労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

PDCAサイクル

2010-03-25 | 書記長社労士 労働災害
 10春闘、昨日、会社から最終回答を受け取り、機関会議にて妥結収拾の確認、ほんっと厳しい春闘だったが、それなりの結論は出た、疲れた、ほんまに。

 今日のネタはもっと早くに書くつもりだったのに、かなり後回しになってしまった。
先日、踏切に閉じ込められたバイクの女性を助けたんだけど(この記事→「人助け?でも後でちょっと震えた・・・」2010/3/4)、あのときは遮断機の棒を押し出して踏切の外に出ようとしても、遮断管は受けの金具に収まっているので押し出せず、女性の片手の力では上に持ち上げることも出来ずに、出て来れなかった。
先日、あの日と同じようにその踏切を渡って昼飯を食べに行こうとしている時に気付いたのだけど、踏切が写真の様に改造されていて(受けの部分がなくなっていて、遮断管は宙に浮いた状態になっている)、万が一踏切内の閉じ込められても、少し力を入れて押せば、隙間から踏み切り外に容易に脱出できる様になっていた。
あのときあの現場を通過した電車の運転士さんが「ヒヤリハット」で申告されたのか、後日、俺が阪急電鉄の社員の方にあの日の出来事を話したからか(まさかこのブログを見たからってわけはないだろうな)、もの凄い早い対処でしかもたいへん潔い処置だったからびっくりしたんだ。さすがだな~!

「労働安全衛生マネジメントシステム」(OSHMS)
 事業者が労働者の協力の下に「①Plan(計画)→②Do(行動)→③Check(確認)→④Action(改善)→①Plan(新しい計画)・・・」(PDCAサイクル)という一連の過程を定めて、継続的な安全衛生管理を自主的に進めることにより、労働災害の防止と労働者の健康増進、さらに進んで快適な職場環境を形成し、事業場の安全衛生水準の向上を図ることを目的とした安全衛生管理の仕組み。
経営学のマネージメントなどでよく使われている「PDCAサイクル」だが、安全最優先の意識を徹底させるために労働安全マネジメントシステムでも活用されていて、危険元凶を特定しリスクアセスメントを行うことでリスク低減を継続的に(スパイラル状に)向上実施する体制を目指している。
「OSHMS」は、Occupational Safety and Health Management Systemの頭文字でILOにおいてOSHMSに関する指針等が策定されているが、日本でも厚生労働省から「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(平成11年労働省告示第53号)(OSHMS指針)が示されている。
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リスクアセスメントについて今更ながら初めて勉強した(; ゜O゜)

2009-11-26 | 書記長社労士 労働災害
 映画レビュー、実はたくさん溜まっちゃっているんだけど、今日は、水曜に受けた大阪社労士会の平成21年度前期安全管理研修のことをメモる日にする。映画ネタや最近かなり少ない波乗りネタかなと思ってこられた皆さん、ごめんなさい、今日はまさに俺自身らしく堅い内容です。 今回のテーマは「中小企業で取り組むリスクアセスメント」。講師は中央労災防止協会近畿安全衛生サービスセンター安全管理士の松下和彦氏。

 リスクアセスメントというのは平成18年4月1日改正施行の労働安全衛生法に新しく定められた措置。根拠条文は
安衛法第28条の2(事業者の行うべき調査等)  事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん、等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
2 厚生労働大臣は、前条第一項及び第三項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。


 安衛法というのはそもそも、過去の災害を踏まえて制定される『墓標条文』(最近の例は石綿障害予防規則)で、安全衛生の最低基準を定めているもの。しかしながら「生産工程の多様化、複雑化が進展するとともに、新たな機械設備、化学物質が導入されていること等により、労働災害の原因が多様化し、その把握が困難になっている…(以下省略)」。そのために新たに定められたリスクアセスメントが求めるものはこれまでの安全衛生法の考え方と比較してみると次の通りとなる。 ●再発防止型 → 安全先取り型 ●法遵守型 → 自主対応型 ●仕様規定(構造、形状・寸法、材料…) → 性能規定(真に必要な実用性-寿命・信頼性-定性的定量的)

 リスクアセスメントの手順 …【見つける】危険性又は有害性の特定→【数値化】リスクの見積もり及び優先度の設定→【予想する】リスク低減措置の内容検討→【見える化】リスク低減措置の実施
※ 重要な問題点を説明するためには、客観的な判断基準が必要(数値化、ランク付、序列化など) →「リスク」の導入
※ 『負傷又は疾病の重篤度(致命的、重大、中程度、軽度)』+『発生する可能性(極めて高い、比較的高い、ほとんどない)』→リスクの大きさ
 と、ここまでリスクマネジメントについて学んできて、後半は具体的に、①災害に至るプロセス(~なので、~して、~【事故の型】になる)→②リスクの計算・評価(現状)→③リスク低減対策→④対策後のリスク評価(予測)→⑤優先順位、までの作業のやり方を説明を詳しく聞きながら演習してみる。だけど実は時間が短すぎて、演習と言ってもかなりさわり程度で実践にはなってはいない。しかしこれは訓練すればかなり職場の安全対策に役立ちそうだし、KY活動よりも積極的な心構えで臨めそうだ。ぜひ当社の安全衛生計画を立てる時期の前段くらいで実践していきたい。そのためにいちど全社的にリスクマネジメントのためのトレーニング研修を実施してみたい、会社に提案してみようっと。


