花粉飛散期が終わり、飛散期には開始できなかった、スギ花粉舌下免疫療法を、再開しています。この治療法は、効果が出るまで時間がかかるので、直前に始めるより、ある程度早くから始めた方が、来春の飛散期から効果が得られる可能性が高まります。
なお、適応は成人および12歳以上の小児ですが、以前このブログ(スギ花粉症の舌下免疫療法1、2)にも載せた学会の指針にはなかった注意事項が、発売時製薬会社の作成した添付文書には記載されています。
ひとつは、高齢者への投与についてです。”65歳以上の高齢者に対する使用経験はない。(中略)、本剤による十分な治療効果が得られない可能性や、副作用がより重篤になるおそれがあることから、投与の可否を慎重に判断すること。”と、添付文書には書かれています。
同じ65歳以上でも、若い方並にお元気な方も多いですから、一概に機能が低下しているということは言えないでしょうけど、65歳以上では、自然寛解、すなわち治療しなくても体質が変わって花粉症が治る方が多いのも確かです。2年も3年も続ける舌下免疫などをしなくても、自然に治る可能性が高いのですから、その意味で当院では65歳以上の方には、原則として舌下免疫療法はお勧めしていません。
一方で、鼻の調節をしている神経が過敏になって起こる、血管運動性鼻炎に類する鼻炎は、65歳以上の方に多くなってきます。花粉症だと思われている高齢者の方の中には、実は血管運動性鼻炎の方もけっこういらっしゃいます。血管運動性鼻炎であれば、それに応じた対応が必要になります。そういうわけで、65歳以上の方には舌下免疫療法はお勧めしませんが、しつこい鼻炎でお困りの方は、やはり耳鼻咽喉科を受診していただいた方が良いと思います。
なお別の話になりますが、年内にでもダニ(ハウスダスト)アレルギーに対する舌下免疫療法が、始められるようになる予定です。