横浜市都筑区耳鼻咽喉科

南山田(センター北と北山田の間)の耳鼻咽喉科院長のブログ。

スギ花粉症の舌下免疫療法

2013-09-29 19:01:47 | 院長ブログ

アレルギーの原因になるもの(アレルゲン)を長期間皮下注射する免疫療法(減感作)は、古くからある方法で、長期寛解(ずっと症状が出ない状態なので、患者さんにとっては治ったと考えられる状態)を得られる可能性のある唯一の方法でした。薬もレーザーも、その時は有効であっても、いずれはまた症状が出るのですが、免疫療法は、うまくいけば一生大丈夫になる可能性がある治療法です。

しかし長期間注射に通わなければならないこと、稀ですが重い副作用(アナフィラキシー)の可能性があることから、免疫療法(減感作)は、限られた医療機関でしか行われていませんでした。当院でも、花粉症に比べるとアナフィラキシーが少なく、花粉症と違って一年中症状が出るので薬だけでは治療が難しい、ハウスダストの減感作しか行っていませんでした。

舌下免疫療法は、注射のかわりに、アレルゲンを口の中(舌下)に入れて行う方法で、欧州(とくにイタリア)では以前から行われている方法です。注射ではなく、自分で口に入れる方法なので、頻回に病院に行かなくても済みます。また注射よりさらに、アナフィラキシーの可能性は少ないとされています。

以下は、昨日の講習会で聞いた内容です。3人の講師の先生が話をされたのですが、講師の先生によって微妙に違う部分があり、それをまとめたものです。受講希望者が予想以上に多かったのか、テキストが足らず、私はもらえなかった(後日郵送してくれるそうです)ので、テキストが届き次第不正確な部分があれば訂正する予定です。

 

舌下免疫療法にも欠点があります。効果発現が遅いこと(昨日ははっきり示されませんでしたが、治療を開始してから数ヶ月はかかると思われます)、長期間の治療が必要(2年間毎日続ける)なこと、ごく稀ですがアナフィラキシーも皆無ではないことです。

適応になる患者さんの条件は、アレルゲンがはっきりしていること(まず検査を含めた確定診断が必要です)、薬でコントロールできない(無効、副作用が出る、薬を飲みたくないという希望があるなど)こと、治癒ないし寛解を希望していることです。長期間毎日治療を続ける意志があり、少なくとも1ヶ月1回は病院を受診すること、すべての方に効果があるわけではないこと、効果があっても治療終了後それが減弱する可能性もあること、副作用があることとそれへの対応を理解することも、必要とされます。

治療を受けられないのは、β遮断薬(高血圧や狭心症に使われる)を服用中(アナフィラキシーの可能性を高める)、開始時に妊娠中の方、重症の喘息の合併(1秒率70ないし80%未満)、全身性の重い疾患のある方、急性感染症を起こしている方、などです。

口の中が痒くなる程度の副作用はときどきあるようです。アナフィラキシーというのは、全身に強いアレルギー反応が出る副作用で、全身に発疹が出るだけでなく、喉が腫れて呼吸が苦しくなったり、血圧が下がってしまったする、重い症状の出ることを言います。注射でも同じですが、この副作用はたいてい投与後15分前後で出ます。注射で行うときは、病院にいる間に症状が出るので、すぐ治療が行われます。重症の場合、アドレナリンの筋肉注射、酸素吸入、点滴などが行われますが、そこまで至ることはまずありません。多数の患者さんの治療を行っている大きな病院のアレルギー外来でも、アナフィラキシーなど数年に1度しかありませんし、あってもさほど重症にならずにすぐ回復します。さらに舌下の方が注射より安全とされているからこそ、この治療法が認可されるわけですが、それでも病院ではなくご自分で口に入れるわけですから、万が一のときは、緊急に病院にかかっていただくことが必要なので、それも理解していただかなければなりません。

副作用を少なくするためには、少なくとも初回は医師の管理下に、つまり投与後しばらく病院にいていただいて、様子を見ることが必要とされます。その後も投与後は、2時間は激しい運動や入浴を避ける、とくに花粉飛散期には、それが大切だそうです。投与直後の食事飲酒も避けるべきとのことです。

 

以上が、昨日の講習会の内容のポイントです。めったに起きなくても、起きてしまったら大変な、アナフィラキシーについて時間が多く割かれていました。最も知りたいことは、どれぐらい効くかですが、治癒(長期寛解)、有効、無効の率は、昨日は示されませんでした。ただ、今回の舌下免疫療法は従来の注射用エキスを、そのまま使用して行われます。したがって注射による免疫療法の効き目が参考になります。従来の注射による免疫療法では、20-30%で花粉症が治癒し、30%以上で花粉症が軽くなって薬が減り、20-30%で症状はあるが以前よりはましになり、10-20%では全く効果がない、と言われています。舌下の効果は、これらの注射の効果より、多少劣る可能性があります。

