GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「さあ、振り返ろう!」

2009年07月01日 | Weblog
通り過ぎてしまってから振り返った時、多くのことが客観的に見えます。

大学の頃私のオリジナル曲「さあ、振り返ろう!」というおかしな曲名の歌を日比谷の野外音楽堂でクラブ全員で歌ったことがあります。あまりに妙な歌詞で恥ずかしくて、ここで披露することができませんが…。

自分を分析する時、自分自身を洞察する時、
振り返ることはとても大切なこと、とても必要なことだと今でも思っています。


私が歴史物の本やTV大河ドラマを好きな要因もそのあたりにありそうです。
そこには原作者や脚本家の分析力・洞察力が反映しています。
「篤姫」の脚本に今までにない共感を覚えましたが、
今年の「天地人」には、あまり共感できないでいます。
それは今までの戦国武将には見られない特異な上杉謙信や直江兼続の言動から分析・洞察して生まれた、脚本に原因があるようです。つまり自分の感性では納得できないセリフや展開だからです。

たとえば、 第18回の「義の戦士」の展開です。
信長の軍勢に包囲された越中・魚津城では、吉江、安部らが必死に防戦していた。景勝は魚津へ向かおうとするが、越後を手薄にすることはできず、苦渋の思いで踏みとどまる。兼続は苦肉の策として、一旦魚津に援軍に向い、敵が越後領内に入ったところで急きょ引き返して討つ、という奇襲作戦を考案。景勝と泉沢のみに話す。景勝もこれを了承し、出陣の命を出す。上杉軍は魚津側の天神山に陣をかまえる。そこに敵軍が越後領内に進軍したとの知らせが入り、兼続は一同に作戦を打ち明ける。反発、動揺する上田衆たちを景勝とともに説き伏せた兼続は、魚津城本丸に乗り込み、ろう城組に降伏するよう説得する。しかし、吉江も安部も上杉の侍として武士道を貫きたい、と拒否。兼続に上杉の未来を託して城に残る。兼続と景勝は吉江らの思いを胸に、急ぎ越後へ引き返した。

この内容は本当に史実なのか?
実際に家老の職にいた兼続が戦場真っ直中の魚津城に向かったのか?
しかも、説得できずに大切な部下を見殺しにしたのか?
この兼続の言動に共感を覚えられないのです。

今日、映画「ハゲタカ」を見てきました。
2007年のTVドラマではピカイチだった「ハゲタカ」の4年後の日本を描いた映画版です。 
最後にこんな印象的なセリフが出てきます。
「世に中には二つの地獄がある。一つは金のない地獄。もう一つは金のある地獄」
(「天地人」にはこのような説得力のあるセリフがあまりありません)
映画の出来はTVを超えられませんでしたが、このセリフはとても心に残りました。
中国政府をバックにした赤いハゲタカからTOB(株式公開買付けのこと)を仕掛けられた会社社長が主人公のファンドマネジャー鷲津に救いを求めて来ました。しかし、社長は状況が悪くなってきて、鷲津を切り赤いハゲタカと手を組みます。鷲津は戦う相手の赤いハゲタカの原点(生まれ・育ち)を知ろうと部下を彼の故郷に送り込みます。そして彼の本質を見抜いていきます(「敵を知り己を知らば百戦危うからず」)。しかし、会社社長の選んだ赤いハゲタカの行動は、結局裏目に出て自分の社長としての地位を失うことに……。

映画を見終わってこんなことを思いました。
結局人生は、「誰を選ぶか」で決まるのではないだろうか。

人は長い人生で多くの選択をします。
幼い頃は、どんな遊びを好んだか。
どんな友人や異性(同性)を選んだか。
どんな学校を選び、どんな仕事、どんな気持ちで会社を選んだか。
そして誰の言動を信じ、誰を心の上司と選んだか。
政治家の何を信じて投票し、政界に送り込んだのか。

その時々の行動の集積に自分の本質があります。
「さあ、振り返ろう!」という意味はここにあります。

今、あなたのそばに誰がいますか?
その人を心から信頼していますか?