ベイスターズの売却が、どうやら本決まりのようです。来週契約とのことです。まだ来月のオーナー会議の承認は必要で、ここで否定されれば、大混乱となりますが。
2002年のマルハからTBSへの移行のときも混乱がありました。はじめは、亀渕昭信(カメ)社長が球団経営に情熱を示していたニッポン放送が筆頭株主となるはずでしたが、一旦決まったあとになって、読売の渡邉恒雄さんから、ニッポン放送の関連会社であるフジテレビがヤクルトの株を持っているのだから、ダメだと言われ、困ったあげく当時第3位の株主だったTBSが、筆頭株主となったのです。このときは、筆頭株主の交代という扱いで、新規加盟料30億円も必要とされませんでした。
1949年下関の”まるは球団”としてセリーグに加盟し、1950年大洋ホエールズとなって、その後一時は松竹と合併して大洋松竹ロビンズとなり、1954年には再び大洋ホエールズとなって川崎に移転、1978年球団が横浜に来て横浜大洋ホエールズとなり、1993年横浜ベイスターズとなり、2002年に筆頭株主が変わっても、これまでは一度も新球団に変わったわけではなかったのです。今回の売却が成立すれば、1949年の球団創設以来、初めて名実ともに別の球団になるのです。
来期は横浜にとどまるようですが、その後はどうなるでしょうか。
横浜時代の球団にとって、最大の思い出は、やはり1998年の優勝、日本一でしょう。当時の中心選手は、先発投手が野村弘樹(28)、斎藤隆(28)、三浦大輔(24)、川村丈夫(28)、中継ぎが島田直哉(28)、五十嵐英樹(28)、抑えが佐々木主浩(30)。捕手谷繁元信(27)。内野手が駒田徳広(35)、ローズ(31)、進藤達哉(28)、石井啄郎(27)、外野手が鈴木尚典(25)、波留敏男(27)、佐伯貴弘(26)。かっこ内は、開幕時の年齢です。
普通、プロ野球のチームには、ベテラン、中堅、若手と、いろいろな選手が混ざっているものですが、28歳がとても多い。投手は三浦が若く、佐々木が2年先輩なだけで、それ以外は皆同級生です。野手もベテランは駒田だけで、あとは選手として脂の乗り切る25歳から28歳に集中しています。普通ではあり得ない状況です。だからこそ強かったとも言えますし、継続して勝てなかった一因でもあるでしょう。このように同年代が揃った理由のひとつは、ベイスターズになって1年目、近藤昭仁監督のときに、ホエールズ時代の主力選手を大量に解雇し、若手を起用したことであると思います。その若手たちが育って、4年後皆が同時にピークを迎えて、強いチームになったのです。
近藤昭仁監督は、1995年、12年ぶりの勝率5割台を達成しながら、フロントからの評価が芳しくなく、退任しました。
もともと横浜のようなスモールチームが、巨人や阪神のように毎年優勝争いをできるわけはありません。でも、数年にわたる長期的な戦略を練り、10年に一度優勝することは、不可能ではないと思いますし、スモールチームの戦略はそうあるべきです。
60年以上続いたホエールズ~ベイスターズの歴史は幕を閉じます。新球団はどのような球団になるのでしょうか。