午後の参議院本会議で、野田佳彦総理大臣の所信表明演説が行われました。
参議院本会議で所信表明演説する野田総理(出典:民主党ホームページより)
ライブでご覧になれなかった方、全文を文書で読みたい方、総理官邸が早速、ホームページに映像と全文をアップしてくれているので、ぜひこちらをチェックして下さい:
・「第178回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説」(官邸ホームページ)
さて、皆さんは所信表明を聞いて、どんな感想をお持ちになったでしょうか?
私自身は、震災復興、原発事故対応、被災者の皆さんへの支援策、雇用問題、デフレ脱却と景気回復、社会保障と税の一体改革、新成長戦略の実行などなど、直面する多くの課題について、野田新総理がどのような決意を示すのか、どこまで具体的な中身に踏み込むのかなどに注目していました。
ちまたでは、「総花的すぎた」、「具体性がなかった」、「官僚の作文みたいだった」、などの評価が強いようでしたね。確かに、あれほど盛りだくさんにせずに、野田総理が「最重点として取り組む10の課題」ぐらいに止めておいて、それらについて具体的な政策を提起するというアプローチもあり得たと思います。ただ、そうなったらそうなったで、野党は「あれが抜けた」「これも抜けた」と結局、批判するのですから、その辺は為にする批判ということで聞き流しておけばいいと思います。
いずれにせよ短時間の所信表明ですから、なかなか個別課題の具体的な政策的中身まで突っ込んだ説明は出来ないことを前提にすれば、私は全体的に、野田総理の強い思いがあちこちに散りばめられたいい所信表明だったと思います。
雇用や労働者の問題に関する言及が弱かった、というのもその通りかも知れません。でも、野田総理は『希望と誇りある日本に向けて』のところで、次のように述べています:
「かつて我が国は『一億総中流』の国と呼ばれ、世界に冠たる社会保障制度にも支えられながら、分厚い中間層の存在が経済発展と社会の安定の基礎となってきました。しかしながら、少子高齢化が急速に進み、これまでの雇用や家族の在り方が大きく変わり、「人生の安全網」であるべき社会保障制度にも綻びが見られるようになりました。かつて中間層にあって、今は生活に困窮している人たちも増加しています。
諦めはやがて、失望に、そして怒りへと変わり、日本社会の安定が根底から崩れかねません。「失望や怒り」ではなく、「温もり」ある日本を取り戻さなければ、「希望」と「誇り」は生まれません。」
これ、知る人ぞ知る、2年半前のNTT労組中央委員会、組織内候補としての承認を得た後の決意表明で、私が訴えた内容に通じるものがあります。「一億総中流」とは、経済成長を遂げながらも、格差の少ない、みんなが豊かになっていた日本の姿を示していると思います。それが崩れ、富裕層だけがますます豊かになり、中間層の多くが下層に転落し、二極化してしまったのが今の日本。民間需要が停滞し、デフレが止まらないのも当然です。こんな状況を作ったのはどこの政党だったでしょうか?
今こそ、一般労働者の生活を底上げするとともに、余裕のある層からの社会への貢献を増やし、みんなで支え合いながら、みんなで豊かになる日本を再構築する時です。
結局、それが今日の演説で、私が野田総理から受けたメッセージでした。野田さんは、家族のため、地域のため、そして社会のために貢献し、ささえ合おうとする日本人の「心」を称え、その心に協力を呼びかけようとされていたと思います。
私たち民主党の議員こそが、そのメッセージをきちんと受け止めて、国民の皆さんの政治を実践していかないといけません。そんな思いを抱いた、今日の所信表明でした。
ところで・・・野田総理による所信表明の間、野党席からは相変わらず、ただうるさいだけのヤジ。最後のトドメは「何言ってるかわかんなかったぞ!」というヤジ。そりゃ最初から最後までヤジリっぱなしで、中身を全然聞いてなかったんだから分からないのも当然でしょうね~。