*前に書いた「貧石流鉱物分類」があまりにもぐだぐだだったので再整理。
鉱物の分類というのは、ややこしい。
鉱物というのは、元素鉱物(金・銀など)を除いて、「プラスイオン」(カチオン、主に金属類)と「マイナスイオン」(アニオン、××酸など)の合体(錯体、塩[えん])である。
で、鉱物分類は「アニオン」の種類によって決めている。ケイ酸塩鉱物とか炭酸塩鉱物とかハロゲン化鉱物とか。
ちなみに結晶系による分類は鉱物学では重要なのだろうけど、素人にはあまり役に立たない。晶系と実際の結晶の形なんて違うことが多いし。
で、名前ばっかりを羅列しても、全体像がわからなくて、うまく捉えられない。覚えられない。そこで、全体見取り図というか、大ざっぱな構図を作る。そして覚えやすい名前を付ける。そうするとイメージ的にとらえやすくなる。そして「ああ、あのグループか」とわかると性質特徴などもはっきりすることが多い。まあ一種のお遊びですけど。
鉱物の勢力は、4つ。4つしかない。
1.王族――元素鉱物
2.貴族――石英
3.与党――ケイ酸塩鉱物
4.野党――非ケイ酸塩鉱物
1の王族は、元素のみでできている鉱物。純粋種ですな。多くはない。
金、銀、銅、硫黄、炭素(ダイヤモンド、石墨)、水銀くらい。
2の貴族は、シリカ(SiO2)だけでできている。通常これは「酸化鉱物」に分類されるけれど、やっぱ別物でしょう。で、この中は「御三家」に分かれる。
2-1 結晶質 水晶
2-2 微細結晶質 カルセドニー(玉髄。アゲート、ジャスパーなどを含む)
2-3 非晶質 オパール(これはちょっと異色。実は「鉱物」ではない)
3のケイ酸塩鉱物は、ものすごく数が多い与党。ただし一枚岩ではなく、ケイ酸の結合型によって六派に分かれる。「与党六派」。
3-1 単独派(ネソ) ペリドット、トパーズ、ガーネットなど。
3-2 双結派(ソロ) ゾイサイト、エピドートなど。
3-3 繊維派(イノ) 角閃石、輝石など。
3-4 平面派(フィロ) 雲母、滑石など。
3-5 六環派(サイクロ) ベリル、トルマリンなど。
3-6 立体派(テクト) 長石、沸石など。
単独派はリン酸が単独、双結は2個結合、繊維は鎖状結合、平面は板状結合、六環は6つ環状結合、立体は立体的複雑結合。煩瑣だけどこれは結構鉱物の特色を形作っている。詳細は別項で。
4の非ケイ酸塩鉱物には、2派ある。
4-1 穏健派 酸素酸塩鉱物(××酸塩というもの。
4-2 急進派 酸化・水酸化・ハロゲン化・硫化
これも詳細は別項。
改めて並べると
1.王族(元素)
2.貴族(石英) 御三家
3.与党(ケイ酸塩) 六派
4.野党(非ケイ酸塩) 穏健派・急進派
これでOK。実にわかりやすいではないですか。ミソは、石英を酸化鉱物とは別にしたところと、非ケイ酸塩鉱物を二派にしたところ、ケイ酸塩の結合形を和訳したところ。
世に大手を振っているのは貴族と与党。水晶・玉髄・オパールはそれらだけで市場の過半数を占めるのではないかとさえ思える。ケイ酸塩鉱物は全鉱物の8割くらいを占めるらしい。圧倒的安定政権ですな。
しかし野党にもフローライトやカルサイト、コランダムなど大集団がいる。急進派はなかなか個性ある面々。
石好きは一つ一つの鉱物の美しさを鑑賞していればいいのだけど、それがどんな派閥に属するかを知っておくと、また別の味わい方ができるのではないでしょうか。
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