ブログのネタがないときは、その日のニュースを話題にさせてもらうことがときどきありますが、先週のはじめ、インターネットで第一報を見てショックを受けて以来、それ以外のニュースに、全く興味を持てません。かと言って、このニュースを気軽にブログで取り上げることもためらわれ、なかなか書くことができませんでした。シリアで、ジャーナリストの山本美香さんが、殺害された事件です。
何が彼女をあれほど危険な仕事にかきたてたのか、自分の命を危険にさらしても追いかける人生の目的というものが人にとってあり得るのか。彼女を失ったパートナーの方やご家族は、このことをどう受け止めていくのか。
ジャーナリストが取材中に命を落とすことは、ミャンマーの長井健司さんをはじめ、今までもしばしば伝えられていますが、今回は特にショックでした。彼女が戦場には似つかわしくない女性だったからでしょうか。彼女のご家族や、公私にわたるパートナーの方の姿が、何回もテレビに映されるからでしょうか。以前と自分自身が変わったのでしょうか。
彼女の姉妹やお父様が、深い悲しみの中でも、誰を責めるでもなく、ただ姉をあるいは娘を誇りに思う、とおっしゃっているのは、彼女にとって、救いになっていると思います。一方パートナーの方は、取り乱した姿も見せず、ジャーナリストとして、客観的に事件のことを語ってくださるのですが、無表情すぎるその表情で、彼女の棺を乗せた車の傍に立ち、外から窓ガラスに押し当てた手の指が小刻みに震えているところまで、映像は伝えてしまっています。自分が大丈夫だと判断して最愛の人とともに危険な地域に入り、突然の混乱の中でしかたなかったとは言え、その時彼女を残して自分は逃げてしまった。私の想像の及ぶ範囲で最もつらい経験ですが、人間はどんなにつらい経験からも、立ち上がることができるということを、信じたいと思います。