新宿会計士
「韓国自滅」、そのココロとは?
当ウェブサイトでは今朝の『自滅する韓国 「最後の局面」は意外と早く到来か』のなかで、経産省が7月1日に韓国向け輸出管理の運用の見直しを発表して以来、韓国の側で「自滅的に」大騒ぎしているのではないか、と主張しました。
考えてみれば、当然です。
くどいようですが、経産省が発表した措置は、「禁輸措置」ではありませんし、ましてや「対抗措置」「報復」「経済制裁」のたぐいでもありません。
あくまでも「外為法に基づく輸出管理の強化」です。
適切な書類を整えて審査を請求すれば、ちゃんと輸出許可はもらえます。
実際、日本政府からは、菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官、世耕弘成(せこう・ひろしげ)経産相などの口から、直接、
「これは対抗措置ではない」
「今後は厳格な制度運用を行い、万全を期すことにするものだ」、といった説明がなされています
それなのに、韓国側は「今回の日本の措置は歴史問題を経済に絡める報復措置だ」
「WTOルールに違反している」などと大騒ぎしていて、ますます、世界中に日本を非難する声をばら撒いているように見受けられます。
そうなると、自然に考えて、
「今までの韓国は『ホワイト国』としての特権的な地位を悪用し、日本から貴重な戦略物資を輸入して、それを『非ホワイト国』に横流しして金儲けしてきた」、
「それができなくなったから大騒ぎしている」、と世界から疑われるような気がしてなりません。
韓国政府、格付業者に出向く
一般に、「自国がホワイト国指定を外された」というのであれば、なぜ自国がそうなったのか自省し、信頼を回復すべく努力する、というのが常道です。
あるいは、どうしてもそれに納得ができないのならば、対抗措置として韓国も日本を「ホワイト国」から外せば良いだけの話でしょう。
それなのに、「日本がわが国をホワイト国から外した!」などと、わざわざ大騒ぎするのは、「藪蛇」ではないかと思います。
第三国の経営者の視点に立てば、「韓国にとってよっぽど都合が悪い」、「半導体受注を韓国ばかりに依存するのは好ましくない」、と勘繰ってしまうからです。
(※この点については、今朝も紹介したとおり、韓国観察者・鈴置高史氏が執筆したデイリー新潮の7月23日付『輸出規制に文在寅は打つ手なし、日本を非難するほど半導体は「韓国離れ」の皮肉』あたりを読んで下されば納得していただけるでしょう。)
こうしたなか、本日は韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に、こんな記事が掲載されていました。
韓国政府 格付け世界大手に日本輸出規制への対応説明(2019.07.24 10:22付 聯合ニュース日本語版より)
聯合ニュースによると、韓国政府・企画財政部は22日から23日にかけて、世界の主要格付業者(S&P、ムーディーズ、フィッチ)の香港とシンガポールの事務所を訪れ、「日本の輸出規制強化を受けた韓国の対応と経済活性化への取り組み」を説明したのだそうです。
もちろん、韓国のように外貨依存の度合いが激しい国の場合、万が一、ソブリン格付などが低下すれば、韓国の金融機関が世界中で資金調達コストの上昇に直面しますし、最悪の場合には資金調達難に陥る可能性もあるため、格付業者対策自体、やる価値があるといえます。
ただ、記事を読んでいて仰天したのは、次の下りです。
その理由は簡単です。この説明が、結果的に韓国が「通貨危機」に巻き込まれる可能性を高めているからです。
問題は、韓国政府が主張した「日本の対韓輸出規制強化は、歴史問題を経済に絡める報復措置だ」という説明が事実かどうか、ではありません。
第三国の目から見て、日韓の歴史問題というものは、正直、どうでも良い代物です。それよりも大事な点は、「格付業者の人がこれを聞いて、どう思うか」、の1点に尽きます。
