日本と世界

世界の中の日本

(朝鮮日報日本語版) 【社説】GM群山工場閉鎖、韓国製造業に赤信号か

2018-02-14 15:56:42 | 日記

(朝鮮日報日本語版) 【社説】GM群山工場閉鎖、韓国製造業に赤信号か


2/14(水) 10:33配信

朝鮮日報日本語版



 4年にわたり総額3兆ウォン(現在のレートで約3000億円、以下同じ)に上る巨額の赤字を記録した韓国GMが13日、韓国国内にある4工場の一つである群山工場を今年5月末までに閉鎖すると発表した。

残り3工場の今後の計画についても韓国政府や労働組合と話し合った上で、数週間以内には結論を出すという。国民の税金による支援や組合の譲歩がない限り、残りの工場も閉鎖する考えがあるようだ。

GMが韓国から完全撤収した場合、国内の協力会社で働く従業員などおよそ30万人が仕事を失う。韓国GMは産業銀行による増資や税制面での優遇を要求しているようだが、どちらも結局は国民の税金を使った支援だ。

 韓国GMが経営難に追い込まれた最も根本的な理由は、製造する自動車に競争力がないからだ。

GMは韓国国民の税金を要求する以前に、自らが負うべき経営上の責任を認め、全世界の生産台数を調整し韓国国内での生産を拡大するなどの経営努力をまずは実行に移すべきだ。

経営が難しくなったとの理由で簡単に工場を閉鎖し、その苦痛を韓国国民に押し付けるような態度は許されない。その行動はいわば韓国国内の雇用を人質に、国民の税金を差し出せと要求するようなものだ。

 その一方で経営環境の悪化が今回のGM問題を引き起こす大きな原因となった事実も否定できない。

韓国の自動車産業は世界的に見て人件費が最高レベルにある一方、生産性は非常に低い。

韓国GMの従業員1人当たりの賃金は年間8700万ウォン(約860万円)で、2002年に比べると2.5倍にも膨れ上がっている。

しかもこれは現代自動車の米アラバマ工場の7700万ウォン(約760万円)よりも高く、現代自北京工場の1120万ウォン(約110万円)に比べるとなんと8倍だ。

ところがその生産性はこれら海外工場よりもはるかに低い。このような企業が生存を続けること自体がまさに奇跡だ。
.

 世界最悪の高い費用と低効率の構造が形成された大きな原因は、韓国独特とも言える非常に保護された労働組合にある。

韓国GM労組は全国民主労働組合総連盟(民主労総)に加盟しており、会社が赤字を出す中でも毎年のように賃金引き上げを求めストを続けてきた。

韓国からの撤収がささやかれ始めた昨年も組合は17日間にわたる部分ストを強行し、1万台以上の生産に支障を来した。

しかも今回群山工場の閉鎖が決まった後でさえ組合は闘争を宣言している。このような状況が今後も続くようでは、残り3カ所の工場もどのような運命をたどるか予想もつかない。

 これは韓国GMだけの問題ではない。現代・起亜自動車をはじめとする韓国の自動車産業全体が同じ危機に直面している。

2016年における韓国の自動車メーカー5社の平均賃金は9213万ウォン(約914万円)で、これは世界トップの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンの8040万ウォン(約794万円)、トヨタの9104万ウォン(約903万円)よりも高い世界最高レベルだ。

これに対して自動車1台の製造にかかる時間は韓国全体の平均で26.8時間だが、これもトヨタの24.1時間、フォードの21.3時間を上回っている。

韓国国内の自動車生産台数は16年に続き昨年も2.7%のマイナスを記録した。世界の10大自動車生産国の中で生産台数が2年連続で減少したのは韓国だけだ。しかも韓国は今年中にメキシコに逆転され、7位に落ち込む可能性が高い。

 GM群山工場は1997年に設立された韓国では最も新しい自動車工場だ。

それから21年にわたり国内に新たな自動車工場は建設されていないが、現代自動車は海外に11工場を建設した。

本来韓国の若者たちが手にするべき数十万人分の良質な雇用が海外に流出したのだ。

GM群山工場の閉鎖は「韓国製造業海外流出の序章」ともささやかれている。賃金が高く生産性が低い環境で、しかも政府は企業に友好的ではなく、この傾向は現政権発足によって一層深刻化している。

