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三十冊の現代詞華集
経年の汚れシミあります
それでも千円ならと
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あのとき親身にしてくれた詩人が
目のまえで話してくれた
書けないときは読みなさい

段ボールいっぱいを
うえから順よく手にとって
セピアの行にしばたたくと
いよいよ詩の匂いが舞いあがり
鼻先がむず痒くなった

指紋に触れる かさついた凹凸
まだらに浮いた 粉状の群れ
筆記具の擦れか口紅か
灰褐色の微小物が紙端をよぎった

ふみとどまる廃品
協調などしない

マーカーの線に導かれて
のどを拡げると
栞のかわりに蝶の死がい
コトバの意味に追いつけなくて
手のひらで払いのけた

あんのじょうほとんどがまだ
読まれないままだ
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« 十年 マス目 »
 
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