「遼君、予選堕ち」
毎日新聞から抜粋。
『強風の中で「今日はアグレッシブに攻める日ではない」と決めていたが、後半はそれが守れなくなっていたという。攻めのゴルフを信条とする石川も、この結果には「パーを取っていこうという勇気がなかった。そういう勇気も必要です」と唇をかんだ。
4月のマスターズ(米国)に続くメジャー予選敗退。しかし、ゴルフ発祥の地での鮮烈な体験とあこがれのウッズとの2日間にわたる初対戦は、石川に更なる成長への強いモチベーションを与えたようだ。
「この悔しさを思い出し、日本に帰って練習を重ねたい。どれだけ自分に厳しく打ち込めるかです」。石川は自らに課題を与えた。
<タイガーも予選堕ち>
『 致命傷になったのは、石川と同じく10番。3番ウッドでティーショットを放った瞬間、ウッズは「しまった」という表情を見せた。ボールはギャラリーを越えてひざ丈まである右のラフへ。大勢の人たちが捜したが見つからず、打ち直しの暫定球でプレーを再開。しかし、この第4打までグリーンに遠く及ばなかった。
「ミスにミスを重ねてしまった」。ウッズはそう振り返ったが、このホールをダブルボギーにすると、13番(パー4)でもダブルボギーを繰り返した。
「最後の4ホールをバーディーにしなければならない」。予選敗退という不名誉な結果は何としても避けたかったウッズ。しかし、16番(パー4)と17番(パー5)ではバーディーを奪ったものの、決勝進出には及ばなかった。』(毎日新聞より)
二人とも風と雨という自然との戦いに敗れました。同じ組を回っていたウェストウッドはイーブンパーの-2で終えました。この対比が実にゴルフというスポーツを象徴しています。同じ状況下でも自分のゴルフに徹した英国出身のウェストウッドは、日本で3勝して一躍海外での活躍が目立つようになりました。周囲に決して惑わされない強い精神力を持っていました。それを遼君はすぐそばでとてもいい姿を見たはずです。
ラウンドレポーターをしていた羽川プロはこのようにコメントしていました。
「10番のダブルボギーは仕方ないと思いますが、その後のボギー連発はもったいないですね。一つのミスで流れが変わってしまうのがゴルフですが、今回の石川選手はその怖さを知ることになってしまったはずです。石川選手の場合は、荒れ狂うタイガーの感情むき出しのゴルフに気遣い、自分のゴルフをすることができなくなっていました。注目選手どうしのペアリングがもたらす最悪の結果、共倒れという結末を迎えることになってしまったのです。」
私もそのように見えました。タイガーのロストボールを捜す時間、心も体も冷え切っていったように思えてなりません。あんなに酷いタイガーを間近に見ながらゴルフの恐ろしさを痛感していたはずです。あのとき、まさか自分の予選突破の危機など考えもしなかったはずです。
タイガーは暫定球を打ちましたが、あんなに安易に打ったタイガーを見たこともありません。強靱の精神力をもってしても、初日からの自分の酷いゴルフに怒り心頭に達していたように見えました。当然遼君に同じように見えたはずです。
10番、ブッシュから打ったボールがバンカーの中のブッシュ。打てないことを確信して、アンプレアブルを宣言して手前から4打目を放ちますが、寄らず入らず、ダブルボギーとなりました。打ってはいけないドライバーを打ったり、抑えて3番を使ったにも関わらず、ランして330ヤードも転がり、入るはずのないバンカーに。その後も寄らず入らずが続き、バーディーが一つがやっとでした。
あのような場面を今までのメジャー大会で何度も見てきました。見ていて遼君が経験少ない少年だけに、痛々しく思えました。しかし、誰もが1億円を超える優勝賞金を狙ってしのぎを競うプロの世界なのです。周囲の雑音や気まぐれな自然に一喜一憂していては絶対に優勝には届きません。
勝負の世界に「もし」など存在しませんが、タイガーがいつものようなプレーを見せていれば、遼君はきっと食い下がりながらいいプレーを見せてくれたのではないかと思っています。
この2日間でいずれメジャーを取るだろウェストウッドと自分との違いを目の当たりにしたに違いありません。何が自分に足りないかを学んだだずです。
もう一つ、見ながら再確認したのは、崩れそうになるのと止める、大事な短いパーパットです。遼君の11番のパーパットもそうでした。今までは入っていたにも関わらず、左に外しました。打ち急ぎです。その後も同じように外してしまいました。
「絶対に入れるべきパット」というのがあります。
スリーパットを防ぐ、返しのパットや寄せワンのパットです。これを入れ続けているうちに、長いバーディーが入る場面が訪れます。この辺りがゴルフの醍醐味であり、ゴルフに人生を感じるという人がはまっていく要因でもあります。
まず、堪えうるだけの体力、そして精神力が勝負を決めるのがゴルフです。どこか人生と似ていると思っています。最後はいつも自分との戦いだからです。遼君は崩れて怒り狂うタイガーを間近に見、周囲の雑音にも一切影響されない強靱な精神力を持ったウェストウッドを間近に見たのです。それは、将来のために、目の前の1勝を勝ち取る以上の価値があったのではと思っています。人並みはずれた素直さと謙虚さを兼ね備えた遼君の今後に期待したいと思っています。