最近は大企業の法人税率まで米国に逆転され、製造業が一斉に韓国を去り米国などに向かう動きも始まった。1990年代の中国進出ラッシュに続き、製造業による第2次エクソダス(韓国脱出)を警告する声も出始めている。過激な労働組合はもちろん、優柔不断な企業や政府など全てにその責任があるのだ。

韓国、「若者失業」大国の素顔…超高学歴化の代償、大企業は正規雇用回避を強化

2018-02-11 15:13:21 | 日記
韓国、「若者失業」大国の素顔…超高学歴化の代償、大企業は正規雇用回避を強化

 韓国では昨年5月に文在寅政権が発足して以降、好調な景気が続いている。

これは主要な輸出先であるアメリカと中国の景気がよく、輸出が大きく伸びているからである。

主要な輸出品である半導体メモリーも絶好調であり、三星電子も最高益を更新するなど、主要企業も好景気の恩恵を享受している。

 そのようななか、若年層は好調な景気を実感できない状況にある。

1月10日、韓国では2017年の雇用に関連する指標が公表された。これによると、15~29歳の失業率は16年よりも上昇した9.9%となり、2000年に失業者の定義が現在のものとなって以降、最悪の数値を4年連続で更新した。

放送3社による大統領選挙の出口調査結果によれば、20代(19歳も含む)の47.6%が文在寅候補に投票しており、若い世代の文在寅政権に対する期待は大きいことがうかがえる。しかし、失業率という最重要な経済指標を見る限り、若年層の期待は裏切られている。

 若年層の失業率が低下しない理由は、若年層が希望する職が減っていることに尽きる。大卒比率が高まり高学歴化が進んだ若年層は、大企業で正規雇用としての就職を望む。一方で大企業は正規雇用の採用を絞り込んでいる。

当然、希望する職を得られない若年層が出てくるが、若年層は安易に妥協せず長期間職探しをするため、結果として多くの若年層が失業状態にとどまっている。

 では、なぜ若年層が希望する職は少なくなったのであろうか。これは韓国では経済構造が大きく変化したにもかかわらず、1980年代後半以降、韓国の労働市場構造が変化していないからである。

●大企業、雇用と賃金が硬直的

 韓国における経済構造の大きな変化とは、経済の輸出依存の高まりである。輸出がGDPに占める比率は、1995年には20%を切る程度であったが、2000年には30%、05年には40%、10年には50%と急速に高まった。輸出は世界景気による好不調の波が大きく、企業は生産量が大きく変化するリスクにさらされることとなった。

 また輸出を増やすためには国際競争力を高めることが不可欠であり、常に合理化が求められるようになった。

企業が生産量の変化に対応するためには、生産が変化に合わせて柔軟に雇用量を変化させるなど雇用の柔軟性を確保することが重要になる。

また国際競争力を高めるためには、採算がとれない部門を閉鎖するなど雇用調整を行うとともに、生産性の低下時には賃下げも辞さないなど賃金の柔軟性も確保する必要がある。

 しかし韓国企業は、正規雇用者を解雇することは難しく、賃金も強い引上げ圧力にさらされている。労使関係が敵対的であるとともに、労働組合に有利な労使の交渉環境に変化が見られないからである。

ちなみに、韓国では大企業の労働組合の組織率が高い。15年末現在、30名未満の事業所の組織率は0.1%にすぎず、100~299名でも12.3%であるが、300名以上になると62.9%に跳ね上がる。よって大企業の多くは雇用および賃金が硬直的であるといってよい。

 韓国で労使関係が敵対的である理由のひとつとして、財閥のオーナーが所有する大企業が多いことを挙げることができる。

労使は同じ船に乗っており、会社が沈まないよう労働組合が要求を抑えるという発想は韓国には乏しい。

使用者は別世界の人々であり、労働者側が譲歩しても使用者側の富を増やすとだけと考えれば、どうしても労使関係は敵対的となる。

 また韓国では、労働組合側がストライキを起こした場合、使用者側が対抗する手段が限定されている。

日本ではストライキが発生しても、使用者側は中断した業務を行うため代替要員を確保することができるが、韓国では法律上これができない。

また使用者側が労働者を事業所から締め出すロックアウトも制限されている。よって労働組合にとってストライキは要求を通すための効果的な手段となっている。

●採用に萎縮する大企業

 韓国の大企業は、輸出依存度が高まった経済を生き延びるために、雇用の柔軟性や賃金の柔軟性を確保する必要がある。しかし実際は、雇用調整は労働組合の反対でままならず、賃金も恒常的に上昇圧力にさらされている。

