ねこなんて大っ嫌い

ってずっと思ってたのに。
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息子へ 第7話 (思春期の困惑)

2019-09-24 05:05:55 | 「息子へ」
本棚の整理をしていたら、懐かしいものが出てきました。これは息子に勉強を教えていた頃に作った、手書きの漢字テストです。


A3サイズの紙に書いて、何度も繰り返し練習するために、コピーを取っていました。その内の1枚には、正解を赤い字で書いてます。



ひゃ~!何ともお恥ずかしい 練習2回目では47点ですとー。笑
でもこれを繰り返しやることで、満点に近い点数を採れるようになったんだったなぁ。



4年生・5年生・6年生と、何種類か残ってました。今ならPCで簡単に作れそうなテストですけど、当時は全部手書きでしたので、時間が掛かったように記憶しています。それなりに、がんばってたのよね~


さて、では本題に入りましょう。

息子が結婚して家を出る時に、私から息子へのはなむけの言葉として持たせた「息子へ」という一冊の小冊子。そこから抜粋した、今回は第7話(思春期の困惑)をご紹介したいと思います。

少々長いので、どうかお時間のある時にご覧ください。




中学に入学したおまえは、
「野球部」に入部して、
ポジションはピッチャーだった。
小・中と「エースピッチャー」だったパパの
右強肩の資質を
受け継いだんだなぁと思ったよ。


おまえが
ほんの少しでも、人より秀でた、
熱中できるものに出会えたことが
私はとても嬉しかった。



野球部を引退するまでの約2年間は、
これまでの子育て期間の中でも
一番平穏な時だったかもしれない。



あの頃、おねえがとても大変な時期だったから、
その陰に隠れて
見落とされていただけだったのかもしれないけどね。



そろそろ
私と二人で歩くのを
避け始めた頃だったかな。
でも、普通の男の子と違って
うちではよく喋ったし、
人目を気にするそんな時期はほんのいっときだった。
(おまえいわく「オレは普通の男の子だったけど、
あなたが普通の母ではないから!」
どっちもどっちだと思うけど。)



おまえが中学に入学する少し前、
私は転職して今の仕事に就いた。
健康面の問題もあって
6年間の営業の仕事にキリをつけ、
ようやく
本来やりたかった事務職につくことができた。



これまでの私の経験上、
「よし、がんばろう!」と
自分に気合を入れた時には、
決まって何かが起こる。

まるで誰かに
決意のほどを試されてでもいるかのようにね。



「行って来ま~す。」と
元気に出て行くおまえを見送ってから数分後、
最寄駅まで自転車で通っていた私は、
あの日いつものように
「私も行って来るよ~!」と
笑いながら手を振って
おまえと、おまえの友達のかねきんを追い抜いた。



「あれ?
かねきん、あそこ、人だかりができてる。
誰か女の人が倒れてるよ。事故かなぁ・・・?」
近寄ってみると、
そこに倒れていた女の人って
私だったんだよね。



「あなたの顔、真紫で、オレあの時、
あぁ、死んじゃうんだって思った。」って言ってた。


そう簡単に殺すなよ 笑
(救急車に付き添ってくれていたおまえも
負けないくらい青い顔してたよ)



「第2腰椎圧迫骨折」
脊髄を損傷していたら
車椅子の生活を余儀なくされていただろう。
幸い背骨の一部が潰れただけで済んだ。



入社2ヶ月目で
2ヶ月間の入院。
クビになってもちっとも不思議ではなかったのに、
そうはならなかった。
入ったばかりの会社だったけど、
この恩をお返しするには、
仕事でがんばるしかないと思った。



入社当時、
出来ることといえば
パソコンを立ち上げることくらいで、
Excelを開くこともできなかった私は、
独学で猛勉強をした。
学校に行く余裕なんて
全くなかったからね。
活字が好きだったことを、
これほど有り難いと感じたことはなかった。



基礎から中級・上級と、何冊もの本を読み漁った。
通勤電車の中と、
仕事から帰って家事を終えた後の、
ほんの短い時間だったけど、
必ず毎日勉強した。
そして、仕事に生かしていくことの繰り返し。



そんな日々を送っていたある日。
たしかおまえが中学3年生の時だった。



疲れて眠り込んでいた私の枕もとで
電話のベルが鳴り続けた。
寝ぼけまなこで確認した時計の針は午前2時。
何なのこんな時間に・・・!