 ところで今日の研修に参加したら、日本中小企業福祉事業財団(日本フルハップ)との共催だったせいの大盤振る舞いなのか、もれなく無料でこの「図解 よくわかる労働安全衛生法」が資料と一緒に封筒の中に入っていた。けっこうお得な気分になったけど、裏を返せばもっと勉強しておけってことか・・・
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1:29:300

2009-06-23 | 書記長社労士 労働災害
 大阪にも熱帯夜がやってきた・・・
知る人ぞ知る俺の「あっつーぅぅ!」という寝言(?)が一昨日の夜からスタート、いよいよ夏です。


 今年の全国安全週間のポスターは戸田恵梨香さんだそうだが、先日、うちの人事担当役員に、「この本を読んでみて」と渡された畑村 洋太郎氏の本、失敗学のすすめ (講談社文庫と、だから失敗は起こる (NHK出版DVD BOOK)

恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツ。個人の成長も組織の発展も、失敗とのつきあい方で大きく違う。さらに新たな創造のヒントになり、大きな事故を未然に防ぐ方法も示される―。「失敗は成功の母」を科学的に実証した本書は、日本人の失敗に対する考えを大きく変えた。

 畑村洋太郎さんは現在、工学院大学グローバルエンジニア学部教授で東京大学名誉教授、技術・設計分野から始まり、最近では立花隆さんが命名したという経営における「失敗学」の研究をしているという方だそうだ。
事故や失敗の責任の追及も重要だが、事故や失敗を直視してあらゆる原因を究明し、次に生かしていく。
ちゃんと失敗経験をしないと、発生したときに対処できず、思考停止になって、失敗の連鎖を広げてしまう、大事故はこのパターン。
失敗は起こるものと考え、失敗に正しく向き合って次に生かすことが重要で、逆に失敗を無視し、隠し、責任回避するような風土からは新しいものは生まれにくく、問題や事故が発生しやすくなると言える。
そして、過去の失敗を直視し、そこから真摯に学べば、時代にしなやかに対応できる強い組織が生まれる。
というように、非常に興味深い内容だったが、でもそれを即、自分の組織生かしていくというのは技術的に非常にハードルが高いなとは感じた。

 この本の中でも何度も取り上げられていたのは、かの有名なハインリッヒの法則。
労働災害における経験則の一つで、1つの重大事故(「重傷」以上の災害)の背後には29の軽微な事故(「軽傷」を伴う災害)があり、その背景には300の異常(「ヒヤリ・ハット」した傷害のない災害)が存在するといわれ、重大災害の防止のためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリハットの段階で対処していくことが必要であるとする法則だ。
われわれも安全衛生を考える場では多用する法則だが、しかしこれって1929年に発表された論文が初出だそうで、ほんとに統計として正しいのかな。
しかも当時よりも格段に安全対策・災害対策に対する意識と技術が向上し、また前述の失敗学ではないが安全工学という学問自体が進化している現在でもこの数字が適合するのだろうか。
なんとなくスローガン化されていたりと感じるが、まあ別に悪いことに活用するようなものではないので考えすぎないようにしよう。
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過労死が原因で過労?

2008-10-02 | 書記長社労士 労働災害
 先日、友人が「書記長、過労死を認めてもらうのに最高6回も手続きが要るの?」「ん?そうやねん、不服申立前置主義やから、すぐには裁判所に訴えられないねん。で、なんで?急にどうしたん?」「この本(刑事と民事―こっそり知りたい裁判・法律の超基礎知識 (幻冬舎新書 も 2-1) 元榮 太一郎)に『労基署から最高裁まで最大6回のジャッジを受ける労災申請』って書いてあって、『訴える遺族のほうまで過労で倒れてしまいそうだ』って、笑えない話じゃないですか」

 「過労死の認定」など労災保険の保険給付に関する労働基準監督署の決定に不服がある場合には、労働者災害補償保険審査官(都道府県労働局に居ます)に対して審査請求をし、その決定にさらに不服のある者は、労働保険審査会(厚生労働大臣の所轄の下に置かれる)に対して再審査請求をします。裁判所に提訴できるのは、この再審査請求の結論が出てからになります。ここまでの3回の手続きが行政不服審査法の範疇。そして次のステップからがようやく行政事件訴訟法の範疇に入っていき、さらに、地方裁判所→高等裁判所→そして最高裁判所と最高3回の審議を受けていくことになるかもしれません。これは不服申立前置主義といわれていて、「行政庁の公権力の行使」(処分)に対して、私人が不服を申立てる際には、ひろくこの方式が取り入れられています。実は「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済」を目的としてこの制度が取り入れられているのですが、この本の著者のようにちょっと見方を変えると、「なかなか裁判に持って行けなくてたいへんだ!」ということにもなるのですね。