 そこで大企業は生き残るため、正規雇用としての新規採用を最小限に抑え、有期雇用での雇用や請負など外注化を増やすことで雇用の柔軟性や賃金の柔軟性を確保するようになった。

企業は自社の正規雇用者を減らすことで、雇用調整は容易となり全体の人件費も抑えることができる。

労働組合も既存の正規雇用が削減されなければ問題はない。しかし、この煽りを受けたのが若年層である。

 韓国では大学進学率が高まっている。1990年の大学進学率は33.2%にすぎなかったが、2000年には68.0%に跳ね上がり、09年には77.8%にまで達した。

近年は若干進学率に下落が見られるものの、16年も69.8%と高水準である。

大学生に人気が高い職場は大企業や政府機関である。統計庁の「社会調査」(17年実施)によれば、20~29歳の年齢層が職業選択の際に重視する点は、33.1%が収入、26.1%が安定性であった。

韓国では大企業と中小企業間の賃金格差が大きく、高給かつ安定性を求めるならば大企業が一番良い就職先である。

 しかし、大企業は景気が良くなっても将来景気が悪化したときのことを見越して、必要最小限の新規採用しか行わない。

この状況を改善するためには、雇用の柔軟性や賃金の柔軟性を高める必要がある。

しかし、現職の文在寅大統領は、支持母体のひとつである労働組合の保護を強めるなど、大企業を中心とした労働者の既得権はますます強化される傾向にある。よって大企業が若年層を採用する意欲は高まることはなく、逆に委縮する可能性もある。

 さらに若年層にとって悪いことに、16年1月より常用雇用300人以上の企業で60歳定年が義務化された(17年1月よりその他企業も義務化)。

従来は努力義務にすぎず平均定年は57歳程度であったため、ここ数年間は定年で会社から去る人が少なくなる。

 多くの若年層は大統領選では明るい未来を託して現大統領に票を投じたと考えられるが、大企業が新卒採用に積極的になる状況からはほど遠く、若年層は好調な景気を実感できない状況が続くことが予想される。

(文=高安雄一/大東文化大学教授)

ペンス副大統領の側近「(文大統領は)いったい何を狙っているのだ」

2018-02-10 14:43:12 | 日記

シンシアリーのブログ

ようこそいらっしゃいました


2018年2月10日 投稿者: sincerelee

ペンス副大統領の側近「(文大統領は)いったい何を狙っているのだ」


昨日から、韓国ではペンス副大統領と安倍総理のことで「外交的に欠礼だ」という記事が目立っています。

特にペンス副大統領に対しては、レセプションで「北朝鮮側と会うのが嫌で5分で退場したのだ」と、まるでペンス氏が「逃げた」ようなニュアンスで報道されています。

これらの指摘に対し、ホワイトハウスが声明を出しました。

事前に文大統領が米国側と北朝鮮側に「会ってみませんか」と勧誘したけど、米国も北朝鮮も事前にそれを拒否しているだけだ、というのです。

ペンス副大統領の側近たちはこの文大統領の勧誘に対し、「いったい何が狙いだ」と不満を露わにした、とも。

ホワイトハウスは声明を出し、外交的欠礼だという指摘は間違いだとしながら、

「文大統領が米国と北朝鮮を会わせようと両方に提案したが、米国も北朝鮮もそれを拒否した」と話しました。

ペンス氏が北朝鮮を避けたのではなく、最初から両方がお互いに会わないことにしていたわけです。

また、<・・ペンス副大統領の側近たちは、

過去2日ムン大統領がドナルド・トランプ米大統領との電話通話で「ペンス副大統領が、北朝鮮代表団と会うようにしてほしい」と勧誘したという報道の真偽を問う質問には「確認できない」とした。

