「おぎゃ~」と元気な声。
その瞬間娘にうちわで風を送っていた私は
小さくガッツポーズをした。
4月15日午後11時44分。
初孫誕生の瞬間だった。
この日の午後、定期検診が終わった娘と大分市内まで
買い物に行った。
出産予定日は4月23日。
初産とあってまだまだと油断していた。
自宅に到着するなり娘がいつもの
痛さと違うと言い出した。
慌てて病院へ急ぐ。
午後7時到着。
診察してもらうと陣痛がきてるので
分娩室に入るようにと言われる。
私も一緒に入るようにと娘に言われたのだが・・・。
「いや、俺は無理だから」と何度も娘と女房に言ったのだが
広島にいて今日来れない娘婿の代わりに
分娩室に来てくれと頼まれる。
昔昔の女房の出産の時も廊下で待ってた私なのに絶対に無理だと
何度も言ったのだが・・・・。
看護師さんからも説得され
「ええい、どうにでもなれ」という気持ちで入っていった。
分娩室に入ってびっくりした。
私のイメージでは殺風景な手術室というイメージしか
無かったのだが・・・・とんでもない。
壁は淡いピンクの壁紙(花柄模様)
ソファーにテレビ(薄型)、ラジカセ、おしゃれな洋服入れ。
トイレ、洗面所ときてはどこかのホテルの一室だ。
違うのは分娩台があるということだけだ。
午後7時49分 破水。
5分ごとに痛みが来るらしいのだが、まだまだ冗談を言える
余裕がある。
時々4人で笑い写真も撮る。(本人も気がまぎれて良かったらしい)
助産婦さんが娘の腰を揉み続けている。
(このベテランさんの的確な指示が素晴らしかった)
私の役目は暑がる娘にとにかくうちわであおぐこと。
午後9時。
痛みが段々ひどくなってる。
時々「・・・・・」と顔をしかめて痛みに耐えている。
「痛い」と叫びたいらしい。
でも叫ぶと私が部屋から出て行くかもしれないので
我慢していると言う。
「我慢せんで痛いときは痛いと言ったほうが楽やけん。
言ってもかまわんけん」と娘に言うのだが・・・・。
旦那の代わりに入って貰ってるので言わない。
最後までこの部屋にいて欲しいから言わないと言う。
看護師さんが「我慢強いですね」と言う。
顔をしかめながら「いいえ」という娘。
30年以上も前。
女房の出産のとき私は部屋の前のイスで何もしないで
待っていた。
いくら若かったとはいえ女房の痛む腰くらい
揉んでやればよかったと今更ながら自分の
思いやりの無さが恨めしく思った。
午後10時。
「もう少し、我慢してくださいね」と先生に言われる。
ここで女房のツィートにはげましのメッセージがどんどん入ってくる。
痛みと痛みの間をみて娘に聞かせる。
一つ一つの言葉にうなづく。
「ありがたいなぁ」とにっこり笑う。
私は部屋の外に出て娘婿に電話をする。
「もう少しやから、娘は頑張ってるけん」と私。
「行けなくて申し訳ないです」
「お父さんとお母さんにはありがとうの言葉しかありません」
「頑張れと言ってやってください」と娘婿。
部屋に帰りその事を娘に伝えるとニコっとした。
午後10時35分。
いよいよ始まる。
娘の顔が真っ赤になる。
汗が吹き出る。
女房が拭いてやる。
その横でうちわをあおぐ私。(しょせん男はこれくらいしかできない)笑
午後11時30分。
赤ちゃんの頭がつかえてて出にくいという。
台を持ってこさせた先生が娘の腹を押さえる。
「グッ、グッ」と音が聞こえる。
娘が「・・・・・」と声を押し殺す。
もうこうなると何とか早く出てくれと祈るばかりだ。
何度かそれを繰り返した。
「頑張れ、頑張れ」と何度も励ます女房。
午後11時44分。
それまでの声と変わり「大きく息を吐いて」の声。
その直後「おぎゃー」と元気な声。
初孫誕生の瞬間だ。
3274グラム、男の子だ。
結局ただの一度も娘は「痛い」という言葉を言わなかった。
こんなにも強い娘だったのかと改めて驚いた。
部屋の外に出てすぐに娘婿に電話。
「おめでとう」と言ったら「ありがとうございます」と
何度も言いながら電話の向こうでずっと泣いていた。
分娩室に入ると生まれたばかりの赤ちゃんと写真を撮るので
おじいちゃんが赤ちゃんを抱いてくださいと言う。
「え~俺がですか・・・」等と言ってる間もなく
看護師さんが私の腕に抱かせてくれた。
腕の中で泣いてる初孫を見て涙がこぼれた。
孫の名前は「青葉」
名前からしてトリサポの「じじばば」がつけたのではないかと
思われるだろうが実は12月の時点で男でも女でも良いようにと
この名前に決まっていた。
娘夫婦からこの名前を聞いたときはもちろん大賛成。
「生まれる前からトリサポじゃん」とバカな「じじばば」笑
お腹の中にいるときから聞かせる音楽は「トリニータ」のチャント。笑
一番聞かせたのは「トリニータ・オーレ」・・これ本当ですよ。笑
生まれてすぐに部屋に戻った時(赤ちゃんと一緒に)
あまりに泣くのでためしに3人でトリニータ・オーレを歌ったところ
泣き止んで両手を前に上げた。
このときは本当に驚いた(マジで事実です)
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今回の出産で大勢の方から女房に娘に私にと励ましのメッセージ
又、お祝いのメッセージをいただきましたこと
本当にありがとうございました。
一人一人にお会いしお礼を言いたい気持ちでいっぱいです。
昨日、今日と病院に行ってきました。
元気いっぱいに育っています。
あと数ヶ月。
大銀デビューも近いと思います。
そのときはぜひ声をかけてください。
なんでしたらトリニータ・オーレを歌ってくれたら
反応するかも・・・です。
本当にありがとうございました。