GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「努力が報われる」43%

2009年08月21日 | Weblog
大学生「努力が報われる」43%  

ベネッセコーポレーションが全国の大学生4070人に行ったアンケート結果の一部です。

(格差社会の状況)
「日本は競争が激しい」79%
「努力が報われる社会」43%
「仕事を通じて社会に貢献することは大切」84%
「仕事より自分の趣味や自由時間を大切にすべきだ」75%

(大学生活で身についたこと)
「人と協力しながらものごとを進める」67%
「自ら先頭に立ってグループをまとめる」37%

(就学状況)
授業の出席率は87%
1週間の平均通学日数は4・4日
週に3時間以上「授業の予復習をする」27%
「授業以外の自主的な勉強をする」19%


1976年当時、私の就活の条件は2点でした。
1)将来伸びる業界・産業。
2)上場前でしかも、上場できる可能性の高い会社。


 自分のやりたい仕事、好きな仕事、やりがいを感じる仕事、努力が報われる仕事など考えたことは一度もありませんでした。どんな仕事もそれなりにきつい、楽な仕事などないと思っていたので、どのちみち堪え忍ぶのなら将来性のある産業、一部上場できる会社を選ぼうしていました。大学4年の4月から私の産業・会社選びが始まりました。当時流通業が大きな伸びを示していました。ダイエーやヨーカドー、西友の大手スーパーが百貨店を猛追していました。今後の興隆も間違いないと思われました。しかし、3社とも上場していました。

 他にないのか? そう思いながら調べているうちにヨーカドーグループの設立3,4年目のD社が、米国のレストランチェーンと組んで日本でファミリーレストランを展開するという情報を得て、当時千代田区になった小さな会社事務所に乗り込みました。人事担当部長だったO氏と直々に話をして、これからの外食産業がいかに伸びる業界であるかと確かめたのです(その頃の外食シェアは9兆円で家電と同じ位でした)。これから20年の間に間違いなく30兆円くらいには伸びるだろうとその部長は明晰そうな話し方で説明を受けました。私はこの部長の言葉を信じました。つまりその部長が信頼できると思ったのです。一対一で決める、これがそれからの私の信条となりました。

これで産業は決まった。外食産業だ。

次は会社でした。候補を3つに絞りました。

 ヨーカドーグループのD社、そして「すかいらーく」ともう一社はもっと規模の小さい神奈川県で展開していた「ズムズム」というステーキチェーンでした。すかいらーくの横川氏(四兄弟の誰か)からも直に話を聞きました。厨房の長である料理長と店長は同等の地位だと聞かされました。(今では<ハンバーグ&エビフライ>のメニューはファミレスの定番ですが、すかいらーくが考案)このとき私はレストランの知識や経験はまったく白紙でしたが、お客様と接する店長の地位が料理長と同じではおかしいと真剣に思ったのです。厨房経験によって調理師を目指す人とフロアサービスを学んでマネジャーを目指す人。これでは店内が2分されるという危惧も感じました。

 D社は店長が最高責任者で厨房には職人を入れず、高卒・大卒がフロアー厨房を経験して店長となる人事システムでした。つまり店長は店舗運営の全てに精通していることによって店内を掌握できる。この方が道理に合っていると私は思いました。

 もう一つのズムズムは社長の外車(確かクライスラーだったかな)に乗って3店の店回りをしながら話を聞きました。「君を必ず採用する、私が保証する」とまで言っていただけましたしが、その言葉は信用できましたが、会社の将来性には疑問が残りました。ステーキ専門店という限定メニューに危険を感じたからでした。

 私は四次面接を経て、D社から採用通知をもらいました(2社の採用通知はすでにもらえていました)。就職した1977年から31年が過ぎました。D社には12年間勤めましたが、その間一度も辞めたいと思ったことはありませんでした。120名入社した同期が12年後5,6名になっていたことから、いかに肉体的にも精神的にもきつかったことがわかりますが、その入社時点の思いが強ければ乗り切れるのです。

外食産業は1977年の市場規模9兆円から約3倍に伸ばし、
在籍する間にD社も上場も果たしました。(家電業界は今も9兆円規模)



 現在の学生の43%しか報われると思っていないこの状況を聞いて心配になってきました。「報われるかどうか」なんてバカな質問を誰が何の目的で尋ねたのか分かりませんが、そんなことよりこのアスファルトジャングルを、石のビルの立ち並ぶ砂漠の中を生き延びることを最優先に考えるべきだと思います。その為にどの方向に向かうべきなのか、誰のどんな言葉を信じるのか、そして誰を守ろうとするのか。

「仕事と家庭、どちらが大事?」なんてバカな質問するのも私には全くのナンセンスです。そんな質問をする人は常に家庭を最優先にして欲しいと願っているのでしょうが、私のスタンスは違います。それは「水と空気、どちらが大事?」と同じような質問だからです。連れ添いにはそんな質問をする相手を選びませんでした。

 たとえば航海中に嵐にあって無人島に私と家内と幼い子供が流れ着いたとします。食べる物は大きなオニギリが一つ。私ならオニギリを全部自分で食べて、より遠くまで無人島と思える島を探索し、生き延びる手だてを考えようとするでしょう。オニギリを3等分したり家族に分け与えるようなことはしません。家族を守るのは私の責任だからです。そして、私には仕事をするということと、サバイバルと同じことなのです。

 無人島に流れ着いて「努力が報われる」なんて考える人など誰もいないでしょう。それぐらいの気概で社会に出て自分の食い扶持を、家族の食い扶持を稼いで欲しいと思います。贅沢を考えなければ今の日本でなら食っていける仕事は探せます。やりがいは仕事の中から自分で見つければいいのです。失業率は5%を越え、今の日本は就活受難の時期です。私の就活も今と同様に第二次石油ショックの影響と、最後の団塊の世代で200万人近い就活者がいて大変な時代でした。各社はふるい落としに必死でした。四次面接まであったのはそのためです。

「仕事より自分の趣味や自由時間を大切にすべきだ」75%
これもまた心配です。

 そのような人達は、結局、今いる時代が考えようによっては、ジャングルや砂漠と同じような環境であると想像できないのでしょう。頭の何処かに私のような発想が必要な気がします。我々人間は衣類をまとった獣であることを理解しておかねばなりません。街中で出会った人が、どう猛な野獣なのか、それとも人なのかを見分けなければなりません。

 私は一対一で話し合い、見極めることが大切だと思う。向き合った相手をどうみるか。そして、どう対処し、自らを守り、家族を守るのかをしっかりと判断して行かねばなりません。若いうちに一対一のぶつかり合いを数多く体験して人間力(知識を深め、相手を見極め、様々な対処の方法を修得)をアップして行くことを望みます。レストランでのお客様苦情での謝罪の仕方や対処の経験、従業員間のトラブルの仲裁、業者との駆け引き、アルバイト・社員の含めた採用と教育、上司とのコミュニケーションなど、今も飲食を含めたレジャー産業で食い扶持を稼いでいますが、若い頃の経験がどれほど糧になっているか、感謝しない日はありません。

 人に任せるのではなく、逃げないで自分一人で対処して人間力を磨いていって欲しいのです。どんな仕事も人との対処法の基本は同じです。腹を割って相手の話を真摯に耳を傾け、自分の誠実な思いをぶつけるのです。そしてその返ってくる相手のエネルギーを感じ取りながら相手を見極めていくのです。吸収できるものは貪欲に吸収し、与えられるものは与えるのです。ヤクザ対策や苦情処理も従業員教育もみな同じだと思います。すべてはエネルギーのやり取りから何を感じ取ることが大切なのだと思っています。