愛しのボニー

元保護犬
2020年9月21日没(推定10歳)
ラブラドール・レトリバーのボニーの思い出

家族にまつわる話5

2021-09-05 10:36:31 | 思い出

その日わたしは いつもより早い帰宅になった。

 

家にはおじさんの黒い自転車があって、

「もう来てるの…?」

といぶかしく思いながら家に入ると 居間には母の姿がなく

離れたところから話し声と

「うふふっ」

という母の笑う声が聞こえてくる。

 

それが浴室からだと気付いてわたしはあわてて家を飛び出した。

大変なところに居合わせてしまった

あれをどう考えていいのかわからなかった。

ぐるぐると頭の中にいろんな思いが交錯して あてもないまま ただ歩き続けた。

 

一時間ほどして家に帰ると 何事もなかったように いつもの二人がそこにいた。

 

その後もその日のことはずっとずっと頭から離れず

誰にも、もちろん姉や弟にも言えず

どんどん嫌悪感が膨らんでいった。

 

この頃から「早くこの家を出よう」

そう強く思うようになった。


家族にまつわる話4

2021-09-04 10:41:07 | 思い出

 ※この記事は近々削除します

 

その人は60歳くらいだったと思う。

いつも夕食後に自転車に乗って来ていた。

母は「友達」と言っていたが

そのおじさんを招じ入れるのに いつもご近所さんの目を気にしてこそこそしていた。

おじさんの自転車が目立たぬように 自転車を敷地内に入れて半分シャッターを下ろしていた。

 

母は未亡人で問題はないがおじさんの方は家庭がある。

しかし「友達」に問題はないわけで…

正直どう考えていいものやら…また、どう接していいものやらわからなかった。

 

初めて聞く母の甘えたような声や話し方には違和感しかなかったが

それでもお酒を飲んで泣いていた母を思うと

まだましに思えて、わたしは何も言えなかったのだった。


家族にまつわる話3

2021-09-03 09:55:19 | 思い出

 ※この記事は近々削除します

 

父を喪ってから各々努力はしたものの

明るい家庭は戻ってこなかった。

「家族4人、力を合わせて頑張ろう!」

そう言って無理に笑顔を作っても

それは一瞬の幻のように消えていった。

 

母は細々と仕事を続けていたが、夜になると

やはりお酒を飲んで泣いていた。

母を憐れに思う気持ちと情けなく思う気持ち。

こんなに弱い人だったのかと思うと

小さな母がより小さく見えるのだった。

 

しかし本当は…わたしたち子どもだって辛かったのだが。

 

当時の母は40歳そこそこだったわけで、

今思うとその若さに驚いてしまう。

高校生になったばかりの自分には

老いて見えていたから。

 

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月日は流れ、母は少し元気になっていった。

お酒に溺れて泣くこともなくなった。

近所の民謡教室(?)に通いだした。

そして

その教室で知り合ったという人が頻繁に我が家を訪れるようになる。


家族にまつわる話2

2021-09-02 13:03:14 | 思い出

 ※この記事は近々削除します

 

父の体調が悪くなり、検査、そして入院。

入院先は茨城県…父の出身地の病院に決まった。

家からは遠いのだが父が希望したのだった。

 

姉(高2)は本当の病名を知っていたが

わたし(中3)と弟(中1)は「肺炎」とだけ聞かされていた。

 

母は父に付き添い、病院に泊まりこんでいた。

週末になると代わりに姉が病院に行く。

 

誰もいない家、朝家を出たその時のままの部屋。

家はもはや「闇」としか言いようのない暗い場所になってしまった。

そんな家でわたしたち姉弟は暮らしていた。

母は家事が苦手で、元々ほとんどのことを姉とわたしがしていたため、困ったことはなかったが

母が疲れて帰ってくるのを見るのはつらかったし、飲めないお酒を飲んで泣いているのを見るのは悲しかった。

 

数カ月経っても父は戻ってこなかった。

 

そして…どういうわけかカラスが群がってギャーギャーと鳴く声が凄まじかった早朝、

訃報を知らせる電話を受けたのだった。


家族にまつわる話

2021-09-01 11:17:50 | 思い出

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両親は仲が良かった。

家は自営業なので二人は四六時中一緒にいたわけだが

母は体格のいい父を立派で男前だと言い

父は9歳年下で小柄な母を可愛いらしいと言っていた。

 

3人の子どもたちを

「うちの子どもたちは親より落ちるね~」

と言っていた。

いい気なものであった(笑)

 

そんな自惚れやでノーテンキでちょっとおバカな

どこにでもある家庭――

そんな家庭でわたしは育った。

 

この後それはガタガタと崩れてしまうのだが――