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小型原子炉=小型モジュール炉

2022-04-21 11:32:17 | 日記

小型原子炉とは

小型原子炉とは

小型原子炉=小型モジュール炉

SMR(Small Modular Reactor)「小型モジュール炉」

従来の出力100万キロワット超の原子力発電所と異なり、1基当たりの出力が小さい原子炉。

大型の原子炉に比べ冷却しやすく、安全性が高いとされる。

2011年の東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに欧米を中心に「原発離れ」が進んだ。

脱炭素の機運が高まる中、温暖化ガスをほぼ出さず、大型炉よりも安全で低コストの小型炉に注目が集まっている。

小型原子炉とは

IAEA=国際原子力機関の定義では出力が30万kwh以下とされ、従来の原子炉に比べると3分の1から4分の1ほど。

1基あたりの出力は小さいものの、モジュールと呼ばれる格納容器を何基も並べて運転することで、従来の大型原子炉に近い出力になる。

(小型原子炉=小型モジュール炉は、複数の原子炉を接続してひとつのユニットを組み立てられるように設計)

小型原子炉 特徴

小型モジュール炉は世界各国で開発が進められていて、その特徴をキーワードであらわすとすれば、

  • 「小型」
  • 「モジュール」
  • 「多目的」の3つ。

「小型」

原子炉を「小型」にすると、大型の原子炉よりも冷えやすくなる。

技術的に言えば、小型炉は体積の割に大きな表面積をもっているために起こる現象なので、たとえて言うなら、「同じ運動をしても子供や痩せている人のほうが体温を外へ逃がしやすい」というイメージ。

この特性を突きつめていくと、原子炉に水をポンプで入れて冷やさなくても自然に冷えてくれる、といったことも可能。

実現すれば、安全性が高まるうえに、原子炉全体を簡単な構造にすることができ、メンテナンスもしやすくなり、その結果、コストの削減ができ、経済性も向上する可能性がある。(資源エネルギー庁)

「モジュール」

米国ではクリーンな電力の3分の2が原子力発電によるものだ。

しかし、既存の大型原子炉は次々と規制上の寿命を迎えつつある。

現在では2基の大型原子炉が新たに建設中ではあるが、建設費はすでに予算を何十億ドルも超過しており、計画には数年もの遅れが出ているのが現状だ。

つまりこれまで、原子力発電所の建設は、ひとつひとつが1点ものとして現地で建設されており、そのため工期が長くなりがち。

また、品質保証のために何重もの確認・認可試験を経てつくられてきた。

。そこで、モジュール建築の手法を最大限取り入れようというのが小型モジュール炉だ。

「型式認証」という方法で設計認可を取得しておき、全体を一括で「工場生産+組み立て+輸送+設置」するという手法。こういった手法が、「小型」の原子炉であれば可能となる。

つまり小型モジュール炉は、小規模な電力が必要なときには、2〜3基のみ設置。広大な都市に供給できるだけの電力が必要なら、さらにいくつかの原子炉を追加すればいい。つまり、多様な状況に適した発電所を計画することが、はるかに容易になるというわけだ。

小型であることから、大量生産して数個のモジュールとしてあらゆる場所に輸送することも可能になる。

「多目的」

小型モジュール炉は「発電」の用途以外に、「水素の製造」、「熱エネルギーの利用」「遠隔地でのエネルギー源」、「医療」などに特化した原子力技術を開発しようという動きがある。

「遠隔地」では、離島や極地、はては宇宙での利用がターゲットに想定されることもある。

一方「医療」では、放射性物質を使ったがん検査や治療に特化した技術開発が進められている。

ほかにも、材料改質を目的とした原子力技術の産業利用についても研究が活発化している。(資源エネルギー庁)

米エネルギー省、原子力でグリーン水素製造

小型原子炉 安全性

安全性について、福島第一原発は、非常時に原子炉を冷やすため、水を外から注入する装置が備えられていたが、非常用電源などを津波で喪失し、冷却機能が失われて、メルトダウンを起こした。

こうしたことから事故以降、非常時にも追加の冷却水や電源などを必要としない設計への注目が高まった。

小型のモジュール炉の場合、格納容器ごとプールに入れて動かす。

出力が小さいため、事故が起きた場合、非常用電源や追加の冷却水がなくても、炉心を冷やして安全に停止させられる。

小型原子炉 世界の動向

  • 米ニュースケールパワー社、NRC=原子力規制委員会の設計審査を経て、世界で最も商業化に近い
  • 米プリズム社、原子炉の冷却に水ではなくナトリウムを使う。「高速炉」と呼ばれるタイプの原子炉
  • 日立製作所と米GE=ゼネラル・エレクトリックと共同で出資して設立したグループ会社で開発を進めている
  • プラント建設大手の日揮、「ニュースケールパワー」に4000万ドル(約43億円)を出資し、小型炉の設計や建設事業への進出を目指す
  • 英国ロールスロイス社、英国政府の支援を受け開発中
  • 韓国の斗山(ドゥサン)重工業が米国で設計認証を取得
  • 中国やロシアは国を挙げて原発開発を支援

小型原子炉 課題

大型原子炉に比べ参入障壁が低く、核拡散のリスクは高まる。使用済み核燃料をどう処分するかも明確に定まっていない。処分方法などの技術を確立し、廃炉までの工程表を定めることも普及には欠かせない。


