貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

禁制破り

2021-10-03 14:59:55 | 漫筆

いけませんねえ。

貧石山人としては、ルースの世界には踏み入らないという自戒をしているのですけど、ミネラルフェア、ミネラルマルシェ、1000円マルシェと、この店の前で引っ掛かり、禁制を破ってしまいました。

Hunza Gems and Jewellery さんというお店。
パキスタン、フンザ地方で研磨加工しているとか。
結局三回でいろいろ買ってしまった。こんなペリドットとか。

8ミリ角、1.8カラット。写真で見るとクラックがありますね。でも現物はきれい。これで1000円ですぜ。

これはですね、半世紀以上前に、縁日の夜店でガラスの宝石を前にした時と同じ気持ちなのですねえ。キラキラに魅入られて、あれもこれも欲しくなる。
ああ自制力崩壊。

このほか、ちょっと面白いものもあるんですけど、それはまたの機会に。

 

 


金属別鉱物リスト

2021-10-03 10:02:26 | 鉱物分類

鉱物の分類は、酸基(陰イオン)のほうで分ける、ということになっているわけですが、それだと「銅の鉱物って何じゃい」という疑問がしょっちゅう出て困る。アズライトとクリソコラとカルカンサイトとダイオプテーズがすべて別種族になっているというのも、変といえば変だし、「銅の鉱物をそろえてみようかなあ」と思った時、参考にならない。

鉱物学の分類とは別に、鉱業法での分類というものがあって、こちらはだいたいが金属別の分類になっている。鉱業では採取できる金属が問題なのだから当然といえば当然。
あちきらの普通の感覚からしても、「これ、鉄が含まれている石だよ」というほうが、「これ、珪酸四面体が6つ環状に結合した石だよ」というよりしっくり来る。
石を色で選ぶなんて時も使えるし(例外がたくさんあるけど)。
けれど、金属別の石リストというのは、意外なことにあんまりない。この際だから自分で「おべんきょノート」として作る。(一部、「金属と鉱物」山口大学工学部学術資料展示館を参照させてもらいました。)

リストの順は地殻の構成元素で多いものから、なんて考えたけど、見てみると、
酸素(46.6)、珪素(27.7)、アルミニウム(8.1)、鉄(5.0)、カルシウム(3.6)、ナトリウム(2.8)、カリウム(2.6)、マグネシウム(2.1)、チタン(0.4)、リン(0.1)、マンガン(0.1)、フッ素(0.08)、バリウム……(数字はパーセント)。銅や亜鉛や鉛なんかはもっと下。
こんなんどうしようもない。
で、勝手に選んだ金属は以下。
鉄・マグネシウム・チタン・マンガン・バリウム・銅・鉛・亜鉛・砒素・クロム・ベリリウム・リチウム・コバルト・アルミ単独

まあ、あくまで「石好き」の観点からのものであります。抜けてるのも多数ありかと。常時暫定版wということで。

◆鉄(Fe)
マグネタイト(Magnetite 磁鉄鉱) Fe3O4
ヘマタイト(Hematite 赤鉄鉱) Fe2O3
ゲーサイト(Goethite 針鉄鉱) FeO(OH)
レピドクロサイト(Lepidocrocite 鱗鉄鉱) FeO(OH)
パイライト(Pyrite 黄鉄鉱) FeS2
ピロータイト(Pyrrhotite 磁硫鉄鉱)  Fe1-xS (x=0-0.17)
マーカサイト(Marcasite 白鉄鉱) FeS2
シデライト(Siderite 菱鉄鉱) FeCO3
ビビアナイト(Vivianite 藍鉄鉱) Fe3(PO4)2・8H2O
エジリン(Aegirine エジリン輝石)NaFeSi2O6
アルマンディン(Almandine 鉄礬石榴石) Fe3Al2(SiO4)3
ショール(Schorl 鉄電気石) NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4
オリビン(ペリドット)(Olivine[Peridot] 橄欖石) (Mg,Fe)2SiO4(fayalite)
フォスフォシデライト(Phosphosiderite 斜燐鉄鉱) Fe3PO42H2O
フォスフォフィライト(Phosphophyllite 燐葉石) Zn2Fe2+(PO4)2・4H2O

◆マグネシウム
ドロマイト(Dolomite 苦灰石) (Ca,Mg)CO3
マグネサイト(Magnesite 菱苦土石) MgCO3
ブルーサイト(Brucite 水滑石) Mg(OH)2
オリビン(ペリドット)(Olivine[Peridot] 橄欖石) (Mg,Fe)2SiO4(Forsterite)(マントルの主要構成物)
 *マグネシウムは60種以上の鉱物に含まれているが,工業的に利用されているのは上記4種のみ。
タルク(Talc 滑石) Mg3Si4O10(OH)2 
エンスタタイト(Enstatite 頑火輝石) Mg2Si2O6 (ハイパースシーン、ブロンザイト)
スピネル(spinel 尖晶石) MgAl2O4

