日本に音楽イベントがこんなにあるとは知らなかった。本書でざっと上げただけで「1000人ROCK FES.
GUNMA」「加賀温泉郷フェス」「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」「「知多半島春の国際音楽祭」
「高槻ジャズストリート」「舞鶴ミュージックコミッション」そして海外でも知られている「フジロックフ
ェスティバル」「サマーソニック」さらに私も楽しみなクラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジ
ャポン」もある。驚いたのは本書冒頭で取り上げている「1000人ROCK FES.」で群馬県渋川市で開かれ
たイベントはボーカル400人、ギター300人、ベース200人、ドラム100人の素人のバンドの演奏
に観客が3000人駆けつけたというものだ。壮観だったことは想像に難くない。
これらの音楽イベントはそれぞれの地域で工夫を凝らし、様々な形態で催されている、プロに委託している
モノから、地元の有志だけで開催しているモノ、自治体が主導するものまである。
私はイベントが好きで高校生の時の学園祭などは燃えたものだ。アイデアを出して学校と協議し、スポンサ
ーを探し、一緒に行動してくれる仲間を募り、毎日準備に奔走し、当日を迎えるのは本当に楽しかった。今
でもイベントに出かけると嬉しくなり、裏方の苦労迄ついつい思いをはせてしまう。
しかし本書での著者の提言は音楽イベントにより地域を活性化することだ。日本の音楽イベントはミュージ
ックツーリズムとして地域活性化にもっと貢献できるという。第三章では実践編として過去実際に体験し、
アドバイスも行ってきた立場から具体的な手順、コツ、留意点を述べている。
最近の本は抽象的な精神論的ものが減って、具体的な内容をしっかり説明し、より実践に近いものが増えた。
しかも本書では著者の個人サイトにアクセスして何でも聞いてほしいという、念の入ったものだ。日本の可
能性がまた広がった。
それでも音楽はまちを救う 八木良太 イースト新書