 今まで過労死というテーマでは経験はありませんが、労災では「第三者行為災害の認定」に関して、「通勤途上災害の合理的な経路か否か」に関して、「災害に業務遂行性があるかどうか」に関してなど、健康保険では「傷病の社会的治癒が認められるか否か」など、ちょこちょこ組合員や友人知人の不服申立のお手伝いはしています。今まで、すべての案件で最初の審査請求の段階でこちらの言い分通りの決定をもらっています。(それは通らないかもという案件は受けていないからかもしれませんが)簡単迅速というけれど、さすがに一般の国民が簡単にできる手続きではないですし、そしてちっとも迅速というものでもないです。

 過労死に関しては、最近では認定の基準がかなり詳細に定められており、一番最初の労働基準監督署の処分で、かなり妥当な結論が出るようになってきています。よっぽどの案件でないと「6回」も必要なくなっていますから。それだけが、せめてもの救いなのかな?
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労災隠しはあかんねんでo-_-)= ○

2008-08-21 | 書記長社労士 労働災害
 今日は有馬温泉にあるとある大手労働組合の保養所を利用させてもらって執行委員会です。定期大会に提案する議案の審議を中心の運動方針起草委員会。朝9時から昼食休憩だけで5時までみっちり会議してました。とりあえず運動方針、自分の分はちょろっとの修正だけでほとんど原案通りで可決したっす('-^*)okただ各専門部局の方針が原型を留めないほどボコボコに修正…(=_=;)てめーら何年やってんねん…本日の議事はあと予算案を残して終了。ここの保養所には20メートルくらいやねんけどプールがあって、去年初めてここを使った俺はそのことをバッチリわかっていたので、ちゃんと今年は水着ゴーグルとキャップ持参(-_☆)たまたま貸切になったプールで30分、北島北島康介ばりに?バチャバチャ!泳いで晩ご飯に備える。

 
派遣の労災5885人 製造業解禁04年の9倍(共同通信)
 07年の労災による派遣労働者の死傷者数が5885人と、製造業への派遣が解禁された04年の約9倍に急増したことが21日、厚生労働省の調査で分かった。作業の安全管理を十分に指導されないまま働かされる労働者が増加している実態を反映した結果といえそうだ。厚労省によると、07年の労災による死傷者計13万1478人のうち派遣労働者は5885人(うち死者36人)で04年の667人の約9倍。

 今朝の毎日新聞、この記事はそうやろな~と思いながらも、こんな数字は実態とはかけ離れすぎていて、まったく参考にはならないんやろうなあって感じながら読んだ。常用雇用労働者は、全国で約4400万人、派遣労働者は平成18年度のデータですが321万人。常用雇用労働者(134,147-5,888)/4,400万人=0.285%、派遣労働者5,888/321万人=0.183%、単純計算した発生率は、こうなって、派遣労働者のほうが労災の発生が少ないって・・・ぜったいにおかしい・・・日雇い派遣ーグッドウィルフルキャストで働く シリーズ労働破壊」では、かなりの労災隠しの実態が赤裸々に書かれているし、たまたま知り合った日雇い派遣の人らも現場での労災隠しの実態をいろいろ教えてくれたし。だからこの数字以上にどんだけの労災隠しがあるんやろ…

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平成19年労災死亡者数は過去最少

2008-05-23 | 書記長社労士 労働災害
 厚生労働省から、「平成19年における死亡災害・重大災害発生状況等」が発表されています。平成19年の労働災害による死亡者数は過去最少の1,357人で前年比115人(7.8%)減、重大災害も前年より減少し293件となったそうです。たいへんたいへん良いことだ。死亡者数を業種別にみると、建設業が461人と最も多く、次いで製造業264人、陸上貨物運送事業196人の順。うちとこの労働組合の業種である「交通運輸業」では29人で前年より4名増えています。事故の型別にみると、墜落・転落が361人と最も多く、次いで交通事故(道路)が337人、はさまれ巻き込まれが191人、激突されが94人、崩壊・倒壊が92人。平成19年の重大災害は、前年と比べて25件(7.9%)減少し293件で、業種別にみるとやはり建設業が104件と最も多く、次いで製造業が61件、陸上貨物運送事業が19件、事故の型別にみると、「交通事故」が全体の約半数を占めています。われわれの交通運輸業は12件で、やはり昨年より1件増です。資料を見ていて気になったのが次のグラフ。【死亡災害発生状況の推移・重大災害発生状況の推移】


 重大災害とは、不休も含む一度に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害なのですが、昭和60年を底にして、増加傾向が続いています。労働安全衛生に関しては、どんどん強化されていっているし、安全対策の技術やノウハウも進歩しているし、また事故学という学問の研究も進んでいるし・・・にも関わらず、増加傾向なんです。昭和60年と比較して、交通事故(昭和60年の66件から平成19年は161件と2.4倍の増加)、中毒・薬傷が特に増加しているそうです。厚生労働省もこのことを問題視、そのため交通労働災害防止対策については、「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成6年2月18日付け基発第83号)を示して推進してきました。それでも増加傾向には歯止めが掛からず、今年の4月にこのガイドラインを、「睡眠時間の確保に配慮した適正な労働時間等の管理及び走行管理等の実施」、「交通労働災害防止のための教育内容の充実」、「荷主・元請事業者による配慮等の新設」、「安全衛生管理体制の充実」などを重点項目として改正しました。(改正「交通労働災害防止のためのガイドライン」)しかし、やはり現在の交通運輸産業の過当競争自体を抜本的に解消しないことには、この重大災害の減少には繋がらないと思うのは僕だけでしょうか。おっと、でもこれは厚生労働省の管轄ではなくて、国土交通省の問題か。
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仕事始め

