十勝・芽室町の田園でポツンと営業中
十勝の中心都市である帯広に隣接し、日高山脈を背に大自然の懐に抱かれるまち・芽室町。肥沃な大地に恵まれ、小麦、てん菜、馬鈴薯、小豆、スイートコーンなどの畑作では道内トップクラスの生産量を誇る。また近年は「十勝川西長いも」の作付けも増えているそうだ。今日は縁あって、芽室町で麺を啜ることに。


訪れたのはJR根室本線・芽室駅から車で15分ほど、美生川に掛かる新生橋を渡って10線防風林を南下した先にある「三平ラーメン 坂の上店」だ。雄大なパッチワークの田園風景の中に突如現れるこの店は、元は「西渕商店」という日用品店だった。その後、ご主人・西渕寿氏の母が食堂を営んでいたが2012年に閉店。
その跡を改装し2014年2月にオープンしたのが「三平ラーメン 坂の上店」だ。三平はかつて帯広にあった映画館「キネマ館」に入っていた人気店で、いまも暖簾分け店が多く存在する。西渕氏はキネマ館の店で働いたのち、南町店に移り20年以上勤めて独立。そして三平の味を芽室の大自然の中で提供しているのである。


屋号を染め抜いた赤い暖簾と「熟成 手打ち麺」の看板がひと際目を引く。店内はカウンターに3席と、小上がりに4人掛けテーブル2卓の計11席。小上がりにはご主人の好きな新日本プロレスと岩崎宏美のポスターやレコードが飾られている。そして手書きのメニューとシブいラインナップの漫画がノスタルジーを誘う。
麺メニューは味噌、正油、しおの3種のラーメンがあり、竹の子、バター、のり、ねぎ、極太麺、昔風なども揃えている。ごはんも提供。今回は三平の代名詞である「味噌ラーメン(750円)」を注文した。サラリとしたスープは豚骨と鶏ガラの動物系に、鯵煮干しや昆布を加えたもの。そこに味噌と一味唐辛子を合わせている。


鯵煮干しの存在感と豚・鶏のコク、それらを邪魔せぬ程度に効かせた味噌ダレが絶妙にマッチ。生味噌を合わせているようで香りもよい。また表面のラードの層が更なるコクを加えてくれる。そこに合わせるのは歯切れの良い手打ちの中太ストレート麺。道産小麦を使っているそうでコシが強く、スープを吸って旨い。
いくつかある三平系店舗の中でも手打ちは珍しいらしい。そしてチャーシューはあえて少し獣臭を残した豚肩ロース肉が1枚。ほか、メンマ海苔、刻みネギがトッピングされる。唯一無二で中毒性の高い一杯、あっという間に完食した。なお店は昼のみの営業で手打ち麺が無くなり次第終了なので、早い時間に訪問するのが吉だ。
<店舗データ>
【店名】 三平ラーメン 坂の上店
【住所】 北海道河西郡芽室町坂の上10線73-1
【最寄】 JR根室本線「芽室駅」から車で15分