労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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「ライドシェアの危険性を議連で共有」~タクシー政策議員連盟~

2023-11-02 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 10月27日、超党派の国会議員で組織する「タクシー政策議員連盟」は役員会と緊急総会を開き、国会議員101人(秘書を含む)、ハイタクフォーラム(私鉄ハイタク協議会・全自交労連・交通労連)や全国ハイヤー・タクシー連合会(以下、全タク連)など関係者23人、報道関係者も参加した。  総会は、森屋隆事務局長(私鉄総連組織内国会議員)の司会で始まり、新役員と新加入議員の紹介と承認を行ったのち、辻󠄀元清美議連会長(私鉄総連準組織内国会議員)が挨拶。
 辻󠄀元議連会長は、「ライドシェアの問題が出てきた。議論に臨むためにも各立場の皆さんからヒアリングし、考えを聞かせてもらいたい。思い起こせば、小泉総理の行政改革で、タクシーの規制緩和で、街にタクシーがあふれドライバーが食べていけない状況に加えて、ダンピング競争があり、業界が大混乱し、働く者にしわ寄せがいった。またもや、タクシー業界を政治が翻弄している。この議連は超党派であることから、各党での議論も始まると思う。しっかりと臨んでいただきたい。」などとあいさつ。その後、「ライドシェアをめぐる対応について」についてヒアリングを行った。


 ヒアリングでは、専門家の立場から浦田誠国際運輸労連政策部長が、プラット・フォーム事業者が運営するライドシェアについて報道などが、海外でのライドシェアやアプリによるタクシー配車、法で認められた自家用有償旅客運送などと混同している点を指摘。「ライドシェアがないのは日本だけ、というのは、解禁を求める人の誤った主張だが、OECD諸国でライドシェアが認められているのは、全体の2割程度に過ぎない」との事実を指摘。「解禁を唱える人たちは、ポストコロナでタクシーが不足しているからライドシェアを導入すればよいと主張しているが、ライドシェアで解決した国はない」「ライドシェアを過疎地に入れれば良いという主張もあるが、一知半解(物事に対する理解度が中途半端)のまま、十分な検証をせず、世論をミスリードすることは許されない」と強調した。また、「ライドシェアには相互評価制度があるため、悪い運転者は淘汰されていくという主張がある。しかし事件が起きた後のことであり、被害者がいる。米国では、34件の連続レイプ事件で逮捕されたライドシェア運転者がいた。本当に相互評価制度は機能しているのか」「仮に、ライドシェアが全て優良な運転者になったとしても、それだけでは偽運転者の強盗やレイプなどの犯罪はなくならない。ライドシェアは一般車両を使うため、見分けがつかない。米国では事件が多発し、ロサンゼルスの日本領事館は、邦人に注意喚起をしている。危険と分かっていても使ってしまう人が事件や事故に巻き込まれた場合、自己責任なのか。これでは軽井沢スキーバス事故の教訓が活かされない」と、ライドシェアが許されている国での危険性も説明した。
 さらに「導入した米国の各都市では、交通渋滞の悪化、公共交通の利用者離れなど、社会生活に不便・不都合が起きている。ライドシェアは、呼べばすぐに来るという声もあるが、要するに不公平競争が前提のサービス。車椅子に乗った人を乗車拒否する事例が多く、裁判にもなっている」「運賃は安いも過去の話。これまで赤字覚悟でタクシーより低い運賃を設定し、事業を進めてきたが、ニューヨーク市では、ここ数年の間に5割も運賃が上がっており、タクシーとあまり変わらない」「労働の観点ではライドシェアの偽装請負をめぐる裁判でプラット・フォーム事業者が負け続けている。7つの最高裁判決では全て敗訴し、下級審では、100件以上の事件が欧州で審理中である。最低賃金に満たない人が、ニューヨークでは2016年に85%だった。米国の場合、ライドシェア運転者は平均で18カ月ぐらいしか続かないという統計も出ている。一部の人たちが便利と感じているライドシェアは、フードデリバリーにも共通するが、不安定な事業であり、持続可能性がない。日本では橋本徹氏が、『ライドシェア導入はリトマス試験』と言っているが言語道断。そうしたやり方では、日本はシステムエラーを起こす」などと述べた。

 続いて、舟本浩国土交通省物流・自動車局官房審議官が「公共交通の現場は、コロナ禍により運転者が不足している。都市部でも地域や時間帯によって、インバウンド需要の急回復により、タクシーの需要に対して供給が追い付かない状況」と現状を述べ、「まずはタクシー運転者の増加が急務。観光立国推進閣僚会議で、タクシー供給力の徹底的な回復に向けた施策を至急、進めていきたい。また、どうやって地方部の足を確保していくのかも検討していきたい。その際は、安全性の確保を大前提として進めていきたい」と言及。森哲也旅客課長が「ライドシェアをめぐる動向についての国交省の見解や方針」「自家用有償旅客運送制度の概要」について説明した。
 内閣官房からは、齋藤喬内閣官房デジタル行財政改革会議事務局参事官からデジタル行財政改革についての説明を受けた。事業者の立場からは川鍋一朗全タク連会長が「ライドシェアの議論よりも先に、タクシーの規制緩和を徹底的にやってもらいたい。そうすれば、タクシー不足の解決ができる」「二種免許取得期間の短縮と多言語対応、地理試験の見直しなどを求める」「利用者の安全・安心のため、タクシーには法的な義務が課せられている。毎日、出庫時、入庫時に、なりすまし防止のために顔写真、アルコール、健康状態のチェックに加え、車の状態を点検している。さらに3カ月ごとの定期点検、1年ごとに車検をし、これが全てコストになっている。タクシー事業者は法的規制があるのに、無法なライドシェアで良いという議論は辞めてもらいたい。タクシーに頑張らせてもらいたい。」などと訴えた。