「もしもし・・・。」


「あ、〇〇さんのお宅でしょうか?こちら△△警察ですが。」
「はい、そうですが、何か?」


「お宅の〇〇君は、今どこにいらっしゃいますか?」


(何寝ぼけた事言ってんの!何時だと思ってんの!
寝てるに決まってるでしょ!)

「あの、部屋で寝ていますが・・・。」



「そうですか。ちょっと確認して頂けませんか?
今こちらの警察署でお預かりしておりますのでね。」




・・・・・・・・・・!!!




跳ね起きて
おまえの部屋に行きましたよ。
夜な夜な抜け出したことを
ごまかすつもりだったのか、
掛け布団はクッションでこんもり膨らんでいたけど、
おまえはベッドにはいなかった。



「・・・お待たせしてすみません。
あの、確認したんですが、確かにおりません。」

「たばこの自動販売機のところで職務質問しましてね、
自販機のステッカーが欲しかったそうで、
剥がそうとしていたところを保護しました。
夜分で大変だと思いますが、
保護者の方に迎えに来てもらわないと帰せませんので。」



「はい、もちろん、今すぐに伺います。
ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありません。」



車を飛ばして警察署まで急いだ。
おまえは、友達と二人、
数人のおまわりさんに囲まれていた。



あの時のおまえ。
私と目が合うと
本当に申し訳なさそうな顔したね。



帰りの車の中で話をした。

「あのね、私は本気で一生懸命仕事をしてる。
家族が生活していく為にね。
睡眠不足だと仕事にならないんだよ。
おまえの遊びのために
私にこういう迷惑をかけるのは、
もうやめにして欲しい。」

「うん、ごめん・・・。本当にごめんなさい。」



その約束はきちんと守ったね。
(ただただ運がよかっただけ・・・という説も多々あるけど。
ま、結果オーライということにしよう。)




後年その話をした時、おまえは言ってた。
「オレ、あの時すげえ、あなたが怖かった~。
だって、全然怒んなかったでしょ。
淡々と話すあなたが不気味で、
淡々としていることが余計に怖かった~。」



明らかに
反省しているとわかっている人間を、
押さえつけて怒鳴りつけるのは、
たぶん、逆効果なんだよ。
怒鳴りつけた方はちょっとは気が済むかもしれないけど。



静かに、きちんと、
自分の思いを伝えることの方が
実は一番堪えるんだね。




それにしても
咄嗟にステッカーが欲しかったなんていう嘘、
よくも思いついたもんだ。
もしかしたら、
あのおまわりさんが
信じた振りをしてくれただけで、
もしも真相を究明されていたら、
あの事件も笑い事では
すまされなかったかもしれない。



それが
よかったのか
悪かったのかは、
わからないけれどもね。笑




息子の後日談によると、この時は本当にたばこの自販機のステッカーを剥がそうとしていただけで、私が勝手に勘違いしていた・・・ということが分かりました。普段から信用が無いと、疑っちゃいますよね~というのは、私の苦しい言い訳。笑


既投稿の記事を貼ってみました。宜しかったらご覧ください。
「息子へ」第1話 (偶然の幸運)
「息子へ」第2話 (ザルで水を汲む如し)
「息子へ」第3話 (たこ食った事件)
「息子へ」第4話 (目から鱗)
「息子へ」第5話 (父親みたいな人)
「息子へ」第6話 (忘れてはならないこと)

さて、いよいよ次回からは
息子の汚名返上編に突入出来るかな?
2つのボタンをぽちっとして頂けると、と~っても嬉しゅうございます



  
ポチ、ありがとうございました~

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