僕はいつからこの森に迷い込んだのだろう。
深い深い緑に包まれて
いい空気を吸いながらも
満足することはなく
ただただ前へと進んでみた。
この森では滅多に人が通らない。
通るとしても、ろくなヤツが居ない。
この前は木を切ってる木こりが居た。
俺は短気だったので
木こりを切ってやった。
この森の美しさもわからないヤツに、
生きる価値など無い。
通ったのは罪人ばかりだった。
後ろを振り返れば死体は山のようにあるけれど、
前に進むことが正しいと思って進んできた。
先を見通すことができない、
深い森の中に居るのだから、
ウロウロしても余計に迷うだけだ。
だから一つの方向に進むことが正しいと思って進んできた。
けれどそれは何か間違っていたかもしれない。
旅人よ、
僕に磁石を貸してくれてありがとう。
あなたのおかげで迷うことなく真っ直ぐに進んで来れました。
旅人よ、
僕に本を貸してくれてありがとう。
あなたのおかげで故人の古い知恵を借りることができました。
旅人よ、
僕に食料をくれてありがとう。
あなたのおかげで止まることなく前へ進むことができました。
けれど旅人よ、
あなたが私にくれたものは、
実際には何の役にも立たなかったかもしれない。
元々、私は北へ進むことなど考えては居なかった。
先人達の教えも、ただの暇つぶしでしか無かった。
あなたが私に教えることができるとすれば、
たった一つだけ。
命をつむぐこと。
あなたが私の為に死んだのならば、
私はあなたの意志を受け継いで生きて行けたかもしれない。
しかしあなたは自分の道を進んでしまった。
それならば何故あなたは私に磁石を、本を、食料を分け与えたのですか?
あなたは私に何を期待していたのでしょう。
次にもし、あなたと会えたら、
私もあなたに教えてあげようと思います。
消えゆく命の儚さを
それが生きることに疑問を抱いて進んでいる、
私なりの恩返しなのです。
深い深い緑に包まれて
いい空気を吸いながらも
満足することはなく
ただただ前へと進んでみた。
この森では滅多に人が通らない。
通るとしても、ろくなヤツが居ない。
この前は木を切ってる木こりが居た。
俺は短気だったので
木こりを切ってやった。
この森の美しさもわからないヤツに、
生きる価値など無い。
通ったのは罪人ばかりだった。
後ろを振り返れば死体は山のようにあるけれど、
前に進むことが正しいと思って進んできた。
先を見通すことができない、
深い森の中に居るのだから、
ウロウロしても余計に迷うだけだ。
だから一つの方向に進むことが正しいと思って進んできた。
けれどそれは何か間違っていたかもしれない。
旅人よ、
僕に磁石を貸してくれてありがとう。
あなたのおかげで迷うことなく真っ直ぐに進んで来れました。
旅人よ、
僕に本を貸してくれてありがとう。
あなたのおかげで故人の古い知恵を借りることができました。
旅人よ、
僕に食料をくれてありがとう。
あなたのおかげで止まることなく前へ進むことができました。
けれど旅人よ、
あなたが私にくれたものは、
実際には何の役にも立たなかったかもしれない。
元々、私は北へ進むことなど考えては居なかった。
先人達の教えも、ただの暇つぶしでしか無かった。
あなたが私に教えることができるとすれば、
たった一つだけ。
命をつむぐこと。
あなたが私の為に死んだのならば、
私はあなたの意志を受け継いで生きて行けたかもしれない。
しかしあなたは自分の道を進んでしまった。
それならば何故あなたは私に磁石を、本を、食料を分け与えたのですか?
あなたは私に何を期待していたのでしょう。
次にもし、あなたと会えたら、
私もあなたに教えてあげようと思います。
消えゆく命の儚さを
それが生きることに疑問を抱いて進んでいる、
私なりの恩返しなのです。