横浜市都筑区耳鼻咽喉科

南山田(センター北と北山田の間)の耳鼻咽喉科院長のブログ。

10月の花粉症? 血管運動性鼻炎

2010-10-31 11:37:04 | 院長ブログ
 この時期は、風邪をひく人も多いのですが、風邪ではないアレルギー様の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目がかゆいといった、花粉症のような症状)を訴える方も、多くいらっしゃいます。

 確かに秋にも花粉症はあります。ブタクサを代表とする、キク科の雑草の花粉症です。春のスギやヒノキと違って、遠くまでは飛びませんが、都筑区には公園や空き地が多く、雑草もたくさん生えています。しかし、10月も後半になれば、ブタクサなども少なくなっているはずです。

 この時期目立つ草は、セイタカアワダチソウ。色が目立たないブタクサなどに比べて、鮮やかな黄色い花が空き地などにたくさん見られるので、患者さんの中には、自分はこの草の花粉症だろうと思っていらっしゃる方も多いのですが、セイタカアワダチソウは虫媒花で、あまり花粉が風に乗って飛ぶことはなく、花粉症の原因にはなりにくいとされています。

 ハウスダスト、ダニのアレルギーは、1年中症状が出る可能性があるのですが、実はこの時期は出やすい人がけっこう多いのです。夏に増えたダニの死骸や排せつ物がたまっているせいだとも言われますが、気温の変動、体調の変化なども関係しているかも知れません。この時期のアレルギー症状は、ハウスダスト、ダニのアレルギーか、それからもうひとつ、気温の変動、体調の変化が主な誘因となる、血管運動性鼻炎が考えられます。

 血管運動性鼻炎という病名は、アレルギーが関与せず、温度刺激などでアレルギー様症状が出るときにつけられる病名です。血管運動神経というのは、自律神経のうち血管の拡張収縮を司る神経を指すのですが、普通はあまり使われないことばです。
 たしかに、鼻づまりや鼻水は自律神経が調節しているのですが、血管運動性鼻炎の症状には、血管以外にも、鼻腺を支配する副交感神経や感覚神経も大きく関係するし、第2世代の抗ヒスタミン剤(口の渇きなどの副交感神経への作用が少ない、比較的新しい抗ヒスタミン剤)が有効なことから、ヒスタミンも関係していると考えられます。
 だから、血管運動性鼻炎という病名は、病態を正しく表現しているとは言えません。でも、非アレルギー性のアレルギー様症状を説明するのに便利な病名なので、よく使われます。
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フォロー・ミー

2010-10-27 16:22:52 | 映画・テレビ
フォロー・ミー 1972年(イギリス/アメリカ) 日本公開年1973年1月13日

午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本の、横浜でのオープニングはフォローミーでした。

この映画には、他の49本と決定的に違う点があります。今まで一度もビデオにもDVDにもなっていないのです。50本の中で、何度も見ることが不可能だった唯一の映画なのです。この映画を再び見られただけで、この企画に感謝です。

典型的な英国人(いい家庭で育ち、まじめで、職業も公認会計士)の夫と、自由を求めて世界を旅していたアメリカ人(ミア・ファロー)の妻の若い夫婦と、移民の探偵(トポル)の3人が主役。夫婦ともう一人の男というシチュエーションだけはカサブランカと同じですが、この物語ではドラマチックな事件は起きません。カサブランカのボギーは常にかっこいいですが、この映画のトポルは常にひょうきんです。

若い頃に見たときは、音楽(ジョン・バリー。この主題曲は掛け値なしの名曲です)とミア・ファローが歩くロンドンの街の雰囲気が、感覚的に心地良く、それが記憶に残っていたのですが、今回見て、3人それぞれの立場や心情が静かに後味良く描かれた、秀逸な映画であることが改めてわかりました。名作映画というのは、どんなテーマであっても、脚本(ピーター・シェーファー。”アマデウス”(1984:50本の1本)同様、自身の舞台劇の映画化)と監督と音楽と俳優と、多くの人の才能と尽力が融合しないとできないものです。この映画はひとつの名作です。

ミア・ファローは、ターザン映画のジェーン女優モーリー・オサリバンの娘。外見的にはか細いが内面に強い個性を持った、独特の魅力を持つ女優さんです。TVドラマ”ペイトンプレイス物語”で一躍人気が出て、29歳年上のフランク・シナトラと結婚。ビートルズと同時期にインド文化に傾倒してインド滞在。後に、ピアニストで作曲家のアンドレ・プレヴィンと結婚。そしてその後にはウディ・アレンと多くの映画をつくりました。貧困地域の子供たちを救う活動、彼女自身が子供のとき苦しんだポリオの根絶に向けた活動なども行い、北京オリンピックに際しては、ダフール紛争における中国の行為を批判し、その批判を受けてか、オリンピック組織委員会顧問だったスピールバーグも辞任しました。最近では、リュック・ベッソンのファンタジー、アーサーとミニモイのアーサーのお祖母さん役で、変わらない姿を見せてくれています。