また、去る8日、青瓦台(大統領府)会談などでムン大統領がペンス副大統領に北朝鮮代表との出会いを勧誘したかという質問には、

「私はムン大統領が何を狙っているのかわからない」と述べた。解釈によっては、北米の出会いを意図的に手配しようとしたことに対する強い不満を表出した可能性がある・・>

http://v.media.daum.net/v/20180210090817764?rcmd=rn

要約すると、文大統領が事前に「北朝鮮代表団と会って会って~平和よと平和(^q^)」とお願いしたけど、トランプ氏もペンス氏も、また北朝鮮側も「会わない」としていた。だからレセプションでも会って挨拶しなかっただけ。そういうことですね。そして、それが「いったい何が狙いだ」と言われている、と・・

わずか5分で退席したペンス米副大統領の警告=韓国

2018-02-10 14:20:15 | 日記

【社説】わずか5分で退席したペンス米副大統領の警告=韓国

2018年02月10日11時40分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

懸念していたことが起きた。それも最も輝くべき平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)開会式の直前にだ。

韓米同盟の隙間を見せる事件が昨日晩、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が海外貴賓を対象に主催したレセプション行事で発生した。

わずか5分で退席したペンス米副大統領の警告=韓国ペンス米副大統領は文大統領の歓迎行事に現れなかったうえ、レセプション場にも遅く到着した。

続いて文大統領との記念写真を別の空間で行い、やむを得ず入ったレセプション場をわずか5分で出ていった。

メインテーブルに用意された自分の席には座ることもなく、金永南(キム・ヨンナム)北朝鮮最高人民会議常任委員長とあいさつも交わさなかった。

韓国政府が期待した朝米の「接触」は実現しなかった。

ペンス副大統領は訪韓前から「北朝鮮が五輪のメッセージを乗っ取ろうとしている(hijack)」と懸念を表していた。

北朝鮮が非核化に誠意を見せず「微笑攻勢(a charm offensive)」を展開する偽装平和ショーをするという指摘だった。

今回の訪韓には北朝鮮の拷問で亡くなったオットー・ワームビアさんの父を同行させ、強硬な対北朝鮮基調を維持した。

昨日の開会式出席直前の日程も韓国哨戒艦「天安」展示館の訪問および脱北者との面談であり、北朝鮮の好戦性と極悪性を浮き彫りにすることに注力した。

脱北者に会った席ではトランプ米大統領が北朝鮮を「監獄国家(prison state)」と述べたと紹介し、「北朝鮮は自国民を収監し、拷問し、飢えさせる残忍な政権」と伝えた。

問題はペンス副大統領がわずか5分で退席するほど激しい反応を見せた点だ。

「米国は北朝鮮と対話しない」という立場表明と同時に韓国に対しても強い警告を送ったと読み取ることができる。


まだ北朝鮮から非核化に関するいかなる話も聞いていない状態だ。

なのに「白頭血統」金与正氏との会談を準備するなど、韓国政府が過度に南北対話にこだわっているという不満とみられる。

朝米の接触を意図的に演出しようとした韓国政府に対する不快感でもある。

南北の和解と対話、さらに北朝鮮の非核化は、韓米が確実な協力の中で推進する場合に限り動力を得る。

ペンス副大統領の警告を重く受け止める必要がある。

韓国、「若者反乱」文氏の支持率急低下で無策露呈「五輪後は?」

2018-02-10 12:47:31 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


韓国、「若者反乱」文氏の支持率急低下で無策露呈「五輪後は?」

保守派が「反文」へ意思表示

米は北と軍事攻撃視野に交渉

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任後、高い支持率を維持してきた。

だが、平昌五輪で南北合同チームを結成することなど、韓国選手を無視する行動が多く、ここへ来て若者の支持率が落ちている。

安倍首相は、平昌五輪に出席することになった。韓国では、米国側の要請によって出席を決めた、とする説が流れている。

米国は、ペンス副大統領が五輪に出席する。日米首脳が文大統領に直談判しないと、北に妥協するのでないか。文氏は、そういう危惧の念を持たれている。

文氏への支持率が急低下している要因は、前述のとおり、北への無原則な妥協にある。

北の裏の顔を百も知りながら、下にも置かない厚遇は韓国国民の怒りを買っているだけでない。

日米首脳も、五輪後に北へどのようなサービスをするのか。文氏に自重を求める「説教の旅」になるようだ。


保守派が「反文」へ意思表示

『中央日報』(1月26日付)は、「文大統領の支持率50%台墜落の警告」と題する社説を掲げた。

韓国の世論調査では、この記事で紹介されているリアルメーター調査と、韓国ギャラップによる調査の二つが目立っている。

リアルメーター調査の文大統領支持率で、60%を割って59.8%である。一方、韓国ギャラップ調査での支持率は64%で先週に比べて3ポイント下落している。いずれにしても、両調査とも下落率は1週間で3ポイントにも及んでいる。

