日本において移民政策はすでに始まっている。政府は「移民」とは言わず「生活者」という言葉
に置き換えて外国人の受け入れ態勢を急ピッチで進め、2018年に「出入国在留管理庁」を設置し、
自治体と協力して在留外国人の支援体制を強化、さらに「外国人材の受け入れ・共生のための総
合対応策」を改訂し、令和4年(2022年)には日本語教育、外国人への情報提供、共生社会の基
礎整備などの施策が実施されている。そして2022年6月には「外国人との共生社会の実現に向け
た「ロードマップ」が閣議決定された。このことをメディアで表明しなければ国民の意識は変わ
らずに様々な問題の解決に道筋をつけることは困難だ。
2022年末の在留外国人数は307万5213人と、前年末に比べ31万4578人も急増した。これはコロ
ナ禍で入国できなかった多くの外国人が一斉に入国したことにもよるが、多くの企業にとって人
手不足が深刻化していたことの例証だ。労働力不足が恒常化する日本で、今後、外国人へのニー
ズが減少することはないだろう。と著者は指摘している。
本書で、日本人は古代から多様な人びとを受け入れるサイクルを繰り返し発展してきた。日本は
多様な人びとが混じりあった結果、現在に至る均質的な国民性の国になった。しかし、これから
人口減少が激化する中で、再度、日本のサイクルが始まる。それは島国日本にとって自然なこと
だ。と言う。
私は近所に住むイギリスの友人、バングラデシュの友人、さらに親しくしている台湾出身の友が
住みやすく、いつまでも日本を好きでいてほしいと願っている。
人口亡国 移民で生まれ変わるニッポン 毛受敏浩 朝日新書