2008-01-07 | 書記長社労士 労働災害
 今日から初仕事って人が、今年は多いようですね。着物を着ている女性もたくさん見ました。今朝の僕のいつもの通勤電車は、びっくりするくらい混雑してましたまだ学校が始まっていないから、学生は休みのはずなのに、考えられないくらい混んでました。大阪は雨模様だったので自転車やバイク通勤の人が電車に乗り換えたのとか、仕事始めでお酒が入るから車通勤を避けた人が多かったのかなあ。仕事始めの日は、仕事は形式的にして、社長の年頭所感の挨拶を受けたり、年賀式をおこなったり、賀詞交換会や新年会など、お酒や食事が出たりする会社も多いでしょうね。うちの会社では1月4日の記事で書いたとおり、もうなくなった習慣ですが。さて、もしそういう会社行事として、新年会みたいな飲食の場が設けられて、もしその帰り道に事故にあって怪我とかをした場合には、労働災害の通勤途上災害として認められるでしょうか?これ、ほんとに友人からよく聞かれる質問です。

 通勤災害として認められるかどうかのポイントは、「強制参加か? 任意参加か?」 です。労災保険法では「通勤とは、労働者が、就業に関し、①住居と就業の場所との間の往復、②就業の場所から他の就業の場所への移動、③住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」と、定められています。「就業に関し」とは、往復行為が、業務に就くため、または業務を終えたことにより行われること。つまり、労働者の住所と就業場所との間の往復などの移動行為が、業務と密接な関連を持つことが必要だということです。

 しかし、直接業務ではなくても、業務との関連性が認められる例のなかに、本来の業務でなくても、全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いにされるような会社主催の行事に参加するため、住居から直接その会場におもむく場合、またはその会場から直接帰宅するケースというものがあります。ですから全員参加が強制されているような年賀式や賀詞交換会、新年会なら、その行事は業務と判断されて、そこからの帰宅途中の事故は、労働災害の通勤途上災害として認められるということになります。なお参加が任意とされているような行事であっても、その運営が仕事となっている厚生課員・総務課員・秘書課員などの場合は業務となります。「よっしゃー仕事なんだったら思いっきり飲んでやろう」ってそこまで張り切る必要はないですからね、念のため。
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死を招く熱中症を防げ!!

2007-08-20 | 書記長社労士 労働災害
 昨日の豊橋でのヘリコプター出動、愛知県豊田市の男性会社員(21)が「サーフボードが流されたので取りに行く」と言って沖に向かい不明になってたそうです。泳いで取りに行ったのだろうか?とても泳げるような海の状態ではなかった。インサイド~ミドルはカレントが強く、頭くらいの波が炸裂していた。かなり無謀だが、可哀相に・・・ご冥福を祈ります。

 ところで、社労士試験までいよいよ最後の一週間になりました今年は僕と一緒に社労士受験した仲間二人が試験勉強一時中断からの再受験、労働組合関係での友人が一人、そしてブログ仲間が受験します。残された時間、体調の管理に気を付けて、勉強の方は新しいことはせずに、いろんな数字などの暗記事項や最弱点箇所の点検など、本試験で記憶を引っ張りやすい頭の整理を、僕は心がけました。試験開始時間直前に、ざっと目を通す数字の一覧表(A4裏表くらいの)を作ったりもしてました。受験されるみんなが、力を出し切れたらいいなあ頑張れっ


 さてさて本題、今日から通常通りの通勤ラッシュ&通勤渋滞でしたね。まだまだ暑い日が続きます、熱中症にかからないよう、屋外で働く人や、屋内でも高温になるところで働く人は、まだまだ注意が必要です。東京労働局が、熱中症に関する非常に解りやすいパンフレットを頒布しています。題して「死を招く熱中症を防げ!!」平成18年に東京局管内で勤務中の熱中症により、医療機関で治療を受けたのは282人、死亡または休業4日以上の死亡休業件数は14件。平成12年から18年の間では年平均20.3件も発生していますし、死亡に至るケースもあります。熱中症とは、高温の環境下で体温調整や循環機能などの働きに障害が起こる病気。症状により、4つに分類されるそうです。

「熱射病」 熱中症の中では致命率が高く、緊急の治療を要する。体温調節機構の失調、体温又は脳温の上昇を伴う中枢神経障害が原因と考えられている。
「熱けいれん」 大量の発汗による塩分喪失に対し、塩分を補給しなかったことにより起こる。
「熱虚脱」 高温暴露が継続し、心拍増加が一定限度を超えた場合に起こる。
「熱疲はい」 大量の発汗で血液が濃縮することによる心臓の負担増加や血液分布の異常により起こる。

