穏やかに…シニアブログ

日常・民話など

民話 天に飛ばされた子ども

2019-12-01 06:00:45 | 昔っこ・民話

 

昔、ある家になんとしても 人の言うことを聞かねぇ 子どもがいたそうだ。

ある日のこと、桶が壊れてしまったもんだから、職人を呼んで タガを締めなおしてもらったど。

ところが、この子どもが職人のそばにいって いたずらをするわけだ。

職人が「あぶねがら離れでいれ」って言っても 聞がねぇ。

家の人たちが「まずこっちゃさ来でれ!(こっちに来てろ)」って言っても

聞がねぇ。誰の言うこども聞がねで 職人のそばでいたずらしてたわけだ。

 

したば、何かのはずみで桶のタガが パチンとはじけたものな。

そばにいた子ども そのタガにはじかれたもの。それで「バーン」て

屋根を突き抜け、天に向かって高くとばされた。職人も家の人たちも

どでんして(驚いて)、天さ見あげたども、子どもは高く、高く飛ばされて行って

 豆粒みたいになって とうとう見えねぐなってしまったど。

子どもの母親は泣きに泣いた。それから毎日天を見上げて泣いたども 子どもはちっとも降りてこねがった。

  

ところで、天に飛ばされたこどもだども、雲の上で一人で泣いてだったど。

するときれいな あねっこ(お姉さん)たちが やってきたものな。

そして子どもの周りを囲むと「なんで泣いているんだ?」って聞いてきた。

 子どもは正直に「人の言うごと聞がねで、ここまで飛ばされた」と話したど。

あねっこたちは、それを聞いて子どものこと 大した気の毒がってくれた。

そして、「人の言うことだば よく聞かねばねな、」と言いながら きれいな蛇の目傘を出してきたもの。

 

「泣くな泣くな。コレを広げれば降りていかれるからな 東に行きたければ

傘どこ東に 西に行きたければ、西に向ければ大丈夫だ」

子どもは 言われたとおりに傘をひろげて 雲から飛び降りおりると ふわりふわりと降りてきた。

この姿を見つけて母親 大喜びしたど。こどもも大泣きして母親の懐に

飛び込んで、あど(もう)皆の言うこと良く聞ぐようにするって しっかり約束したど。えがったな。 

とっぴんぱらりのぷう   (角館地方の民話)



こんな傘じゃないでしょうが 無料イラストからお借りしました。

ブロ友さんなら ワードでお絵かきが得意な方で傘をパパッと・・・

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