貧乏石好き

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「変成」に関して 3.変成と「水」

2024-09-22 09:41:20 | おべんきょノート

もう一つ、変成作用において熱や圧力と共に重要な役割を担うのが、水や二酸化炭素などの揮発性成分であるという。

《変成作用を受けつつある岩石のなかにはH2OやCO2を主成分とする粒間流体がある場合が多いらしいが、そういう流体が移動すればそのなかに溶解している物質が移動する。これは、場合によってはかなり大きな量に達しうるであろう。……そういう水は他の場所へ流れて行って、温度や圧力が下がると岩石のなかに石英を沈殿させたり、石英脈をつくることになる。》

沈み込み帯におけるマグマの生成の場合と同様、水は鉱物の結晶構造を切り、融点を下げる作用がある。原岩がどれだけ水やCO2を含むかによって変成作用の起こり方は変わる。
脱水反応の例としては、
  パイロフィライト=カイヤナイト+3石英+H2O
  白雲母+石英=珪線石+カリ長石+H2O
脱CO2の例としては
  方解石+石英=珪灰石+CO2
水とCO2両方の例としては
  トレモライト+3方解石+2石英=5ダイオプサイド+H2+3CO2
  2エピドート+CO2=3アノーサイト+方解石+H2O
  5ドロマイト+8石英+H2O=トレモライト+3方解石+7CO2
などがある(都城1996)。
おやおや、変幻自在ですね。

さらに、変成作用の中で発生した「水」は、火成岩で発生した水と同様に、熱水鉱脈やペグマタイトのようなものを形成するかもしれない。つまり、何度か書いてきたように、「火成岩系水成鉱物」と同様、「変成岩系水成鉱物」というものもあるのかもしれない。

     *     *     *

非常に面白いのは、変成作用においても、「花崗岩」が生成するということ。
ヒマラヤやアルプスなどの「大陸が衝突して盛り上がった変成帯」で、花崗岩が出る。これはプレート衝突の超高圧状態で岩石が融け、花崗岩マグマが生まれた可能性がある。

「K2ストーン」というのがあります。「K2アズライト」とも言われる。前は青いのは何じゃいという感じだったのが、どうもアズライトだということになったらしい。

カラコルム山脈にある世界第二の高峰、K2の麓で採れたという触れ込みの石。大陸衝突の造山運動の中で生まれてきたわけですね。解明されたわけではないけれど、これも超高圧変成で岩石が融けて生まれた花崗岩かもしれない。普通の花崗岩にはアズライトなんてあんまり入らない。そういう特殊な石が入っているということは、ちょっと特殊な生成なのかもしれない。

で、花崗岩が生まれれば、当然のことながらそこから派生する熱水も存在する。前も書いたけど、ヒマラヤやアルプスの水晶なんかは、変成岩由来のマグマ熱水から生まれてきたのかもしれない。

これはチベット産のショール、ブラックトルマリン。九角柱という不思議な形。

トルマリンというのはペグマタイトでしか出ないと言われる。しかしチベットなんかに火山マグマ由来のペグマタイトなんかあるでしょうかね。これはひょっとしたら、変成岩由来の花崗岩ペグマタイトでできたのではないだろうか。まあ空想ですけど。

石集めをしているだけの素人にとって、ちょっと興味があるのは、マグマ由来のペグマタイト・熱水鉱脈の「水成鉱物」と、変成岩由来のペグマタイト・熱水鉱脈の「水成鉱物」は、同じなのか違うのかということ。ある種の石はマグマ熱水からだけでき、ある種の石は変成作用熱水からだけできる。そんなことがわかると、なかなか面白いのではないでしょうか。ん? 面白くない? そうですか。

まあこんなところで、変成岩・変成作用のごくごく大雑把なアウトラインは浮かび上がってきたのではないかなと。いや、わかんないか。とりあえず、今回はこんなところで。ああ疲れた。


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