監督キャロル・リードは、ミュージカル”オリバー”でアカデミー監督賞を取りましたが、誰もが認める代表作は、”第三の男”(1949)(今回の50本にも入っています)でしょう。フォロー・ミーは、キャロル・リード65歳のときの作品ですが、瑞々しい魅力を持った映画です。彼の最後の作品でもあります。

今回の企画がきっかけになり、望む声も多かったのでしょう、来月、公開されてから37年目にして、はじめてのDVDが発売されます。
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ドイツグラモフォンの創立111周年!!記念DVD

2010-10-26 20:55:50 | 映画・テレビ
注文していた、DVDが届きました。と言っても映画ではなく、ドイツグラモフォンの創立111周年!!記念DVDで、比較的廉価なのに13枚セットという、嬉しい企画です。
特にクラシック・ファンというわけではなく、ときどき聴きたくなる程度に好きなだけですが、常々残念に思うのは、CDでは映像がないこと。やはり、会場の雰囲気、演奏する姿、弓の動きなど、視覚は音楽をより豊かにすると思います。
そういう意味では、良い映画は、美術と音楽と文学を合わせた、最高の芸術となり得るかも知れません。

 
ということで、さっそく今夜はアンネ-ゾフィー・ムターのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲。相変わらずの豊かな音色(モーツァルト向きかどうかは意見が分かれそうです)が、映像によってよりいっそう楽しめるだけでなく、この音はこういうボーイング(弓の動き)で生まれるのかというような興味もそそられる上に、メーキングも付いています。
ただし、メーキングはドイツ語で、字幕はENGLISH, FRANÇAIS, CASTELLANO(いわゆるスペイン語。バルセロナの人などは両方話せるものの、カタルーニャ語の方に誇りを持っているようです), 中文の4つだけ。中国語字幕まであるのに、日本語字幕はありません。日本にはたくさんクラシック・ファンがいそうなのに、ドイツにとっては中国人の方が良い顧客なのでしょうか。
この他、スティング(イタリア語バージョンはロベルト・ベニーニ)がナレーションを担当するピーターと狼、マーゴ・フォンテーンとヌレエフの白鳥の湖、カレーラス/キリ・テ・カナワ版ウエストサイド・ストーリーのメイキング、etc. クラシック・ファンだけでなく、映画ファンの興味もそそりそうです。
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午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本

2010-10-23 05:58:58 | 映画・テレビ
TOHOシネマズの”午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本”は、私の年代の映画ファンにとって、夢のような企画です。若いころ見た映画を、また映画館で見る機会が訪れようとは!
 
制作年度を見ると、1940年代が4本、50年代が13本、60年代が12本、70年代が8本、80年代が11本、90年代が2本です。 主演(準主演を含む)は、3本入っているのがスティーブ・マックイーン、ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマンの3人、2本がチャップリン、オードリー・ヘップバーン、マリリン・モンロー、ポール・ニューマン、ジャック・レモン、ジャクリーン・ビセット、アレック・ギネスの8人。監督は、3本入っているのがビリー・ワイルダー、2本がチャップリン、ヒッチコック、ウイリアム・ワイラー、デビッド・リーン、キャロル・リード、ジョージ・ロイ・ヒルの6人。音楽は、3本がニーノ・ロータ、2本がジョン・バリー、モーリス・ジャール、マービン・ハムリッシュ、ジェームズ・フォーナー。脚本は、3本がI.A.Lダイヤモンド、2本がダルトン・トランボ、アーネット・リーマン、ピーター・シェーファー、リチャード・マシスン、ハリー・クライナー。原作が2本のスティーブン・キング、リチャード・マシスン。タイトルデザイン2本のソウル・バス。

もちろん、クリント・イーストウッドがないとかビスコンティがないとか、ウッディ・アレンがないという不満を感じる方があるかも知れませんし、私もジョン・フォードが見たかった。 でも、50本という制限の中での選択であることを思うと、よく考えられており、名作揃いです。 2月から始まったこの企画も、残りあと4分の1ほどになってしまいましたが、まだヒッチコックを始め、見逃せない作品が多く残っています。若い人も含め、たくさんの人に見てもらいたいと思います。
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iPadで変わる医療?

2010-10-21 22:11:08 | 院長ブログ
日経メディカルの今月号の特集、iPadで変わる医療を読んだのですが、想像力を刺激する内容はありませんでした。iPadを医療に利用しようというフォースが、自分の中で高まっていないせいで、記事の内容が訴えてこないのかも知れません。iPadを使いたいという気持が強い先生であれば、もっとヒントを引き出せるかも知れません。

その中で使えるなと思ったのは、問診票としてのiPad。見やすい画面と文字の大きさ、書くのではなく画面にタッチして入力するなど、ご高齢の方にもいいかもしれません。とくに電子カルテを使っている先生であれば、問診票の内容を電子カルテに送信できるので、なお便利でしょう。
またiPadの軽快さと画面の美しさは、患者さんに説明をするときに、普通のパソコンや紙を使って行うよりも、訴える力が強いかも知れません。

でも、iPadでなければできない、あるいはiPadで行ったら明らかに世界が変わるというほどのアイディアが湧いてきません。
もう少し時間が必要なのかも知れません。
コメント (2)
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