人類の未来 ノーム・チョムスキー、レイ・カーツワイル他

残念ながらテレビでは本当に知りたいことは伝えられない。情報を扱う時間も短く、スポンサーとの

兼ね合いもあるので真実に触れることが難しい。ネットにもあらゆる情報が溢れているが、取捨選択

するのは大変だ。本をじっくり読めば確かな情報を得ることが出来る。本書では現在最先端に居る知

性に出会える。冒頭に登場するノーム・チョムスキーは数学者、言語学者、政治学者でもある。現代

の政治を分析し分かりやすく解説しているが、的確で納得しやすい。それでも最近もてはやされてい

る「シンギュラリティ」には懐疑的で頭から否定している。次に登場するレイ・カーツワイルとは正

反対の持論を展開している。


５人の知性が話す内容は未知のものも多く、ワクワクしながら読み進められる。中でもビュルケ・イ

ンゲルスは「世界貿易センタービル２」（ニューヨーク）「グーグル本社」（カリフォルニア）も手

掛ける若手建築家でその斬新な発想に驚かされる。


５人目のフリーマン・ダイソンはアインシュタインの真の後継者と言われ、気候変動問題を取り上げ

世界の潮流とは全く違う見解を述べている。その主張は明快で、私たちの考察によい道筋を見せてく

れている。


こういう本を読むことで、様々な事柄を考察するうえでしっかりした土台が出来るのは有難い。フェ

イクが堂々と罷り通る世界で、知性がとても重要だと思い知らされる。


人類の未来　　　ノーム・チョムスキー、レイ・カーツワイル他　　　　　ＮＨＫ出版新書