もし格付業者の中の人が、「日韓で歴史問題が存在している」「歴史問題は片付いていない」と思えば、当然、「今後、日本から韓国に対し、第二弾、第三弾の経済制裁がなされるかもしれない」というリスクを認識することにつながりかねません。
それよりも、格付業者にとって関心が高いのは、韓国経済が成長するのか、しないのかであり、なかんずく韓国経済の屋台骨である半導体産業の動向には目を光らせざるを得ません。
要するに、韓国政府は自国の「カントリーリスク」を自分で高める行動を取っているのです。
賢明な政府であれば、格付業者に対しては、「日本の措置は不当なものだが、わが国はこの措置で影響を受けることはない」とだけ伝えると思うのですが、どうして韓国政府はこうやって下手に歴史問題を自分自身で喧伝しようとしてしまうのでしょうか。
正直、理解できません。
下手をすれば、今回の韓国政府の説明を契機に、格付業者が韓国の格付を見直すかもしれませんし、格下げの結果、通貨危機が発生しやすくなるとしたら、これこそ本末転倒です。
その意味では、「セルフ経済制裁」(自分自身の行動が原因で、あたかも外国から経済制裁を受けたかのような状態に陥ること)が発生する、典型的な事例を見た気がします。
サプライチェーンから韓国を外すだけの問題
こうしたなか、もう1つ、産業面からは興味深い話題があります。
韓国製有機ELパネルの対日輸出が急増 規制に備え買い込み?(2019.07.24 11:16付 聯合ニュース日本語版より)
いろいろな意味で、現在の日韓関係を象徴する記事です。
聯合ニュースによると、韓国政府は24日、韓国の日本向けELパネル輸出が6月に前年同月比+129.2%と急増したと発表したそうです。また、ELパネルの対日輸出が増え始めたのは今年5月からとしており、聯合ニュースはこれについて
「日本政府が輸出規制の発表を前に有機ELパネルを確保しておくようテレビメーカーに密かに促したことで、5~6月の輸出額が急増した」
との仮説を提示しています。
考えてみれば興味深い話です。
有機ELパネル生産に必要な素材は日本から韓国に輸出されていますが、韓国が生産した有機ELパネルは日本に逆輸入されているからです。
その意味では、「エッチングガス」→「有機ELパネル」→「テレビ」(つまり、「日本」→「韓国」→「日本」)という流れを考えるにあたり、うまく真ん中だけ国産化に成功すれば、結果的に「日本」→「日本」→「日本」、という流れができ、サプライチェーンから韓国を外すだけの話だ、という言い方もできるでしょう。
それこそ「国産化」というソリューションが可能
ただし、現状、有機ELパネルは韓国企業が圧倒的なシェアを占めている状況にあり、仮に韓国で有機ELパネル生産が滞れば、日本企業にも少なからぬ影響が出て来ます。
中小型パネルとは 有機ELはサムスンが圧倒的シェア(2019/4/4付 日本経済新聞電子版より)
韓国独占「有機EL」、国産化阻む高いハードル/JOLEDは「印刷方式」で量産を始められるのか(2018/01/05 6:00付 東洋経済オンラインより)
このため、短期的には、韓国産の有機ELパネルが入って来なくなれば、これらのテレビメーカーの生産活動にも支障をきたすことが懸念されるのは事実でしょう。
しかし、日本の場合、韓国にない強みが1つあります。
それは、そもそも論として、キー・デバイスを日本国内で握っている、という点です。
確かに有機ELパネルの量産化では、日本企業は初動が遅れ、韓国勢に先を越されました。
しかし、考えようによっては、これは国産化のチャンスでもあります。
そこに確実に需要が存在しているということと、競合品の安定供給に不確実性が生じているということは、その分、国内で代替品を生産するという機会でもありますし、是非、日本企業は危機をチャンスに変えて頂きたいと思います。
それこそ日本国内で生産した製品を日本企業が日本国内で使う分には、外為法の制約はありません。
韓国をサプライチェーンから外した結果、日本経済が力強く復活することになるならば、一石二鳥、といったところでしょうか。
※本文は以上です。