 このパンフでは、そのような熱中症に対する職場での防止策と救急措置が紹介されています。職場での配布や、掲示板などへの掲示に非常にわかりやすいパンフレットですから、是非活用してください!
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使用者の民事損害賠償責任

2007-06-21 | 書記長社労士 労働災害
 昨日は連合大阪がシリーズで開催している「多発する労使紛争解決能力養成講座」に久しぶりに参加してきました。
この講座、連合大阪法曹団が講師になって、労働組合の周辺で身近に起こっている労働問題について、非常に解りやすく掘り下げて学習できる場です。
日程的になかなか合わないんですが、出来るだけ行くようにしています。
ものすごくいいのに、意外と参加者が少なく、だいたいいつも同じような顔ぶれになっています。
ためになるから、労働組合の幹部はどんどん参加したらいいのにね。
スタート時間が18時というのがネックなのかな?

 昨日のテーマは「労働災害-安全配慮義務と使用者の責任」、使用者の民事損害賠償責任について教わってきました。

 使用者の労働災害に関しての民事損害賠償責任としては、「不法行為責任」と「安全配慮義務違反(債務不履行責任)」とがあります。
不法行為責任の根拠法は民法709条と715条、安全配慮義務違反(債務不履行責任)は民法416条、根拠法が違うので、不法行為責任と安全配慮義務違反はいろんな点で相違があるそうです。

☆ 損害賠償請求権の消滅時効
 不法行為責任・・・3年(民法723条)
 安全配慮義務違反・・・10年(民法167条)
☆ 立証責任
 不法行為責任・・・過失の立証は原告(労働者)
 安全配慮義務違反・・・原則、過失の不存在の立証責任は被告(使用者)
  ただし、安全配慮義務の内容を特定して、義務違反があったことは原告(労働者)側が主張・立証
☆ 遅延損害金の起算点
 不法行為責任・・・不法行為時
 安全配慮義務違反・・・請求日の翌日
☆ 遺族固有の慰謝料
 不法行為責任・・・認められる(民法711条)
 安全配慮義務違反・・・認められない(法律上の根拠がない)

 安全配慮義務の内容は労働安全衛生法となるのですが、安衛法は行政取締のために制定された画一的なものであるため、その内容がそのまま民事損害賠償請求における具体的な安全配慮義務の内容になるわけではないそうで、
例えば、安全配慮義務の内容は、具体的な職種、労務内容、労務提供場所などにより千差万別ではあるのですが、
【物的環境】
 ● 労務提供の場所に保安施設・安全施設を設ける義務
 ● 労務提供の道具・手段として安全なものを選択する義務
 ● 機械等に安全装置を設置する義務
 ● 労働者に保安上必要な装備をさせる義務
【人的措置】
 ● 労務提供の場所に安全監視員などの人員を配置する義務
 ● 安全教育を徹底する義務
 ● 事故・職業病・疾病の後に適切な救済措置を講じ、配置換えをし、治療を受けさせる義務
 ● 事故原因となりうる道具・手段につき適任の人員を配置する義務

 安全配慮義務違反に基づく損害賠償の範囲(労災保険からの給付があれば相殺されますが...)
☆積極損害(出費を強いられることになった損害) 治療費・付添看護費・入院雑費・通院交通費・葬儀費用
☆消極損害(事故のせいで入らなくなった損害) 休業損害・後遺障害による逸失利益・死亡による逸失利益
☆精神的損害 入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡障害慰謝料
☆ 弁護士費用

 今回の講座で、引用された判例は、「自衛隊車両整備工場事件(最判S50・2・25)」「宿直員殺害事故事件(最判S59・4・10)」「三菱重工事件(最判H3・4・11)」そして「電通事件(最判H12・3・24)」でした。(「電通事件」は、僕も前に取り上げました。「激務に対する安全配慮義務 」2007/5/17

 さてさて、昨日は予想通り、講座が終わってからうちの執行委員と「ちょっと1時間だけ行こか」。
はい、最終電車でした・・・・
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第三者行為と労働災害

2007-06-14 | 書記長社労士 労働災害
 年金支給漏れ問題、新聞・テレビ・雑誌・ネットで連日連日たくさん取り上げられていますが、その中であっちゃこっちゃでたくさんの社労士が登場しています
今のところ、知り合いの社労士は見つけてないけど、すごく社会保険労務士の仕事と実力が注目されていることが嬉しいです

 今度、うちの労組の委員会の途中で「第三者行為と労働災害」について学習会を行うかも、なのでまだ正式には決めてませんが、いちおう以下のようなレジュメを作っておいた。

1.労働災害とは
 業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、傷害又は死亡のことである。
「業務」とは、その労働者が本来おこなうべき業務に加えて、次のような行為も含む。
(1)本来の業務に付随する行為
 例)前準備行為、後始末行為、日常生活へ復帰する為に必要な入浴行為など
(2)その労働者の職務(責任)から当然行なうことが予想される緊急行為又は客観的に見て必要且つ合理的な担当外業務の応援行為(但し、親切心で他人の業務を手伝った行為は「業務」とはならない。)
(3)作業中断による生理的行為、又は反射的行為
 例)用便、炎天下での飲水、風に飛ばされた帽子を咄嗟に拾う行為など