舌下免疫療法は、今年中の認可は見送られましたが、早ければ来年の花粉症の季節が終わった頃に、保険収載されます(健康保険で治療が受けられるようになります)。一般に、新しい薬は1年間は2週間分しか処方できない規則なので、その後1年間は、2週間に1回病院で処方箋を出してもらう必要がありますし、残念ながらすべての患者さんに有効なわけではなく、けっこう根気のいる方法です。したがって、絶対治したいという、強い気持ちがないと続けられないでしょう。しかし、この治療法は、薬やレーザーでは得られない根治(長期寛解)の可能性がある方法を、病院で注射をすることなく行えるものです。患者さんにとって、治療の新しい選択肢が増えることになります。毎年苦しんでいる花粉症の症状が、二度と起きなくなる可能性があるとすれば、そこまでいかなくても軽くなる可能性があるならば、この治療を受けたいと思われる方も、多いかも知れません。

もちろんスギ花粉の免疫療法は、スギ花粉症にしか効きません。ハウスダストなど、他のアレルギーに効くわけではありません。免疫療法のエキスをつくっている製薬会社によれば、次はハウスダストの標準化エキス(従来のエキスより、有効で安全なもの)、そしてそれを使ったハウスダストの錠剤(口の中で溶ける錠剤。エキスを口の中に垂らすより、服用し易いと思われます)、最後にスギ花粉の錠剤、という順番で、発売していく予定とのことです。

昨日聞いた話を忘れないようにという備忘録の意味もあったので、今日のブログは、読みにくい内容になってしまいました。

 

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日本鼻科学会(福井)

2013-09-28 23:23:45 | 院長ブログ

日本鼻科学会に出席するため、福井に行ってきました。今日は休診で、ご迷惑をおかけしました。昨日診療が終わってすぐ出かけたのですが、福井に着いたのは午後11時過ぎでした。けっこう遠いですね。飛行機で大分に行くより、時間がかかりました。

鼻科学会の会場。福井フェニックス・プラザ

今日は、朝からかなりいろいろな勉強をさせてもらい、有意義な一日でした。その中でメインイベントは、舌下免疫療法の講習会でした。

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、この11月からでも始められそうな話だったのですが、国(薬事審議会)は見送ったそうです。急に多くの患者さんに対して治療が始まって、混乱や事故が起きることを心配したのでしょう、治療ができるようになるのは、来年の花粉症の季節が終わってからになりそうです。同時に、この治療を行えるのは、講習を受けて登録をした医師だけに限るという、方針が急遽出されたようです。今日の講習会は、その第1回目の講習会です。受講し、登録して来ました。

舌下免疫療法の詳細については、また明日にでも。

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紅白の曼珠沙華

2013-09-23 23:19:35 | 花鳥風月

ららぽーとに向かう道の道端で、紅白の曼珠沙華を見ました。白い曼珠沙華は稀なようです。彼岸花とも呼ばれ、実際毎年お彼岸の頃に咲きます。お墓に見ることが多いからか、血の色を思わせる赤だからか、暗いイメージもありましたが、紅白が並ぶと、全くそんな感じはありませんね。

日本の曼珠沙華は、ソメイヨシノと同様、すべて遺伝的に同一です。そう言えば、ソメイヨシノ同様、この花も同じ時期に一斉に咲きますね。染色体が2対ではなく3対ある3倍体で種子で増えることができず、中国から伝わった1株の球根から、日本各地に株分けのかたちで広まったと考えられています。白い花は、曼珠沙華と鍾馗水仙の交雑種で、厳密には曼珠沙華ではないそうです。

ちなみに学名はLycorisと言いますが、北欧で人気のあるリコリス味の菓子(licorise candy:スウェーデン語ではlakrits)とは、関係ありません。リコリスは甘草の一種です。リコリスは、はじめは真っ黒で変わった味でびっくりしますが、私たちはけっこう好きになって、黒グミと呼んで、よく食べていました。

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秋のTomteたち

2013-09-22 22:09:34 | 院長ブログ

秋になって、エントランス(階段)も模様替えです。

先週から模様替えはしていたのですが、忙しくなってあまり昼休みが取れず、1週間遅れで昨日の昼に写真を撮りました。

    

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2013-09-19 08:26:26 | 院長ブログ

クリニックに着くと、まず自動電話予約システムに入っている時間枠予約患者さんを確認するのが長年の習慣になっていますが、一昨日まではスカスカだった予約表が、今日はほとんど埋まっています。朝晩の気温が下がると、急に患者さんが増えます。当院の患者さんの多くは、上気道炎、小児副鼻腔炎や中耳炎といった、小さい子供さんの耳・鼻・のど(咽喉)の急性炎症なのですが、気候によって罹りやすさが全く違うのです。

今日は中秋の名月。もう季節的には、とっくに秋になっているのでしょうけれど、当院の患者さんの数から見た季節は、今日から秋です。

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