寝起きの姿を鏡で見たら、そこにオヤジが一人居たのを発見してしまった。
冷静にオヤジに見えた理由を分析した。当然、寝起きなので化粧はしていない。
ヘアスタイルはショートカットで寝癖もついていたかもしれない。パジャマもベージュ、ブルー、紺といった色ばかりだ。
友人で若い頃からとてもボーイッシュな人がいて、彼女も化粧が嫌いでずっとスッピンで過ごしていた。
似合わないからとスカートも穿いたことがない。
その彼女が40歳を過ぎた時、自転車に乗っていて後ろの荷台から野菜を落としてしまった。
落下した気配がしたのでスピードを落として振り向くと、後ろからやってきた小学生がそれを拾ってくれ、彼女と目が合った。
すると彼は「お、お、お・・・」と手を振りながら言いよどんでいる。
彼女を見て、おじさんと呼んでいいのやら、おばさんと呼んでいいのやら「お、お、お」の間に子供は必死に考えていたらしい。
結局、彼は「おじさああん」と大声で呼んだ。
そして彼女は彼を傷つけないように、おじさんのフリをして拾ってもらった野菜を受け取った。
私は中身が女か男かと言われたら、世の中のパターン化した男女分けに従うとすれば男に近いのは間違いない。
主婦の気持ちよりも働いている旦那の気持ちの方がよく理解できる。
恋愛に命を燃やしたこともないし、交際した男性の数が女の勲章になるとも思っていないし、貢ぎ物を求めたこともない。
他の女性の容姿にライバル意識を燃やしたこともないし、我慢してキツイ下着をつけてプロポーションを良く見せようとしたこともない。
仕事では我慢も忍耐も努力もするが、プライベートでは、ただただ、ぬるい。
髪の毛をショートにしてるのも、ロングが似合わない以前に、手入れが簡単だからだ。
「それがいけなかった・・」オヤジは反省しはじめた。
それは、かつて腹の中で笑っていた、頭をパンチパーマにした大阪のオバチャンと同じ仲間の証だからであった。
つづく
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