2.業務上であるかの判断
 業務災害の判断は、業務遂行性および業務起因性によりおこなわれる。

 業務遂行性・・・災害に発生に関し、労働者が労働関係のもとにあった場合であることが必要
 労働関係のもとにある→労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあること→労働契約に基づいて事業主の命令に従う立場にある状態

 業務起因性・・・業務と傷病などの間に一定の因果関係が必要
 自然災害による偶発的事故、私的行為又は恣意的行為による事故(私的な喧嘩)、業務逸脱行為による事故などは、業務起因性は認められない。

3.他人の暴行による災害(第三者行為)
 一般に第三者から受ける暴行は、第三者の故意に起因するものであるから、業務起因性は認められない。
ただし、災害の原因が業務にあって、業務と災害との間に相当因果関係が認められる場合には、業務起因性が認められる。

ケース1 水産物商業協同組合の市場内自転車預かり場管理人であるMは、仲買商の店員Tと場内整理のことについて口論となった。第三者が一旦仲裁に入ったが、Mの言動に立腹したTは、Mに暴行を加え、Mは頭蓋骨骨折などにより死亡した。

ケース2 トラック運転手Oは、W県からC県に向けて名神高速道路を走行中、先行トラックの進路妨害を受けたため、Sサービスエリアで先行トラックの運転手Hおよび同乗者Mと口論となったが、口論を始めて20~30分経ったころ、Oが空手の構えで相手を威嚇したところ、Mから頭突きを受けて転倒し、アスファルトに後頭部を打ち付けて負傷し、それが原因で死亡した。

ケース3 バス運転手のAは、バスを回送運転中、Bの運転するトラックが車線変更しバスの前に進入してきたので、クラクションを鳴らし、ブレーキを掛けてハンドルを切って回避した。BはAの行為に立腹し、二台の車が並んだときにAがにらみつけてきたのでAに向かって怒鳴ったところ、Aはトラックの前に進入し、同車を止めた。車を止められたBは感情を悪化させ、路上で口論しているうちに激高し、Aを殴打し負傷させた。

4.労災保険と健康保険の関係
 労働者災害補償保険法=業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、傷害または死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため必要な保険給付を行う。
 健康保険法=労働者の業務外の事由による疾病、負傷、若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関し保険給付を行う。
 健保法第116条 自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、保険給付は、行わない。
 健保法第117条 闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。
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社内飲み会も業務

2007-03-29 | 書記長社労士 労働災害
「社内飲み会も業務」 帰宅途中に死亡で労災 東京地裁が認定(産経新聞) - goo ニュース

 東京都内の建設会社の部次長だった男性が、社内で開かれた会社の同僚との飲み会に出席して帰宅途中に地下鉄駅の階段で転落して死亡したのは労災に当たるとして、妻が中央労働基準監督署を相手に、遺族給付など不支給処分の決定取り消しを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であり、佐村浩之裁判長は「通勤災害で労災にあたる」と認め、決定の取り消しを命じました。

 中央労基署は「会合は勤務時間外に開かれた慰労目的で業務でなく、飲酒量も相当あり、労災に当たらない」と主張していました。

 佐村裁判長は会合について
「酒類を伴う会合であっても、業務を円滑に進める目的で開かれており、業務上の成果も出ている。
男性にとっては単なる懇親会とは異なり、飲酒は忌憚(きたん)のない意見交換をするためで、出席は職務。
飲酒量(缶ビール3本・紙コップ半分ほどのウィスキーを3杯)は多量ではなく、酔いが事故原因ともいえない。
降雨で足下も滑りやすかった。」と認定、会合が業務だったと判断しました。

 男性は平成11年12月、勤務時間外の午後5時から社内で開かれていた会合に出席し、午後10時15分頃退社、帰宅する途中、地下鉄築地駅入り口の階段で18段下の踊り場まで転落して頭を強く打ち死亡しました。

労災保険法では
 通勤とは、労働者が、就業に関し、①住居と就業の場所との間の往復、②就業の場所から他の就業の場所への移動、③住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
と、定められています。

 まず最初の問題点は、「男性の懇親会出席が業務であったかどうか」です。
「就業に関し」とは、往復行為が、業務に就くため、または業務を終えたことにより行われること。
つまり、労働者の住所と就業場所との間の往復などの移動行為が、業務と密接な関連を持つことが必要だということです。

 しかし、直接業務ではなくても、業務との関連性が認められる例のなかに、
☆ 本来の業務でなくても、全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いにされるような会社主催の行事に参加するため、住居から直接その会場におもむく場合、またはその会場から直接帰宅するケース
(ただし参加が任意とされているようなレクリエーション行事などの場合は業務とならないが、その運営をあたる仕事としておこなう厚生課員などの場合は業務となります)

