愛の塩焼き

友人の薦めで勢いで開設してしまったよもやま日記。
早いもので16年を超えた。。。。

「鬼籍に入る」の意味は

2008年07月26日 18時41分24秒 | Weblog
 昨日に続き、日本語について少し。

 「鬼籍に入る」という言葉がある。その意味を女子大生にたずねたら、「長男の嫁になること」と答える者が多かったそうだ。
 この珍解答には腹を抱える人も、さて「憮然(ぶぜん)」や「檄を飛ばす」の意味をご存じだろうか。文化庁の「国語に関する世論調査」によれば、7割以上が意味を取り違えていたそうだ。
 「憮然」は、失望してぼんやりする様子。「檄を飛ばす」は、自らの主張を広く知らせて同意を得る。それが元の意味だ。だが多くが、前者を「腹を立てている様子」、後者を、「元気のない者を叱咤激励する」と誤って使っていた。
 「日本語の乱れ」と嘆く向きもおられよう。だが、これらはもはや「誤」が「正」になった感がある。「憮然」から想像するのは仏頂面であって、失望の顔ではあるまい。歩く人が多ければそれが道になっていく。
 とはいっても、気になるのはカタカナ語である。多いと感じる人が8割を超す。開化期の文化人たちは、なだれ込む外国語と格闘し、「社会」「個人」「哲学」…と片っ端から新しい日本語の服を着せた。いまは裸のまま、ネットに雑誌にカタカナが踊る。席巻ぶりを、4割の人が「好ましくない」と思っている。
 ところで冒頭の「鬼籍に入る」は、人が亡くなることを言う。鬼の字にはもともと、「人が帰るところ」という意味があるそうだ。カタカナ語に虫食いにされて、美しい日本語がいつか鬼籍に入ることにはならないか。心配である。


 実はこの文章、本日の朝日新聞「天声人語」から抜き取ったもの。昨日、日本語についてほんの少しだけ触れ、目覚めたらこの文章が目に入ったので紹介してみた。自分なりにこの手の主張を書くと、この程度のスペースでは済みそうもない。

 ちなみに、マイクロソフトは、同社のソフトの解説書等で「コンピュータ」と表記していたものを「コンピューター」と長音符号をつけることにしたそうだ。利用者からの声だという。マスコミでは原則長音符号をつけている。これも本日の朝日新聞に掲載されていた。

 時代の変化とともに言葉も進化していくものなのかもしれない。けれど、美しい日本語は後世に残すべきだと思う。小生の世代は、後世に伝えるべき年齢に差し掛かっているような気がする。暖簾の向こうで、一緒になって新語、造語に付き合っている場合ではないのかな。

 しかし、天声人語を書写したのは、中学生以来である。つい先日、中学生になった長男に薦めたが、いまだにやっている気配はない。
コメント
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