◆参考:苦鉄質鉱物 (Mafic Minerals)
マグネシウム(Mg)や鉄(Fe)を主成分とする鉱物で、色のついた物が多く、かんらん石、輝石、角閃石、雲母族鉱物などが属する。苦鉄質鉱物の多くは、鉄とマグネシウムが連続的に入れ替わる(固溶体)ような化学組成をもっている。珪長質鉱物に比べて比重が大きく、玄武岩や斑れい岩などの塩基性岩の主要構成鉱物である。花崗岩やデイサイト、流紋岩などの酸性岩にも量は少ないが含まれる。
(上部マントルの主な構成金属はマグネシウム(22.22)、ケイ素(21.31)、鉄(5.86)、カルシウム(2.50)、アルミニウム(2.17)の順)

◆チタン(Ti)
ルチル(Rutile 金紅石) TiO2
ブルッカイト(Brookite 板チタン石) TiO2(「プラチナルチルクォーツ」のインクルージョン)
アナテース(Anatase 鋭錐石) TiO2
 *上記三種は同質異形(多形)
チタナイト(Titanite チタン石)CaTiSiO5(宝石名スフェーン)
ベニトアイト(Benitoite ベニト石) BaTiSi3O9

◆マンガン(Mn)
パイロルーサイト(Pyrolusite 軟マンガン鉱) β-MnO2
ラムズデライト(Ramsdellite ラムスデル鉱) γ-MnO2
ビクスビアイト(Bixbyite ビクスビ鉱) Mn2O3
ロードクロサイト(Rhodochrosite 菱マンガン鉱) MnCO3
ロードナイト(Rhodonite バラ輝石) CaMn4Si5O15
スぺサルティン(Spessartine 満礬柘榴石) Mn3Al2(SiO4)3 33.3
イネサイト(Inesite イネス石) Ca2Mn7Si10O28(OH)2・5H2O
パイロクスマンガイト(Pyroxmangite パイロクスマンガン鉱) MnSiO3
*マンガンによる発色
 モルガナイト(morganite、ベリル)
 マンガンカルサイト 蛍光鉱物

◆バリウム(Ba)
バーライト(Barite 重晶石) BaSO4
ベニトアイト(Benitoite ベニト石) BaTiSi3O9

◆銅(Cu)
自然銅 Native copper  Cu
カルコパイライト(Chalcopyrite 黄銅鉱) CuFeS2
ボーナイト(Bornite 斑銅鉱) Cu5FeS4
キュープライト(Cuprite 赤銅鉱) Cu2O
アズライト(Azurite 藍銅鉱) Cu3(CO3)2(OH)2
アタカマ鉱 Atacamite  Cu2(OH)3Cl
カルカンサイト (Chalcanthite 胆礬) CuSO4・5H2O
ブロシャン銅鉱(Brochantite)  Cu4(SO4)(OH)6
マラカイト (Malachite 孔雀石) Cu2(CO3)(OH)2
クリソコラ (Chrysocolla 珪孔雀石) Cu2H2Si2O5(OH)4
シャタッカイト(Shattuckite シャタック石) Cu5[(OH)2|(SiO3)4]
ダイオプテーズ(Dioptase 翠銅鉱) CuSiO2(OH)2
リベテナイト(Libethenite 燐銅鉱) Cu2(PO4)(OH)
クリノクレース(Clinoclase 斜開銅鉱) Cu3AsO4(OH)3
ローザサイト (Rosasite 亜鉛孔雀石) (Cu,Zn)2(CO3)(OH)2
リナライト(Linarite 青鉛鉱) PbCu(SO4)(OH)2
オーリカルサイト (Aurichalcite 水亜鉛銅鉱) (Zn,Cu)5(CO3)2(OH)6
ターコイズ(turquoise トルコ石) CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O
リロコナイト (Liroconite)Cu2Al(AsO4)(OH)4 · 4H2O

◆鉛(Pb)
ガレナ(Galena 方鉛鉱) PbS
セルサイト(Cerussite 白鉛鉱) PbCO3
アングレサイト(Anglesite 硫酸鉛鉱) PbSO4
リナライト(Linarite 青鉛鉱) PbCu(SO4)(OH)2
クロコアイト(Crocoite 紅鉛鉱) PbCrO4
鉛丹(Red lead)Pb3O4(主に人工顔料)
パイロモルファイト(Pyromorphite 緑鉛鉱)Pb3(PO4)3Cl

◆亜鉛(Zn)
スファレライト(Sphalerite 閃亜鉛鉱) (Zn,Fe)S(Fe=0)
ジンカイト(Zincite 紅亜鉛鉱) ZnO
スミソナイト(Smithsonite 菱亜鉛鉱) ZnCO3
ヘミモルファイト(Hemimorphite 異極鉱) Zn4Si2O7(OH)2・H2O
アダマイト(Adamite アダム石、水砒亜鉛鉱) Zn2(AsO4)(OH)
フォスフォフィライト(Phosphophyllite 燐葉石) Zn2Fe2+(PO4)2・4H2O
ローザサイト (Rosasite 亜鉛孔雀石) (Cu,Zn)2(CO3)(OH)2