☆ 退勤の場合で、業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席した後に帰宅する場合で、社会通念上、就業と帰宅との直接的関連を失わされるような長時間でない程度の時間のケース

 この2点から、類推すると、男性の懇親会出席は「就業に関し」と判断されることは妥当だと思われます。

 次の問題点は「男性が飲酒して徒歩で帰ったことが合理的な方法であったかどうか」です。
「合理的な方法」とは、鉄道やバスなど公共交通機関の利用、自動車・バイク・自転車などを本来の用途に従って使用する場合、徒歩の場合、通常の交通方法は、平常に労働者が用いているかどうかにはかかわらず、一般に合理的な方法と認められます。

 しかしお酒を飲んで「正常な運転」が出来ないおそれのあるような状態では、「合理的な方法」でなかったと判断される例があります。
そこでこの男性のケースでは、男性にとって今回の飲酒量は「酩酊状態で、正常な歩行さえ困難な状態だったから階段から転落した」ので「合理的な方法」ではなかったというのが労基署の主張です。
このことに関して裁判官は「飲酒量は多量でない」と判断し、転落した原因も「飲酒が原因ではなく、降雨により滑りやすい路面状態」とし、男性の通勤の方法は「合理的な方法」であると判断したようです。

 ただし今回のケース、この男性のように上司としての立場でなく、「参加するかどうかは任意」とされている部下の場合では、違った判断になる可能性はあります。
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業務終了後に組合活動して通勤災害

2006-12-14 | 書記長社労士 労働災害
 昨日、遅ればせながらようやく「ボジョレーヌーヴォー」を飲みました。
もうそろそろ船便で送られてきた安いのが市場に出回るころやのに、ようやくです
なかなか家でゆっくりお酒が飲める日が無かったのです。
「ジョルジュ・デュブッフ」のボジョレーですがジャスコで1680円で売ってました。
解禁日から、1月近く経つと、かなり安くなってます。
味の方は、今年は少し軽すぎるかなって感じました。
2003年がもの凄く良かったので、あの年の味とどうしても比べてしまいます

 昨日の記事に関連して、今日は久しぶりに「通勤災害」です。

 労働者Aは、所定就労時間(16:45)の後、予め届けてあった残業を2時間おこない、その残業終了後(18:45)、労働組合の会計の用務を1時間25分おこない、その後、バイクで帰宅途中、道路脇から飛び出した犬を避けようとして転倒し負傷したケース。

労災法第7条2項 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

 このケースの場合に問題になってくるところは、勤務終了後の1時間25分の労働組合業務です。
就業に関し「就業との関連性」が認められるかどうかで、就業と退勤との間の行為が、就業と退勤との直接的関連を失わせていないかどうかが問題なのです。

 この点に関する通達では
「退勤の場合で、業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席した後に帰宅する場合で、社会通念上、就業と帰宅との直接的関連を失わされるような長時間でない程度の時間である場合」
には、就業との関連性が認められるとされています。

 次に問題になるのが「長時間でない程度の時間」とは、具体的にどの程度の時間なのかです。

 この点に関しては、具体的な例示がありませんが、今回取り上げたケースの1時間25分、組合の旗開きに1時間40分参加後の退勤のケースは、通勤災害と認定されましたが、サークル活動での2時間40~50分のケースでは通勤災害として認定されなかった例があります。

 業務終了後に私的行為をおこなった後の帰宅についての所要時間は、概ね、2時間程度では「就業との関連性」は認められて、3時間程度では「就業との関連性」は失われていると判断されるようです。

 労働組合のおこなう組合行事(委員会やオルグ、旗開きなど)を業務終了後に開催する場合は、この点を、充分注意しておこなう必要があります。
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保育園に送った後の通勤途上災害

2006-10-25 | 書記長社労士 労働災害
 ネタに困ったときの通勤災害
ってわけではないのですが、久しぶりに通勤途上災害ネタいっときます。
実は今日のケースで、友人から質問を受けたためなんです。

【ケース】
 労働者Aは、通常、自宅から会社に自家用車で通勤していたが、妻が出産して長男を保育園に送ることが出来なくなったので、Aが長男を会社とは反対方向にある保育園に連れて行き、自宅に立ち寄ることなく、直接会社に出社していた際、保育園から会社に向かう経路上で、車庫より出てきた車両を避けようとして道路脇の木立に衝突して負傷した。

労働者災害保険法
第7条2 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
1.住居と就業の場所との間の往復
2.厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
3.第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

3 労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項各号に掲げる移動は、第1項第2号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。

 というわけで、このケースでは、
 ◆ 事故にあった地点が合理的な通勤経路に該当するのかどうか?
 ◆ 保育園に立ち寄ることが、やむを得ない事由により行うための最小限度のものなのかどうか?
の二点の判断が問題になってきます。

 まず、「合理的な通勤経路」に関して、労災保険では、通勤経路としての合理的な経路は唯一のものではなく、合理的な経路の認定には、距離の面からする合理性のほか、道路の性質、混雑の程度など各種の面からする諸般の事情を考慮して合理性を考えるべきで、複数の経路があることは当然と解されています。

 そして、「やむを得ない事由」に関しては、他に子どもを監護する者がいない共稼ぎ労働者や、共稼ぎではないが出産後の妻のいる労働者が、保育園や親戚などに子どもを預けるためにとる行為と経路は、そのような立場にある労働者であれば、当然に就業のためにとらざるを得ない行為であり、経路であると解されます。

 ですから、このケースでは、合理的な通勤経路上の事故として通勤災害に該当するとされました。
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飲酒運転の通退勤事故は通勤災害として認められるか?

