よしーの世界

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失敗の本質   戸部良一、寺本義也、鎌田伸一…

2023-04-04 06:34:26 | 
本書の副題は「日本軍の組織論的研究」で大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の

失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として活用することをねら

いとしています。残念ながら当時の日本軍は作戦の目的が不明確で、日清、日露戦争での勝利に前例踏

襲を是とし、戦争の形(第一次世界大戦)が変わりつつあることを顧みず、新たな戦略を学習すること

せず、結果よりも情緒的な人事を優先させました。幹部は兵士より常に優位に立ち自分の地位を守るこ

とを最優先し、国をどう守るのか、最終的に戦争をどういう形で終わらせることが良いのかという考察

がありません。


ノモンハン事件では中央部の意向を無視して関東軍は行動し、日本軍に多大な犠牲と損害を与えました

が、作戦を強行した辻参謀はとがめを受けることなく、この後も陸軍に影響を与え失敗を繰り返します。

この時に日本軍を圧倒したソ連第一集団軍司令官ジューコフは「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、

青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」と語っていたそうです。


ソ連やアメリカの物量に生産力が圧倒的に劣る日本は最初から勝ち目がなかったのですが、それを認識

し、冷静な判断が出来る人間が軍の上層部に居なかったことは致命的でした。このような本を読み歴史

を知ることは重要です。何しろ日本の授業では大東亜戦争など殆ど扱わないのですから、私たちは過去

に学び、現実を受け入れ、現状を変えることを模索していかなればならないと思っています。


   失敗の本質   戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生…     中公文庫
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