ドル建て国債の前倒し償還で4月4日もデフォルトは回避か

2022-04-21 00:51:29 | 日記

デフォルト瀬戸際の状態が続くロシア:4月4日の次は5月27日がXデーか

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2022/04/01

 

ドル建て国債の前倒し償還で4月4日もデフォルトは回避か

ロシア財務省は、3月31日に支払い期限を迎えたドル建て国債の利払い4億4,700万ドル分を履行した、と発表した。ロシアによるウクライナ侵攻、先進国による対ロ制裁が実施されて以降、4回目となるドル建て国債の利払いがドルで行われ、デフォルト(債務不履行)は回避された。

次のドル建て国債の償還及び利払いは、4月4日に設定されている。同日には償還、利払い合わせて21億2,900万ドルと、今までと桁違いに支払い金額が大きくなる予定だった。その償還を翌週に控えた29日に、ロシアは4月4日に償還期限を迎える20億ドルのドル建て国債について、ルーブルでの前倒し償還を行うと突如発表したのである。ロシア財務省は、ルーブル建てでの償還に応じるドル建て国債保有者は、ロシア連邦証券保管振替機関(NSD)にその意向を30日(日本時間午後11時)までに示す必要がある、と表明した(コラム「ロシアがドル建て国債をルーブルで前倒し償還と発表」、2022年3月30日)。

先進国による外貨準備の凍結措置によって深刻な外貨不足に陥っているロシア政府が、ドルを節約するための苦肉の策と考えられる。しかし、価値が不安定なルーブルで前倒し償還に応じる海外投資家は、かなり少数と考えられていた。

ところが驚くことに、全体の72.4%にあたる14億4,760万ドル分を自国通貨ルーブル建てで前倒し償還した、とロシア財務省は3月31日に発表したのである。これは主に、同国債を保有するロシア人投資家がルーブル建ての前倒し償還に応じたため、と推察される。ロシア政府は、ロシア人投資家に対してルーブル建てでの前倒し償還に応じるよう、強く要請したのかもしれない。

この前倒し償還によって4月4日に期限を迎える償還額は、5億5,240万ドルまで大きく減少した。規模が大幅に縮小したこともあり、ロシアは4月4日にドルでの償還を履行し、再びデフォルトが回避される可能性が高そうだ。

5月27日が次のXデーか

デフォルトのリスクが高まる4月4日を無事通過すれば、次のXデーとなるのは、5月下旬だろう。先進国の制裁措置によって、各国の銀行はロシアの財務省、中央銀行、政府系ファンドとの取引が禁じられている。しかし米財務省外国資産管理室(OFAC)は3月2日に、「債券ないし株式の利子や配当、償還金受け取り」を目的とする取引はその禁止対象から除外する、との通達を出した。この通達のおかげで、過去4回にわたって、米国の投資家はドル建て国債の利払いを受けることができたのである。

しかしその有効期限は5月25日までであり、米国財務省はその例外措置を延長しない可能性がある。5月25日以降も、ロシアは年末までに総額約20億ドルのドル建て国債の利払い、償還を行わねばならない。

5月25日以降に最初に到来する期日は5月27日であり、この日が、デフォルトが事実上確定する(実際の確定は猶予期間後)次のXデーとなるだろう。

IMFの支援は得られない

ロシアの外貨建て国債がデフォルトに陥れば、1917年のレーニンによるボリシェビキ革命以来のことになる。一般に外貨建て国債のデフォルトは、それを発行する政府の信頼性を大きく損ね、信頼を回復するまで国際金融市場からの資金調達の道が閉ざされる。通常は、国際通貨基金(IMF)の融資という支援を得ながら、債権者と真摯に交渉を重ね、新たに合意された条件での支払いが完了すると、信頼回復への道が開けてくるのである。

しかし、ウクライナ侵攻によって先進各国から強い非難を浴び、また厳しい制裁対象となっているロシアを、欧米が主導する国際組織のIMFが支援することは当面考えにくい。また、ロシアがIMFに支援を求めることもないだろう。さらに、デフォルト確定後も、先進国の債権者との間で債務リストラの交渉が直ぐに始まることはないだろう。

デフォルトであってデフォルトでない状況が続くか

1917年のデフォルトの際には、レーニンが帝政ロシア時代の対外債務の履行を拒否した後、債権者との交渉が決着するまでに数十年という長い時間を要したという。今回も同じようなことになるかもしれない。その場合、ロシア政府が海外から資金を調達できない状況がかなり長期化する。それはロシア経済の発展の芽を摘んでしまうことになるだろう。

ところで、米財務省が上記の通達の期限を延長せず、ロシアが5月27日のドル建て国債の利払いを履行できない場合、ロシアは「利払いの意思があるにも関わらず不当な制裁措置によってそれが阻まれた」として、「それはデフォルトにあたらない」と主張するだろう。さらに、主要格付機関はロシアでの業務から既に撤退しており、ロシア国債にデフォルトの格付けをすること、つまりデフォルト認定を正式に行うことはないのではないか。

その結果、事実上はデフォルト状態であっても、正式にデフォルトが確定しない、極めて曖昧かつ混乱した状況が、ロシア政府と債権者の間で長く続くことになるのではないか。

(参考資料)
「情報BOX:ロシア、綱渡りの「デフォルト回避」継続できるか」、2022年3月31日、ロイター通信ニュース
「ロシア、ドル国債ルーブルで買い戻し 4日償還分の7割」、2022年4月1日、日本経済新聞電子版

 

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