毎日新聞から抜粋。
『強風の中で「今日はアグレッシブに攻める日ではない」と決めていたが、後半はそれが守れなくなっていたという。攻めのゴルフを信条とする石川も、この結果には「パーを取っていこうという勇気がなかった。そういう勇気も必要です」と唇をかんだ。
4月のマスターズ(米国)に続くメジャー予選敗退。しかし、ゴルフ発祥の地での鮮烈な体験とあこがれのウッズとの2日間にわたる初対戦は、石川に更なる成長への強いモチベーションを与えたようだ。
「この悔しさを思い出し、日本に帰って練習を重ねたい。どれだけ自分に厳しく打ち込めるかです」。石川は自らに課題を与えた。
<タイガーも予選堕ち>
『 致命傷になったのは、石川と同じく10番。3番ウッドでティーショットを放った瞬間、ウッズは「しまった」という表情を見せた。ボールはギャラリーを越えてひざ丈まである右のラフへ。大勢の人たちが捜したが見つからず、打ち直しの暫定球でプレーを再開。しかし、この第4打までグリーンに遠く及ばなかった。
「ミスにミスを重ねてしまった」。ウッズはそう振り返ったが、このホールをダブルボギーにすると、13番(パー4)でもダブルボギーを繰り返した。
「最後の4ホールをバーディーにしなければならない」。予選敗退という不名誉な結果は何としても避けたかったウッズ。しかし、16番(パー4)と17番(パー5)ではバーディーを奪ったものの、決勝進出には及ばなかった。』(毎日新聞より)
二人とも風と雨という自然との戦いに敗れました。同じ組を回っていたウェストウッドはイーブンパーの-2で終えました。この対比が実にゴルフというスポーツを象徴しています。同じ状況下でも自分のゴルフに徹した英国出身のウェストウッドは、日本で3勝して一躍海外での活躍が目立つようになりました。周囲に決して惑わされない強い精神力を持っていました。それを遼君はすぐそばでとてもいい姿を見たはずです。
ラウンドレポーターをしていた羽川プロはこのようにコメントしていました。
「10番のダブルボギーは仕方ないと思いますが、その後のボギー連発はもったいないですね。一つのミスで流れが変わってしまうのがゴルフですが、今回の石川選手はその怖さを知ることになってしまったはずです。石川選手の場合は、荒れ狂うタイガーの感情むき出しのゴルフに気遣い、自分のゴルフをすることができなくなっていました。注目選手どうしのペアリングがもたらす最悪の結果、共倒れという結末を迎えることになってしまったのです。」
私もそのように見えました。タイガーのロストボールを捜す時間、心も体も冷え切っていったように思えてなりません。あんなに酷いタイガーを間近に見ながらゴルフの恐ろしさを痛感していたはずです。あのとき、まさか自分の予選突破の危機など考えもしなかったはずです。
タイガーは暫定球を打ちましたが、あんなに安易に打ったタイガーを見たこともありません。強靱の精神力をもってしても、初日からの自分の酷いゴルフに怒り心頭に達していたように見えました。当然遼君に同じように見えたはずです。
10番、ブッシュから打ったボールがバンカーの中のブッシュ。打てないことを確信して、アンプレアブルを宣言して手前から4打目を放ちますが、寄らず入らず、ダブルボギーとなりました。打ってはいけないドライバーを打ったり、抑えて3番を使ったにも関わらず、ランして330ヤードも転がり、入るはずのないバンカーに。その後も寄らず入らずが続き、バーディーが一つがやっとでした。
あのような場面を今までのメジャー大会で何度も見てきました。見ていて遼君が経験少ない少年だけに、痛々しく思えました。しかし、誰もが1億円を超える優勝賞金を狙ってしのぎを競うプロの世界なのです。周囲の雑音や気まぐれな自然に一喜一憂していては絶対に優勝には届きません。
勝負の世界に「もし」など存在しませんが、タイガーがいつものようなプレーを見せていれば、遼君はきっと食い下がりながらいいプレーを見せてくれたのではないかと思っています。
この2日間でいずれメジャーを取るだろウェストウッドと自分との違いを目の当たりにしたに違いありません。何が自分に足りないかを学んだだずです。
もう一つ、見ながら再確認したのは、崩れそうになるのと止める、大事な短いパーパットです。遼君の11番のパーパットもそうでした。今までは入っていたにも関わらず、左に外しました。打ち急ぎです。その後も同じように外してしまいました。
「絶対に入れるべきパット」というのがあります。
スリーパットを防ぐ、返しのパットや寄せワンのパットです。これを入れ続けているうちに、長いバーディーが入る場面が訪れます。この辺りがゴルフの醍醐味であり、ゴルフに人生を感じるという人がはまっていく要因でもあります。
まず、堪えうるだけの体力、そして精神力が勝負を決めるのがゴルフです。どこか人生と似ていると思っています。最後はいつも自分との戦いだからです。遼君は崩れて怒り狂うタイガーを間近に見、周囲の雑音にも一切影響されない強靱な精神力を持ったウェストウッドを間近に見たのです。それは、将来のために、目の前の1勝を勝ち取る以上の価値があったのではと思っています。人並みはずれた素直さと謙虚さを兼ね備えた遼君の今後に期待したいと思っています。