◆砒素(As)
オーピメント(Orpiment 石黄) As2S3
リアルガー(Realgar 鶏冠石) As2S2
プルースタイト(Proustite 淡紅銀鉱) Ag3AsS3
◇砒酸塩鉱物
 ミメタイト(mimetite ミメット鉱) Pb5(AsO4)3Cl
 アナベルガイト(annabergite ニッケル華) Ni3(AsO4)2・8H2O
 エリスライト(erythrite コバルト華) Co3(AsO4)2・8H2O
 スコロダイト(scorodite スコロド石) Fe3+AsO4・2H2O
 アダマイト(adamite アダム石、水砒亜鉛鉱) Zn2AsO4(OH)

◆クロム(Cr)
クロコアイト(crocoite 紅鉛鉱) PbCrO4 (数少ないクロム酸鉱物)
ウバロバイト(Uvarobite 灰クロム柘榴石)Ca3Cr3(SiO4)3
クロムクリノクロア(Chromian Clinochlore 菫泥石)Mg5(Al,Cr)2Si3O10(OH)8
*クロムによる発色
 クロムダイオプサイド (透輝石)CaMgSi2O6
 エメラルド(ベリル)
 デマントイド(アンドラダイト 灰鉄柘榴石) Ca3Fe2(SiO4)3
 アレキサンドライト(クリソベリル)の変色はクロムによる(硫黄説もあり)

◆ベリリウム(Be)
ベリル(beryl 緑柱石) Be3Al2Si6O18(ゴシェナイト、アクアマリン、エメラルド、ヘリオドール、モルガナイト)
フェナカイト(Phenakite フェナス石)Be2SiO4
クリソベリル(Chrysoberyl 金緑石) BeAl2O4 (アレキサンドライト)
ユークレース(Euclase) BeAl(SiO4)(OH)
ヘルデライト(Herderite) Ca,Be[PO4](F,OH) 蛍光

◆リチウム(Li)
レピドライトd(Lepidolite リチア雲母) K2(Li,Al)5~6(Si,Al)8O20(OH,F)4
スポデューメン(Spodumene リチア輝石) LiAlSi2O6 (クンツァイト、ヒデナイト、トリフェーン)
アンブリゴナイト(Amblygonite アンブリゴ石) LiAl(PO4)F 異形にモンテブラサイト(Montebrassite)がある
ペタライト(Petalite 葉長石) LiAlSi4O10
エルバイト(Elbite リチア電気石)Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4

◆コバルト
エリスライト(Erythrite コバルト華) Co3(AsO4)2・8H2O
スクッテルダイト(Skutterudite スクテルド鉱、方砒コバルト鉱) (Co,Fe,Ni)As2-3
 *カルサイトにコバルトが混入すると赤やピンクに発色

◆アルミニウム単独
コランダム (Corundum 鋼玉)  Al2O3 ルビー、サファイア
カオリナイト(Kaolinite カオリン石、高陵石) Al4Si4O10(OH)8 粘土鉱物の一種。
ギブサイト(Gibbsite ギブス石) Al(OH)3 ボーキサイトを構成する主要鉱物
ダイアスポア(Diaspore) AlO(OH) 変色効果
オージェライト(アウゲライト)(Augelite、アウゲル石) Al2(PO4)(OH)3
トパーズ(Topaz、黄玉)  Al2SiO4(F,OH)2 (OH のものがインペリアルトパーズ)
カイヤナイト(Kyanite 藍晶石) Al2SiO5 (三斜晶系)
シリマナイト(Sillimanite 珪線石)Al2SiO5(直方晶系)
アンダリューサイト(Andalusite 紅柱石)Al2SiO5 (直方晶系)方向変色
*最後の三つは同質異形

◆その他特徴的なもの
モリブデン酸鉱物――ウルフェナイト(Wulfenite モリブデン鉛鉱) PbMoO4
ストロンチウム鉱物――セレスタイン(Celestine 天青石)SrSO4
バナジン酸鉱物――バナジナイト(Vanadinite バナジン鉛鉱、褐鉛鉱) Pb5(VO4)3Cl
*バナジウムによる発色――ツァボライト(グロッシュラー)緑、カバンサイト(Cavansite)青

◇鉱業法による「鉱物」
鉱業法第3条第1項:『この条以下において「鉱物」とは、金鉱、銀鉱、銅鉱、鉛鉱、そう鉛鉱、すず鉱、アンチモニー鉱、亜鉛鉱、鉄鉱、硫化鉄鉱、クローム鉄鉱、マンガン鉱、タングステン鉱、モリブデン鉱、ひ鉱、ニツケル鉱、コバルト鉱、ウラン鉱、トリウム鉱、りん鉱、黒鉛、石炭、亜炭、石油、アスフアルト、可燃性天然ガス、硫黄、石こう、重晶石、明ばん石、ほたる石、石綿、石灰石、ドロマイト、けい石、長石、ろう石、滑石、耐火粘土(ゼーゲルコーン番号三十一以上の耐火度を有するものに限る。)及び砂鉱(砂金、砂鉄、砂すずその他ちゆう積鉱床をなす金属鉱をいう。)をいう。』