岡崎市立図書館事件について、色々な人たちが調査している内に色々な問題が発覚して論点が広がっていますが、自分が注目している理由は
「ごく当たり前の事をしただけなのに逮捕された」、したがって
「この理由で逮捕されるなら、誰でも(自分も含めて)逮捕される可能性がある」から
です。
警察(や岡崎市立図書館・三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS))が誤りを認めない限り、安心できないという事です。
今回の事件は、「岡崎市立図書館が公開しているホームページに大量アクセスした」として、アクセスしていた人が逮捕されたものです。
「大量アクセスを行ってサーバーをダウンさせるDoS攻撃」と勘違いされたわけです。
この岡崎市立図書館のシステムには欠陥がありました。一般的なシステムなら問題無いような少ないアクセス数でもシステムがダウンすることがあるという欠陥でした。
そのせいで、実際には大したアクセス数でなかった(1秒間に1回程度)にも関わらず、大量アクセスと言われて逮捕されたのです。
例えばあなたがホームページを見ていて、なかなか表示されないので「遅い!」と怒って更新ボタンをダダダッと連打したとしましょう。
「ダダダ」くらいなら、1秒以内で押せます。つまり1秒間に3回アクセスしました。
はい、1秒間に1回を超えたので今回の事件よりも大量アクセスです。逮捕!
…こんなもので逮捕されるなんておかしいでしょう?
(まぁ実際にはもっと長時間連打し続けないと“大量”にはならないですが)
今回の問題を電話に例えるとこんな感じになるでしょうか。
図書館は、利用者からの問い合わせを受ける為に電話を3台用意しました。(担当者もちゃんと3人います)
ところがこの電話システムには欠陥があって、たまに3台とも丸1日間受信できなくなってしまうのです!
利用者から「電話が繋がらない」というクレームがあったので図書館側もさすがにおかしいと思っていましたが、システムを作った会社は「電話機が古いせい」と回答していました。
そして一度電話線を引っこ抜いて再接続すれば使えるようになるので、そのようにして使っていました。解決策があるとは言え、面倒ですね。
ところで、この図書館に毎日「今日新しく図書館に入った本は何ですか?」と電話してくる人がいました。
普通の人はこんなに頻繁には電話をかけてきません。こんなに頻繁に電話をかけてくる人がいるせいで、電話線を引っこ抜くという面倒な作業を行う回数が増えてしまいます。
そこで警察に相談したところ、「それは業務妨害で逮捕できるね!」と言われました。
こうして毎日電話をかけてきた人が逮捕されました。
実は、この電話の欠陥というのは、
2台までは同時に話していても大丈夫ですが、3台同時に使ったら、その後しばらくの間、3台とも使えなくなってしまうというものでした。
たまたま3台目にかけてしまった人が運悪くシステムをダウンさせることになってしまうという事です。
つまり頻繁に電話をかけた人のが悪いのではなく、3台目にかけた人が悪いのです。
でも、電話をかけた利用者側が、自分がどの電話につながるのか分かるはずもありません。
「あなたが電話したら、たまたま3台目につながりました。その結果システムがダウンしたので、業務妨害であなたを逮捕します」
こんな話が納得できる訳が無い。どう考えても、悪いのは図書館側(図書館システム側)でしょう。
しかも1日1回は「大量」ですか? 普通の人から見れば多いでしょうが、業務妨害と言えるほとでは無いと思います。
コンピューターシステムにおける1秒間に1回なんて、本来は業務妨害と言えるようなものではありません。
現実の話をすると、今回逮捕された人は、この図書館にアクセスする専用ツールを自作して使っていました。
でもそのようなツール(例えば画像のダウンロードを行うものやWeb巡回ソフト)はVectorや窓の杜にいくらでもあるし、僕でもたぶん作れます。この手のツールは、むしろ大量アクセスを行う為に存在しているようなものです。
つまり、「そのようなツールを使って大量アクセスした」という理由で逮捕されるなら、そういうツールを使っている人も逮捕されて不思議ではありません。
このような理由によって逮捕された方は非常に気の毒です。
起訴猶予というのが法律的にどのような位置づけなのかは知りませんが、「猶予」ということは、状況によっては起訴されることがありそうですよね。
逮捕されてしまった過去の時間は戻せないので、せめてきっちりと冤罪であったということを明確にし、付けられてしまった「前歴」を抹消すべきなんじゃないかと思います。
そして、このような事で一般人が逮捕されないことを明確にして欲しいです。