわけです。何時間にもわたる徹底した討論などをやればいいと思うんですけど。そうしたら、メッキは剥がれるわけで、本質が見えてきます。


社会が変化しなくては、第二、第三の「小池百合子」が登場する

―――小池氏は政策やその実行よりも、自分の過去を「物語」にして広めることで上昇してきました。

石井 私が本作を書く中でより感じたのは、小池さんを生み出してしまった土壌の問題です。「小池百合子」は、誰によって作られ、生み出されたのか。共犯となったのは、日本のメディアです。しかし、さらに言えば、日本社会が、彼女を生み出し育て上げたんです。小池百合子個人の責任だけでなく、彼女をここまでにした背景を浮き彫りにし、そこにある問題を見つめなければ意味がないと思いながら執筆しました。

 言葉を発すればそのまま記者が記事にしてくれる。「カイロ大学卒、首席」にしても、誰も疑わず記事にしたわけですよね。メディアが「本人が言っていることだから」とそのまま活字にしてしまう、活字になればそれが事実として定着して広がっていく。雑誌はどこか柔軟なところがあって、ぱっと宗旨変えしますが、新聞やテレビは意地でも自分たちの非を認めないところがあるように見えます。

「小池百合子」に誰が石を投げられるのか。この土壌そのものが変わらなくては、社会が変化しなくては、次から次へと第二、第三の「小池百合子」が出てくるのでしょう。
「書くことの罪」と「書かぬことの罪」

―――あとがきにノンフィクション作家は「書くことの罪」と「書かぬことの罪」を背負っていて、後者の罪をより重いと考え、『 女帝 』を執筆されたとあります。

石井 人のプライベートな領域に踏み込んでいくことは、書き手にも覚悟が要ります。とても辛いのです。ここまで書いていいのか、その都度、悩みます。 だからこそ、この人の生涯を書くことで、何を伝えられるのか、何を提示できるのか。よくよく考えてから執筆するようにしています。

 書くことの辛さに心が折れて、途中で辞めてしまったノンフィクション作家もいます。書いた内容に非難が殺到し、筆を折った作家もいます。 取材には時間もお金もかかる、何よりも取材過程では人間を相手にするわけですから気苦労は絶えません。

 しかし、調査報道や、事実の追求をしなくなったら、どんなマイナスが社会にあるのか。事実を知る立場にありながら、それを伝えないこともまた、罪深いことです。

 取材に協力してくださった方々と並んで、本を購入してくれた読者に私は今、深く感謝しています。

 読者が本を買ってくれると、それは選挙の一票ではありませんが、支持を得たということで、必ず出版の現場にはねかえる。読者は本を買うことで編集の現場に影響を与えているのです。

 出版物の傾向を変えられるのは、読者だけです。「ノンフィクションは売れない」、「厚い本は売れない」「評伝は売れない」等と、出版界では言われ、ノンフィクションは、縮小傾向に置かれていたのですが、読者がそうではないと教えてくださいました。



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小池都知事「カネと男」のスキャンダル 「極左暴力集団」「闇金業者」とも交際

2020年06月23日 | 政治社会問題
小池都知事「カネと男」のスキャンダル 「極左暴力集団」「闇金業者」とも交際

6/23(火) 5:59配信
デイリー新潮
「俺のオンナだ」パトロンの紹介で「極左暴力団」ドンとも交遊 「闇金業者」から違法献金!  「金庫番秘書」は不動産錬金術で本誌(「週刊新潮」)に敗訴

小池百合子都知事

 小池知事はクリーンなイメージをまとい、それが人気の一因ともなってきた。しかし、来し方を子細に見ると、聞き流せない過去も。「カネと男」にまつわる「小池研究」。

【写真】“一家心中する”に泣きじゃくった小池百合子…「父」との知られざる関係

 ***

 小池知事は大学時代に同窓の日本人男性と結婚しているが、半年程で離婚。その後はさまざまな大物男性との“寄り添い”が報じられてきたけれど、

「ほとんど知られていませんが、百合子はキャスターをしていた80年代半ばから、15歳ほど上の、都内の広告代理店の社長に面倒を見てもらっていたんです」

 と言うのは、双方を共に知る、古くからの知人。

「ある時、社長から“会わせたい娘がいる”と言われて赤坂の料亭に行った。俺のオンナを紹介する、とばかりにね。そしたらいたのは百合子。えっ、とビックリした記憶があります」

 この社長は幅広い人脈を誇り、大物政治家や財界人、時にはヤクザとの交友を吹聴していた。とりわけ、

「あの松崎さんとはベタベタの関係でした」

 とは業界関係者。松崎さんとは、JR東労組の会長だった松崎明氏(故人)のこと。氏は「極左暴力集団」と当局に認定されている「革マル派」のドンでもあった。そして、

「社長は松崎さんの口利きで、JR新宿駅東口にあったイベントステージの管理運営を請け負い続けていた。おいしい利権でした」(同)

 というから、随分な「やり手」である。

 その社長と小池氏が出会ったのはパーティーがキッカケ。すぐに“昵懇”となり、

「電話はしばしばで、社長の会社にも出入りしていた。中でも驚いたのは、百合子が代表を務めていたファミリー企業の役員に、この社長を入れていたことです。この会社は所在地が当時の百合子の自宅で、役員も他には彼女のお母さんだけ。そこに名を連ねるということは、余程深い仲なんだろう、と」(先の知人)

 それほどの仲だから、小池氏と松崎氏の間に関係が生まれるのも当然で、

「松崎さんの出版パーティーの司会を百合子がしていました」(同)

 結果、彼女は「極左暴力集団」の広告塔を務めてしまったというワケだ。

 が、社長との関係は、彼女が政界に入って出世し、新たな庇護者を得る中で解消されていったといい、

「4年くらい前かな。社長に“百合子とはどうなった?”と聞いたら“とっくに別れた”“政治家はとにかく金がかかるよ……”とこぼしていました」(同)

 社長は3年前に世を去り、会社も閉鎖。しかし、知事にとって、あまり触れられたくない“過去”であることは間違いないだろう。

当選翌日に…

 秘められた醜聞は「カネ」にもある。

 グリーンがイメージカラーの小池知事だが、実はカネにはブラックで、知事に就任後、本誌に二つのスキャンダルを報じられているのだ。

 一つ目は、彼女の金庫番を務めていた元秘書、水田昌宏氏にまつわる話。

 水田氏は2016年8月、千代田区にある所有物件などを担保に、みずほ銀行から3億3千万円の融資を受けた。しかし、この物件の資産価値は2千万円ほどしかなく、融資を受けたのは小池氏の知事当選の翌日。しかも、みずほ銀行は東京都の指定金融機関……。実にきな臭い。このカネを何に使おうとしていたのだろうか。

「この融資には当初、小池氏と水田氏が共同所有していた練馬区の物件(現在の知事の自宅)も共同担保として入れられ、それゆえになされたものでしたが、この担保が融資同日付で解除されるという不可解な経緯がある。小池氏の承諾なしには行えない取引であることは間違いない」(事情通)

 記事掲載後、水田氏は新潮社などを提訴したが、全面敗訴し、控訴すらしなかった。

 加えて、二つ目の疑惑は、より単純でかつ悪質だ。

 小池氏は12年、池袋で不動産業を営む男性と知り合った。男性はもともと石破茂元幹事長の後援者。小池氏にその年の自民党総裁選で石破氏を支援することを要請し、承諾を得る。その見返りなのか、「長い付き合いになりますし、パーティー券は何枚でもお引き受けします」と約束し、実際、12年と13年、小池氏主催の政治資金パーティーのチケットを200万円ずつ購入している。しかし、彼女はそのことを自らの政治団体の収支報告書に一切記載しなかったのである。

「報告書の不記載と、パーティー券購入の上限オーバーで、政治資金規正法に抵触します」(さる弁護士)

 しかも、この業者は、「無登録で高利のカネを貸し付け、暴力団との交際もある」(地元関係者)いわば「闇金」なのだが、この件について、彼女は一切口をつぐんだままなのである。

 築地移転の迷走、「希望の党」の惨敗で一度は失速したものの、再びスポットライトを浴び、再選に驀進する小池知事。

 しかし、その真の「履歴書」を辿れば、看過できないことばかり。自分を高く売る「女城主再び」ならば、更なる混乱は必至で、都民は高い「請求書」を突き付けられそうである。

「週刊新潮」2020年6月18日号 掲載


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