西野了ブログ テキトーでいいんじゃない?

日々浮かんでくる言葉をエッセイにして・・・・・・。小説は「小説を読もう 西野了」で掲載中です。

「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子さん、そして渡辺あやさん

2009-09-19 20:06:30 | Weblog
前回の続きです。早速、宇和島図書館に行って「ジョゼと虎と魚たち」を借りてきた。分厚い田辺聖子全集の16巻に載っていた。しかしこの分厚い本が20巻以上あって、それだけ見ても、田辺聖子さんはすごいと僕は驚愕してしまうのだ。
 
 さて原作の「ジョゼと虎と魚たち」の話である。面白いし、読んだあともいろいろ考えてしまう余韻のある短編だ。僕は田辺聖子さんの作品といえば、母が結構好んで読んでいたので、中年のおばさんが好む、ユーモアとウィットに富んだ小説と勝手に思い込んでいた。(NHKの連続ドラマ「芋たこなんきん」の影響も多少ある)だめですね、勝手な先入観で物事を判断してしまうのは・・・・・・。   
 原作の「ジョゼと虎と魚たち」は25ページ余りの短編だけども、見事に問題を提起していると思う。ロシアの作家アントン・チェーホフの言葉に「すぐれた小説か否かは、どれだけ作者が問題を正しく提起できたかによる」とある。わかったような、わからないような言葉だが、結局読み手がどう答えを見つけるかということだろう。そういう意味から考えると、原作の「ジョゼと虎と魚たち」は読み手1人ひとりが微妙に違った答えを出す、優れた作品だ。
 
 ところが映画の「ジョゼと虎と魚たち」は物語として完結している! 犬童一心監督と渡辺あやさんは明確にひとつの答えを観客に提示していると僕は感じた。だから小説と映画はまったく別の作品ではないかと、原作を読んだあとショックを受けたのだ。しかしDVDを何回も見返し、原作も数回読み直していくうちに「ん、ん、ん、?」と思うようになった。
 
 驚いたことに借りてきた全集の月報に渡辺あやさんが寄稿している。(冷静に考えればありうる話です)その中に「完全に幸せだった瞬間を墓標にして、思い出は今は深く眠っている。けれども、うっかり開いてしまえば、苦しいような愛しいような、どうにもとらえがたい色合いの感情が溢れ出てしまうー」という文章があった。
 人を愛し、愛された人は渡辺あやさんが言うように、心の奥底に鍵がかかった宝の箱がある。僕たちはいつしか、その宝の箱を忘れてしまったかのように生きている。けれどもその宝の箱の存在が僕たちを僕たちたらしめているのだ。ふとしたことをきっかけにその箱が開いてしまうと、世界の風景は変わってしまう。それは再び世界に恋をしてしまうことかもしれないし、生の中に死を、つまり物語の永遠性を信じることかもしれない・・・・・・。

 僕は田辺聖子さんからも、犬童一心監督・渡辺あやさんからも同じメッセージを受け取ったと思う。
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「ジョゼと虎と魚たち」を観ながらブツブツ言う男

2009-09-16 06:03:40 | Weblog
 「ジョゼと虎と魚たち」を観る。池脇千鶴の演技が秀逸だ。彼女がとてもに可愛くて、その上、演技もこんなに上手だったのと感心してしまった。しかし若い女の子のある時期の輝きというものは、ものすごい吸引力がある。(物理的な力と思えるほどに)それから妻夫木聡は、誠実だがなんとなく頼りない男をやらせたら、やはり絶品です。彼は大河ドラマよりやはりこういった、なよなよしたキャラクターが似合う。妻夫木君が大河ドラマの主役を受けたのは、もしかしてヘタレキャラが定着することを恐れたからではあるまいか?
 どうして僕が「ジョゼと虎と魚たち」をチョイスしたかというと、それは脚本が渡辺あやさんだったからである。実は彼女にいま注目している。「天然コケッコー」もなかなかリアルでよかったが、今回の作品も説得力があり、思わずテレビの画面といろいろ会話していました。ところで50歳の男がテレビとブツブツ会話している状況は傍から見るとかなりデンジャラス? というか不気味?
 しかし最近DVDを借りまくって映画を観てばかりいるが、脚本や演出がいいと、本当に女優さんもいい演技をするのだなぁと感じ入る。俳優さんもほんとうはこんな仕事をしたいのだろう。
 今回の池脇千鶴のジョゼも魅力的だったし、「夕凪の街、桜の国」の麻生久美子も可哀想だった・・・・・・

