貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

カイヤナイト

2021-10-26 20:39:17 | 単品

カイヤナイトは、青い美しい石。
そしてちょっと不思議。
深い青の結晶を見せたり、薄いブルーグリーンで雲母のような薄片を見せたり。
かと思えばオレンジのもある。
割合よく産出されるようで、全般的にお安い、貧石向けの石です。

Al2SiO5。アルミの単塩基で、与党単独派(ネソケイ酸塩)。
つまりとっても簡素な構造をしているということ。
それにしては、とても繊細で複雑そうな味わいを持っている。
縦方向には強く、横方向にはえらく弱いとか。だから宝石にはなりにくい。それがまたいい。
青の色は、不純物として含まれる鉄とチタンとがイオンを交換し合うことによって生まれる(電荷移動錯体)。これはサファイヤと同じ。オレンジのものはチタンが多いらしい。どういうことかはわからない。
姉妹、つまり「同質異形」にアンダルサイト(紅柱石)とシリマナイト(珪線石)がある。これはまた別に。

少し緑がかった薄青のカイヤナイトは、繊細で清らかで、なんとなく、けがれのない美しい少女を思わせます(いや、少年でもいいけど)。
あまり強い青だったり、均一でしっかりした結晶だったりすると、そんなカイヤナイトの繊細さがなくなってしまうように、あちきには感じられます。そんならほかの石でいいじゃん、と。

このバングルは、青みが薄く、まあB級品なのでしょうけれども(安かった)、それがカイヤナイトの繊細な清らかさを返って際立たせているようで、あちきはとても気に入っています。

こちらはちょっと大きめの原石。例の五反田のお店でけっこう安く買えた。雲母のように白っぽく剥離しかかっていたり、深い青の部分もあったりと、様々な表情があって味わいがあります。

繊細で清らかな美少女なんてまわりにいないから、カイヤナイトを眺める。
いや、どんな人間よりも、石のほうが美しいように思える今日この頃です。(そりゃジジイだからだよ)