こへ来て下落率が目立つのは、これまで「朴槿恵・前大統領」支持派が、世論調査を忌避して答えなかった人たちが、「文氏が落ち目」と見て、積極的に回答していることだ。

となると、これまでの文氏支持率は「底上げ」されていたことにある。

文氏の支持率は今後、保守派を含めた韓国全体の支持率を表して、急落する可能性を持ち始めた。

(1)「文在寅大統領の支持率が就任後初めて50%台に落ちたことに対して青瓦台(チョンワデ、大統領府)が驚いた様子だ。

特に、暗号貨幣規制と平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)女子アイスホッケー南北合同チーム問題で核心支持層である20~30代の若年層が反乱水準の離脱現象を見せていることから慌てた表情が歴然だ。

文大統領が昨日開かれた青年雇用点検会議を直接主宰したのも憤った若年層をなだめることに関係があるだろう。

若者の失業率が2000年以降最高である9.9%まで高騰したのも深刻だが、

大統領就任当時からスローガンのように叫ばれてきた『公正』と『疎通』の約束が守られておらず、

過去の権威主義政権の一方通行を踏襲していることに失望した20・30代を見放してはならないという危機意識の表れだ」

文氏の「親衛隊」的な役割を果たしてきた20~30代の若者が、文氏に対してそっぽを向き始めたのは痛手である。

理由は、北への妥協が過ぎることだ。

韓国の若者は、北の金正恩氏を毛嫌いしている。

韓国の若者と同世代にもかかわらず、「親の七光り」で最高権力者の座について、無慈悲な限りを尽くしている現実に呆れかえっている。

その北の調査団に対して国賓並みの扱いをしていることが不満なのだ。「文氏を見損なった」というのが、彼らの実感である。

(2)「だが、20・30代投票者だけを苦心するだけでなく、今回の世論調査が持つ意味がより大きいということに気づくべきだ。

支持率が就任当時84.1%から出発して7カ月が過ぎても70%台の高止まりを見せてきた。これに比べると『墜落』といえる。

もちろん、執権2年目に59.8%の支持率は依然として高いのが事実だ。

だが、1月2週目の誤差範囲を超える大幅下落が続いたのはもちろん、

忠清(チュンチョン)圏を除いたすべての地域とすべての年齢帯、すべての政党支持層、すべての理念を問わず支持率が落ちた(リアルメーター1月第4週目の調査)のは数値だけで解釈できない意味がある」


韓国ギャラップが1月26日に発表した世論調査の結果によると、文大統領の支持率は64%で先週に比べて3ポイント下落した。

これは、リアルメーター調査と同じ3ポイントの下落率で同一である。就任以来の最低支持率になった。韓国ギャラップ調査も参考までに上げておく。

「年齢別では文大統領支持の傾向が強いとされる20代の支持率が前週の75%よりも7ポイント低い68%となり、下げ幅が最も大きかった。

60代以上も50%から44%と6ポイント下落した。地域別では大田広域市、世宗特別自治市、忠清南北道が10ポイント、光州広域市と全羅南北道が9ポイントと下げ幅が特に大きかった」(『朝鮮日報』1月27日付)


韓国ギャラップでは、20代が一挙に7ポイントと全世代中で最大の下落になった。

これまで、文支持の中核であっただけに文政権にとっては痛手である。

地域別では、9~10ポイントの低下というのがざらに見られるなど、「文政権」にとって安閑としていられない状況になっている。


(3)「文大統領の支持率がずっと朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾賛成世論と同様な70%水準を維持して1月第3週目(67.1%)から落ち始めたのは弾劾支持層で文大統領に背を向ける人々が世論調査に対して回答に応じ始めたことを意味する。

支持政党がない無党派層の支持率が36.7%で最も大きな下落幅(13.8%ポイント)を見せたというのがこれを証明する」

文氏に背を向ける保守派が、文氏の支持率下落に気をよくして、世論調査に積極的に回答し始めている。

この層が、文氏不支持を明確にしている結果、無党派層の支持率が36.7%で最も大きな下落幅(13.8%ポイント)をした。

こうなると、文氏の支持率は今後、低下し続けるという悪い予想も成り立つ。日本の世論調査では見られない特異現象である。

(4)「このような下落の原因は明らかだ。就任初期に約束した不偏不党・協力政治・疎通が蒸発され、積弊清算だけに没頭してきた。

それが民心をして背を向けさせた最も大きな原因だ。これに最近、各種政策の混乱と信頼できない下手な対応も一役買っている。

最低賃金の引き上げにともなう後遺症、暗号貨幣規制と保育園での英語教育禁止、平昌五輪南北合同チームの構成と玄松月(ヒョン・ソンウォル)に対する過剰儀式など、北朝鮮に対する低姿勢、江南(カンナム)不動産の再建築負担金と保有税をめぐる論争など、数え切れないほどだ」

文政権が、国民の怒りを買った点は、次の通りである。

① 最低賃金の引き上げにともなう後遺症

② 暗号貨幣(仮想通貨)規制

③ 保育園での英語教育禁止(その後、保留)

④ 平昌五輪南北合同チームの構成と玄松月(ヒョン・ソンウォル)に対する過剰儀式など、北朝鮮に対する低姿勢

⑤ 江南(カンナム)不動産の再建築負担金と保有税をめぐる論争など

ここで気づく点は、「86世代」の特色である「反米・親中朝」が鮮明であることだ。

③と④は、「反米・親中朝」の典型例であろう。

保育園で英語教育を禁じようというのは、86世代の「反米」思想を示し、北への過剰サービスは「親中朝」を表している。こういう見え透いたことを平気でやるから支持率を落とすのだ。

雇用問題では、文大統領が完全にピント外れの指示を出しており仰天するほどだ。


① 「『依然として”雇用は民間がつくる”という固定概念が政府に残っているようだ』とし、『そのような固定概念が、青年雇用対策をよりいっそう果敢に構想して推進することを阻んでいないか省みる必要がある』と強調した。

さらに『今後3、4年間、一時的なものであっても格別な対策が用意されなければ、よりいっそう絶望的な雇用の崖になる』と繰り返した」(『中央日報』1月26日付)

上記の大統領指示を読むと、文氏は100%「経済音痴」である。

雇用は民間企業の活発な設備投資が起こって初めて新規雇用が生まれるのだ。文氏の頭ではそういう理解でない。

官が雇用をつくらなければ、雇用が増えないという認識である。

現在、100万人余の失業者を抱えている。この全てを官が雇用したならば、財政赤字がみるみる増えていくだけだ。

あるいは、日本企業への就職を増やせという腹積もりかも知れない。

日本企業が10万人単位で韓国大学生を就職させるのは不可能だ。

となれば、韓国の規制を緩和して、新規産業を興して就職を確保するしかないのだ。

(5)「このような問題は若年層だけでなく、全世代に影響を及ぼしている。

どうせ保守や無党派層の支持を維持することは難しいので、いずれ20・30代や進歩派など核心支持層が戻ってくるだろうと考えては困る。

このままなら、大統領選当時の得票率である41.4%水準まで落ちることになるだろう。

それなら改革は言うまでもなく、ねじれ国会で円滑な国政運営の動力まで失い、野党に振り回されたあげくに退任を迎えることになるかもしれない」


文在寅氏の大統領選当時の得票率は、41.4%である。過半数をとれなかったのだ。

このまま、支持率が下がり続けるといずれ50%を割りかねない。

そのカギは、2月9日から2週間の平昌五輪にある。北に諂(へつら)って、韓国の自尊心を汚す振る舞いをすると、文氏にとっては致命傷になろう。

北の音楽団の演奏する曲目に、「金首領様のお陰」と言った「金賛歌」が入っていれば(その可能性は大きい)、韓国国民は一斉に反発するだろう。それは、文氏の支持率をさらに引下げる形で跳ね返ってくるに違いない。

