ヤフオクを見ていたら、ブルッカイトの小品で妙な色合いのものがある。形は歪だけれど、面白そうで、人気出品者の中で割と安かったのでポチっと。
一見、普通の赤黒いブルッカイト。
ところが、光の具合で変幻自在。アンモライトかスペクトロライトですか?みたいな。
まあすごい。写真ではあんまり捉えられないのだけどそれでもこんな。
結晶の形がぼろぼろで小さいから安かったのだろうけど、どうしてどうして。
ブルッカイトは以前、小さなものを買った。結晶の姿は端麗だけどこれほどの変幻はない。
周知のごとく、「チタン三兄弟」の一人。TiO2 の組成で「ルチル・アナテーズ・ブルッカイト」の三人。和名は板チタン石。板っていうとでかそうだけど平板の形を表現するのに他に言葉はないから仕方ない。薄い板が重なっている標本が多い。薄い層構造なので光が変幻するのかとも思われるけれど劈開はないと言う。わけわからん。
ちなみに名前の由来のブルックさんは、1771-1857、ロンドンで織物業で財をなしたアマチュアの鉱物収集・研究家だけど、アナベルガイト、オートゥナイト、アルベゾナイト、カレドナイト、チルドレナイト、リナライト、ニトロナトライト、スーザナイト、トムソナイト、ヒューエライト〔Whewellite〕を発見した貢献者だそうで。博物学・鉱物学の勃興期。欧州19世紀は栄光の時代ですな。
ブルッカイトを出したついでに、あと二人も。
アナテーズ。鋭錐石。四角錐を2つお尻でくっつけた形が典型だけど、これはよくわからん多角形。
チビ水晶のクラスターの上に乗っかっているのだけど、なんでこんなふうになったのでしょう。「お、ここ眺めよさそうじゃん」とくっついたのか。不思議。
時たま青や赤に透けるのも出回っているけど、これは不透明。石屋さんの説明には若干透けるようなことが書いてあったけど、透けません。残念。けどキリっとした姿と輝き、条線が美しい。
ちなみに命名はあのアユイさん。「拡張」という意味のギリシャ語から。アユイさんはちょっと変わった詩人ですな。
もう一人、ルチル君。前に中二病のやつは上げたけど、これはまっとう。ぐちゃぐちゃだけど、輝きが実に美しい。
このところは、水晶の中にばらばらと入っているのが隆盛で、ルチルのみのクラスターというのはあんまり見ない。割と稀産なのかな。ばらばらになりやすいのか。しかしなんで水晶の中に入るのか。わかりません。
ところで、「チタン三兄弟」と言ってきたけど、実際は「五兄弟」らしい。mindat にはこうある。
Akaogiite, Anatase, Brookite, Riesite, Rutile, UM1991-08-O:Ti, UM2000-41-O:Ti (TiO2-II)
UMは未承認。リーサイトは隕石衝突性鉱物。アカオギアイトは日本の地球科学者・赤荻正樹(存命)に由来する、やはり隕石衝突性のもの。まあ普通に出るのは三人でしょう。
しかし、チタンは「おっしゃって…」の地殻構成元素八大勢力の後にくる「地水憐満(Ti,H,P,Mn)」の四天王の一人(勝手に作るなw)。なのに、ルチル三兄弟にしろスフェーンにしろ、どどっと出ては来ない。チタン含有鉱物もさして多くない。これは別項メモに。
ええ? チタンてどこにいるんだい?
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