安倍総理、あまり韓国を追い込まないで下さいよ(笑)
安倍晋三総理大臣が月刊誌『文藝春秋12月号』のインタビューに応じているそうです。
これについては是非読んでみたいと思うのですが、紙媒体だと書店に買いに行かなければならないので、買い求めるのに少し時間がかかります。機会があれば入手して読み、面白い情報があれば当ウェブサイトにてフィードバックしたいと思いますので、どうかお楽しみに。
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さて、その『文藝春秋』に、安倍総理が何を話したのかについては、個人的には「読んでみるまでのお楽しみ」にしたいところですが、そうもいきません。
なぜなら、本日までに、複数の韓国メディアが大々的に記事にしているからです。
ここでは、「保守系メディア」(?)と見られている中央日報と東亜日報のそれぞれ日本語版ウェブサイトに掲載した記事を眺めてみましょう。
安倍首相「韓国が日本企業の資産売却を実行することはないだろう」(2019.11.11 11:22付 中央日報日本語版より)
安倍氏、「元徴用工問題、基本は譲歩しない」(2019/11/09 8:35付 東亜日報日本語版より)
といっても、どちらの記事も非常に短い内容で、だいたい次のようなことが書かれています(※ただし、日本語表現を整えているほか、「強制徴用問題」を「自称元徴用工問題」に、「安倍首相」を「安倍総理」に修正するなど、用語は当ウェブサイトのものにあわせています)。
- 安倍総理が『文藝春秋』12月号のインタビュー記事で、自称元徴用工判決を巡り、「外交当局間の意思疎通はするが、政権として守らなければならない基本は絶対に譲歩するつもりはない」と述べた
- 安倍総理はまた、韓国国内の日本企業の資産売却を巡って、「売却を実行するようなことはないと思う」と述べた
これは「フラグ」ですかね?(笑)
「売却するなよ、するなよ、絶対にするなよ~!」
これらの記事を読んで、『【速報】「破棄するなよ、絶対に破棄するなよ!」』を思い出した方は、鋭いと思います。
これは、日本が韓国向けの輸出管理適正化措置を発表した直後から、韓国国内で日韓包括軍事情報保護協定(日韓GSOMIA)の破棄が話題になりだしたという話題です。
具体的には、韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(※外相に相当)が当時、「状況の展開によっては(協定破棄を)検討する可能性もある」と述べました。
あくまでも当時の記事等によれば、康京和氏は、当初は「何が何でも破棄する」という強硬な姿勢ではありませんでしたし、日本政府も当時から「韓国には賢明な対応を求めたい」と述べ続けており、いわば、
「日韓GSOMIAは大事だから、破棄するなよ、破棄するなよ、絶対に破棄するなよ~!」
と言い続けていたようなものでしょう。
ところが、読者の皆さま方もご存じのとおり、現実には8月22日夕方になって、韓国政府は日韓GSOMIAの破棄を決定したと発表。
この決定は、いまや日韓関係だけでなく、米韓同盟をも揺るがせている状態にあります。
まさか、あれほどまでに「破棄するなよ、破棄するなよ、絶対に破棄するなよ~!」という雰囲気を醸し出していたにも関わらず、韓国政府があっさりと破棄してしまったことに、個人的には正直、驚いてしまったという事情もあります。
本当に売却するのかな?
ただし、個人的には現在の状況で韓国側が日本企業の資産の換金に踏み切るとは考えられません。
なぜなら、現在までの報道によれば、韓国側で差し押さえられている資産はいずれも換金が困難な資産ばかりだからです(日本製鉄と不二越が合弁会社の非上場株式、三菱重工業が特許権や商標権といった知的財産権)。
私自身は知的財産権の売却の専門家ではありませんが、一般に知的財産権の競売は非常に困難であると聞きます。
なぜなら、知的財産権は個別性が非常に強く、特許権や商標権によっては競売自体が成立しない可能性もあるためだそうです。
また、非上場株式については一般に譲渡制限が付いており、その競売は極めて困難です。
というのも、株式の売却が実現したとしても、譲渡制限株式の場合、取締役会の承認なしに行われた株式譲渡は「会社に対して主張できない」からです。
※なお、非上場株式の競売については『時間もカネもかかる 非上場株式の競売が困難である理由』にまとめていますので、興味があれば是非、ご参照ください。
つまり、韓国側で「被告企業」の非上場株式や知的財産権の差し押さえが行われていたとしても、これを売却することは非常に困難ですし、時間もコストもかかります。
信頼できないのは「韓国の裁判所」ではなく…
もっとも、韓国の場合は裁判所が法律を守らないということでも有名ですので、何らかの「謎のスーパー理論」を使って、差し押さえられている日本企業の資産の換金処分を強行する可能性はあります(※ちなみにそうなった場合は、当ウェブサイトで議論した内容が吹き飛んでしまいます)。
それと関連するのかはわかりませんが、昨日、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に、「韓国国民が司法機関を信頼していない」とする話題が掲載されています。
司法機関への信頼度OECD最下位、韓国大法院で大騒動に(2019/11/10 06:08付 朝鮮日報日本語版より)
朝鮮日報によると、OECDが加盟37ヵ国を対象に実施している、その国の国民1000人に「裁判所を信頼するか」を尋ねるという調査で、韓国が最下位だった、とするものです。
しかし、これに韓国の最高裁に相当する「大法院」が大騒ぎし、9月中旬、OECD本部に異議を申し立て、この結果、OECD側は「近く発行予定の最終報告書の司法機関信頼度ランキングから韓国を除外する」方針なのだとしています。
なかなか凄い記事ですね。
「ランキングで下位になったのが気に入らない」からといって、ランキング自体から自国を除外させようとするという発想は、なかなか斬新です。
朝鮮日報の記事からは、なぜ韓国国民が自国の裁判所を信頼していないのかについての詳しい情報は掲載されていませんが、
法よりも国民情緒を重視する恣意的な判決を見ると、確かに私たち外国人の目から見ても、韓国の裁判システムは信頼できません。
いや、厳密に言えば、「信頼できない」のは「韓国の裁判システム」だけではないのかもしれませんが…。