貧乏石好き

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「変成」に関して 2.「変成岩」って何じゃい

2024-09-20 10:24:26 | おべんきょノート

変成岩が特徴的に見られる場所がある。
・接触変成帯
・広域変成帯

接触変成帯というのは、マグマ及び付随する熱水が上がってきて、岩石が変成されるもの。スカルンなんかはこれですな。しかし広域にわたったら広域変成帯になる。
広域変成帯というのは、いろいろ。最初この言葉を聞いた時、「これ、何も言っていないじゃない」と思ったものでした。「広い地域で岩石が変成している」。ただ情景を述べただけ。こんな学術用語ってあり?と。
で、もちろんちゃんとした説明がある。広域変成帯の中には次の二大派閥がある。
・プレート沈み込み帯の広域変成帯。いろんな温度・圧力あり。
・大陸衝突帯およびそれに伴う造山帯の広域変成帯。主に高圧変成。
ほかにも「厚い地殻内の放射性崩壊熱による変成帯」「大陸伸展に伴うマントル上昇の熱による変成帯」などがあるようですけど、ちょっと棚上げ。
で、変成岩を調べていけば、そこがプレート沈み込み帯だったとか、プレート衝突による造山帯だったとかがわかる。
といってもそんなに単純な話じゃなさそう。
たとえば日本には領家変成帯とか三波川変成帯という大きくて有名な変成帯がある。領家は低圧変成で、沈み込み帯で生まれた花崗岩マグマが貫入したもの、三波川は高圧変成で、沈み込み帯の深部で変成したものとされている。両方とも列島がユーラシア大陸の縁にへっついていた時にできたらしいけれど、詳しいことはまだわかっていないらしい。
あるいはヒマラヤ山系で見られる花崗岩は大陸衝突の高圧でできたものなのか、下部からのマグマの上昇があったのか、なかなかはっきりとは言えない。
まあほんとに難しい世界です。岩石は様々だし温度や圧力も様々。どんな石がどんなことを示すのかはそう簡単にわからない。とっても素人には歯が立たない。

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変成岩にはどんなものがあるか。
代表的なものには次のようなものがあるらしい。ただし他の環境でも出たりするからあくまで参考。

・泥質堆積岩起源のもの
  雲母、藍晶石・紅柱石・珪線石、クロリトイド(硬緑泥石)、十字石、菫青石
・石灰質堆積岩起源のもの
  方解石・アラゴナイト、ドロマイト、珪灰岩、角閃石、輝石、斜長石
・塩基性火成岩起源のもの
  角閃石、斜長石、輝石、緑簾石、ローソン石、パンペリー石、葡萄石

カイヤナイト三姉妹、アイオライト、タンザナイト、プレナイト、翡翠なんかはもっぱら変成岩由来ということのようですね。ガーネットなんかは変成岩・変成帯で多く出るけど、マグマ由来のペグマタイトなんかでも出る。
翡翠というのはわからないことが多いみたいだけど、だいたい次のような感じらしい。
 橄欖岩/玄武岩 → 蛇紋岩 → 角閃岩 → 曹長石/曹沸石 → 翡翠
ずいぶん長い道のりですね。しかも低温・高圧環境でできるらしい。6億年以上前では地殻温度が高すぎて翡翠はできないとも言われる。不思議な石です。
ヴェスヴィアナイト(ベスブ石)なんかは接触変成のスカルンなんかでもっぱら出るらしい。これは甲武信鉱山産のもの。甲武信ヶ岳を作った花崗岩マグマ上昇によってできたスカルン鉱物ですかね。


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変成岩の形状には以下のようなものがある。形状というのは見た目の姿のことらしいけどよくわからん。一応メモ。
1.スレート(板岩、Slate) 主に泥質性堆積岩から。
2.千枚岩(phyllite) 主に泥質性堆積岩から。
3.片岩(schist) 主に泥質岩起源、低温の火成岩起源は緑色片岩。
4.片麻岩(gneiss) 中・粗粒で平行組織を持つ
5.角閃岩(amphibolite) 主に火成岩から。低温では緑色片岩。
6.グラニュライト(granulite) 白粒岩とも言われる結晶の目立つ白っぽい岩石。高温でできる。
7.エクロジャイト(eclogite) 柘榴石とオンファス輝石を主とする超高圧変成岩。大陸衝突帯や沈み込み帯深部でできる。
8.ホルンフェルス (hornfels) 細粒・無方向性、主に接触変成でできる。
9.マイロナイト (展砕岩、mylonite) 破砕細粒・縞状の変成岩。
10.ミグマタイト(migmatalite) 混合岩。

ホルンフェルスってよく聞くけど、何度説明読んでもすっきりとわかった試しがない。しかしこれ「ホーンフェルス」じゃね? マグマに近い所から遠い所へと帯状の模様ができるから面白いみたいだけど、本来は粒も筋筋もない姿の形容らしい。ミグマタイトなんてのもよくわからない。マイロナイトに至っては聞いたこともなかった。どうも形状のことを言っているのか生成過程のことを言っているのか、ごちゃごちゃしているような気がしないでもない。

それとは別に「変成相」というのがあって、「温度・圧力による(化学平衡状態の)相」ということらしいけれど、これも素人にはよくわかりません。温度・圧力がだいたいわかって、そうすればその領域の構造運動の歴史がわかるということなのでしょう。
Eskola という人が8つを提案、それに新たに2つ加わって10種ある。都城1965より。

1.緑色片岩相
2.角閃岩相
3.エクロジャイト相
4.ホルンフェルス相
5.サニディナイト相
6.緑簾石角閃岩相
7.藍閃石片岩相
8.グラニュライト相
9.沸石相
10.葡萄石-パンペリ石変成グレイワッケ相

大まかな図はこんな感じ。あくまで大まか。


 10の変成相の概念図(都城1965、307頁を簡略化したもの)


難しいですねえ。
この石はこういう石に変わる、この石はこういう石がどうなった時に生まれる、というようなことがわかればいいのでしょうけど、そう簡単に問屋は卸さない。鉱物なんかも、変成作用で出たりマグマ関連で出たりするから、なかなかはっきりは言えないようです。ううむ。


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