よしーの世界

好きな神社仏閣巡り、音楽、本、アートイベント情報を中心にアップします。

仕事選びのアートとサイエンス   山口周

2022-09-03 08:22:00 | 
私は今のところ転職の予定はありませんが、本書では仕事に関して大変興味深く、頷ける部分が非常に

多い。まず冒頭で「仕事選び」を困難にする要因として三つ上げていますが、「人工知能の台頭」これ

は他の本でも取り上げている、これからの大きな問題です。さらに「寿命の伸長と事業の短命化」私た

ちが思い描いていた20歳前後で働き始め、60歳前後で引退するという人生モデルは過去のものとな

り、20歳前後から80歳ぐらいまで働かざるを得ないという問題、そして働く場所である事業はドン

ドン短命化していて、一つの職業を全うすることが不可能な状態を指摘しています。最後に世界の状況

が「不安定」「不確実」「複雑」「曖昧」になり、職業がどのように変化するか見通すことが出来ない

と指摘しています。


私たちは現在就いている職業がずっと続くと希望的観測を抱いていますが、難しいだろうという見解に

は不安を覚えますが、著者の仕事に対する考証で転職に対する垣根を取り払ってくれています。そして

いざという時の決断の時の為に所謂ノウハウを学ぶのではなく、ストックを構築する為に「読書」を勧

めています。中で「反論し論破するために読むな。信じて丸呑みするためにも読むな。話題や論題を見

つけるためににも読むな。しかし熟考し熟慮するために読むがよい。」というベーコン(随想集)の言

葉を紹介しています。


本書は、これから仕事を探す予定のある人たちに、その意義と考え方と戦略を具体的に示してくれてい

ます。著者の説明には説得力があり、各章の最後に過去の偉人たちの心に残る言葉が引用されています

が、最後に「過ぎたことを悔やんでも、しょうがないじゃないか。目はどうして前についていると思う

?前向きに進んでいくためだよ」というドラえもんの言葉の引用は、グッときて著者の戦略のうまさに

感心しました。


   仕事選びのアートとサイエンス   山口周       光文社新書
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする