T市に伝わる正月の伝統料理
年も押し迫った12月24日
男衆は甲斐犬を引き連れ七日間
山にこもり鬼を追う
女衆は大鍋を蒔にくべ
湯と火を絶やさぬよう寝ずの番
大晦日早朝
男達は赤や青の鬼を大八車に積み込み
山の精霊への感謝
そして
鬼の魂を鎮める歌を歌いながら山道を下りてくる
男達が風呂に浸かり七日間の垢を落とし
今年の成果を自慢し合う酒盛りを始めている間
女達は色とりどりの鬼を
昆布でふん縛って根菜とともに湯に沈めていく
丁寧に灰汁を抜き独特の鬼臭を残しつつもスッキリ澄んだ鬼汁が取れた頃
その年の男頭が味付けをする
しかし決められた味付けがあるわけでは無い
旨いも不味いもその年の男頭次第である
一年で一番緊張する瞬間だ
鬼を前に震える足で先頭に立つ方がどんなに楽な事であろうか
翌年の男頭が挑むような目で
女達はため息をつきながら
その様子を見つめ続けている
そうして出来た
鬼締め
正月三が日の間
重箱のど真ん中に盛り付けられるのである
近年では市内のデパートで
年末になると予約の問い合わせが殺到するようだ
嘘
海田くん
お煮しめからのインスピレーションくれてありがとう
了
年も押し迫った12月24日
男衆は甲斐犬を引き連れ七日間
山にこもり鬼を追う
女衆は大鍋を蒔にくべ
湯と火を絶やさぬよう寝ずの番
大晦日早朝
男達は赤や青の鬼を大八車に積み込み
山の精霊への感謝
そして
鬼の魂を鎮める歌を歌いながら山道を下りてくる
男達が風呂に浸かり七日間の垢を落とし
今年の成果を自慢し合う酒盛りを始めている間
女達は色とりどりの鬼を
昆布でふん縛って根菜とともに湯に沈めていく
丁寧に灰汁を抜き独特の鬼臭を残しつつもスッキリ澄んだ鬼汁が取れた頃
その年の男頭が味付けをする
しかし決められた味付けがあるわけでは無い
旨いも不味いもその年の男頭次第である
一年で一番緊張する瞬間だ
鬼を前に震える足で先頭に立つ方がどんなに楽な事であろうか
翌年の男頭が挑むような目で
女達はため息をつきながら
その様子を見つめ続けている
そうして出来た
鬼締め
正月三が日の間
重箱のど真ん中に盛り付けられるのである
近年では市内のデパートで
年末になると予約の問い合わせが殺到するようだ
嘘
海田くん
お煮しめからのインスピレーションくれてありがとう
了