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マス目


はじめはたどたどしかった
四辺は空き地だった
書き順をまずおぼえた

余白はカラス口で
均等に割りふった
そのとき社員の一人になった

書かれることよりも
その収まり具合で計られた
つまずいた傷は
整った筆跡でかくした

ドレスの女性はその枠の向こう
名札を提げた中年が追いかける
ケモノたちが繁殖をする
扉ごしに大樹が茂る

マス目がならぶので
しつらえた場所に
家を建てた

暮らしはマス目どおりに
時間とともに区切られた
そうして誰かがやって来て
自由をしたり顔で説明した
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« 中古本 達磨寺の鐘 »
 
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