 ところで、この「ジョゼと虎と魚たち」の原作は田辺聖子さんの短編だと知って吃驚だ。映画は現在風にかなり脚色してあると思うけど、これはぜひ原作の小説も読まねば! と思う。
 僕はこれまで田辺聖子さんの本を一冊も読んだことがないが、食わず嫌いの悪しき弊害だと反省せねばならない。映画を観ただけだが、設定といい登場人物の性格といい「うーん、さすがぁ」と唸ってしまった。人気作家にはそれなりの理由があるのだ。
 題名が「ジョゼと虎と魚たち」とかなりシュールな雰囲気だけど、内容はストレートでリアルなラブロマンスで思わず「泣いてしまうやろ!」です。
 
 しかしあれですね、僕は四国のかなりの田舎に住んでいるのですが、最近DVDで観ている邦画はこっちではほとんど上映されていないような気がする?? 西川美和監督の「ゆれる」、荻上直子監督の一連の作品、河瀬直美監督の「萌の朱雀」などなど、新聞の映画広告では観たことがないような気がする・・・・・・松山あたりではロードショーされたかもしれませんが。これって芸術・文化格差ではないですか。だからかもしれないけどDVDのレンタル屋さんが、休日前夜にお客さんがたくさんいるのも変に納得してしまうぞ。(プンスカ!)
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シュールだが、妙にリアルな荻上直子の作品

2009-09-12 21:53:42 | Weblog
 荻上直子監督作品が好きである。といってもごく最近のことで、「かもめ食堂」「めがね」「恋は五・七・五」「バーバー吉野」の4作品をこの一週間で観た。
 荻上監督の作品はちょっとありそうでない設定が、実は存在するのではと思わせる不思議な説得力がある。
 
「バーバー吉野」では、その街の子供(小学生の男子)はみんな同じ髪型なのだが、そんな街はないだろうと思う。しかしよく考えてみれば、僕の中学校時代、男子はみんな坊主頭だった。当時人口4万人余りだった僕の住んでいる街には、大規模な中学校が2校あった。そしてその2校とも男子はみんな坊主頭だった。つまり、その街の中学生男子はみんな同じ髪型だったのだ! 「バーバー吉野」のチャッチコピーは事実だった・・・・・・

「恋は五・七・五」は関めぐみ主演の俳句甲子園を舞台にした青春映画だ。
 実は僕は甲子園と冠した高校生の大会が好きではない。高校野球の甲子園大会廃止論者でもある。それから文化や芸術に関して順位をつけたり争わせるということも嫌いだ。
 俳句甲子園では詠んだ句に対して、2チームがディベートをするのだが、僕はこのディベートも嫌いだ。(そして僕はゴーヤとピーマンが嫌いだ)俳句や小説など読み手一人ひとりに答えがあると思っているので、ディベートは邪道だと感じる。(もっとも普遍性を獲得した作品はそんなものには無縁だけど)
「恋は五・七・五」にもこのディベートの場面が当然出てくるのだが、荻上監督はここの処理がとても上手い。まだ観ていない人もいるだろうから、ネタばれにもなるので、ここではこれ以上言及しません。

 ところで荻上作品で重要な位置を占めるのが、盟友のもたいまさこである。「恋は五・七・五」では友情出演だったが、他の3作品では主演もしくは主演級の重要な役割を担っている。彼女の、ともかくもう、その異様ともいえる存在感はすごい。日本にもこんな俳優さん(怪優?)が存在したのか! と吃驚である。「かもめ食堂」「めがね」ではこの人が登場すると、その場の空気が変わってしまうほどだ。
 やはり山田洋二には渥美清、荻上直子にはもたいまさこ、そしてカール・マルクスにはフリードリヒ・エンゲルスなのだ!?

 最後に僕の勝手な推測なのだが、荻上監督はかなりの動物好きだと思う。「かもめ食堂」「めがね」「恋は五・七・五」ではその趣味的なところも観ることができて何だか楽しい。動物好きの人は思わず微笑んでしまうカットがあるので、お見逃しなく・・・・・・
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調子の悪いファックスと古いCDラジカセと、そして09.9.10~9.11

2009-09-11 08:57:08 | Weblog
 僕の使用しているファックスはかなり古いので、感光紙を交換するとしばらくは印字されないという、優れもの? である。ファックスは会社からしか来なくて、それらは僕にとってはほとんど喜ばしいものではない。だから何となく嬉しいし、このまま直らなくてもいいや! とさえ思ってしまう。

 CDラジカセはアイワ製だ。僕の古ぼけた頭の記憶によるとこの会社はすでになくなっている・・・・・・(もし違っていたらアイワさん、ごめんなさい)こやつもなかなか業師で、PCでコピーした音楽CDは読み込まないのだ。一生懸命読み込もうと努力するのだけど、キュルキュル、シュルシュルと言っては結局ギブアップする。僕の車といっしょだ。愛車はニッサンのサニールキノで、足回りはなかなかタフでお気に入り。この車に10年以上も乗っているが、こいつもコピーしたCDではダメ出しする。もっとも普通のCDでもときどきスキップしてしまうので、耐用年数が過ぎてしまったのかもしれない。