2006-09-14 | 書記長社労士 労働災害
 昨日のこのブログへのアクセス数、いままでの新記録が出ました
ページビューが960pv、アクセスIP数が317ip、ランキングはgooブログ633,556中714位でした。
こんなブログなのに、たくさんの方が見てくれて感動です

 今までの最高が、1月6日の654pv、315ip、ランキングは399位(426,506中)でした。
9か月でgooブログだけで20万も増えているのですねこれも感動というかビックリです。

 さて、今日の記事は、昨日の記事に関連して、業務終了後飲酒してバイクで帰宅途中の災害は労働災害保険法上の通勤災害として認定されるか?です。

【ケース】
 労働者Aは、運転手としての就労後、午前2時に帰庫し、仮眠室において午前6時頃まで仮眠、車の点検整備後午前8時に交替点呼を受け、午前9時50分頃会社の浴場で入浴後、日本酒を3合飲み、午前10時30分頃会社から原付で帰宅途中、車道に飛び出してきた子どもを避けようとしてハンドル操作を誤り転倒し負傷。

 さてこのケースは通勤災害として認定されるでしょうか?

労災保険法第7条第2項
 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
 1.住居と就業の場所との間の往復
 2.厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
 3.第1号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

 以前「通勤災害でいう通勤の合理的な方法とは 」で書いたとおり、労働災害法で定める通勤として自動車や自転車などの場合、当該の労働者が平常用いているかどうかにかかわらず、本来の用法に従って使用する場合であれば、一般に合理的な方法と認められます。

 今回のケースは「本来の用法に従って」という部分が問題になってきます。
 
 労働者Aは「当日飲酒した量については運転に支障を生じることはない」と主張していましたが、日常飲酒習慣のある成人が日本酒を3合飲むと、血中アルコール濃度が150mg/100ml程度となります。
血中アルコール濃度が100mg/100mlを超えると酩酊状態は外見的に目立つようになり、意志的活動は遅く、動作は不確かに、感覚は鈍くなり、道路交通法では正常な運転が出来ないおそれのある酒酔い運転とされます。
このような酒酔い運転を、「合理的な方法」による通勤とすることは困難であるとされました。
しかも、労働者Aは、深夜勤務の後短時間の仮眠を取っただけの睡眠不足による疲労が蓄積した状態での入浴後の飲酒で、はるかに酩酊状態になりやすいだろうと推察されるともされました。

【認定結果】
 被災者Aの通勤方法は労災保険法7条2項の「合理的な方法」によるものと認められず、通勤災害として不認定となりました。

 ほんとに酒飲んで運転したらロクなことないよ
飲んだら乗るな 乗るなら飲むな です
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通勤災害 業務の性質を有する

2006-08-23 | 書記長社労士 労働災害
 昨日の大阪北部の大雨は、やはりかなりの被害が出てますね
本当にスゴい雨と雷でした。
パソコンで作成中の文章が、消えちゃったくらいで拗ねている僕はかなり不謹慎だと、今、反省しています

 でも今夜は万博陸上競技場に、ガンバ大阪対サンフレッチェ広島の試合を見に行くので、
お願いですから夕立ありませんように

労働災害保険法第7条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
1.労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付
2.労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付
3.2次健康診断等給付

2 前項第2号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

最近シリーズになっている、通勤災害に関して、今日は、「業務の性質を有するものを除く」とは、どういうことなのかです。

 労働災害には、通勤災害に見えて通勤災害ではないものがあります。
社労士試験の受験勉強のとき、僕は理屈が理解しにくくて、事例をそのまま丸暗記してました。

 通勤災害かどうかを判断するには
① 労働者の住居と就業の場所との間の往復などの移動。
② 就業に関する。
③ 合理的な経路および方法により行われる。
   の、三つの要件を満たさなければなりません。

 しかし、この三つの要件を満たしていても、当該往復行為中に発生した災害が業務災害と解されるものがあります。

 具体的事例としては
① 事業主の提供する専用交通機関を利用して行う通勤中の災害
② 突発的事故等による緊急用務のため、休日又は休暇中に呼び出しを受け予定外に緊急出勤する途中の災害
と、されています。

 これは、業務起因性(労働者が労働契約に基づき事業主の支配・管理下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められること)が認められるため、通勤災害ではなく業務災害として取り扱っています。

 社労士受験のテキストには、
「会社の通勤専用バスで通勤している労働者が、帰宅のため専用バスに乗り自宅近くで下車した直後、路面凍結箇所で転倒し当該バスに轢かれて死亡した。」
 という、実際にあった事例が紹介されていたと思います。
このケースは、「業務災害」と認定されました。
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