 働く者の立場からは溝上泰央ハイタクフォーラム代表幹事が「私たちが働くハイタク産業の現場では、2002年の規制緩和以降、稼働台数が大幅に増え、1時間流しても利用者を載せることができない時期もあった。労働組合はこの間、タクシー特措法や改正法を議員の皆さんにお願いし、どうすれば利用してもらえるかを考え、身を切る思いもしながら20年間が経過した。そこへ追い打ちをかけるように現れたコロナの脅威とも戦ってきた。しかし地方では、倒産・廃業が止まらず、高齢化と人員不足によって、国民の移動の権利さえ奪いかねない現状もある。タクシーが足りないとの声は聞こえている。鉄道事故や異常気象など、タクシーだけで代替輸送問題を解決できないが、それをライドシェア導入で解決できるはずがなく、長年築き上げてきた安全・安心を崩壊させる引き金になると容易に想像できる。労働のあり方も問題。公共交通に従事する者として、国民の移動を担う使命と矜持を持ち、できることは何でもやる。法律を守る事業者とそこで働く労働者が報われる取り組み、ハイタク産業が持続可能な産業として、元気を取り戻せる政策をお願いしたい」などと訴えた。
 ヒアリングの後、辻󠄀元会長は政府に提出した質問主意書を説明し、参加者と意見交換を行った。
 意見交換では、道下大樹衆議院議員(北海道1区・議連事務局次長)が「タクシー事業者や働く者が元気になり、移動の足の不足を解消していくことが必要。国会で取り組む」、落合貴之衆議院議員(東京6区)からはライドシェアに関するロビー活動の状況について、渡辺周衆議院議員(比例東海)からは「EUの司法裁判所は、ウーバーが運輸サービス会社であり、タクシーと同様の規制を適用することを認めた。日本政府も当然その立場に立っているのか」と質問。これに対して、舟本審議官は「政府の立場としては、運行管理や車両整備に責任を負う主体をおかないままに自家用車のドライバーのみが責任を負う形態を前提としている限りは、安全確保優先の保護の観点から問題があるということは一貫している」と答えた。階猛衆議院議員(岩手1区)は「海外と、日本とはまったく実情が異なる。海外で進めているから良いという議論は、日本には当てはまらない」、辻󠄀元会長は「今の話と関連して、政府の答弁は変わっていないのか。そして、付帯決議の内容も堅持していくのか。4月に国土交通省自動車局長が特区という形でもライドシェアを認めることは考えていないという答弁もあるが、大阪をはじめ、一部地域などが特区の話を上げている。特区としても答弁を堅持していくのか。また、国交省の答弁の範囲で、内閣官房はこれから議論をしようとしているのか」と質問、舟本審議官は「国土交通省としては、スタンスは変わらない。特区も同様である。」、齋藤参事官も「国交省と同様のスタンスである。」と答えた。城井崇衆議院議員(福岡10区・議連幹事)は「実質の賃上げの確保が必要であるが、ライドシェアを入れた場合には、賃上げには繋がらず、むしろ賃下げ競争になる」、篠原孝衆議院議員(比例北陸信越)からは、「環境問題を考えれば、個人の車を走らせるのではなく、公共交通機関を大事にしていくべき。」との意見があった。
 住野敏彦交運労協議長は、「公共交通全体が崩壊するということと、そこで働いている人たちの生活を考えてほしい。その議論無くして、便利だから良いとか、規制緩和とかではない。私たちは怒りを持っている。私たちは本当にこの3年間苦しんで、仕事もできず、最低の生活をしてきた。ここにきて、便利だからライドシェアと言っている。日本の、安全・安心、そして信頼できる正確な交通というものを崩したらいけない。働いている人の立場、まじめに納税している人たちを大事にして、議論をしてもらいたい」などと強調した。


 閉会では、小宮山泰子議連幹事長(衆議院議員・比例北関東)が「イメージ先行で便利になると言っているが、日本で安心して乗れるという環境を崩しかねないということは、世界の事例を見れば分かる。イメージではなく、データに基づき、ライドシェアの現実を知っていただくために、私たちはこれからも声を上げていこう。」と締めくくった。


 総会ののちの記者会見では、辻元議連会長は「ライドシェアは労働という観点、バスや鉄道、総合的な日本の交通体系を考えてもいい点はなかなか見つからなかった。事実に基づき国民の安心安全を考えたい」と述べ、海外で発生しているドライバーによる犯罪にも懸念を示した。

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