 話は突然変わるが、先日、荻上直子監督の「めがね」をレンタル屋さんから借りてきて観た。(僕は最近、荻上直子監督のつくった映画を続けて観ている)舞台は与論島で海が信じられないくらい美しい。そしてそこは携帯電話の電波が届かないということになっている。実際はどうかわからないが、映画ではそういう設定になっている。
 僕は最近携帯電話があまり好きではない・・・・・・でも仕事柄必要だし、家族間通話は無料なのでよく利用している。本音を言えば携帯電話が必要ない仕事あれば、それにに就きたいと思う。
 
 そんなことを思いながら、PCのメールの受信トレイをチェックしていると、友人からメールがあった。そのメールは僕に9月11日のことを知らせてくれた。そう明日は、(正確には今日になってしまったが)9月11日だ。2001年のアメリカ同時多発テロから、すでに8年経っている。
 2001年のあの朝、起きてみると奥さんが引きつった顔で「大変なことが起きた」と僕に告げた。衛星放送でテレビに映るその光景を、僕はすぐには信じられなかった。(人間の許容範囲を超える出来事は、かえって現実感がない)だがそのことを契機に僕の世界を見る目が変わっていったことは、まぎれもない事実だ。いや、もしかすると世界の方が変わってしまったのかもしれない・・・・・・

 リアルタイムで膨大な情報が僕たちに飛び込んでくる現在。それは僕たちにとって、よいことなのか悪いことなのか? けれどももうパンドラの箱は開いてしまった。さまざまな通信媒体が発信する情報に溢れた世界にどう対処するかは、もちろん人それぞれだ。ただ、もう僕はそんな世界に疲れてしまっているのかもしれない? だけど僕はPCのキーボードをパタパタ打ち、インターネットで君たちに問いかけている。今を生きるということは結局そういうことなのだろう。クールで味気なくて、そして少し哀しい世界だ。 
 
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ついつい見てしまう新聞の折込チラシとは?

2009-09-06 13:33:20 | Weblog
 僕はほとんど新聞の折込チラシは見ない。折込チラシはだいたい決まっていて、スーパーやパチンコ店のチラシには興味がない。
 しかしこのチラシだけは、毎回見入ってしまう。それは何か? それは健康美容食品(サプリメント? )の広告チラシである。
 まずキャッチコピーがすごい。
「飲む美容整形で全ての女性が確実に20歳若返る!」
「たった2週間であなたは必ず美しく20歳若返る!」
「○×△□で肌細胞が瞬時に甦り、20歳若返る!」
 どのサプリメントも飲めば、なぜか20歳若返るのである・・・・・・

 そしてこれらのサプリメントを使用して美しくなった女性の写真が、またまたすごい。使用前は「私はもう人生にほとほと疲れましたぁ」といったおばさん顔なのだが、30日後にはまるで別人のように美しく若返っているのである。(ここでもなぜか効用が30日後にはバッチリ出る!? )みなさん30日後には、シミはなくなり、お肌もツルツルなのだ。恋する美少女のようになっている! まさに別人です。

 これらのサプリメントの効用についてはとくにここでは問題にしない、というか僕にはわからないし興味もない。僕がいつも目を奪われるのは使用前の女性の写真である。その写真の表情はなんだかもう、ものすごいのである。さきほど人生にほとほと疲れた顔と書いたが、内に秘めたる怒りや呪いといったものすら感じられる写真もある。(たとえば、こんな日本に誰がした! 私はもう怒っているのよ的なもの)そして皆さん、実年齢よりも明らかに老けている。また使用前の写真は髪型は顔全体が見えるようにおしゃれっ気のないアップだし、化粧もしていません。
 ところがさサプリメントを使用して30日後、20歳若返った? 写真ではおしゃれな髪型で(ほとんどロングヘアーでやわらかくウェーブがかかっていて、上品な茶髪)口元には優しげな微笑が浮かんでいる。当然メイクもばっちりで、清楚で健康的なワンピースのファッションも決まっている。

 うーん、これはある意味、特殊メイクよりも上をいくのではないかと思ってしまう。そしてこのようにして男はみんな女にだまされてしまうのだろうか? それともこれは女性の美に対する永遠の憧れなのだろうか・・・・・・

 ところでこれらのサプリメントの効用は、やはりずっと使用していないと保てないものなのでしょうね? もし途中で止めたりしたらその反動がひどくて、使用前の顔より老けてしまうということはないのだろうか?? わからない。そして世界は謎に満ちている。
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