「86世代」は、理屈を超えた南北統一派である。

韓国の若者は、北の専制政治を嫌ってそりが合わないのだ。

「86世代」が北を歓迎することは、彼らの長年の夢から言って至極、当然なことと受け止めているが、若者は全く異なっている。

その意識ギャップに気づいていないところが、文政権に悲喜劇をもたらすであろう。

米は北と軍事攻撃視野に交渉

『朝鮮日報』(1月27日付)は、「平昌五輪後を見据えた米国の動きに注目せよ」と題する社説を掲載した。

この社説では、米国が北に対して軍事オプションを含めた厳しい姿勢を取っていることを指摘している。

韓国政府が、北に対して極めて楽観的な態度を取っている点と好対照である。

南北会談で、何が話合われたかは分らない。

北は、韓国を籠絡すべく甘言を弄したであろう。「米国と対決しているから韓国を攻撃しない」と言った調子の話を真に受けて、韓国は人道的な経済支

援を話合っているかも知れない。米国は、これを最も警戒しているのだ。

韓国政府が甘い言葉をかけると、北は核放棄を前提とした話し合いに応じないだろう。

現在が、胸突き八丁である。この正念場で韓国が「デレデレ」した態度を取ると、外交交渉でまとまるものも壊され、最悪の軍事攻撃にならざるを得ないのだ。

米国は、この前提に立って、軍事オプションを山盛りにして、北を威圧している姿が良く分るのだ。

歴代の米政権において、安保体制が初めて軍出身者で固められたことは、「和戦両様」の構えで迅速に対応可能であることを示している。

日米首脳が、平昌五輪に出席する目的は韓国政府に活を入れることだ。

(6)「米国では最近、驚くべきほど異例な発言が相次いでいる。

まず、マティス国防長官は1月25日、『(朝鮮戦争の休戦協定が締結された)1953年以来、北朝鮮に対する軍事オプションは今なお残っており、それは今日も存在している』と発言した。

また、米海兵隊の司令官は『(北朝鮮と戦争が)起これば、つらい戦場で非常に物理的かつ暴力的な肉薄戦になるだろう。誰もが精神的にしっかりと準備しなければならない』と述べた。

これに先立ち米中央情報局(CIA)のポンペオ長官は2日連続で北朝鮮について言及し、北朝鮮に対する『極秘作戦』が拡大中であることを明らかにした。

以前であれば非公開でなおかつ慎重に語られていたであろう発言内容が、今や公の席で堂々と、しかも毎日のように飛び出している。

これら一連の動きはどれもこれまで見聞きしたことがない」


このパラグラフを読むと、米国が戦争に突入する姿勢を前面に出していることが分る。

一切の妥協をせず、北が核を放棄する覚悟を決めるように迫っているのだ。北に安易な期待を持たせない決意のほどを見せつけている。


(7)「ティラーソン米国務長官は、ロシアのラブロフ外相との電話会談で北朝鮮に対する圧力強化を改めて要請し、その直後にモスクワで『国連制裁を忠実に履行する』との声明が発表された。

米国が伝えようとするメッセージは明確だ。

今後数カ月以内に北朝鮮が非核化に向けた対話に応じず、核実験やミサイルによる挑発を続ければ、これまで以上の厳しい制裁はもちろん、軍事行動を起こす可能性もある事実を国際社会に伝えようとしているのだ。

このメッセージが最も強く向けられているのは言うまでもなく韓国政府だ」

米国は、ロシアのラブロフ外相との電話会談を通じて、「国連制裁を忠実に履行する」という声明を引き出した。

また、北の行なう密貿易監視を強めており、中ロも手が出ないほどの締め上げを行なっている。

海上自衛隊の艦船も監視役をつとめており、怪しい動きがあれば、逐一米軍に連絡する「水も漏らさない」体制である。


ういう緊張状態の中で、韓国政府が妙な妥協的な動きをすれば、全ての努力が水泡に帰す。

「南北統一」という悲願を達成したいならば、ここは心を鬼にして北へ厳しい態度を取るべきだろう。

安っぽい「人道主義」を棚に上げて、北と断固として闘う姿勢をとることだ。これによって、北に核放棄を観念させ交渉のテーブルへ引き出せるだろう。


(2018年2月4日)